その日、カンタ君はちょっとしたお使いを頼まれ、近所にある空き家を訪れた。
まぁ空き家というのは語弊がある。そこには今日、越してきたばかりの人達がいるらしく、今おばあちゃんが掃除の手伝いに行っているそうだから。
手作りの“おはぎ”が中にギッシリと詰まった、大きな平たい桶。
これをおばあちゃん達がいるあの家へ届けるのが、カンタ君の役目であった。
「あら、なあに?」
けれど、家の勝手口を「そぉ~」っと覗いてみてビックリ。
自分とそう年頃の変わらない、ショートカットの可愛らしい女の子が、ニコッと笑って出迎えてくれたではないか。
「あっ……あのっ!」
「ん? どうしたの?」
言葉に詰まる。完全に想定外。
ちょっと頼まれ事をしに来たつもりが、あたかもボーイミーツガール物の本みたいな出会いが、カンタ君を待ち構えていたのだ。
白のはずがもう黄ばんでしまっている、着古したタンクトップのシャツに、明らかにサイズが合っていないのを、無理やりベルトを締めてなんとかしているダボダボの半ズボン。
買うのがもったいないからと、近所のお兄さんから譲り受けた、ボロっちい学生帽。
そんな田舎者丸出しな自分と、いま目の前にいる女の子は、明らかに違った。
品の良さと、明るさを感じさせる、一目で分かるほどに都会的な雰囲気を持つ少女だ。
ぶっちゃけ物凄くカワイイ。思わず彼が「あわわ」と、どもってしまうくらいに。
「やぁーーい! お前ん家ぃ、おーばけ屋敷ぃーーっ!!」
だから……
照れてしまったのが悔しいのか、男としての自尊心を保つためなのか、それともちょっとしたイタズラ心なのか。それは自分でもよく分からない。
だがカンタ君は、「ん!」と持っている桶をサツキに突き出した後、思いっきり大声で悪口を言って走り去るという、なんともヤンチャな事をしてしまった。
背後から「かんたぁぁーー!」という、おばあちゃんの怒鳴り声が聞こえているが、立ち止まるワケはいかない。もう引き返せないのだ。
そんな風に、これはまさに青春の一幕! と言うべき微笑ましいシーンであったのだが……。
「――――ロォォォック!!!!」バゴーン!
「 ふべら゛ッ!?!? 」
とつぜん頭部に受けた衝撃。カンタ君は「ドテェー!」っとひっくり返る。
行く手を塞ぐように待ち構えていた浜田マリアンヌが、おもいっきり
「 Ask him! アスクヒムおらえーッ!!」*1
「いたたた?! 痛ぇ痛ぇ痛ぇっ!?」
即座にマリアンヌは、倒れた彼にSTFを決める。*2
「――――かぁんたぁぁぁあ゛あ゛あ゛ーーッッ!!!!!」ドッシーン!
「 ほんげっ?!?!?! 」
そして! 向こうから鬼気迫る顔で走ってきた
おばあちゃんとってもパワフル。
「万歳、正義は行われた。We did it!*3」
「ほっほっほ♪」
グデェ~っと伸びたカンタ君を見下ろし、マリアンヌ&おばあちゃんがニッコリ。
下手人はひっ捕らえた。星条旗の名のもとに、容赦なく成敗。
あたかも「ラブコメは許さん!」とばかりに。
ヘヴィメタルは硬派な音楽なのだ。ラブソングなんかクソくらえだ。
軟派なのは駄目! ぜったい☆
◆ ◆ ◆
「ハッハー! 小学生をハイエースしてやったぜぇぇーーッ!!
