ユウキの勇者   作:にゃはっふー

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リーファと共に世界樹へ目指す中、サラマンダーの一団に襲われたが撃墜する一行。

その後、キリトと交渉にて、彼から情報を受け取るのだった。


第18章・ALO最強プレイヤー

 色々話を聞くと、ようは火妖精族(サラマンダー)は何か大きな作戦をするから、その邪魔になるかららしい。

 

 その作戦の邪魔になる。この前にシルフ狩りで有名なプレイヤーを撃退したプレイヤー。

 

 だからと火妖精族(サラマンダー)彼は納得したとのこと。

 

 別れた彼から他に聞いたのは、作戦に関わるかもしれない話。

 

 まさか《グランドクエスト》に挑戦? とも思ったがそれもあり得ないとのこと。

 

 しかしその《グランドクエスト》。

 

 いまから行く《世界樹》に住む妖精王に、最初に出会った種族が、制限なしで飛行できる種族になるというもの。

 

 だが、

 

「全員が古代武具(エンシェントウェポン)級の武器で、大量の資金が無きゃ受けられない。どんなクエストだ」

 

 クリアさせる気が全く感じられない。

 

 やはり種族協力が無いと不可能ではないか? それにはリーファも、

 

「確かに……、最近ホント、音楽妖精族(プーカ)のアイドルが言うように、全プレイヤーが協力しようって話が出てます。さすがに彼女を筆頭にと考えるプレイヤーはいませんが、その作戦じゃなきゃ無理かって」

 

 そんな話になる中で、先ほどのメッセはどうしたという話になる。

 

「あっ、忘れてた」

 

 レコンと言うプレイヤーからの謎のメッセ。それに妙な胸騒ぎがある。

 

「それじゃ、ユイちゃんみんな、パパがあたしに変な事しないか見張っててね」

 

「俺だけかよ」

 

「あはは、それじゃ」

 

 いま連絡できないため、リアルで連絡しにログアウトするリーファ。

 

 その間、

 

「リンクって、どうやって周りのことを把握してるんだ?」

 

「影と刀身に映る景色、後はにおいと音。か」

 

「におい?」

 

「さすがにプレイヤーからはしないけど、草木からとか、向かってくる刀身とか。火で焦げたら、この世界じゃ魔法食らった仲間のにおいは分かりそう」

 

「なるほど」

 

「女の人なら香水のにおいとかで分かりそうだよ」

 

「風が斬れる音もするから、それからも」

 

「どうしよう、ユウキたちの会話が分からない」

 

「安心してください、パパたちの会話は常人の域ではありません」

 

 そんなことをしていると、リーファが慌てて戻ってきた。

 

「キリト君みんなごめんなさいっ、あたしはここで」

 

「!? なにかあったか」

 

「それなら走りながら聞くぜ、どっちにしろここから足を使って出なきゃいけないんだろ?」

 

「ツッ、ごめんなさい」

 

 そうしてリーファから聞かされた話は、火妖精族(サラマンダー)風妖精族(シルフ)猫妖精族(ケットシー)の会談を襲うとのこと。

 

 リーファたちの元仲間である男は、前々から火妖精族(サラマンダー)と密会していた。

 

 最初のピンチ、俺たちと知り合った時の戦闘も、それはパーティーメンバーであるはずのリーファとレコンのリソースを奪う為の一芝居。

 

 キリトがメリットについて訪ねると、会談が襲われればシルフとケットシー仲が割れて、最悪の場合戦争。

 

 そして領主を倒すとその種族にボーナスが入って、10日間、町を占領して税金は自由にできるらしい。

 

「これはあたしたち、シルフの問題だから………。キリト君たち《世界樹》に向かいたい君たちと関係ない」

 

「だけどリーファには関係あるんだから見逃せないよ」

 

 ユウキがそういう中、リーファはえっと驚く。

 

「ゲームだから何でもあり、殺すなら殺すし、奪うなら奪う………。そんな風に言う奴は嫌ってほど出くわしたよ。でも、そうじゃないんだ」

 

「仮想世界だからって、欲望に身を任せれば、現実の人格も破綻します」

 

 キリト、ミファーがそう言い、俺が最後に話しかける。

 

