ユウキの勇者   作:にゃはっふー

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迷宮区で出会ったのグリーン・カーソルのギルド。

月の夜の黒猫との出会い、何が起きるのか。


第8章・変わり出す時

 槍使いの女性、メイスと片手剣盾の前衛、シーフ系に棍、スタッフのリーダー。

 

 これが最近頭角を出している攻略組、ギルド《月夜の黒猫団》であり、そのリーダーの『ケイタ』から話を聞くと、隠し通路を発見して潜ったところ、トラップにだいぶやられ、いまは安全圏であるここで休んでいる。

 

 この部屋だけは部屋と言うように綺麗であり、光源もしっかり機能している。扉は一つ豪華なものがあり、これが先に続く道だ。

 

 黒猫団は床に疲れ切って横になっていたりしていたとき、もう一つの入り口、自分たちが入った扉から自分たちが現れた。

 

「普通に進んだ先がここ? 私たちはロープを使っておりましたが」

 

「えっ、それはおかしいです。僕たちはただ下りて行きました」

 

 ゼルダとアスナが彼らと会話すると、深く考えだす。

 

「どう思いますか」

 

「おそらく、迷宮区が動いたとしか」

 

「通路が切り替わったんだろう」

 

 俺は静かに相談会の中で、情報を提示する。

 

 それだけでアスナには通じたらしい。

 

「そうか、誰かが通ったり、一定の時間が経つとフロアの入り口が変わる仕掛け。確かに聞いたことあるわ」

 

「なら我々が通った道も、いまは別の道に変わっていますね。あれ? ならあなたの時は」

 

「俺は入口は微かに開けたまま、閉まらないように仕掛けにストッパーを仕掛けている」

 

「あっ………」

 

 フィリアは心当たりがあるようにそう言い、それに少し失敗したらしい。

 

「ともかくここで情報交換と状況確認しましょう」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「まずは私《トライフォース》ギルドリーダーゼルダ。そして幹部のミファー。仲間のフィリア、レイン、ルクス、ユウキ、シリカ、ユナ。そしてプレミアのパーティー」

 

「私はソロで探索をしていた《血盟騎士団》のアスナです。彼らとは途中合流を。そして」

 

「《血盟騎士団》のノーチラスです」

 

「ソロのリンク」

 

「こちらは《月夜の黒猫団》ギルドリーダーのケイタ。同じ前衛の『ササマル』にシーフの『ダッカー』。メイスの『テツオ』に」

 

「『サチ』です」

 

 前衛か後衛か話をしながら、アイテムの数も確認するが、

 

「すでに潜っていたプレイヤーは仕方ないが、俺以外全員結晶頼りだったのか」

 

「すいません」

 

 リンクからポーションを分けてもらいながら、全員にHP回復アイテムを受け取り、一部を使う黒猫団。

 

 それでも数はまだあり、ストックは貯めているらしい。

 

「あんた意外とお金もあるし、普段からどんなレベリングしてるのよ」

 

「基本だ」

 

 リンクはそういう中、ケイタたちは僅かに怪訝な顔をする。

 

 ともかく、ゼルダとケイタ以外、ギルドリーダーはいない。

 

「すいません、これからの方針を決めます。アスナさんとリンクさん、貴方たちの意見も聞きたいので参加を」

 

「ああ」

 

 そうは言うが、どうするかはほぼ決まっている。

 

「先に進む、それしかまずないと思いますが」

 

「そうですね……、通路が一度使うたびに切り替わっているのなら、どこがどう変化しているか分からない以上、戻るのは危険です」

 

「ただどうする? この大人数で先に進むのか?」

 

「全員が初対面、さすがに無謀ですが仕方ないですね」

 

 ゼルダはそう言うが、気になる点もある。

 

「俺はもう一つ注意するべきことがある」

 

「フロアボス、よね」

 

 アスナの言葉に、全員が僅かに硬直する。

 

 いまだ見つかっていないこの階層のフロアボス。もしかすればこの先にいる可能性があるのだ。

 