それはともかくとして……ようこそ皆さん♪ わたくしのお部屋へ♪」
気絶したカンタ君を車に乗せた(拉致した)マリアンヌ達ちびっこ勢は、現在彼女のお部屋にお邪魔している。
本当は引っ越しのお手伝いをしなきゃだし、先ほどまではマリアンヌも頑張ってくれていたのだが、「もうほとんど片付いたし、せっかくだから遊んでおいで」というお父さんのご厚意によって、お役目御免。
みんなで遊ぶがてら、こうしてサツキ達を屋敷に招くこととなったのだ。
「よよよ……お友達を招くのは、生まれて初めてですわ。ほろり……。
I never let you out of here while your heart is beating…」*4
「わぁー! 綺麗なお部屋ね! 天蓋の付いたベッドがあるぅー!」
「すごぉい! おひめさまみたぁーい! しんでれらだぁー!」
サツキとメイが、目をキラキラさせて部屋を見渡す。
彼女たちは英語が分からないので、のほほんとしたものである。無邪気だ。
とにかく、サツキ達も言っていた通り、ここは絵に描いたような“お姫様の部屋”。
レースのカーテン、豪華な調度品の数々、立派な暖炉やシャンデリアなどなどが備わっている。まぁ中にはアンプだのエフェクターだのといった、部屋に不釣り合いな物もだいぶ散見されるが。
「あれっ? 窓にガムテープが貼ってある。ダンボールも。
これどーしたの浜ちゃん?」
「あぁ、それは適当に修繕しといたのですわ。
また家の者に直させますけれど、急場しのぎとして」
台風で割れたんだろうか? マリアンヌの部屋の窓はボロボロだ。
いや、良く見れば窓だけではなく、壁なども所々が傷ついており、凹んだり壁紙が破れたりしているのが分かる。
「昨日、テレビを窓から
部屋を破壊するのは、ロッカーの嗜みですわ♪」
自室の窓めがけて、おもむろにTVを投げつける。「ファァァック!」と奇声を挙げながら。
これはロックアーティストであれば、誰もがやるような普通の行為であり、別段気にするような事じゃない。
ツアー中のホテルだろうが、アルバム制作中の会議室だろうが、彼らは頻繁に部屋を破壊し、ホームシックや曲作りのストレスを解消をするのだ。
「サツキさんご存じ? 電源が付いたままのテレビを、プールにブン投げると、ボカーンと綺麗に爆発するんですって♪
かのエアロスミスは、わざわざ延長コードを駆使してまで、滞在中のホテルでやるそうな。
とってもROCKですわね☆」*5
「おぉー。なんかよく分からないけど、すごいね! それ面白そうっ!」
「メイも! メイもやるぅー!」
やめれ――――変なこと教えるな。
彼女らのお父さんが居たならば、きっとそう言うだろうが、でもここは子供だけの楽園。マリアンヌのお部屋である。ツッコミ不在というヤツだ。
まぁなんやかんやあるものの、ちびっ子4人は楽し気に部屋を走り回り、仲良く遊ぶ。
さっきまで「なんで俺こんな所にいるんだ?」とふてくされていたカンタ君も、西洋の部屋の物珍しさも手伝ってか、今ではワクワクとはしゃいでいるようだ。
お茶やお菓子を御馳走になったり、みんなでおしゃべりしたりと、楽しい時間を過ごしていった。
「あ、これ訊きたかったんだけどぉ! 浜ちゃん“ROCK”って何? どんなの?
浜ちゃんいつもロックロック言ってるけど、あたし知らなくて!」
「ふむ、ROCKですか……」ウムム
それが音楽だというのは分かる。今もマリアンヌはエレキを抱えているし、なんか喋る度にベェ~ン♪ とやるから。
けれどまだ子供であり、あまりラジオとかレコードを聴いた事がないサツキは、ROCKをよく知らないのだった。
彼女の無垢な問いかけに、マリアンヌは腕組みをして、眉を歪める。なにやら考え込んでいる様子。
ROCKを志し、ヘヴィメタルを愛する彼女であれば、ここは嬉々として即答しそうな物なのだが……でも難しい顔をして黙り込んでいる。
「楽器構成、成り立ちの歴史、音楽理論……。
そういった物を、お教えすることは出来るのですが、しかしながら“言葉”で説明するのは……」
難しい、とマリアンヌは語る。とてもじゃないけれど無理だ。
「ROCKは音楽の一形態ですが、同時に“思想”や“生き方”でもありますから。
これがROCKだよ! と一言で表現するのは、非常に困難ですわ。
よく言われるのは“反逆の精神”ですが……、やはり人によって解釈は違いますから」
体制や社会に反抗する心だったり、生き様だったり。
