ユウキの勇者   作:にゃはっふー

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第20章・偽物の勇者と黒の剣士

 向こうも全ての話を終えて、レコンと言う仲間を連れて来た。確かリーファの現実の友達か。

 

 全ての話が終わり、後は進むだけか。

 

「キリト、とりあえず防具はこれでいいだろう」

 

「ああ、アクセか」

 

「いまさら変に固めても勝手が違うだろ」

 

 そうしてミファーたちも頷き、たった6人の《グランドクエスト》トライに、無謀過ぎるが、やるしかない。

 

「あのガーディアンはステータスにさほど強くありません、ですが湧出パターンが異常です。ゲートへの距離に比例してポップ量が増え、最接近時は」

 

「リンクが少しだけキリトより近づいたときは、もう無理だよ。秒数15体、あり得ない」

 

「戦いの中、何体か絶対に倒せない設定のエネミーもいた。そいつはガーディアンぶつけて防いだが限度がある」

 

「むしろよくできたよね………」

 

 ユウキが呆れる中、こんなのソロではよくしてた。

 

 キリトも本来なら別ルートか増援を待つ方がいいが、早くしたいとキリトが言う。

 

 その顔は焦っている顔では無い。俺もそれには同意だ。

 

(カードキーを落とした辺り、急いだ方がいい。そうなると)

 

「行こう、今度こそ、頂上へ」

 

「ああ」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 戦いは先の戦闘に、ユウキがミファーたちを守り、ミファーたちはキリトにヒール。

 

 そして俺はキリトのおぜん立てし、キリトは中央突破。

 

 だがやはり比例して敵出現率が早い。

 

 それでも………

 

 あの笑顔をもう一度見たい。

 

 今度はリアル、次にまた仮想。

 

 俺の中に欲望が芽生えた。

 

 それは前世の時、こうであってほしいと言う、考え無しの願望だ。

 

 だがいまは違う。

 

「斬りッ刻むッ!! 道を開けろォォォォォォォォォォォォォォォォォ」

 

 いつの間にかレコンが自爆魔法を使い、ガーディアンを消し飛ばす。

 

 いつの間にか、ケットシーとシルフ領から援軍が駆けつけた。

 

 ここが勝機だ。

 

「キリトリーファッ、道を開けるッ。そこに突っ込めエェェェェェェェェェェェ」

 

 大軍へガーディアンの残骸を踏み台に、キリトより先へ行き、壁のような敵の数へ、睨み、斬撃を放つ。

 

 回転を加えた軌跡は、全てを巻き込み薙ぎ払う。

 

 そして躊躇いも無くキリトは俺を踏み台に、新たな斬撃として、道を切り開いた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 キリトを送り出し、それが何を意味するか。

 

「《グランドクエスト》が完遂したぞッ」

 

「やった、やったぞーーー」

 

 そう下から喝さいが聞こえる。

 

 俺も飛行をやめ、下に落ち、

 

 

 

『まだだ』

 

 

 

 全身が悲鳴を上げるように叫び、ガーディアンの残骸を串刺しにして、メイジ型へ投げ込む。

 

 爆発するそれらを見て、ハッとなる。

 

「クエストが終わっていない。キリトが頂上に行ったのにッ!!?」

 

 これではっきりと分かった。

 

 このクエストはクリアされない使用にされていて、頂上に誰が行きついてもクリアされない。

 

 それを知った瞬間、キリトがいる空を見た。

 

 思考が加速する。

 

 下は無視、いまはどうすれば先に進める?

 

 その時カードキーが引き出され、もしかすればそれで行けるはず。

 

 キリトは本体、こちらはコピーがある。

 

 瞬間、全てが加速した。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 その時、閃光を見た。

 

「ェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ―――」

 

 その時、無双の剣舞を見た。

 

「ェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ―――」

 

 その時、魔を滅ぼす剣士を見た。

 

「ェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェイィィィィィィッ」

 

 ガーディアンの残骸を階段にし、二人目の頂上クリア者を見た。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「ははははははっ」

 

 それは《世界樹》のある場所、そこでは悪趣味な高笑いをする男が、アスナらしきアバターの服を引き破り、その肌に触れようとした。

 

 キリトが殺すと叫ぶ中、俺は、

 

「その手を離せクソがッ!!」

 

 空間を壊して、現れた。全員が驚く瞬間、それを蹴り飛ばした。

 

 いつの間にかついてきていたプレミアたちにゼルダたちを任せる。どうもたくさんのプレイヤーとゼルダ、アスナは別々にされていたらしい。

 

 そして俺はストレアの案内でアスナの下に急いだ。理由はキリトや黒幕がいそうだからだ。

 

 キリトがハッとなり、それを理解するのに時間がかかる。

 

「リンクっ」

 

「リンク君っ」

 

「リンク急いでそこから脱出してっ、この空間にアクセ」

 

 瞬間、肩に乗るストレアがこの空間からはじき出され、すぐにリンクは思考は、

 

(斬る)

 

 だが瞬間、肉体を無数の刀剣が刺さる。

 

「がっ」

 

 一手遅かった。男はシステムメニューを開いていて、操作していた。

 