「ですが逆に考えれば、フロアボスのエリアなら、結晶を使い町に帰還することもできます」

 

 そんな話をしながら、一応このメンバーは気を付けていればここのエネミーは問題なく倒せる。

 

 そして話がまとまり、ちぐはぐなパーティーが結成された。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「ともかくいまは昼時です、せっかくですから食料を分け合って食事にしましょう」

 

「そうですね」

 

「ボクお腹ペコペコ~」

 

 そうして全員が張り詰めた空気から、ピクニック風に変わりながら、食事の準備をし出す。

 

 仕方ないかと《山菜おにぎり》と《肉おにぎり》を出して食べる。

 

「リ~ンクっ♪ 交換こしようよっ」

 

「別にいいが、女子受けしそうなのは《ナッツケーキ》しかないぞ」

 

「なにそれおいしそうっ♪」

 

「いただきます」

 

 プレミアがすぐに気づいて近づいてくる。この子はなんていうか、腹ペコな子になった。

 

 そんな感じで会話する中、ルクスたちがこちらを見て微笑んでいる。助けろ。

 

 こうして食事を終えて、とっとと脱出しようか。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 私たち黒猫団を交えて、探索を始める。

 

 私たちはすでに疲労していることもあり、真ん中にしてもらい、先頭は彼、リンクが歩いてくれてます。

 

 こうして先に進む中、少し不服そうな顔のケイタ。

 

 あの後、私が追い詰められて逃げて、相談に乗ってくれた後、キリトがベータの《黒の剣士》と知ってから、みんなキリトの話をしなくなった。

 

 彼らベータは、リソースを早く確保して、前線に出ている。

 

 彼もそうだろうか?

 

 そう言う疑念が私たちの中にあり、それでもゼルダさんやアスナさんの指示を的確に聞く。

 

 ゼルダさんは支援ギルドとして名高い《トライフォース》で、レベルは攻略組で私たちくらいだけど、指示に関しては攻略組としてしっかり聞いている。

 

 その中で《絶剣》のユウキちゃん、そしてサポートNPCプレミア。この二人に古株のメンバー四人が凄い。

 

 そして《血盟騎士団》のアスナさん。この人も攻略組として聞かない日は無い。

 

 そんな中、私は《亡霊》リンクを見つめた。

 

 多くの武器を身に纏って、攻略にも出ないベータ。

 

 実力は分からないけど、ゼルダさんたちがここにと言ったのだから、私たちはなにも言わない。

 

 そしてだいぶ奥までくると、

 

「少し待て」

 

「どうしたの?」

 

 後ろのアスナさんが訪ね、リンクさんはカンテラを掲げ、周りを見る。

 

「広い部屋、拓けたエリアに出る。こういったところ、入ると罠が発動する決まりもある、できれば調べてからか、覚悟してはいるかのどちらかにしたい」

 

「えっ? 暗くてなにもって」

 

 フィリアさんが何か言う前に、ストレージから布が巻かれたこぶしほどの石を取り出して、火を点けてから投擲する。

 

 彼が言う通り、拓けた場所であり、妙に広すぎた。

 

「これはなにかあると判断した方がいい。光源も、やけに狭いな。こういうところは明かりを点ければ仕掛けが解けるのが多いから、関係があるかもしれない」

 

「確かに」

 

 彼の言葉が的を射る言葉であり、私たちも頷く。

 

「気を引き締めて中に入りましょう。中に入ったら」

 

「トラップ解除は、この手は先に言ったものか、スイッチ系とエネミーを倒す系か」

 

「だね、暗い部屋………。明かりを付けたりする類か」

 

 フィリアさんの言葉に、方針として、明かりを点ける場合は私たち黒猫団と明かり組が、エネミーなら彼とアスナさん、ユウキちゃんとプレミアちゃんが組んで、ユナさんのバフの歌を受けて戦う。

 

 そして全員が部屋に入ると共に、部屋の入り口が塞がった。

 

「お、おいっ」

 