あと貧困から抜け出すための手段でもあれば、ただただ純粋に「モテたい!」という想いからギターを握る人もいる。
その解釈や捉え方は、本当に人それぞれ。
アメリカには“FUCK”という言葉があるが、これは『やっちまう』という本来の意味のみならず、多種多様な使い方をされる単語。様々な意味を複合した、とってもスーパーな言葉だったりする。
もうアメリカに住んでいる者であっても、その意味を「ちゃんと説明できない」というから驚きだ。
それと同じように、ROCKにも様々な捉え方があり、その解釈は人それぞれ。
現在において、音楽のジャンルという物は、まるで世界樹の枝のように細分化されており、なんだったら“ロック調”とか“ロック風”とか言われる物もある。
ゆえに「こういうのがそうです」と、傍目からハッキリ区別するのは、とても難しい。
「まぁぶっちゃけますと……。
やっている本人が『俺はロックだ!』と主張してれば、
「!!??」
「!?!?!?」
サツキとカンタ君が「ガーン!」みたいな顔。
メイは我関せずでケーキを頬張っているが。
「世の中にはパンクだの、グランジだの、ガレージだのと、様々な物がございますが……しかしながらジャンル分けというのは、非常に曖昧で主観的なのですわ。
ヘヴィメタルといえども、スローテンポな曲はありますし、時にはバラードもやります。
必ずしも【空から
ピアノやバイオリンを使用するROCKもあるし、テクノやヒップホップと融合したロックもある。なんだったら和太鼓や三味線を使う和ロック、北欧の民族楽器を用いるヴァイキングメタルなども存在している。
逆に言えば、ギターとベースとドラムを使っていれば、ROCKになるというワケでもない。
デリシャスパーティ♡プリキュアで流れる処刑用BGMにだって、これらの楽器は使用されているし、しかもめっちゃカッコイイ曲なのに、ROCKと呼ばれる事は無いのだ。
ようは、演奏者自身が“どう思っているか”で決まる! 主張したもん勝ちだ!
そんなモンなのだ! ジャンル分けなどに、大した意味など無いのだ!(迫真)
まぁちょっと話はそれたけれど……、ゆえにマリアンヌは、こう主張する。
――――自分がロックだと感じるものが、ロックだと。
「極端な話をすれば、別にお茶碗を割り箸で叩いていようが、お菓子の笛ガムをピーピーしていようが、風呂場でぽっこりお腹をポコポコやってようが、ROCKです」
「え、そんなんでいーの?
でもそれじゃあ、誰も聴きたいなんて思わないんじゃ……」
「いえいえ。レコード会社と契約しなければいけないとか、ライブで何人集めないと駄目だとか、そのような定義は御座いませんわ。
世の中にはグラインドゴアという、ゲップの音にしか聴こえないような声を用いるROCKもあるのです。これも通称“下水道ボイス”と呼ばれる、立派な歌唱法なのですよ?
――――渇望に身を焦がし、身体の奥から来る“熱”に突き動かされるままに、音楽に乗せて想いを放つ時……それはロックンロールとなるのですわ」
日本語には「乙」とか「粋」といった言葉が御座いますわよね?
あれも明確な定義というよりは、自分がどう感じるかによって決まるのだと思いますわ。
破天荒だったり、暴力的だったり、イカしてたりする事を「ROCKだぜ!」って言ったりしますけれど、でもそれはあくまで一側面に過ぎません、とマリアンヌは語る。
「間違いなどありません。自分なりの解釈で良いのですわ。
たくさんロックを聴いて、自分にしっくり来るものを選び、そうして自分の“ROCK感”と言うべきものを、大事に育てていくのです。
わたくしにとってのロックはこれだ! といつか胸を張って言えるように♪」
余談にはなるけれど、たった今カンタ君が、人知れず「ぽっ」と顔を赤らめた。
マリアンヌの柔らかな笑み……まるで恋する乙女がするような、キラッキラの優しいスマイルを見た時に、ドクンと胸が高鳴ったのだ。
彼は慌ててプイッ! っと目を逸らし、誤魔化すように紅茶に口を付ける。バリバリとクッキーを頬張る。
というか、サツキもそうだしマリアンヌもそう。今この子の周りには、カワイイ女の子しかいないのだった。少年の純情が大変だ。
◆ ◆ ◆
「それじゃあさぁ、どんなROCKを聴けばいいかなぁ?」
時に相づちを打ちながら、時にアハハと笑いながら、マリアンヌの話を聞く。
その中で、ふとサツキが何気ない声で訊ねる。
「あたし浜ちゃんと、ROCKのお話したい!
