「ううっ……ぐすっ! ひっく!」
のどかな田園風景を、えぐえぐしながら歩く。
おめめも鼻もまっかっか。浜田マリアンヌ、ただいまガン泣き中。
「キライですわ、音楽の授業なんて大キライですぅ! わーん!!」
犯罪都市ニューヨークに住んでいた頃は、登校中も下校中も、ファイナルファイトみたく悪漢共をドカバキ蹴散らしながら進んだものだが、ここは平和な国ニッポン。
マリアンヌみたいな幼い子供でも、安心して外出する出来る。たとえ友達がおらず、ひとりっきりだとしても。
ゆえに彼女は、特にまわりを気にすることなく帰路を歩いている。
今日学校であった出来事を思い出し、グチグチぼやきつつ。
「まさか、やっちゃいけないだなんて……。
日本文化はフクザツカイキですわ。
あまりにも欧米と違いますもの! Holy fuck!」*1
有り体に言えば、マリアンヌは今日の音楽の授業を、おもいっきり頑張った。だが頑張り過ぎた。
みんなで【みかんの花咲く丘】という曲の合唱をやったのだが……、何故かおもむろに「YEAHHHHHHHッッ!!!!」と
ガラスがビリビリするほどの凄まじい声量で。
「――――必要でしょ!? 様式美でしょう!?
シャウトにはじまり、シャウトに終わるのが、ヘヴィメタルという物ですわ!!
よかれと思って! わたくしよかれと思って!!」
みーかんーの、はーなが♪ (フ゛ァ゛ァ゛ア゛ーーイ゛!!)
咲ぁーいてー、いるー♪ (イ゛エ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ッ!!!!)
そんな童謡イヤすぎる。これは小学生の合唱歌なのだ。
別にパート分けがされていたワケでも無いのに、勝手にコーラスという名のヘヴィメタルシャウトをねじ込んだマリアンヌは、当然のごとく先生に怒られた。「何をしとんねん」という話だ。
ちなみに、一緒に歌っていた周りのクラスメイト達は、「なんかうるさい子がいる!?」とメッチャざわざわしていた。
歌にも集中できなかったに違いない。カンタ君も目をひん剥いてたし。
マリアンヌは気付いていないが、これは立派な“授業妨害行為”である。
きっと音楽の先生も、【リアルなヘヴィメタルシャウトを操る児童】を受け持つのは、人生初の経験である事だろう。アメリカの子こわい(驚愕)
「音楽は、わたくしの最も得意とするトコロ。
なので張り切ってはみましたが……見事に打ち砕かれましたわ」
オーダーメイドの革パンが泣いている。レザージャケット着てるのに、メタルの力を示すことも出来ない。
これでは敬愛するメタルゴッドこと、ロブ・ハルフォードに申し訳が立たないではないか。メタラーの名折れですわ。
そうマリアンヌはしょんぼり肩を落とし、トボトボと力なく歩く。背中が悲し気だ。
「わたくしったら、失敗してばかりですわ……。
いつになったら、日ノ本民族と馴染めるのでしょうか?
お友達になれるのでしょう……?」
努力はしている、マリアンヌも頑張ってはいるのだ。
今日も学校の校庭で、「アメリカ人の義務ですわ!」とばかりに、ジャップ共にたくさんチョコレートをばら撒いてあげたし。*2
お弁当だって、わざわざかかりつけのシェフにお願いし、“あわとひえ”にしてもらってる。
生まれてこのかた、マックのチーズバーガーと、Lサイズのピザしか口にしてこなかったマリアンヌが、「日本に馴染みたい」という一心でだ。
これはとても健気なことじゃないか。涙がちょちょ切れんばかりだ。
私財を投じて、民衆にお菓子を配るという行為にも、彼女の優しさと慈愛が表れている。流石はアメリカのご令嬢。
しかしその尊い想いは、とてもじゃないが、実を結んでいるとは言い難い。
今日も友達が出来なかったし、先生にも怒られちゃうし、なんかみんなに
「仲良くなれないのなら、“支配する”しかありませんけれど。
……でもそーいうのは、あまりやりたくありませんわ。
もっと良い形で、皆さんと接していきたいのですわ」
一瞬、世界の盟主たる
資金力や物量にまかせて物事を解決するのは、たしかに我が国のお家芸ではあるのだが、出来る事なら友好的にいきたいものだ。
力よりも愛。怖がられるより尊敬されたい。血で血を拭うことは、決して出来ないのだ。
No War! No War!
