Re.Dive タイムコール   作:ぺけすけ

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第6話 平和な日常

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走る、走る、走る。

 

 

ビルが立ち並び、所々で爆発音や風を切る音、何かがぶつかる音、様々な音が聞こえる。

 

 

ーー目の前に誰かが突然現れる。

"俺"は勢いを殺さずそのままの勢いで右手に持つ魔力で出来た剣をその相手に振るう。

 

瞬間、自分の手元にあった筈の剣が弾かれ相手の剣がこちらに迫る。

直ぐに立て直す為に距離を図らなければ。

ーーしかし

 

後ろから砲撃。

敢え無く俺はその砲撃に飲まれる。

桜色の大きい魔力の残留。

 

また、負けてしまった。

訓練とは言え悔しさが残る。

 

 

ーー惜しかったな、私1人ではそろそろ厳しいやもしれんな。

 

そう言って、目の前の女性が此方にやって来る。

 

ーー■■■■副隊長にはまだまだ敵いませんよ……

 

ーーしかし、■■■の砲撃が無ければまだ立て直せていただろう?

 

 

今の訓練を思い返し、反省をする。

そこへ

 

ーーお疲れ様、■■くん。惜しかったね?

 

ーーさっきの砲撃はムリですよ……

 

もう1人の女性が此方にくる。

先ほどの砲撃を放った人物だ。

 

ーーでも■■くん、なんでデバイスを使わないの?もってるでしょ?

 

ーー使わないんじゃなくて、使えないんですよ。エラーって表示しか出なくて……

 

ーーだからそのアームドデバイスを使っているのか。

 

納得した様に頷く■■■■さん。

 

ーー大丈夫だよ、そのデバイスはきっと使えるようになるよ。

 

そう言って、何処か懐かしそうに俺のデバイスを見つめる■■■さん。

 

 

………さん!……さん!!

 

 

ーーどうして■■■さんは俺のデバイスを知ってるんですか?

 

ーーん?それはね

 

 

ニコニコと何が嬉しいのか微笑む。

でも何処か悲しそうな……そんな表情

 

 

ーー秘密だよ、ユウくん

………起きて!ユウさん!

 

 

 

声が重なる。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「………んぁ?」

 

 

ここは……

 

 

「あ、目さめた? そろそろ起きないと時間なくなっちゃうよ?」

 

 

目の前の少女は……

 

……そういえば俺は昨日からなのはの家にお世話になってるんだっけ?

寝る前に"明日の朝、もう一回魔法のお話しよう?"と言われた事を思い出す。

 

 

「ん、ごめん。今起きるよ」

 

 

「うん、おはようユウさん」

 

「おう、おはようなのは」

 

 

そう言ってニコニコとしているなのは。

 

ーー何処かで

 

やっぱり何処かでこの子を見た事がある気がする。

 

 

「それじゃ、何から話そうかな?」

 

「うーん、そう言えばなのはとユーノ」

 

「ん、何?」

 

「今、ジュエルシードって何個集めてるんだ?」

 

そう言えば何個あるかは聞いたが、今現状何個集まってるかまでは聞いてなかった。

 

えっとね、なんて言いながらなのはが数えだす。

 

「ボクが最初の一個を封印して、それで力尽きた話はしたよね?」

 

「ああ、聞いてるよ」

 

「その後、病院で一個。これが初めてなのはが封印したジュエルシードで、その後に神社でもう一個、それで昨日の朝に3つ目のジュエルシードを封印したんだけど……」

 

ああ、そういうことか。

その封印した筈のジュエルシードが無くなって俺がその場所にいたって事ね。

 

「それで昨日の夜にユウが封印したので4つ目だよ」

 

「じゃあ、あと17個か。以外と道のりは長いな」

 

「そうだね……でも、頑張らなくちゃ!」

 

朝から気合満点のなのは。

元気だな。

 

 

「それで何だけど、ユウ」

 

「ん?」

 

「ツァイトあの後からどう?

