いま迷宮区、そこに駆け付けた俺は、手ごろなトラップは無いか歩いている。
ここ最近の稼ぎ方は、罠をわざと作動させて、エネミーを狩ること。
これがいい感じでたくさん出るから助かる。
「………? 歌」
そんなことで彷徨っていると、歌が聞こえ出した。
歌はスキルでできた歌と知る。そして情報ではまずい状況ではと思い、速足で駆けだす。
歌のする方、そこには数名のプレイヤーがいる。
「頼む、彼奴を………『ユナ』を助けてくれッ」
そう頼み込み、目の前ではヘイト集め、エネミーを引き受ける吟遊詩人がいた。
すぐに意識を替える。
◇◆◇◆◇
ああ、私はここで死んじゃうんだ。
そう思い、薄暗い牢獄のようなダンジョンで、私は思う。
後悔は無い、こうしなければ、もっと多くの人、救出しようとした人たちも死んでしまう。
唯一心残りは、彼と、大きな舞台で歌いたかった。
そう思い、目を閉じた瞬間、
「一」
そう静かに呟き、一人のプレイヤーがここに流れ込んできた。
「ぇ………」
「邪魔だ」
そう言い、私を掴み上げ、彼ら『ノーチラス』たちがいる方へ強引に投げた。
ノーチラスが私を受け止めながら、私は彼を見る。
彼は《亡霊》と罵られるベータテスターと言う噂のプレイヤーで、持っている刀を捨て、ブーメランを投げながら、片手剣を構え、動き出す。
「だめ、だ」
めと思ったけど、彼の動きが凄かった。
後ろに目があるように背後の攻撃を避けたり防いだり、ヘイトが彼にスイッチしたようで、全て彼に集中するが、彼は一向に気にも留めず、一人攻撃をけして受けず倒す。
二十体以上いた獄吏型のモンスターは、少しずつ少しずつ、数を減らして………
「エンド」
そう言い、盾で弾いて倒れたモンスターに剣を差し込み、全てを終わらした。
◇◆◇◆◇
片手剣はこの大急ぎでダメになり、ブーメランもダメになった物が出た。
盾も少し不安が残る。今回はイレギュラーがあったとは言え、またすぐに顔を出すのはまずい。狩り場を変えて、槍などで時間を潰そう。
俺は刀を拾い上げ、プレイヤーたちを見る。
嫌悪よりも、驚愕の様子であり、それでも無事ならいいか。
「あの、ありがとうございますっ、助けてもらって」
そう言い前に出たのは吟遊詩人のプレイヤーだった。
だが、
「なんでヘイトを一手に集めた」
「ッ!? それは」
歌スキル、吟唱が正式名称か。
数少ないが、多くの者にバフをかけたり、ヘイトを集めたりする。今回は異常な数のヘイトを集めていたんだろう。
「どんな事情があろうと、死ぬことを前提にした行動をした奴から礼なんて聞きたくない」
「! 待ってくれ」
一人《血盟騎士団》らしい人物が前に出ようとするが、吟遊詩人が止める。
俺は睨まれながらも気にせず、この場を後にした。
こんなところで止まっている暇は無い。
クリスマス、イベントの為にも、備えなければいけないのだから………
◇◆◇◆◇
「ユナ、どうして」
「あの人の言う通りだから………」
「いや……」
「俺たちもなにもしてない、あんたのことを見捨てようとした。言っても意味が無いのは分かる、すまない」
土下座までしようとする男の人たちと共に、ノーチラスまでもすまなそうな顔をするけど、
「ううん、ううん違うよ……。今回、本当にあの人がいたおかげだよ」
「だけど彼奴はベータ」
「ベータじゃないよきっと」
「えっ……」
私は確信を持って言える。
あの人は戦いの最中で、常にこちらを気にかけていた。もう少し立ち振る舞いがあったはずだ。サポート専門である私だから分かった。
何より私を気にかけて、あの場から避難させたのだって、
「ベータだろうとなんだろうと、この場にいたプレイヤーはあの人に救われたのは事実だよ」
それにみんな少しずつ納得し出す。
いつか、あの人にちゃんとお礼を言える。そんな日の為にも、いまはここから脱出しないと………
だけどその帰り道、エネミーに一切遭わずに、私たちは無事町へと戻れた。
◇◆◇◆◇
クリスマス、俺ことリンクは、あのキリトすらギリギリで倒したと言うイベントボス。『背教者ニコラス』と戦闘する。
俺は雪が降る中、エネミーが出ない限り、ずっと当たりと思われる木の下にいた。
カーン、カーンと鉄をトンカチで叩く。
鍛治スキルはかなり低いが、これだけで少しは上がるのだ。ならやる。
雪が積もり、身体を覆い隠す中、金属音だけが響き続けた。
そして、
「………来たか」
俺はこの情報は前世の記憶から持っていた。
場所となるのは、戦闘ができる広いエリアであり、かつ情報が少ない場所と決めて、そして、
