「おまえ須藤だろ」
駅前からほど近く大通りから外れた裏路地で座り込んでいた俺に上から声がかかる
億劫に顔をあげるが声をかけられた人物は自分の知り合いだっただろうか記憶にない
「あーうん久しぶり?」
敵意は無いよと声をかけてきた人物へ、へらりと笑う
若者は乱暴にスドーの襟元を掴み立ち上がらせる。
青年とも成人ともいえない年齢の若者たちが5人ほど集まって取り囲まれた。
見るからに素行の悪そうな集団だった
「なんだよ、学校急にやめたと思ったらこんなとこで何やってんだ」
言葉だけ聞くと須藤を心配しているようにも取れるが行動が伴っていない。
「俺達のこと忘れちゃった?」
意地悪い笑みを口に貼り付け眼は笑っていない。周りの若者もニヤニヤしているだけで止めようとはしない。
「俺達さぁちょっと遊びたいんだけど、なぁ金貸してくんねぇ?」
おいおい返す気ないだろーわははと周りが嗤う
その言葉があまりにも直球ですこしわらえた
「あー俺も金ないんだ。ごめん?」
あ、そう。じゃあ憂さでも晴らさせてくんね?
男は襟をつかんでいる手とは反対の腕で殴りかかってきた
須藤は頭を引いて相手へ頭突き、男が怯んだところで眼球に指を突き立てた
指の先がぬるりとした角膜を破り水晶体を押しのけ硬いゼラチン質を貫いて中身の液体まで道を通す
指を引き打抜けば眼球から粘度のない液体が流れ落ちる
獣のような悲鳴を男は発して崩れ落ちた
しかたないっていうならしかたない。こっちも仕方なかった。
身の内から溢れる憎悪に似たドロドロとした何か
ひとつが殺せと叫ぶ
ひとつが復讐しろと嘆く
ひとつが血を流せと笑う
ひとつは聞くなといった
地面に手をつけ近くにあったガラス片を拾い握る
シュトヘルはよく鉤を使ったが基本的には武器を選ばず、その場にあるものは何でも利用した。
時には矢じりを髪に括り付け武器とし、ときには敵将の首に食らいつき喉笛を噛み千切った。
敵はあと5人。すぐに終わる...
見える。見える。見える。
敵の動き。自身がどう動けば効率よく的を殺せるか
未来予知にも似た何か。視覚にアニメのコマ送りような残像がゆらぐ。
勝手に体が動く。殺し方が解る。
1人目はガラス片で首を掻き切り
2人目は顎を蹴り上げて砕き
3人目は首を両腕で回し捩じり首を折る
4人目は...
理想の動きから自身の軌道がズレてブレた
からん。
綺麗な音がした。
振り向けば殺し方が
三人は動きを止めて音がした方を向く。
そこには着物にジャケットを羽織った女がいた。
「ひ、ひい助けてくれ!」
殺し損ねた一人が女に向かう。女は腕を取り、男はくるりと回って顔から地面に倒れこんだ。
男達のうちもう一人は集団から離れていたので路地の奥へと走って逃げた。
一人気絶させて
一人にげられた
もうここには倒れた男以外に俺と目の前の女しかいなかった...
戦う。笑い、嗤い、哂いながら戦う。
「おねーさんめっちゃ強いね。」
見える未来と動けるコマが違う。
単純に相手の力量がこちらより上であることと体が戦闘に慣れていないため思うように動かないことが理由だろう。
戦闘に入る前女は懐から小刀を出して空を一閃。
その後も空間を切る、切る、確実に何かを切っている。
「見えてないのかおまえ」
ナイフで腕を振るう所作をする。
そのたび自身の動きが鈍くなり思考が晴れていく。
見えてるのにその通り動かない。
目の前の殺し方が解らない。
終わり方が解らない。
スキル 悪霊の眼
相手を殺すのに最適な自身の動きが見える。
一種の未来視に近い何か
格下殺しに最適