「落ち着いてっ、予想できる事態よ! 全員注意っ」

 

 アスナさんの言葉に、言われたことを思いだして、構える。

 

 それと共に、部屋の奥から、

 

【おおぉぉぉぉ………】

 

 アストラル系のエネミーが多数出て来た。

 

「いっやあぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

「えっ、あ、はい?」

 

 リンクさんを始め、私たちは困惑する。アスナさんがユウキちゃんを抱きしめて、その場に座り込んだ。

 

「あ、アスナ」

 

「おば、おばおば、オバケーーーーーーーー」

 

「副団長せめて他の人にっ」

 

 その瞬間、ブンっと言う音と共にブーメランが放たれていて、アストラルエネミーにヒットしたけど、

 

「ダメージが入らない、仕掛け系でしか消えないトラップ」

 

「ならタゲを取ってて、私たちが仕掛けを解く」

 

「仕方ないか」

 

 リンクさんが走り出し、攻撃は効かなくてもタゲを取るために前に出る。

 

 鎌や剣、西洋のオバケのようなそれらの攻撃を避けながら、少しずつ数が増えていく。

 

「お、おい俺たちも仕掛け、急げっ」

 

 全員が動く中、アスナさんも悲鳴を上げながら動き出す。

 

「燭台らしい台座ありっ、火を点けます!」

 

 急いで全員が持っている火で火を点ける中、彼は、

 

「す、すげえ」

 

 ケイタたちが驚くのは、リンクさんがギリギリで全部の攻撃を避け、けして武器で防がない。

 

「なんで武器で」

 

「あの手の罠は武器も通過する可能性が高いよっ、急いで火を点けてっ」

 

 ルクスさんからそう言われ、私たちが火を点けている。

 

 そろそろ部屋全体、そう思った時、カンテラを持ったシリカさんが、

 

「最後の一つですっ」

 

「それを壊しても構わないっ、早く火を点けろっ」

 

「は、はいっ」

 

 そう言って、思いっきり叩き付けて、燭台に火を点けると、アストラル系のエネミーは悲鳴と共に消えて、部屋が明かりで照らされ、いままで真っ暗だったのが不思議なくらいに明るくなった。

 

「ご、ごめ、ごめんなさい。キリト君はなんで来ないの~~~っ」

 

 その時、アスナさんからキリトの言葉を聞き、私たちは驚く。

 

 彼はアスナさんにも慕われるほど、凄い人になっていた………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「ごめんなさい、カンテラを一つ壊してしまって」

 

「構わない」

 

 そして彼はそう言うが、あの手の道具は高い気がした。できればギルドリーダーとして弁償しなければいけない。

 

 それでもなにも言わず、彼は奥の部屋を見る。

 

「これは」

 

「スライドするパネル……、バズルか」

 

 リンクの言葉に、私はそのパネルを見て、これは、

 

「「町でよく見かけるマーク」」

 

 私の言葉と共に、リンクはそう言う。

 

「町? 町ってこの階層の?」

 

「えっ、ええ。確か、正しいマークは」

 

「問題ない覚えている」

 

 そう言ってパネルを動かしだす彼。私たちは距離を置く。

 

 彼は迷いなくパネルを動かして、次々と形になっていく。

 

「もう少しで完成する」

 

 そう言うと共に、パネルが完成すると、壁画が沈み、階段が現れた。

 

「これでよし」

 

「あんたこんだけできて、どうして攻略組にいないのよ………」

 

 レインがそう呟くと、彼は嫌な顔をする。

 

「個人戦ならボスには挑むさ。だがボスは個人でどうこうできるはずもない」

 

「それは、ならギルドにでも入れば」

 

「ベータなんて言う噂がある奴、入れる奴いるか」

 

「だけどっ、リンクはベータじゃないんでしょ」

 

 ルクスの言葉に、黒猫団の皆さんが驚く。

 

 確かに彼はそう言う噂が流れているが、

 

「確かに………。キリトくんから聞きました、貴方は、ベータテストの時いなかったって」

 

