Re.Dive タイムコール   作:ぺけすけ

22 / 84
第17話 光の中で / Over Drive System

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ってきます」

 

 

「おう、いってらっしゃい」

 

 

 

 

なのはを学校に送り出し俺は家に戻る。

あの旅行の後からなのはが何か思い詰めているのは知っていたが今日は一段と何かを考えていた。

 

いや……何かじゃなくてフェイトの事とジュエルシードの事なんだろうけど。

さて、どうしたものかな?

あれだけ何も身に入ってないって事は学校でも四六時中あんな感じなら少し心配だ。

 

うーんと腕を組み歩いているとポケットの携帯がなる。

今の電子音的にメールだが誰だろう?

携帯を開くとはやてからメールが来ていた。

 

 

"今日は確かバイト休みやったよね?暇ならウチにこうへんか?"

 

"あいよー何時くらいに行けばいい?"

 

"今からでも歓迎するで?"

 

 

……ふむ、と時間を確認してみればまだ8時。

軽くコンビニでお菓子とか買ってはやての家に転がり込むというのも悪くないな……

よし、行くか。

 

 

"今から行くよ、15分くらいで着くと思う"

 

"あーい、早よ来てねー"

 

 

ついでになのはの事相談してみるのもありかな?

さてとっとと買い物を終わらして行くかな。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンビニでお菓子と飲み物などを買いもはや週2回で通っている見慣れた家の前に着く。

ここに来るのも最初の方はまだ抵抗があったが今では全くなくなってる辺り俺も居心地良く感じてるという事なんだろう。

 

チャイムを鳴らすとすぐに鍵が開く音が中から見慣れた茶髪の女の子が笑顔で迎えてくれる。

 

 

「やほーユウさん」

 

「おう、おじゃまするぞ」

 

 

どうぞーと許可が貰えたので中に入り靴を脱ぎそのままリビングへ。

そして買ってしたものを冷蔵庫にしまって置く。

多分だが今日は一日中ここにいるだろうし後で買い物も行かなきゃな。

と考えつつはやてのいるリビングに戻ると何かそわそわしている子が1人。

 

 

「どうしたそんなそわそわして」

 

「ふっふっふ………私が今日ユウさんを呼んだのはコレをやろうと思ったんや!」

 

 

と可愛らしいドヤ顔で何かを取り出すはやて。

ナニコレ?黒くて少し大きい長方形型の箱を抱えているが……見た事ないものだな。

 

 

「なんやコレ?」

 

「エセ関西弁やめーや!じゃなくてコレは今話題のゲーム機や。テレビのCMとかで見たことあらへん?」

 

 

む、たしかにそう言われて見れば見た事あるような……無いような……

はやての持つゲーム機をまじまじと見ているとそんな気にもなってくる。

 

 

「とりあえずせっかくやから遊んでみぃひんか?」

 

「2人でも出来るのか、これ」

 

「うん、ちょいと待っててな?」

 

 

テレビの方に行きかちゃかちゃと準備をしている。

俺はとりあえず準備をしているはやての手伝いをする。

 

 

「よっしゃ出来たで」

 

「なら座るか」

 

 

はやてを車椅子から抱き、ソファーに異動される。

俺はとなりに座ればいいか。

 

 

「ユウさん膝乗せてー」

 

「え、やりにくいだろ?ゲーム」

 

 

ええやんーと言いながら乗っかってくるはやて。

俺の膝ってもしかして座り心地良いのか?はやて然りなのはやフェイトもよく座ってくるし。

自分の膝だから自分では座れないからわかんないけど……まぁいいか。

 

はやてに渡させたコントローラーをのボタンを押すと画面が変わりゲームのタイトルが表示される。

 

おお……始まった。

画面にはゲームのオープニングのようなものが流れている。

 

 

「これ、どういうゲームなんだ?」

 

「私もよくわからへんけど"しゅみれーしょんゲーム"だって書いてあったな?」

 

 

えーとと言いながらゲームの説明書を読んでいるはやて。

とういかこれ1人用じゃないか?