「シ、システムコマンド!ペイン・アブソーバレベル0ッ」

 

 その瞬間、腕を、脚を、腹を、頭部を貫く刀剣か痛みが発生する。

 

 刺さる刀剣は計15本もあり、その場に倒れかけた。

 

「リンクッ」

 

 だが、

 

「この程度がどうしたァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 

 瞬間、目の前の男へ剣を投げつけ腕に刺さるが、向こうは痛覚が無い状態。それに笑いを浮かべ、手を動かすとリンクの身体が燃えた。

 

「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「リンク君っ!!」

 

「須郷ッ、オマエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ」

 

 地面に張り付けにされ、彼のように痛みを再現されて刃を突き立てられているキリトは殺意を向けた。

 

 アスナは目の前の光景がリアルに再現された痛みと知り、悲鳴を上げる。

 

「ヒャッハハハハハ、ねえ痛い?痛いよねぇぇぇぇぇ。僕もびっくりしたよっ。邪魔しやがっ、て………」

 

 男、須郷は笑うのを止めた。

 

 人型に燃える炎。赤く揺らめくそれは、一歩、また一歩歩く。

 

「な、なん、なんでっ!? 痛みはしっかりと、痛覚は生きてるッ。延々と痛みは続いているのにッ」

 

「なめるな、なめるんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 業火も串刺しも体験した彼は、すでに限界は超えていた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 やっぱり俺は君の強さが欲しい。

 

「クッソガキがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 また武器が彼に刺さる中、それでも須郷に近づくのをやめない。

 

 レベルは0と言っていた。この痛みの比じゃないはずなのに。

 

『君は本当にそれでいいのかい』

 

 言い訳あるか………彼女は、俺が、俺が、

 

『彼が守りたいものがなんなのか分かるはずだ』

 

 ああ、彼奴は、いつだって誰かを守りたいと、

 

『君はそこで這いつくばっているのか?』

 

 仕方ないじゃないか、俺はプレイヤーで、彼奴は、

 

『それはあの戦いを穢す言葉だ、私に、彼と共にシステムを上回る人間の意思の力を知らしめ、未来への可能性を悟らせた、我々の戦いを』

 

 それは、

 

『彼はプレイヤーで、いまだ抗っている。特別だからか?』

 

 ………違う。

 

『ならば立ち上がれ、君も彼も、目的は同じ、いや、君の方が強いだろ』

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「アァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 

 その時、須郷が何かをしようとしたとき、瞬間、彼は先に走り、その腕を掴む。

 

「くっ、おまっ」

 

 この瞬間を逃さず、キリトは叫ぶ。

 

「システムログイン、ID《ヒースクリフ》パスワード」

 

 複雑な英語を口にしたその瞬間、彼を縛るシステムが消え、キリトは立ち上がる。

 

「な、なにっ!? なんだそのIDはっ」

 

 須郷が抵抗しようとしたが、操作パネルを触る手をリンクにより阻まれる。

 

「はな、離せっ、クソガキがぁぁぁぁぁぁぁぁああ」

 

「離すかボケぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 人型に燃えるそれは、いまだに消し炭に成らず、怒りの再現のように須郷を取り押さえた。

 

「システムコマンド、スーパーバイザ権限変更。ID《オベイロン》をレベル1に」

 

 瞬間、彼の力が上回り、その腕を曲げる。

 

「システムコマンド、プレイヤーリンクのレベルMAX並び、ペイン・アブソーバの初期化」

 

 その宣言と共に須郷を投げ飛ばすリンク。情けない声をあげ、受け身も取れずに地面に落ちた須郷。両膝を突くが、リンクは肩で息をしていた。

 

「………やれキリト」

 

「な、なんだおま、お前らッ。僕より高度なIDだ? あり得ない、あり得ないッ。僕は支配者、創造者なんだ………この世界の帝王、神………」

 

「そうじゃないだろ、お前は盗んだんだ。世界を、そこの住人を。盗み出した玉座の上で独り踊っていた泥棒の王だ」

 

 そしてキリトはすぐに叫ぶ。

 

「システムコマンド!! オブジェクトID《エクスキャリバー》をジェネレート」

 

 そう言い叫ぶキリトの目の前に、最強の剣が生まれ出る。

 

 リンクは静かに見届けるだけに留め、システムコマンドを利用して、全て解き放つ。

 

 彼の身体の傷が消え、静かに、

 

「そう言えばリンクの剣が刺さったままだぜお前。システムコマンド、ペイン・アブソーバをレベル0に」

 

「な、なあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 腕刺さったままの剣が痛みと成り、わめきだす須郷。

 

 その痛みに転げまわり、キリトはアスナを見て、二人だけの会話でもあったように、アスナは頷き、いまだ痛みで転げまわる王を見下ろす。

 

「リンクはその倍の痛みでも動いていたぜ、お前も動いてみたらどうだ」

 

 その剣を引き抜きながら、涙目でいまだ痛いと泣きじゃくる須郷。

 

「逃げるなよ。あの男は、どんな場面でも臆したことはなかったぞ。あの男、茅場晶彦は」

 