浜ちゃんが好きな物のことを、も~っと知りたいの! だからメタル? ってゆーのがいい!
ねぇねぇ、あたしにオススメなのってあるかなぁ?」
「メイも! メイもめたるほしい! ちょーだい!」
先ほどもあったように、ロックのジャンルは多岐にわたり、曲だってそれこそ星の数。
しかもロックという物の説明すらも、マリアンヌの感覚による抽象的な物でしか無かった。
これではロックを聴くにしても、どれを選べばよいのか分からない。
せっかく興味が出てきたというのに、取っ掛かりが掴めないのだ。
「ほほう、オススメのメタルですか。
これは腕が鳴りますわねぇ! メタラー冥利に尽きますわ!」
バッ! とその場から立ち上がり、パタパタとスリッパの音を立てて走っていく。
そしてこの場に戻ってきたマリアンヌの腕には、もうこんもりと盛り上がるくらい沢山のCDが抱えられていた。
関係ないけど、そんな小さな身体で、よくそれだけ持てたもんだと関心する。
「まずはサツキさん、こちらをどうぞ。
ドイツのヘヴィメタルバンド【Helloween】のアルバムですわ」
サツキに手渡されたのは、なんか黒魔術でもやってそうな男の人がジャケットに描かれたCD。ぶっちゃけ絵が怖いし、ぜんぜんカッコよくない。物凄くダサいジャケットだ。
「メタルにも“王道”的な物がございまして、このハロウィンなるバンドさんは、メタルを初めて聴く入門者の方々に、よくオススメされておりますわ。
ケレンミが無くて聴きやすい、スピード感のあるカッコいい演奏。
またボーカルさんのハイトーンシャウトも、『これぞメタル!』と言わんばかりにCOOL! わーおファンタスティック☆
一度これを聴いて頂きまして、メタルとはどういう物かというイメージを掴んで頂けたら、幸いに思いますわ♪」
ニコッとCDを顔の横に持ち、概要を軽く説明。なんか通販番組の人みたいに見える。
「世間一般的な“ヘビメタ”という物は……あ、これ蔑称なのであまり使いたくない言葉ですが……、とにかく『怖くて煩い音楽』というイメージでは御座いませんこと?
きっと聖飢魔Ⅱさんのビジュアルイメージのみが、そのままメタルという物の印象として、定着しているのでしょうね。
しかしながら、先ほどケレンミが無いと申しました通り、こちらは純粋に“カッコいいロック”としてお聴き頂ける事と存じますわ!」*6
そもそも日本人は、元々「メタルを聴く下地がある」
どんなアニメにも、必ずと言ってよいほどハードロック調のBGMが用いられているし、ゲームなんかで使われている戦闘曲などは、もうまんまヘヴィメタルだったりするのだ。そこに音楽性の違いなど、微塵もない。*7
ちなみにマリアンヌいわく、わたくし的にはハロウィンでは“We Burn”、そして彼らの代表曲である“I Want Out”という曲が、特に好きですわ♪ との事。
「同じく正統派のヘヴィメタルとして、【ANGRA】というバンドをオススメしておきますわ。
“メロディックスピードメタル”と呼ばれる、早くてキャッチ―なメロディが特徴ですの。
彼らの看板曲でもある“Carry On”は、メタラーが選ぶ『この世で一番カッコ良いハイトーンシャウトの曲』、堂々の第一位!!(※マリアンヌ調べ)
正にメタルという王国の
「うん、分かったよ浜ちゃん! ありがとーっ♪」
関係ないけど、このアングラのCDもジャケットがダサい。
なにかメタルには、「ダサくなきゃいけない」ってゆー法律でもあるのだろうか? サツキはウンウン悩む。
そしてグルン! と音が聞こえそうな勢いで、マリアンヌが振り向く。カッと目を開きながら。