 

 

「これ1人用みたいや。なんか選択肢が出たらそれを選んで進めてストーリーを進行しましょう、やって」

 

「へー……自分で読んで進めて行くのか」

 

 

何となく本を読んでいるのに近い感じだな。

でも自分で主人公の選択肢を選べる辺りまた別の魅力を感じるな。

 

 

「私もこうやって読み進めて行くみたいなゲームは初めてやから楽しみやわ」

 

「俺はゲームをやるの自体初めてだよ、少し緊張してる。というか俺がコントローラー握ってていいのか?これはやてがやりたくて買ったんだろ?」

 

「別に大丈夫やで?私はここで見てるのが楽しいんや。……というか少し怖い系みたいやし自分で進められる自信ないわ」

 

 

あははと笑いながら俺のシャツを掴むあたりホントに怖がってるのか。

というか何故そんなゲームをチョイスしたし。

俺もゲームカセットの箱を見て見る。

ナニコレ、CERO.C?伝奇アドベンチャー?

 

よくわからんし取り敢えずはプレイして見るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてプレイし始め2時間くらい。

はやては少し涙目、俺は顔が少し青い。

そしてゲームの画面ではまた主人公が死ぬシーンに。

 

協会から出たら少女にエンカウントし巨大な人のような敵からの攻撃を主人公が庇い真っ二つ………うわ、赤いのが…エグいな……

 

 

「……なぁ、一旦休憩しないか?」

 

 

コクコクとすごい勢いで頷くはやて。

うん、怖かったよな?よしよし。

このゲームホラーでは無いはずだが"そういう"描写もあり俺も怖いのだが、かなり奇妙というか不思議な魅力がありついつい進めてしまうのだがはやてにはまだ早いかもな……

と言うか主人公が死にすぎな気もする。

 

 

「ほれコレでも飲んで落ち着け」

 

「ありがと……」

 

 

ふぅ……と取り敢えず落ち着いたはやてを横目にゲームを一旦セーブし止める。

 

 

「いやー自分で買っといてなんやけどこんなモノだとは思わへんかった」

 

「序盤はそこまでだったけど学校で襲われた辺りから急に来たな」

 

 

あの槍に心臓を突かれるシーンとか迫真過ぎてちょっとビックリした。

声を当ててる人凄いな。

 

 

「取り敢えずこのゲームは一旦やめとこか」

 

「そうだな、続きが気になるけどそんなにぶっ通しでやるとこっちがもたない」

 

 

 

しかしこのゲームのモチーフが魔法だった時は少しビックリだった。

俺の知ってる魔法と随分違ったしこんな世界もあるのだろうか?

……とう言うかタイトルが知ってる子と同じ名前のあたり少し因縁を感じる。

この言葉って"悲劇的な運命"だっけか?

 

まぁそれは置いといて次は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ってな訳でな?ずっと上の空な奴を助けたいんだけどどうしたらいいんだろうな」

 

 

今ははやてと2人でお菓子を摘みお茶をしながら最近の事について話している。

今はなのはの事で相談中。

 

 

「うーん……難しい話やね、解決するなら根本のところをどうにかしないとアカンし…」

 

「だよな…」

 

 

つってもフェイトと次いつ会えるかもわからんしジュエルシードに関しても反応がキャッチできないとこちらからも動けない。

結論はどうしようもない、かな。

 

 

「まぁ次の機会を待つしかないかな」

 

「うん、私もそれしか思いつかへんな」

 

「ありがとな相談乗ってくれて」

 

「全然かまへんよ、ユウさんの力になれたなら私も嬉しいしな」

 

 

時間はもう13時。

そろそろお昼どきか。

 

 

「たまには俺が昼飯作るよ、何かリクエストは?」

 

「ホンマ?ならユウさんのオススメで!」

 

「あいよー」

 

 

はやてにはホントに助けてもらってばっかりだよな。

何かお礼とかしてあげたいが何がいいんだろう?

と考えつつ冷蔵庫にあるもので適当に献立を立てていく。

さて、気合い入れて作りますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから昼食を済ませて、あのゲームをもう少し遊びそれからあれやこれやとしてるうちに16時過ぎ。

そろそろ帰るかな?なのはとユーノは今日もジュエルシードを探すと言ってたし俺も手伝わなきゃな。

 

 

「それじゃ俺はそろそろ帰るよ、今日はありがとうな」

 

「そっか、またいつでも来てな?」

 

 

ばいばいと手を振ってくれるはやて。

……ちょっと寂しそうにしてるのが隠しきれてない辺りやっぱり可愛い奴と思ってしまう。

 

 

「また来るよ、今度はどっか遊びに行こうな?」

 

「……うん、ほんとはユウさんがウチに住んでくれたら嬉しいんやけどな……」

 

「そうだな……もし事情が出来て今いる場所に居れなくなったらここに来させてもらうよ。そん時はよろしくな?」

 

 

まぁ余程の事を俺がするか常にはやての側にいなきゃいけないなんて状況にならならない限りはそういう未来は来そうにないけど。

 

はやてと別れつつ家に帰る。

もうなのはは帰って来てるのだろうか?