「悪いがリーファの問題を無視することはできない、急いでいるから」

 

「ああッ、速攻で片付けて《世界樹》に急ぐぞッ」

 

 キリトの言葉を聞き、リーファは嬉しそうに微笑む。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「あーーーーーーー」

 

 今度は悲鳴となり、エンカウントしても無視して、先を急ぐ。

 

 リーファはキリトに手を引かれ、どうにか外に出て追い払い、世界の樹らしいものを見ながら、ケットシー領の道へ急いだ。

 

「けどどうする、フィールドにモンスターが出ないなら、さっきみたいにモンスターを集めて、大軍をサラマンダーにけしかけることはできないぞ」

 

「ああ………」

 

「キリトたち凄い、思考が」

 

「ともかく、このままじゃ、ケットシー領に逃げ込むか、討ち死にするかのどっちかだよ」

 

「ティア、とりあえずプレイヤー反応に気を付けて、私たちは先行しましょう」

 

「分かった」

 

 そして急いでいたが、どうやら間に合いそうにない。

 

 すでに軍隊が会談近くに迫る。

 

「ありがとうキリト君、みんな。ここまででいいよ……。キミたちは世界樹に行って、短い間だけど楽しかったよ」

 

「リーファ……」

 

 そんな中、キリトは、

 

「いや、ここで逃げ出すのは性分で無いんでね」

 

 そう言って彼は大舞台と会談場所に向かっていく。

 

 これに呆れながらすぐにリンク、次に嬉しそうなユウキも後を追う。

 

「こういう人たちなんです」

 

 そう言ってミファーも急ぐ中、リーファも呆れながら、後を追う。

 

 そして、

 

「双方剣を引けっ!」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 俺たちはキリトに言われたのは、俺に任せろと、リーファは領主の下に出向き、俺とユウキ、ミファーはキリトの後ろに。

 

「指揮官に話がある」

 

 その様子に少し間があるが、一人の大男が前に出る。

 

 赤銅色の鎧を身に纏う、両手剣使いの男。

 

「………スプリガン、インプにウンディーネが、何の用だ。どちらにしても殺すが、その度胸に免じて話だけは聞いてやる」

 

「俺の名はキリト!! スプリガン、ウンディーネ、インプ同盟の大使の一人だっ。この場を襲うからには、我々五種族との全面戦争を望むと言う事でいいんだな」

 

 えっ、俺たちでこの大軍と戦うんじゃないの。ともかく嘘が下手そうなユウキの前に、すっと現れ、ミファーは毅然と立ち尽くす。

 

 火妖精族(サラマンダー)の指揮官が驚くが、すぐに表情を戻す。

 

「………護衛の一人もいない貴様らがその大使だと言うのか」

 

「ああそうだ。この場にはシルフ、ケットシーとの貿易交渉に来ただけだ。だが会談が襲われたとなれば、それだけじゃすまないぞ」

 

 よくもまあぽんぽんはったりが言える。ともかく前に出ながら、全員相手にすることをシュミレーションしておこう。

 

「たった一人、たいした装備も持たない貴様の言葉を、にわかに信じるわけにはいかないな」

 

 それに仕方ないかと、

 

「彼らは大使ですよ、わざわざ武器一式のランクを下げて、シルフ領へと来たプレイヤーです」

 

「………お前は」

 

「シルフ領で彼らの言葉を信じ、この会談の場所を教えた者です」

 

「見ない顔、だが………面白い」

 

 火妖精族(サラマンダー)の指揮官は背に背負う両手剣を抜き、静かに構える。

 

「オレの攻撃を一分耐え切ったら、お前を大使、そしてシルフの護衛と信じてやろう」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 一分、あたしは息をのみ、その様子を見た。

 

「まずいな………」

 

 わたしは『サクヤ』さん、シルフ領、領主とケットシー領の領主『アリシャ・ルー』さん。

 

 サクヤさんの顔色が悪いのを見て、その言葉の続きを待つ。

 

「あのサラマンダーの両手剣、レジェンダリーウェポンの紹介サイト見たことがある。あれは《魔剣グラム》。ということはあの男が『ユージーン将軍』だろう」

 