「そうですわねぇ……。
リスペクトを受けたいのなら、オジー・オズボーンのように、【コウモリの首を食い千切る】的なパフォーマンスをするのも手ですが。
でもあのお方、確かそのコウモリのウイルスに感染して、
淑女として如何なものか……」*3
伝説と引き換えに、命の危機――――
これは非常に「ROCKでございますわ!」って感じだが、小学生の女の子がする事では無い。まだ若い身空で。
「Zepp Tokyoへの道は、まだまだ遠いですわ。バンド結成もままなりません……。
でもセンリノ、ミチモ、イッポカーラ! Take it easyですわ」*4
気分を変えて、音楽のことを想う。
マリアンヌが選ぶ、本日の脳内ミュージックは、ARCH ENEMYの“Nemesis”。
「ふんふーん♪ あぁ……やはりメロデスは良いですわ。
アンジェラさんのデスヴォイスが、心に染みますわ……」
【ARCH ENEMY】とは、スウェーデンのメロディックデスメタル・バンド。
通称「青春メタル」と呼ばれるほど、爽やかでキャッチ―なメロディーが特徴だ(デスメタルなのに)
このバンドは、ボーカルが何度か交代しているのだが……、その中でも特にマリアンヌがお気に入りなのは、“アンジェラ・ゴソウ”という人物。
なんとこの人は、女性ボーカリスト。デスメタルを歌う女性なのだ。
幼少期の彼女は、とても大人しい子で、自分の声にコンプレックスをもつ内向的な少女であったという。
しかしある時、偶然耳にしたデスメタルという音楽に魅せられ、一念発起。ROCKの世界に飛び込んだ。
ここでなら私の声を活かせると。自分の居場所を見つけたのだ。
まぁ彼女の母親は、とても敬虔なクリスチャンだったので、メタル歌ってるのがバレた時は「貴方は私の子供じゃない」とまで言われたそうだが……。
それでも自分の想いを信じて、メタルを貫いた人だ。
彼女の放つ、とても女性の物とは思えないほどの、強烈無比なデスヴォイス。
それは聴く者を完膚なきまで圧倒する。心の一番深いところまで響く。
もしヘヴィメタルという物の定義が、【己の力を示す音楽】だとするならば、アンジェラはそれに相応しいシンガーだと言えるだろう。
彼女の素晴らしい歌声は元より、その生き様やお人柄にも共感する部分があり、マリアンヌは彼女の大ファンとなった。
いつか彼女のように、ステージで思いっきり声を張り上げてみたい。
そして、自分の居場所を見つけたい――――そう夢に描いているのだ。
「なぜこんなにも、心が休まるのでしょうか?
アンジェラさんのデスヴォイスを聴いていると、
以前アンジェラは、デスヴォイスを“怒りの声”という言葉で表現した。
己の持ちえる限り、力いっぱいに声を振り絞り、世界中に向けて“怒り”を叫ぶ歌唱法。
マリアンヌは思う。
ああこの人は、わたくしの代わりに怒って下さっている――――と。
わたくしの鬱屈や、イライラや、悲しみ。
そんな、決して表に出す事が出来ない想いたちを、
熱中症だった身体に、冷たい水が沁み込んでいくように、スッと気分が軽くなる心地。
世間ではデスメタルのことを、「こわい」とか「野蛮」とか言うけれど……それは違う。
これは“怒りの音楽”だ。
不条理に対して声を挙げる事が出来ない、そんな弱き者達のため、代わりにアンジェラ様が怒って下さっているんだ。
それにふと気が付いた時、マリアンヌのデスメタルに対する考え方は、一変した。
今では息を吸うように……なんだったらもう“子守歌”代わりにデスメタルを聴くようになっている。
だって落ち着くんだもの。冗談抜きでデスメタルには、ヒーリング効果あるんだもん(真顔)
「ワンフォーオール! オールフォーワーン!