 

そう考えながら歩いていると携帯から着信音が。

携帯を見て見ると珍しくすずかからの電話だった。

 

 

「もしもし?珍しいな俺に電話なんて」

 

「あ、こんにちわユウさん。ちょっと聞きたいことがあって……」

 

 

聞かれた内容は最近のなのはについて。

 

やはりというか予想通り学校でもあんな感じらしく今日アリサと喧嘩してしまったらしい。

 

 

アリサはなのはの力になりたいという気持ちとなのはの危ない事には巻き込めないし話さないという気持ち。

 

どちらも正しくどちらもすれ違ってしまっている。

 

その事ですすがが俺に相談して来たという訳だった。

 

 

「ユウさんはなのはちゃんが隠してる事知ってるんですよね?」

 

「……どうしてそう思うんだ?」

 

「だってなのはちゃんユウさんにだけは素直ですから」

 

 

そう言って電話の向こうでクスクスと笑ってる声が聞こえる。

全部お見通しってことかな。

 

 

「まぁ知ってるよ。でも……」

 

「話せないんですよね?」

 

「ああ、ごめんな?」

 

「いえ、わかってましたから。もしかしたら……くらいで聞いたので」

 

「あー、まぁ事情を知っている俺がいうのはアレかもしれないけど、仲のいい友だちでも隠し事はあるものなんだ」

 

「……はい」

 

「けど、それは悪意のあるものばかりじゃなくてさ。うん、仲がいいからこそ、何も言わずに信じて待ってみるのも良いと思う」

 

「信じて待つのも大事……」

 

 

そんな俺の言葉になにかを考えているのか黙ってしまうすずか。

 

本当なら俺も話してあげたいがなのはがこの2人に話してないのは意味があると思うから。

 

だから俺が勝手な事は出来ない。

 

 

「その……ひとつだけお願いなんですけど、もしもなのはちゃんが困ってたら」

 

「ああ、俺が助けるよ。約束だ」

 

「……はい、よろしくお願いします」

 

「それと俺からもひとつだけお願いだ」

 

「何ですか?」

 

「これからもなのはの事を頼むよ。何だかんだ言ってさみしがり屋だからアリサと喧嘩して絶対落ち込んでる」

 

 

そう言うとまた何処か嬉しそうに笑い、

 

 

「はい、任されました」

 

 

そう言ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高町家に着きなのはの部屋に行くと誰も居なかった。

レイジングハートもユーノも居ないしやっぱりジュエルシードを探しに行ったのかな。

 

 

 

ーーーなんだこの感じ?

今一瞬だけど魔力を感じたような?

 

 

少し嫌な予感がして家を飛び出し感じた方に走って行く。

 

 

「ツァイト、サーチ!」

 

 

最近一番と言っていいほど使ってる探索魔法を自分を中心に半径20kmにかけてみると。

 

 

「これはなのはとユーノにフェイトとあとは知らない魔力が1つ……?」

 

 

ヤバイな出遅れた。

この状況的にもうジュエルシードは封印してあって奪い合ってる最中ってとこか?

 

 

走る、とにかく走る。

ここでは人目が多すぎて魔法は使えない。

とにかく今は貼られた結界内に入りなのはの助けにはいらなければーー!!

 

っ?何だ今の……今までは戦ってたであろう魔力を探知していたが急に大きくそれでいて嫌な魔力を感じる。

例えるなら封じられて居たモノを無理やり破り何かが出て来る感じ。

 

急がなければと結界内に俺が入った瞬間、眩い光が溢れる。

 

一瞬目に入ったのはなのはとフェイトのそれぞれの杖の間に挟まれたジュエルシード。

 

そして衝撃が襲って来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気づけば俺は走っていた。

 

落ちてくるなのはとフェイト。

2人とも満身創痍、このままではーー

 

 

ジュエルシードは怪しく鼓動している。

 

 

 

「セットアップ!!」

 

 

走る、走る、走る。

コレはいつかの夢で見た光景に似ている。

飛ばされて来たなのはを受け止める。

 

 

「大丈夫か?」

 

「ユウさん……?」

 

 

少し放心しているようで目の焦点が合っていない。

しかし今は先にフェイトを!