「それって」

 

 確かあたしでも知っている、サラマンダーの凄腕プレイヤー。

 

「サラマンダー領の領主『モーティマー』の弟、リアルでも兄弟らしくてな。知の兄に対して武の弟、純粋な戦闘能力ではユージーンのほうが上だと言われている」

 

「それじゃ、勢力が他よりも高いサラマンダーの、全プレイヤー中最強………」

 

「ってことになるのかな………、とんでもないのが出てきたもんだ」

 

 空中で待機する三人、キリト君を後ろにリンク君が前に、ユージーン将軍は静かに構えている。

 

 雲が流れ、いくつもの光の柱が生まれたとき、将軍の刀身に当たり、まばゆい光が反射した瞬間、斬りかかる。

 

 動作なんて無い攻撃に、目つぶしがリンク君で遮られ、キリト君だけが反応できたけど、リンク君は目を瞑った。

 

「まだだよ」

 

 ユウキちゃんがそう言うと、瞬時に彼は剣に反応している。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 だがその瞬間、リンクは全身に斬られるビジョンが浮かび、全力回避行動に移った。

 

 刀身がすり抜け、それにキリトも驚きながら、それに初手で反応したリンクにも驚く。

 

 後ろに大きく下がったため、キリトに激突したものの、初撃の最大の一撃は回避した。

 

「ほう、俺の《魔剣グラム》を躱したか。その顔はこの剣の能力を知らなかったみたいだが」

 

 下で絶句するリーファたち。アリシャ・ルーが静かに語る。

 

「あの《魔剣グラム》には《エセリアルシフト》っていう、剣や盾で受けようとしても非実体化してすり抜けてくるエクストラ効果があるんだヨ!」

 

 僅かに斬られた一撃に、警戒しつつキリトと共に剣を防ぐ。

 

 二人で攻めても光明が見えず、斬り合いの中で刀身がすり抜けた瞬間、キリトたちが避ける。

 

 その攻撃の中、舌打ちするキリト。だがリンクは、

 

「もう一分は経ったんじゃないのか」

 

「気が変わった、斬りたくなった。首を取ったらに変更だ」

 

 それにリンクは静かに、

 

「キリト、しばらく俺に任せて、お前はスイッチの瞬間に、フィニッシュを決めてくれ。隙は俺が作る」

 

「ほう………」

 

「………分かった」

 

 その会話を聞き、静かに距離を取るキリト。

 

 ユージーン将軍は両手で構えたまま、リンクは少し構えを解き、そして剣を見る。

 

「よし、賭けるか」

 

「行くぞッ」

 

 斬り込みの中、一閃が放たれる。

 

「避けるのっ!?」

 

 だが剣を構え、静かに受け止めようとする姿勢に、全員がすり抜けるビジョンが見えた。

 

 

 

 だが、

 

 

 

 キンッと言う金属音が響き、剣がぶつかり合う。

 

 それにユージーン将軍が驚愕する。

 

「バカなっ、なぜ《エセリアルシフト》が発動しないっ!?」

 

「別にそれはいつも作動しているわけでも、発動条件も『刃で振れるもの』限定じゃないのか?」

 

「っ!?」

 

 それにリンクは剣の刃では無く、刀身同士がぶつかるように、つまるところ当たり判定を見抜いたのだ。

 

 手首を操作して、透過条件を突破し激突させた。

 

「斬ることについてはすり抜けられるが、叩き付けることにたいしてはすり抜けられない。イチかバチかだったが、これなら」

 

「防げるとでも、思ったかッ!!」

 

 激突し合う剣撃に、その瞬間、彼が刹那の動きをする。

 

 剣が激突し、相手の力が消えた瞬間、次の動作に移り斬る。そのような芸当をし続けた。

 

「マジかよ……、システムアシスト受けてるみたいだ」

 

 金属音が響き渡る中、すり抜けが起きてもギリギリで避け、小技が続く。

 

 何度も空中戦で、幾度も無く上下が動く中、

 

「リンクっ」

 

 ユウキの叫びを聞き、瞬間的に爆発するリンク。

 

 一気に距離を取られた瞬間、空高く飛び、それを追う。

 