その真正面にいたカンタ君が、思わず「びくぅ!」と驚いた。
「さてカンタ君……、お次は貴方の番ですわ。
男の子ですし、多少はハードなのをいっても、構いませんわね……?」ゴゴゴ…
先日、そして先ほどサツキの家でヤンチャをしちゃった事もあり、カンタは何も言うことが出来ずに固まるばかり。
マリアンヌの有無を言わせぬ雰囲気というか、その身に纏う得も知れぬオーラのせいでもあるが。
「貴方【Pantera】をお聴きなさいな。
今後、寝ても覚めてもPantera。四六時中Pantera。
他の音楽になど目もくれず、みんなが君が代を歌っている時にもPantera。
いつか死に、墓に入るその時まで、ただひたすらにPanteraし続けるのです。
ファッキンホスタイィィィーール!!!!」
「!?!?」
ちなみにパンテラとは、アメリカのスラッシュメタル、およびオルタナティブメタルなどに分類されるバンドさん。
いわく「メタルを終わらせた」とまで言われるほどの、早くて、力強くて、高度で、暴力的なまでのサウンドが特徴。
ちなみに6thアルバムであるVulgar Display of Powerをリリースした時、日本版で【俗悪】という全然かんけーないタイトルを付けられてしまい、「そりゃねーだろ日本人……」と、密かにパンテラのメンバーは怒っていたらしい。そんな意味とちゃうがなと。
マリアンヌが言った“Fucking Hostile”は、彼らの代名詞的な名曲。
他の一般的なメタルとは、一線を画すほどに激しく、早く、超COOL。
「せっかくメタルを学ぼうと言うのですっ!
聴きやすいヤツもいいけど……やっぱり“凄い物”に触れたい☆ 圧倒されたい♪
そんなカンタ君にはPanteraですわ! ファッキンホスタイィィーール!!!!(迫真)」
「 いや言ってねぇし!? 俺言ってねぇよ! いっかいも!! 」
「――――Shut the fuck up asshole!!*8
いいからパンテラ聴きやがれ! ですわっ!!」
お前アメリカ人女性の腕力、知ってんのか! 捻り潰すぞジャパニーズ!!!!
そう怖い目で凄まれ、カンタ君たじたじ。ぐうの音も出なくなる。
「さーてメイさんには、かのゆるキャラ“ふなっしー”がリーダーを務めるヘヴィメタルバンド、その名も【CHARAMEL】のCDをプレゼントいたしますわ♪」
「わぁぁ! ふなっしーだぁぁーー☆ かーいいーーっ☆」
「しかし! ゆるキャラと侮るなかれぃ!
その音楽性は、強くジューダスプリーストの影響を受け、もうゴリッゴリにハードなヘヴィメタルとなっておりますのよぉ~!
これ聴いた幼稚園児、ひっくり返るんじゃないの? とか思ったりするのですが……まぁメイさんならばきっと問題ありませんわ♪ お納めくださいまし♪」
なんか自分の時と対応が違うじゃないか。そうカンタ君は「じとぉ~!」っと睨むのだが、今ほっこりした顔をしてるマリアンヌには通じない。
メイもふなっしーのジャケットが描かれたCDを貰い、とってもご満悦だ。
「せっかく日本という国にお生まれになったのですし、通称“ジャパメタ”なるバンドも、ご紹介しておきましょう。
慣れ親しんだ言語の音楽というのは、やはり大切だと思いますし。メタルに入るための取っ掛かりとして、非常に良いと思うんですの♪
まれに『日本の音楽ってだっせぇよなぁー! やっぱ洋楽だろー!』という、中二病全開のMother fuckerがいらっしゃいますけれど……。
音楽は音楽! 国や言葉で区別するなんて、とってもナンセンスですわ!