ウィーアー、ネメシス! ですわっ♪」
ちなみにだが、このネメシスとは【復讐の女神】を指す言葉。
いつの日か自分も、この世界に反逆するんだ!
クソッタレな世間に怒りを放てる、そんな人間になろう!
そうマリアンヌは「ふんすふんす!」と鼻息を荒くする。
奇しくもデスメタルは、悪役令嬢たるマリアンヌに、ピッタリなのかもしれない。
まぁ物によっては、怒りどうこうというより、「悪魔崇拝」とか「みんな死にやがれ」みたいな事を普通に言っちゃってるヤツもあるので、是非とも気をつけて頂きたい。
なんだかんだ言っても、メロデスが一番聴きやすいと思う(確信)
◆ ◆ ◆
「ホワッツ? このオート三輪は……」
愛用のキャスターをベェ~ン♪ と鳴らし、「ぼぉーん! とぅびぃー! わーーあーあい!」と機嫌良く歩いていた所……。マリアンヌはふと、沢山の家財を積んだ軽トラが、道端に停まっているのを見かける。*5
「たしかこの先には、みんながお化け屋敷と呼ぶ、空き家があったハズですわ。
お引越しでしょうか?」
いつも登下校の時に見かける、“木のトンネル”的な小道。その手前に停められた車を、マリアンヌは興味深そうに眺める。
「まぁ! これは年代物の機材ですわ! とてもよい趣味でいらっしゃるっ!
音楽に造詣が深い御方と、お見受けいたしますわ!」
荷台の上にはレコードの蓄音機や、大きなスピーカー、そして恐らくギターが入っているであろう黒いケースがあるのが見える。
思わずといったような足取りで、マリアンヌが“木のトンネル”へ。
これの持ち主の御方に、お話をお聞きせねばなるまい。ここはひとつ音楽談義に花を咲かせようでは無いか。
そんな使命感に突き動かされて、どんどん進んでいった。
クラシックな機材や、ギターがある事からも分かるように、恐らくここに越して来たのは、バンドマンとしての先達。ようは“大人”だ。
たとえ初対面であっても、自分のような小さな子が「こんにちはですわ!」と元気に挨拶をすれば、邪険にされる事はあるまい。きっと快く迎えてくれるハズだ。
そんなある種のしたたかさを以って、マリアンヌは「ふふーん♪」と突撃していったのだが……。
『『――――わああああああああああああ!!!!』』
「っ!!??」
とつぜん聴こえてきた、“子供の大声”。
ちゃんと腹筋を使い、腹から声を出していることが分かる、とても張りのある高音ボイス。
これは……女の子の声だ!
「なんて……! なんて良い
才気を感じますわっ! Fuck more!*6」
ビックリして、腰を抜かしそうになる。
本来ここは、慌てて踵を返す場面かもしれない。
相手が大人ならばいざ知らず、これは女の子の声。自分と同じくらいの年頃の子がいることが分かったんだから。マリアンヌはシャイガールなのである。
けれど……我を忘れた。
この声の主と会ってみたい! どんな子か見てみたい!!
ROCK大好きマリアンヌは、もう人見知りも遠慮もかなぐり捨てて、〈ドゴゴゴ!〉っと土煙をあげて進んでいく。
「あれっ、あなたは?」
「おねえちゃんは、だぁれ?」
空地の敷地内に侵入したマリアンヌは、肩を上下させてゼーハーしながら、二人の少女の前に立つ。
恐らく、いま眼前にいるのは、この家の子達。先ほどのシャウト(?)を放った少女達であろう事がわかった。
「――――ハロー
ナ゛ァ゛ァ゛ァ゛~~ッッ!!!!(ヘヴィメタルシャウト)」
「えっ」
「えっ」
ギターを〈ギュイーーン!〉と鳴らし、ロックスターよろしくのカッコいいポーズを決める。ライブか。
「では聴いて下さいましっ! アイアンメイデンで“Aces High”!!