「こざかしいはアァァァァァァァァァァァァ」

 

 下に向いたユージーン将軍がそう言い強力な一撃を放つ。

 

 瞬時その突きを躱し、一撃を食らわすが、それでは届かず、斬り込みが放たれる。

 

「スイッチ!」

 

 瞬間斬られ、剣が火花を散らし斬り弾かれた。

 

 だが弾かれた剣は、

 

「タイミングは」

 

「ばっちりだッ」

 

 瞬間、リンクの剣を受け取り、落下するように斬りかかるキリト。

 

「なにッ」

 

「でえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォッ!?」

 

 流星の如く落ちる二人の剣撃は、まさに流星が飛び交うようであり、それでも斬り放たれた一撃は通過した。

 

 だが首筋に当たる瞬間、もう片腕の剣がそれを受け止める。

 

「くっ」

 

 攻撃を当たる為に非実体化を解いたグラムを受け止め、顔を歪めるユージーン将軍。

 

 落下しながらの攻撃の中で………

 

 キリトは怪しい笑みを浮かべた。

 

「セイッ」

 

 その瞬間、リンクがキリトの剣を持って、斬り込みかかる。

 

「いまの一瞬でえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 咆哮を上げるユージーン将軍。いまの一瞬で剣の投げ渡しを行った二人の行動に吠えながら振り下ろされる剣を睨む。

 

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ」

 

 雄たけびのように叫び、魔剣を振るう。それでも、それよりも速く切り込む。

 

 相手に大きな隙が生まれた、それに二人は、

 

「「ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァ―――」」

 

 その隙間を斬り込むように、連続攻撃を放つ。

 

 最後の一撃、リンクごとキリトを斬り伏せる剛の攻撃が放つユージーン将軍。

 

 無論盾や剣で防ごうとすれば非実体化で通過するが、

 

「なめるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 リンクは空いている片腕を突き上げ、刀身を手でアッパーカットし、叩き弾く。

 

 その間にも剣を持つ腕は、キリトと共に。ユージーン将軍へと斬りかかる。

 

 全く違う動作を同時使用した彼の動きに、雄たけびのような咆哮が響き渡った。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 このALOでは、近接なら不格好に武器を振り回して、遠距離なら魔法をぶつけ合うのがスタンダード。

 

 だがいまの連携や技の押収はそれとは違う。

 

 それによる静寂の中、サクヤが最初に破る。

 

「見事、見事!」

 

 こうしては火妖精族(サラマンダー)たちは、キリトの話を信じることにした。

 

 ともかくそう言うことにして、キリト、リンクには覚悟しろと伝え、その場を後にする。

 

 残った領主二人にブラフのことを伝えつつ、今回の件の原因は今度のアップデートで実装化される、転生システムを使い裏切ろうとしたプレイヤーがいることで幕を閉じた。

 

「全く、このゲームはプレイヤーの欲を試す陰湿なゲームだぜ」

 

 ともかく裏切ったプレイヤーは領地追放にし、こうして会談は守られ………

 

「しかし、君ほどの風妖精族(シルフ)がいるとはな。リンク」

 

 そう言いリンクの腕を、その胸が当たるほど抱きしめるサクヤ。

 

「ちょっ」

 

「今後君のようなプレイヤーが守ってくれると、シルフ領も安定なのだが」

 

「なら、キミはどう? ケットシー領はかわいい子いっぱいだヨ」

 

 そう言いアリシャ・ルーに抱き着かれるキリト。二人の剣士は困った顔をしたが、

 

「リンク」

 

 物凄く冷たい声でユウキが、ミファーと共にリンクを、リーファはキリトの服を引っ張り、引き離した。

 

「ゆ、ユウキ?」

 

「………」

 

 ともかく意味も分からず土下座するリンク、無表情なユウキは彼を見下ろす。ちなみに左右上に三人のピクシーがいる。

 

 傭兵などのお誘いを断りながら、彼らは本来の目的へ戻るのだった。




まさかの剣の投げ渡しをここで使う二人。

本当にねえ、キリト君、彼が死ぬほど覚えた小技をこうもあっさり習得するなんて。

それでは、お読みいただきありがとうございます。
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