「イベントのモミの巨樹を全て伐採したかいがあった」
念のため、カーディナル、この世界を管理するプログラムがイベントを発生させる条件を限定させた。
ここのは壊れなかったし、当たりは強いと踏んだ。
ちなみにその際に手に入れた木材はきちんと使う。
イベントボスはソリから飛び降り、片手には斧と血まみれの袋を持つ、サンタのようなもの。
だが関係ない。
こいつは数秒のタイムラグの間に使用すれば蘇生する、蘇生アイテムドロップエネミー。
そして戦闘が始まった。
◇◆◇◆◇
俺がここに来たのは、キリトがここに来ない可能性があった。
少しもったいないことと、このアイテムが巡り巡って役に立つ可能性もある。
斧どころか袋まで武器であり、今回はスピード回避の為、片手剣と盾で攻める戦法だが、時間がかかる。
面倒くさいと思いながら雪を踏み鳴らす。ブーツにも工夫をして、雪の上でも動き回れるように、靴底に細工しておいた。
いつものようにステップで避けながら斬り込み、すぐに引く。
キリトはここに来たのは確か、蘇生アイテム目的。いまのキリトはそれを求める理由は、
「君はっ!?」
無いと思っていたが、彼は『クライン』たちと共にいる。彼のことも一応調べていた、ギルド《風林火山》のギルドリーダー。
まさかここに現れるとは思わなかった。
もうだいぶ削ったところだが、確実にこいつを倒しておきたい。
「ドロップ品は手に入れた者の物だっ」
それは途中参加の条件であると叫び、それにキリトとクラインが目を合わせて、すぐに戦いへと参加する。
俺はそれにすぐに下がる。やはり被弾はいくつかしたか。
回復アイテムはもう切れていたこともあり、大人しくアイテムは彼らに譲ろう。
◇◆◇◆◇
キリトがトドメを刺し、イベントボスはポリゴンの屑へと変わる。
結局彼は戦いに参加せず、静かに見守る形でいた。そしてドロップした物は、
「ふざけるなッ」
キリトはあまりのことに叫び声を上げ、クラインたちは困惑しながら、それを見る。
それは『このアイテムはポップアップメニューから使用を選択するか、あるいは手に保持して≪蘇生・プレイヤー名≫と発声することで、対象プレイヤーが死亡してからその効果光が完全に消滅するまでの間(およそ十秒間)ならば、対象プレイヤーは蘇生させることができます』
ギルド《風林火山》は各々憤る中、キリトはその場に座り込む。
「………君」
その時、そのメニューを確認し終え、しばらくしてその場から去ろうとした彼を呼び止めた。
「これは君の物だ」
「………俺はドロップさせた奴の物と」
「なら、俺が君に渡す。それでいいだろ」
「………」
周りの様子を見ると、リーダーのクラインは構わないと言う顔であり、彼はしばらくしてそれを受け取り、静かに頭を下げてから去る。
「いいのかキリの字」
「ああ………」
キリトやクラインたちはどちらかと言えば、この蘇生アイテムが結局役に立たないと、その落胆が強かった。
「けど彼奴、いつからここにいたんですかね?」
ここに来る前に《聖竜連合》、フラグボスの為なら、一時オレンジ、プレイヤーに危害を加えたプレイヤーになることも辞さないギルドと交戦した。
だが彼はそれとも遭遇せず、ここにいた事実。
「俺よりも早く、ここがイベント場所と踏んで、待っていた………」
キリトはそう言うが、それも危険である。
ここでない可能性も高く、それなのにここに留まるのは自殺行為だ。
他のエネミーに殺される可能性がある、それなら自分たちより早く出て、ここにいたのだろうと、そう思った。
それがある意味、彼と彼らの違いであるとは、この時は誰も気づかない………
◇◆◇◆◇
「はあ………」
鍛冶師レインは、少し憂鬱な気分になる。
彼はここでのお得意さま、だが問題児。
女の子プレイヤーだからと言うだけで物を買う客はお断り。にしたいくらいの店。彼は良い物しか買わず、悪い物もそれ相当の理由を付けて買う。
そして難しい注文ばかりする。
「レインいる?」
「あれユウキ、またリンクに会いに来たの?」
「うんっ♪ 今日はいないみたいだけど、ボクリンクと友達になりたいんだっ」
それにこの子は本当にいい子だ。噂や何かで人を判断しない。
ここにいないことを知り、少し残念がりながら去る。
「………まったく」
彼が持ち込む武器や防具は、全部ボロボロ。
それはレベリングが過酷なものを意味している。
楽にしているベータと言う噂だが、彼の顔やそれらを見て、デマと分かった。
だからこそ、心配になる。