……と言いたい所ですけれど、これは後にいたしますわ。
御機嫌ようジャパニーズ・ソプラノガール♪ You fuckin' rock !*7」
「えっ」
「えっ」
ちなみに【IRON MAIDEN】とは、イングランド出身のHR/HMバンドのこと。
70年代後半のイギリスで勃発したムーブメント“NWOBHM”(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)の代表格として知られる、とっても凄いバンドだ。
ボーカルを務めるブルース・ディッキンソンは、メタル界最高の歌い手に数えられるほどの人物で、その声量と伸びのあるシャウトは圧巻DEATH☆
でもそんな事はどーでもよろしい。話を進めるとしよう。
「先ほどのシャウト、聴かせて頂きましたわ。
素晴らしい声量。SHOW-YAでも来てんのかと思いましたわ」
「しょーや?*8 えっと……よく分かんないけど、ありがとう?」
少女は「きょとん?」とした顔。
オレンジ色の釣りスカートに、黄色いシャツを着た、ショートカットの活発そうな女の子だ。
そして、彼女の妹さんであろうツインテの少女も、どんぐりみたいなまん丸の瞳で、じーっとこちらを見つめている。おねえちゃんのスカートをキュッと握る仕草が愛らしい。
「突然の訪問、申し訳ありません。改めて自己紹介をいたしましょう。
わたくし、浜田マリアンヌと申す者♪
犯罪都市NYからやって来た、未来のロックスターたる女。獄中出産でございますわ」
スッとメロイックサイン*9しながら、以後お見知りおきを……と言うものの、二人はポカーンと呆けた顔。
関係ないが、マリアンヌはROCKを志す者として、自己紹介の時はちょっと
こいつイカれてやがるぜ! と思われたくて、見栄を張っちゃうのだ。かわいい乙女心。
とりあえず話を聞いた所、この少女の名は“サツキ”、そしてちんまい妹さんの方は“メイ”というらしい。
最初こそ戸惑っていたものの、二人はすぐに持ち前の明るさを発揮。元気よく挨拶をしてくれた。
彼女らはここに越してきたばかりだし、きっと友達が出来て嬉しいのだろう。目がキラキラしている。
相手がまるで絵本に出てくるお姫様ような、美しいブロンドの女の子だというのも、手伝ったのかもしれない(まぁ革パンにライダース姿なのだが)
「それにしても、先ほどは如何なさったの?
なにやら大声を挙げていらしたようですが……何かございまして?」
「あーっ! そうだぁ、まっくろくろすけ!!」
「くろすけぇ! いたのぉー!」
マリアンヌの問いかけに、サツキ達がざわめき立つ。
「家の中にね? 沢山まっくろいオバケがいたのよ!
ゴソゴソーって動いてた! あたしビックリしちゃったぁ!」
「なんと、それは面妖な」
「でね! メイ『わ゛ああああ!』って言ったの!
メイこわくないもん! まっくろくろすけに『わ゛ああああ!』って!」
「ぬっ……!?」
元気よく両手を広げて、先ほどあった出来事を説明してくれる。
だがマリアンヌは、それよりもメイが言った「わ゛あああ!」の方に注目。思わず声を出す。
「――――なんと素晴らしいエッジボイス!!
和製ジョプリンではありませんの!」カッ
「えっ」
メイの両肩をガシ! っと掴む。
マリアンヌの突然の行動に、二人はまたポカーン。
「ロックの女王、ジャニス・ジョプリンッ!!!!
それに迫るほどのシャウトを、まさかその若さでお持ちとはっ!