何か変化とかあった?」

 

「いや、特にはないな」

 

 

あの戦いの後、ツァイトはスタンバイモードに戻り特に変化なし。

強いて言うなら魔力メモリが強制パージされたくらいだ。

 

 

「ねえ、ユウさん。そのはめる容器みたいなのって結局なんなんだろうね?」

 

あ、そう言えば説明してなかったな。

 

「ああ、コレは魔力メモリって言うみたいだ。簡単に説明すると俺以外の誰かの魔力質をコピー、登録するものなんだ」

 

「え?ユウさん、記憶……」

 

「ユウもしかして……」

 

「いや、セットアップした時にメモリの事だけなんか思い出せたと言うか……約束したなぁ…って」

 

「約束?」

 

「ん、いや気にしないでくれ」

 

 

あの時、思い出した事は大切な事のように思えるけど、それ以上に約束ではなくて誓いに近かったような……

 

「そっか……」

 

「まぁ、もう少し世話になると思う。これからよろしくな?なのは、ユーノ」

 

うん!なんて言いながら笑顔のなのは。

よろしくね、とユーノ。

さてさて、今日からバイトだよな。

頑張らなくては。

 

 

 

 

 

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バイト1日目。

 

 

「まず、接客の練習かな?次にレジ打ち、最後に皿洗いまで覚えてみようか」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

そんなこんなで1日目。

昨日なのはに選んでもらった服とエプロンを装着していざバイト。

 

シフトは9時から12時が午前で1時間休みを取って13時から17時までとなっている。

計7時間か、よしやるぞ。

 

 

カランカラン

 

扉の鈴の音、早速お客さんのようだ。

 

 

 

「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ユウくん、そろそろ休憩に入っていいよ」

 

「え?もうですか?」

 

 

ツァイトの画面を見る。

時間は12時ぴったり、気づけばもう休憩の時間のようだ。

 

「ああ、随分と熱心に働いてくれていたみたいだね。お昼ご飯は用意してあるからなのはと一緒に食べておいで」

 

休憩終了の5分前くらいに戻ってきてくれればいいから、と言われエプロンを解く。

 

「わかりました、それでは休憩行ってきます」

 

「うん、お疲れ様。ん?あぁユウくん」

 

「はい?」

 

 

ほら、と指を刺された方を見る。

店の外でこちらに手を振りながら待っている少女と小動物がいた。

と言うか、なのはとユーノである。

 

「お迎えみたいだよ?」

 

「すいません…行ってきます」

 

 

そう言いながら翠屋から出る。

 

「ユウさん、お疲れ様」

 

(お疲れ様、ユウ)

 

「ん、待っててくれたのか?」

 

「うん、一緒にお昼ご飯食べたかったから」

 

「おう、ありがとうな」

 

何というか、もし妹がいたらこんな感じ何だろうか?

くすぐったいが暖かな気持ちになるなぁ……

 

少しだけなのはと肩にいるユーノをなでる。

 

「どうしたの?」

 

「キュ?」

 

「あ、いや何でもない。行くか」

 

「うん!」

 

 

えへへ、何て言いながら隣を歩くなのは。

少し距離感が近すぎたかな?

小さいとは言え女の子だし、もう少し気を使うか。

 

 

 

高町家に帰ってくると、美由希がいた。

 

「あ、おかえり。お昼出来てるよ」

 

「ありがとう、美由希。恭也は?」

 

「あー、忍さんの所じゃないかな?」

 

「忍さん?」

 

誰だろう、初めて聞く名前だ。

 

「お兄ちゃんの彼女さんだよ。あとすずかちゃんのお姉さんなんだ」

 

「へー……そうなのか」

 

「うん、2人とも仲良しなんだよ?」

 

なんともそれは……

 

「それより早く食べちゃいなよ、2人とも。

時間なくなっちゃうよ?」

 

「ん、そうだな」

 

「それじゃ、食べよっか」

 

 

さて、午後からも気合入れて頑張らなきゃな。

 

 

 

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「ありがとうごさいました。またのご来店、お待ちしております」

 

 

レジを打ち、お釣りを返す。

そして最後のお客さんがちょうど帰ったところだ。

 

「お疲れ様、ユウくん」

 

「あ、お疲れ様です。士郎さん、桃子さん」

 

キッチンから出てきた士郎さんと桃子さん。

 

「教えた事もすぐに出来るし、接客も出来る。ユウくん、以前こういう仕事していたんじゃないかい?」

 

「うんうん、全然緊張とかもしてなかったし、びっくりしたわよ?」

 

「そ、そうですか?」

 

おお、褒めてもらえた。

なんというか嬉しいな。

 

