フランスの草原で戦いが起きていた。
マリー・アントワネット、シュヴァリエ・デオン、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの三人に対するは、清姫とカーミラであった。
いくら一人多いとは言え、フランス組はあまり戦闘向きではない。少し押され気味であった。
清姫が炎を吐き、カーミラがアイアンメイデンと呼ばれる拷問器具を浮かべ、マリーを執拗に狙う。
デオンが綺麗に舞い、二人の邪魔をする。
「邪魔な虫けらね。最初にこの女から痛めつけようかしら?」
「私が周囲一帯を焼き尽くしましょう」
二人がデオンに標的を変えようとした瞬間に、とある曲が流れてきた。
「死神への葬送曲。レクイエム・フォーデス!」アマデウスが叫ぶ。この曲は彼の宝具である。直接攻撃をする訳では無いが、敵の油断を誘い、呪い効果を付与する事ができる。
「ちっ!」カーミラがデオンから距離を取り、耳を塞ぐ。清姫は耳を塞ぐタイミングが遅れ、アマデウスの宝具の呪い効果受け、しゃがみこむ。
「デオン!今のうちに行くわよ!」マリーが叫ぶ。
「はい!」二人が一瞬で清姫とカーミラとの距離を詰める。
「マリア!後ろ!」その時、後方で宝具を演奏してたはずのアマデウスの叫びが聞こえた。
振り返ったマリーの目には巨大な黒い手が迫っていた。
あと少しでマリーの頭部に触れそうだった瞬間、デオンがそれを切り裂いた。
「マリー。大丈夫かい?」アマデウスは思わず宝具の演奏を辞め、マリーの元に駆け寄る。
「うん、私は大丈夫よ。デオンもありがとう。それよりさっきのは…」
「あいつはマリー様の…」デオンの口調が思わず荒くなる。
「シャルル=アンリ・サンソン、ね…」
マリーがそう言いながら俯く。その表情はとても複雑そうだ、
「来るのが遅いですわ」清姫がサンソンに向かって言うが、彼は何も答えない。
「探していたよ。マリー」そう言う彼の目にはどうやら、デオンとアマデウスはもちろん、仲間であるはずのに清姫とカーミラの顔も映ってないようだった。
後方からはサンソン、すぐ目の前にはカーミラと清姫がいる。どう考えてもこちらの分が悪い。
「ここは二人に任せて逃げていいかな?」アマデウスが空気を読めない発言をする。
「冗談を言ってる場合じゃないわ。アマデウス、三人で逃げましょう」マリーがそう言いながら、一頭のガラスの白馬を召喚した。
三人が急いで、白馬に乗り込む。
「ギロチン・ブレイカー!」マリーがそう叫ぶと同時にガラスの白馬が動き出した。
この速さなら三人からどうにか逃げる事なら可能なはずだ。
「やったわ!ヴィヴ・ラ・フランス!」マリーがそう叫びながら万歳をする。
「マリー様、危険ですよ」マリーの前にまたがっているデオンがそう言いながら、微笑む
「わ!」彼女が少しバランスを崩す。
「もうまったく…そんなわんぱくなところもとても可愛いよ。マリア」そう言いながらアマデウスがマリーを抱きしめ支えた。
「マリー様に気軽くスキンシップをするな。この変態仮面。まあマリー様が馬から落ちなくて良かったが」
「もう喧嘩しないでよ。二人とも」
三人はサンソンたちから逃れられたと安堵していたが、再び黒い手がマリーに近づいていた。
三人がそれに気付いたのは頭上に巨大な手の影が落ちた時だった。
「きゃあ!声と同時にマリーがガラスの白馬から落ちる。
マリーの集中が途切れると同時にガラスの白馬が消滅する。
空中に放り出されたデオンはうまく受け身を取れたが、運動神経の悪いアマデウスは地面をごろごろと転がる。
二人がマリーに目をやると彼女はサンソンに抱かれていた。黒い馬車に乗っている。
デオンが急いで追いかけるが、さすがに馬車の速度には追い付かない
「ここは一旦引くべきだ。デオン。いま深追いした所で、戦力が足りない。一回休もう。僕は体力が残り少ない。アマデウスが冷静に言う。悔しいが今はアマデウスの意見を聞くべきだ。
「クソ!」デオンが珍しく取り乱している。
アマデウスが近くに洞窟を見つける。そこなら安全そうだ。
二人が洞窟に入り座り込む。
「で、どうやってマリーを救出する?」アマデウスがデオンに聞く。
何でこの変態仮面と二人で行動しなければいけないんだ…
「マリー様…マリー様…」デオンがそう言いながら、溜息をついた。