 

 

勢いを殺さずさらに魔力ブースターで加速する。

そのままフェイトを受け止める。

 

 

「おい!大丈夫か?」

 

「う、あ……ユウ?」

 

 

こちらもなにが起こったのかわからず混乱している。

一旦このままジュエルシードから離れ2人を下ろす。

2人はボロボロだが傷は擦り傷程度。

しかし2人の杖は……

 

 

「フェイト!!」

 

 

後ろから誰かの声が聞こえ振り向くと。

 

 

「っ!?アンタ……」

 

「アルフ……?」

 

 

あの旅館で出会った女性アルフがいた。

何故……?しかも今アルフが叫んだ名前はフェイト。つまり…….

 

 

「嫌な縁が結ばれちまったようだな……」

 

「……そっか、アンタは……」

 

 

だが今はそれどころではない。

このままジュエルシードを放置しておけばマズイということはわかっている。

 

 

「すまん、話したいのは山々だが先にアレをどうにかしたい。今だけは協力してくれないか?」

 

「はぁ……まぁいいよ、ユウが悪いやつじゃないってのは知ってるしあの時の借りもある」

 

「すまない」

 

 

 

とりあえずはアルフと協力する事になるが次になのは達に事情を聞いていく。

時間が無いため軽くになったが原因は2人の魔力のぶつかりで封印が外れ暴走してしまっているとのこと。

 

 

「つまり再封印すればいいって事だよな?」

 

 

「うん……でも凄い魔力が必要になると思う」

 

「多分だけど私とユウ、それとその子を合わせても……」

 

 

 

足りるか分からない……か。

でも、手はある。

 

 

「2人の杖は今は使えないんだよな?」

 

 

コクっと2人とも頷く。

 

 

「なら俺がなんとかするから2人は休んでろ。そんなボロボロになって……全く心配しただろ?」

 

 

「え、でも」

 

「いいから任せろ。……アルフ、協力してくれるんだよな?」

 

 

おう、という返事が聞こえ少し安心する。

さて後は。

 

 

「コレをどうにかして帰りますか……」

 

 

目の前でゆっくりと鼓動するジュエルシードに目を向ける。

俺も正直今から自分がしようとしてる事が上手くいくかわからないし自分の身がどうなるか分からないけど。

 

 

ーーこの子たちを守る為ならこの身体は安い。そう思えてしまう。

 

 

 

ツァイトの画面を操作しついこの間解放されたモードを選択する。

黒と赤のアイコンをタップすれば【warning】の文字が現れる。

 

 

 

 

 

「ツァイト、オーバードライブ使うぞ?」

 

 

《……yes.master》

 

 

 

オーバードライブシステム。

簡単に言えば名の通り限界を超えて魔力を運用するものだがハイリスクハイリターンなモノだ。

………正直、使いたくないんだけどな。

 

 

 

 

「オーバードライブ始動、タイムスタート」

 

 

《Over Drive 》

 

 

 

オーバードライブが発動した瞬間、今まで装着していたセイバーノヴァの装甲がそれぞれ横や縦、斜めにスライドし桜色の線が赤く怪しく光りだす。

 

先ほどより1.2倍ほど大きくなったバリアジャケット。

そして青と白だった場所に少しの黒色が混ざる。

 

 

 

 

 

「ユウ……さん?」

 

「ユウ……?」

 

 

 

少し怯えた顔をでこちらを見てくる2人。

やっぱり怖いよな、コレ。

 

初めてこのシステムが解放されたのに気づいたのはあの温泉旅行から帰って来た時。

物は試しと誰もいないところで使用したのが不味かった。

最初試しで発動した時は5秒持たず意識がなくなった。

 

あの時はフェイトとの戦闘があったのもあり身体が全くいうことを聞いてくれなく使えなかったが万全の状態なら3分は持つという事が分かっている。

 

 

そしてオーバードライブシステムを説明すると簡単に言えば無理やり融合させているのだ。

 

普段の俺は誰かの魔力を登録したメモリを使い自身のリンカーコアに半分だけ他人の魔力質を入れてあのバリアジャケットを生成している。

 

ユーノが言うに普通は出来ないしなんなら他人の魔力をリンカーコアに入れた時点で崩壊してしまう可能性すらある危険な事らしいが俺が出来るのは何らかの"レアスキル"なるものが関係してるとか。

 

つまり俺のリンカーコア内にある魔力の色を他人と自分で一対一にしてるのが通常状態。

 