「とりあえずこんな感じで最初は週4でやってみようか?」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

うんうん、と頷く士郎さん。

まずは慣れるまで頑張らなくては。

 

 

 

そして夜になれば夕食の後、魔法の練習タイム。

 

 

なのはと俺はそれぞれの魔法を練習して行く。

 

 

そして練習して行くうちに気づいた事がある。

 

 

 

「ユウさん、この魔法なんだけど……」

 

「ああ、これはなーー」

 

そう言って実践しつつなのはに教える。

 

「あ、そうやってやるんだね」

 

「おう、出来そうか?」

 

「やってみる、とりゃ!」

 

おお、出来てる出来てる。

 

「あ、できた!」

 

「うん、今のであってるね」

 

「ユウさん、ありがとう!」

 

「ん、どういたしまして」

 

何というか、言葉ではなくて感覚で。

この身体が魔法を覚えていた。

 

「ユウ、なのはに魔法を教えるの上手いよね」

 

「そうなのか?」

 

「うん、さっきの魔法もなのはが苦手だったと言うか使い方がわからない物だったんだけど、ユウが教えたらすんなり使えるようになったよ」

 

「うん、何というかユウさんの教え方が凄くしっくりくるんだ。……あ、別にユーノくんの教え方が分かりづらいとかじゃないよ!?」

 

「はは、大丈夫。勘違いしてないから」

 

慌てて訂正するなのはと大丈夫と繰り返すユーノ。

 

「うーん、なんというか俺も前に"誰か"にこんな感じで魔法を教えてもらった気がするんだよなぁ…」

 

「へぇ、じゃあその人はユウさんにとっての魔法の先生なんだね」

 

「まぁ名前どころか顔をすらわからないけどな」

 

思わず苦笑い。

なんというか恩知らずもいいところだ。

 

「なのはも将来、魔法を教える相手が出来たら少しずつ丁寧に教えてやってあげてくれ」

 

「うん、わかった。約束!」

 

「ん、まぁそこまでは言わないけど、それなら約束だ」

 

 

 

 

 

とこんな感じで1日目は終了。

俺の1日のサイクルはこんな感じ。

 

あとは平日はなのはを起こす事が追加されるくらいだ。

意外と寝起きがわるいらしい。

 

 

そんなこんなで1週間。

バイトの方は慣れつつ(すずかやアリサが来店して少し交流を深めたり)、高町家での生活もかなり安定してきた。

 

魔法の関係、つまりジュエルシードはここの所、特に異変もなく特訓は毎日なのは、ユーノとこなしている。

 

 

 

 

そしてバイトを終え、部屋でゆっくりしていると……

 

《master》

 

「うぉ!?」

 

急にツァイトに話しかけられ変な声が出てしまう。

 

「どうした?」

 

《Jewel Seed reaction》

 

ジュエルシードの反応!

 

「ユウさん!」

 

(ユウ!)

 

それと同時になのはとユーノが部屋にやって来る。

 

「ああ、行くか」

 

さて、今回はどんなのが出て来るのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「ここか?」

 

「うん、反応はここから出てるよ」

 

目の前には学校。

名前は私立聖祥大学付属小学校?

はて、何処かで聞いたことのあるような。

 

「ここ、私が通ってる小学校……」

 

「あ、そうか。なのはから聞いてる場所か」

 

そう言えば時々学校の話をしてくれる時に聞いた名前だったな。

 

「何というか、不気味だな」

 

夜という事も相まって凄く雰囲気がある。

 

「とりあえず結界は貼ったよ」

 

「ああ、それじゃ行くか」

 

「……うん」

 

若干声が震えているなのは。

 

まぁ怖いよな。

さてさて、どうしたものか。

 

「なのは、怖いなら俺1人で行ってこようか?」

 

「え、ダメだよ!私も行く!」

 

「うーん、でも結構震えてるし怖いなら無理しない方がいいぞ?」

 

ぶんぶんと頭を振るなのは。

人それぞれ苦手なものはあるし、というかこの雰囲気の場所に小学生が入るのは少し勇気がいるよなぁ……

 

「……ユウさん、行こう」

 

「え、あ、うん」

 

スッと俺の手を掴んでそのまま中に入っていく。

まぁ、何とかフォローするか。

 

 

 

 




今回はここまで。
次回はアニメ本編の3話冒頭辺りです。

またよろしくお願いします!
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