「あい、あいふが、またか、また………死んだんだろっ、くたばったんだろうアンタは!! なんで死んでまだ僕の邪魔をするんだよッ!? アンタはいつもそうだよ、僕の欲しいもの全てを掻っ攫って、いつもいつも!! 悟ったような顔をしやがってッ」

 

「バカか、自分が欲しいもんが手に入らないのを、茅場晶彦の所為にするな」

 

 絞り出すように声を出し、上着を脱ぎアスナに掛け、立ち上がるくらいしかできないリンク。

 

 その二人を睨むように怨嗟を吐く。

 

「お前らガキに何が、何が分かるッ。あの男の下にいることを、彼奴と競わされることの意味が、お前にッ」

 

「分かるさ、俺もあの男に負けて家来になったからな。でも彼奴になりたいと思ったことは無いぜ、お前と違ってな」

 

「ガキィィィィィィィィィィィィィィ」

 

 向かってくる須郷に、キリトは無慈悲な一撃を放つ。

 

 斬撃により、腕が斬られ、それに悲鳴を上げ蹴り飛ばされて床に転がる。

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあうでえぇぇぇぼぐのうでぇぇぇぇぇぇ」

 

「ただの電子信号だろ、リンクはそれの倍貫かれ、燃やされた。だけどそいつは目的のために動いたんだぜ、お前もやってみせろよ。意地があるなら」

 

 だが聞こえていないように泣きわめくそれに、キリトの怒りはもはや限界を超えた。

 

 アスナを、SAOのブレイヤーを、そして仲間を苦しめた男に断罪の刃を振るう。

 

 偽物同士であっても、王に成ろうとした男はただ叫び声を上げ、偽物の勇者と鍍金の勇者によって、討ち取られた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「大丈夫かっ」

 

「平気です………」

 

 あの後すぐログアウトし、モニタリングもしていたのだろうか、すぐに使用人やリーバル、ゼルダの父親まで駆けつけた。

 

「………本気で仮想世界で人体の干渉できるか実験してたのか」

 

 モニタリングしていたのだろう。須郷と言うあの男が、例の男と知り、汗を拭う。

 

「お嬢様もプレミアたちが発見した。アスナのように鳥籠の中でね」

 

「それはきっと、聞いたと思うけどこの家から金を盗る為だろうね。結構多く寄付してるし」

 

「ともかく彼に水を、急ぎたまえっ」

 

 使用人から水を渡され、こぼれても一気に飲み干す。

 

 その時、携帯からストレアたちの声が、

 

『リンク、あの樹の中で行われた実験データが手に入った』

 

「? それはどうして、それにこれは」

 

『分からない、だけど私たちがこうして電話を通じて連絡取るプログラムと、実験の詳細、須郷のノートパソコンパスワード。それにゼルダたちの容体』

 

『彼女はやはり家から資金の援助を受け取る為に幽閉されていたようです。彼女は実験対象外で軟禁されてましたが、いまログアウト。他の方もログアウトを確認しました』

 

 それに全員がやっとすべてが終わったと、

 

「まだだ」

 

 リンクがはっとなり、すぐに身体を起こす。

 

「須郷がまだ捕まってないっ、須郷は」

 

「しまっ、彼の居場所はっ」

 

「会社から出ていないのなら会社だけど、怪しいね」

 

「ならアスナが危ないっ、彼奴キリトに復讐するためならもう後先考えないっ」

 

 それに全員が気づき、

 

「急いで車をッ、なんでもいい病院に急ぐッ!!」

 

 こうしてゼルダの父親も含め、全員が車で移動する。

 

 正直どうなるか分からない中、俺たちはSAO未帰還者たちが眠る病院へ急いだ。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 そこにいたのは気絶している須郷であり、彼はどうやら返り討ちにあったらしい。

 

 深夜の夜、外の車の前、ナイフと泣きべそで失神した男。

 

 キリトは傷を負ったが、そのままアスナの病室まで向かい、須郷はそのままゼルダの父親の部下に拘束された。

 

 彼が使用した車から、彼が使用していたパソコンが見つかり、すぐにパスワードを使い中身を確認。彼の非人道的な実験の証拠が見つかり、全ては解決する。

 

 その全てが終わり、俺もその場についに倒れ、キリト共々病院の一室に押し込まれた。

 

 ゼルダも無事で、非人道的な実験を受けたプレイヤーはそのことを覚えていないが、彼女は健康のまま、生きててもらわないと困る理由から、アスナと同じように幽閉されていたからか、記憶があり、その証拠含め、もはや言い逃れできない。

 

 須郷含め関わった者たちは会社自体も潰れ、こうして全てが本当に終わりを告げる。

 

「やっと終わったが、いまさら眠れないな」

 

「ああ」

 

 その後、キリトと共に病室に押し込まれながらも、明日の朝、キリトはすぐにアスナの下に出向くだろう。

 

 こうして全て、彼の中のSAO事件はやっと、

 

「終わった………」

 

 俺たちはそう思いながら、そして眠れないと言っておいて、俺たちの意識が切り替わるように熟睡した。




グランドクエスト、偽物の王討伐攻略。

それでは、お読みいただき、ありがとうございます。
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