どんどん和製メタルを聴いていこうではありませんか☆」
みんな大好き! 【Sex Machineguns】
ジブリの名曲たちを、デスメタルにアレンジ!? 【Imaginary Flying Machines】
ちっちゃい幼女たちが、メタルで暴れ狂う! 【BABY METAL】
そうマリアンヌが、矢次に紹介していく。
「先のふなっしーを始めとして、これらの和製メタルでは特に“面白み”があるものを、チョイスいたしました。
とってもユニークで、聴いていて楽しい気持ちになれる、最高にカッコいいヘヴィメタル。
入門のキッカケとしても、これ以上ないくらい良いバンドさんですわ♪」
ちなみに上に挙げた【BABY METAL】は、リアルに少女と幼女によって構成されているメタルバンドなのだが……元メガデスのギタリストであるマーティ・フリードマンの本気プロデュースによって、もう
サポートメンバーを務める大人達の演奏技術も半端じゃなくて、現在の日本ヘヴィメタル界において、最上級クラスといえる演奏を披露してくれる。(というか普通に
そして、BABY METALは日本においての知名度よりも、むしろ“世界”の方で非常に有名なバンドであり、もう世界中のロリコン共ヘヴィメタルファン達を熱狂させている、とてつもないモンスターグループでもある。
メタル界は、幼女への愛で動いていると言っても、過言ではないのかもしれない。
「ねぇ浜ちゃん! ロックっぽい言葉とかなーい?
これを言ったら『おっ!』って思われるような、カッコいい言葉を教えて!」
「よくってよサツキさん♪ 超イケてるヤツを伝授いたしましょう!
おまかせあれですわーっ☆」
たくさんのCDをもらい、ホクホク顔のサツキから、可愛らしいお願い。
たとえばロックの玄人さん会った時に、「こいつ出来る!?」って思われるような、通っぽい言葉をプリーズ。とのご要望だ。
「――――もしニセROCK野郎がいたら、こう言っておやりなさい!
Rice which your family own has gone bad!!」*9
「「「らいす、ふぃっち、ゆあはみりー! おうんはず、ごんばーっ!」」」
「――――まだまだいきますわ! カマーン、マザファカッ!!
A ninja is dead in the attic of your house!!」*10
「「「あ、にんじゃー! いずでどいん、ざあってく、おぶゆわはうすっ!」」」
どこで覚えたんだそれ。なにを教えとんねん――――
突貫工事めいた勉強で、日本文化を変な風に学習した弊害であった。
「あとですねぇ! わたくし“コール&レスポンス”を考えたんですのよサツキさん!
これ実は、わたくしが“一番最初に覚えた日本語”なのですけど……。
聞いて貰ってよろしゅう御座いますかしらぁーん?」
「もち! いいよ浜ちゃん! ばっちこいだよっ♪」
「こぉーい!」
「もうこうなったら、何でもやってやるよ! 来いよマリアンヌ!」
サツキは満面の笑み、メイはキラキラしたおめめ、カンタはヤケクソになって言う。
「
わたくしがコールしたら、みなさん叫んで下さいまし!!」
「了解だよっ! いつでも来ぉい浜ちゃーん!」
マリアンヌが腰にギターを抱え、マイクスタンドを引っ掴む!!
「
「「「――――ごえんだーま! ごえんだーま!」」」
「TUKAMORI!
「「「――――ごえんだーま! ごえんだーま!」」」
声に合わせ、みんなで元気よくレスポンス。意味も分からずに。
友達がおらず、これまでずっと孤独に生きてきたマリアンヌが、いま最高に輝いている。
「
「「「――――ごえんだーま! ごえんだーま!!」」」
世界がひとつになる。みんなとの一体感――――
今この瞬間、浜田マリアンヌがいるこの部屋を中心にして、世界は周っているのだ。
「よろしーっ! 言質は取りましたわ♪
ではこれより、わたくしたち4人で、
バンド名はもちろん【GO・EN・DAMA!】
「えっ」
「えっ」
「えっ」
……。
…………。
……………………。
★ヘヴィメタルバンド【GO・EN・DAMA!】メンバー★
マリアンヌ「イカれたメンバーを紹介するぜ! ですわっ!」
・メイ (ヴォーカル担当)
・サツキ (リズムギター&コーラス担当)
・浜田マリアンヌ(リードギター、バンドリーダー担当)
・カンタ君 (ベース担当)
とりあえず、あと“ドラム”がいりますわね……。
まぁしばらくは、カルロス(執事)にやらせておきましょうか。
マリアンヌは思った。