感服いたしましたわ、メイさん! 貴方にはROCKの才能がありますっ!!(迫真)」
ひとり盛り上がるマリアンヌ。もうおめめに星が散っている。
きっとメイの愛らしいガラガラ声が、かの歌姫に通ずる“シャウト”に聞こえたのだろう。とんでもないROCKバカである。
「でもまだ甘い! シャウトはこうやるのですっ!
――――ウ゛ォ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーッッ!!!!(デスボ)」
「っ!?」
「っ!?!?」
真昼間から、人様のお家でシャウト。
マリアンヌ、ただいまノリノリである。
「なに今の?! どーやったの浜ちゃんっ!? どっから声だしてるの!?」
「すごぉい! ばぁーって言ってたぁ! ばぁーーって!」
「おほほほ♪ これが“絶唱”ですわ☆
今わたくしがやったのは、グロウルというもの。
主にデス系のハードロックで使用される、特殊な歌唱法ですわ」
「ちょ……やりたい! あたしもそれやりたいっ!
おしえてよ浜ちゃーん!」キラキラ
「メイも! メイもやるぅー!」キラキラ
「よくってよ♪ お近づきの印に、レクチャーいたしましょうっ。
サツキさんとメイさんならば、すぐにマスター出来ますわ! ふんす!」
そして始まる、マリアンヌ先生の青空お歌教室。
庭からも眺める事が出来る大きなクスノキに見守られながら、塚森の美しい空にデスボを響かせていく。
「こうですわっ! 腹式呼吸を存分に駆使し、声帯のみならず食道全体を震わせるつもりで、おもいっきりブレスを送り込むのです!
“声を出す”ではなく、“喉を震わせる”意識ですわ!」
「うん! わかったよ浜ちゃんっ!」
「わかっぱぁー!」
マリアンヌが見込んだ通り、彼女らの才能は
健康な身体と、活発さ、そして「歌うのが好き」という何より大切な素質を併せ持っている。
たったいま見たばかりのデスボイス……いわば未知の技術にも興味を示し、それを躊躇なくやってみたいと思える好奇心やポジティブさ、そして何事にも物怖じせずドンドン挑戦していくチャレンジ精神も、まごう事なき長所。
自身も卓越した歌い手であるものの、今マリアンヌの脳裏には、二人をボーカルやコーラスに据えたロックバンドの形が、もうアリアリと浮かんでいる。
彼女らの歌を鍛えれば、きっと凄いことになる……。最高のヘヴィメタルが誕生する!
そんな未来を思い描き、楽しさと幸せを存分に噛みしめながら、マリアンヌは大好きな歌を教える。サツキ達との交流を続けていく。
「――――ウ゛ォ゛オ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!!!(デスボ)」
「――――う゛ぉ゛お゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!!(ですぼ)」
サツキとメイの姉妹が、勢いよく家の勝手口の方へ走っていき、中に向かってシャウト。
類まれな才能を以って放たれた凄まじいデスヴォイスにより、家に住み付いていたまっくろくろすけ達が、「わー!」っと逃げ出していく。まるで熊にでも会ったみたいに。
「あはは! やったぁーできたぁー! あはははは!」
「あははは!」
ナイスぅ! ROCKですわお二人ともっ! Hell yeah!*10
そう嬉しそうなマリアンヌと、楽しそうにケラケラ笑うサツキ達。
きっとあの黒い子らはグルーピーです。*11
まっくろくろすけは、サツキさん達のファン。だから出てきたのですわ。
そんな都合のよい独自の解釈を語り、みんなで仲良くお喋り。
彼女は気が付いていなかった。大好きなメタルに夢中になるあまり。
たった今、友達が出来たことに――――
あれだけ苦労し、さっきまで泣いていたのに、もう普通に日本人の子らと、笑顔を交わしていることに。
関係ないけど、うちの子に
なんだよデスヴォイスって……と傍で見ていたお父さんは思ったのだが、でも娘たちが楽しそうだったので、黙っておいてくれた。