そしてオーバードライブ状態はこの一対一の状態を擬似的に崩壊させて融合させている。

例えば俺の魔力を10、そして今対となっているなのはの魔力を20とすると普段は俺15、なのは15にして調整し仕切りをリンカーコア内に作り崩壊せず平均を保っているのだが、今はその仕切りがなく俺の魔力10×なのはの魔力20という形になっている。

 

普段ならメモリを使っても15と15の魔力で30だが、オーバードライブを使えば10×20になり………一時的に200の力を得る事が出来る。

 

だが最初に言った通りこれは危険すぎるという事。

もしも時間一杯もしくはオーバーしてしまえば最悪俺のリンカーコアは砕け、死ぬ可能性もある。

 

だが超えなければ少し倒れるくらいで済む。

それでこの状況がどうにか出来るならーー

 

 

 

「安いよな」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怖かった。

ユウさんが何かを決意した瞬間の顔。

あれはまるで、自分のことを考えていないそんな感じだ。

 

初めてだった。

ユウさんを怖いと思ったのは。

 

 

そして端末を操作するとユウさんのバリアジャケットが変化していく。

先ほどより一回りほど大きくなり全身に赤い光った線が走り、何よりも黒く濁っていく。

 

アレはなんだ?

私が今まで感じていた魔力のどれとも違う。

凄いと思う反面怖い。

でも何かおかしいとも思う。

 

私の"怖い"って感情が無理やり引き出されてるような……そんな感覚。

 

怖いと凄い。そしてユウさんといる安心感。

絶対に共存しないはずの感情が私の中で共存する。

 

となりのフェイトちゃんも同じなのか強張った表情でユウさんを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分からない。

目の前のモノがわからない。

だけどそれは使っちゃいけないってことだけは私の直感が叫んでいた。

 

それはユウの命を縮めるモノだって、それはユウの心を砕くものだって。

それはーーユウがユウじゃなくなるものだって。

 

 

それなのにユウは笑って"行ってくる!"と言って暴走したジュエルシードに向かっていく。

 

ダメだよ……それは使っちゃダメ!そう言いたかったけど。

 

だけどきっと止めてもユウはやめてくれない。

 

だから、

 

 

「行かなくちゃ……」

 

 

1秒でも早くその姿をやめさせるために私も行かなくちゃ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《start.2:59》

 

 

タイマーがスタートする。

それと同時に身体の中に巨大な魔力が流れ込んでくる。

 

ーー痛い、痛い、痛い!!

 

身体中から悲鳴が聞こえるが無視する。

兎に角自分の体より今は目の前のモノを封印し、どうにかしなければ。

ジュエルシードの魔力が変化するのが見える。

どうやら向こうもタダでは封印されてくれないみたいだ。

 

 

「アルフ!俺は今小回りの効いた攻撃ができない!出来る限りでいいからジュエルシードから放たれる射撃を相殺してくれ!」

 

 

「わかった!ユウも気をつけなよ!」

 

「ああ、行ってくる」

 

 

身体の中に蔓延る魔力を後ろに回し一気に放つ。

身体が千切れそうと錯覚するほどのスピードとGが身体にかかるがそれも無視する。

 

ジュエルシードから伸びてくるいつかの触手を切り裂きどんどんと近づいていく。

 

分かる、次の攻撃が何処からきてどう処理すればいいのか頭でも理解でき、理解した瞬間に身体が実行している。

 

 

「ユウ!あのシールドを壊さないとジュエルシードは封印出来ないけどなんとかなるかい?」

 

「ああ、今ならなんとか出来る気がするーー!!」

 

 

ブラスターノヴァの武器、エクセリオンを生成する。

普段のモードなら使えないが今ならーー!!

 

 

 

《Overd.Ekuserion Bastard》

 

 

残りの魔力を全て砲身に集中させ放つ。

赤色と白の魔力の巨大な光はジュエルシードのシールドを壊しジュエルシードも飲み込んでいく。

身体から殆どの魔力が溶け無くなっていくのが分かる。

 

ーーヤバイ、意識が……

 

 

指にすら力が入らなくなってきている。

マズイ……このままだと中途半端になる……!

残りの時間は……

 

《00:15》

 

 

15秒もあれば十分……!

 

残りカスとなった魔力も込めていく。

 

 

 

 

「全部……持ってけぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

 

光と衝撃で目の前が真っ白になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に見えたのは光が消え静かなジュエルシードが落ちてくるのと。

 

 

 

 

落ちた俺を受け止めてくれるフェイトの泣きそうな顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまでお疲れ様です。
今回でストックが切れたので次回は少しだけ遅くなるかもです。


評価&感想お待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。