この世界で一人と言うのは、辛いのだ。
なのに彼は日に日にそれが酷くなる。
まるでここに来る前から一人で戦っていたかのように一人で、ここで休む時は本当に死んだように眠るのだ。
「………はあ、あの子も、一人で頑張って無きゃいいけど」
ユウキも一人でエネミーを狩る。
さすがにプレイヤーに武器は向けられない、当たり前だ。
だからこそ自分はエネミーをいっぱい狩る。それがあの子の意思。
だけど強すぎる、いつか攻略組に追いつき、追い越しそうなんだ。
そんな日が来れば、あの子はきっと………
「どうしてこうなるんだろうね、ゼルダ」
そう言い、三角形が組み合うマークを見ながら、今日もわたしは鉄を打つ。
◇◆◇◆◇
ここは《迷いの森》と呼ばれ、対峙するのは猿のモンスターであり、彼はいつものように狩ろうとしていたとき、
「………」
森がいつもより賑やかだと気づき、時折切り上げながら、狩りをしていると、
「ピナぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
その叫び、よりも名前に聞き覚えがある。
それはあるビーストテイマーの相棒。ここで、今日、彼女の物語が動くのかと思い、だが念のために駆けだす。
すると、異変が起きていた。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
そこにいたのは《黒の剣士》だけでなく、パープルブラックの、
「ッ!」
すぐに背中と腰のブーメランを投げつけると共に、大剣を引き抜く。
三体、プレイヤーの前にいた者は、背後からのクリティカルで消え、最後の一匹は、
「消えろ」
その瞬間、大剣で貫き塵へと変わった。
◇◆◇◆◇
「ありがとうございます……助けてくれて」
「ううん……その、間に合わなかったよ」
「すまない………」
そこに《黒の剣士》キリトと、すでに《絶剣》とも言われるユウキがいて、ビーストテイマーに謝る。
ああ、どうしてこうも人を狂わせるゲームなんだここは。
「リンクもありがとう、助けに来てくれて」
「………君は一人か」
「うん、森の入り口付近ならって思ったら、つい。レベルは高いよっ、気を付けてモンスターからは逃げるし。だけど」
ユウキは悲しそうに言い、彼女『シリカ』は首を振る。
「いえ、わたしがバカだったんです。一人でこんなところを抜けようとして」
そう言い《ピナの心》を大切そうに持っている。
そんな彼女に、キリトが蘇生情報を伝え出した。
「それ、ホントっ!?」
やはりユウキも知らないのか。
もうここまで来れば仕方ない。俺は情報を補足した。
「最近の情報だが、本人が47層《思い出の丘》に、本人が出向くと手に入ると言う話だ」
「よ、47層………」
「だが、タイムリミットがある。使い魔の心が形見に変われば、蘇生はできない」
それは彼女にとって絶望的な数値であり、再び涙を流しだす。
「待って、四日、四日あればボクの知り合いが来るよ。あの人たちに」
「リミットは三日だ、それでは間に合わない」
「そんな………」
ユウキも塞ぎこむ中、シリカはずっとアイテムを手に持ち泣き、ユウキも泣きそうな顔になっていた。
キリトはそれに、アイテムを出し始め、シリカに協力しようとする。
これで流れを知らない俺がする行動は、
「待て、なぜそこまで彼女に協力する? それでレベル5、6底上げできるのは確かだが」
そう、ここまでする必要性が見当たらない。
記憶の奥底では安心できるが、それでも理由を思い出せない以上そう聞くしか無かった。
それには無論、シリカも警戒するが、
「笑わないか?」
「ものによる」
「………妹に似ているからだ」
それについシリカとユウキは笑ってしまい、ばつが悪そうなキリト。
仕方ないか、ユウキを見る。彼女もレベルが足りないな。
「ユウキもだ、これを装備しろ」
「! うんっ」
「君らも付いてくるのか?」
「死にたくはないが、死んでほしくもない」
「ボクも、最後まで付き合うよ」
ユウキに売り用のアイテム一式を装備させる。これでシリカ同様レベルの代わりにはなる。
こうして俺ことリンク、ユウキが本来の物語に追加されて行動を共にする。
なぜこうなるんだろうか………
と言う訳で、シリカの物語+される。
さらにリンクはあまり物語を知らないため、原作の一部を壊していることに気づいていません。
ここからシリカの物語に加わりますが、どうなるか。
ここからゆっくりしますか。では、お読みいただきありがとうございます。