 アスナさんの言葉に裏付けは取れた。

 

 キリトはベータテスターとして有名な《黒の剣士》だ。

 

 その彼が知らないのなら、

 

「リンク、私はベータなどなんだので人を決めません。貴方が良ければ《トライフォース》に来ませんか」

 

 そう私が言うと、彼はそれは嫌悪な顔で、

 

「あんたがよくても周りは良くないんだよ」

 

「それは」

 

「《黒の剣士》キリト。彼がベータと言われ、ゲーム始まってソロを貫いたことは知っているな」

 

 その言葉に、私とアスナさんは黙る。

 

「その理由はベータテスターが情報を出し渋っただの難癖が付けられ、結果彼が自分のプロフィールを公開することで話は終わった。だけど結果彼はソロ活動をしなければいけなかった」

 

「それは」

 

「ソロで活動できたからした? そんなわけないだろ。ベータだからと言う嫌悪は全プレイヤーが抱くもの、自分以外に矛先が向かないように、ソロ活動してたんだろう」

 

「………どうしてそう思うんですか」

 

 それには彼ははっきりと、

 

「《黒の剣士》はほぼ攻略戦において、必ず出る。周りからどんな目で見られてもな。俺ならやだね、死ぬかもしれない中、自分だけ味方がいないと言う事態」

 

「だけど彼奴らベータはリソースを奪ったんだろ」

 

 ケイタさんがそう吐き捨てるように言うが、それこそ彼は吐き捨てるように、

 

「それは自分たちはしてない言い方だな」

 

 それに私たちは黙る。

 

「攻略組だろうがなんだろうが、結局このゲームはプレイヤー同士のリソースの奪い合いが大前提のゲームだ。もうこの時点でベータたちは死ぬかもしれない中、茅場の所為でこのゲームを作った者の一人なんてものはない。俺はそう言える」

 

「………」

 

 それに私たちは黙り、彼ははっきりと、

 

「《黒の剣士》はそんな視線の中、いまだ死線をこなしてる。俺は《軍》よりも信頼できる」

 

「………あなたは」

 

「ちなみに俺が前線に出ないのは、噂だけじゃない。結局、ボス攻略戦も、他の手を借りるとリソースの奪い合いが始まるから。どちらかが折れて納得するまでな」

 

「………」

 

 アスナさんはその言葉に黙り込む。

 

 確かに、リソース。情報やアイテムの温存など考えてしまう。

 

 私たちは支援する立場であるため、前に出るギルドへの支援ははっくりさせている。

 

 その中で《軍》だけ攻略には出ないのに、治安維持の為に出せと意味も無く貴重なアイテムを要求してきたこともあった。

 

「ちなみに、今回で初戦でフロアボスと出会い、討伐した場合はどうなる?」

 

「………関係上、このメンバーならゼルダさんの《トライフォース》がボスを討伐したことになり、波風は立ちません」

 

「だが応募があった際中なら」

 

「………問題になります」

 

 アスナさんの言う通り、情報だけ盗んで出し抜く行為はかなり厳しい罰があるが、

 

「だがゲームクリアを目指すんなら、誰がボス倒そうが関係ないはずだろ」

 

 矛盾していると彼は言う。

 

 確かに、誰が倒すだなんて関係ない。

 

 私は、私たちは早くこのゲームを終わらせたいのだから………

 

「俺は出れば必ずボスを倒す」

 

 それはまるでできるできない関係なく、すると言う意思が込められた言葉。

 

「だからこそ、妙なルールや縛りがあるのなら、マップ作製とエネミーパターン情報を売り続けている方が攻略が早まると思っている」

 

「………あなたは」

 

「おかしいか、おかしいだろうが、俺はその方が気楽だ。俺は早くこのゲームを終わらす。それ以外に興味は無い」

 

 それには怒り、憎しみが込められた本音だと、はっきり伝わった。

 

 この人にとって最善が、攻略組に参加するのではなく、パターンなどの情報確保こそが早いと、彼がそう思っている。

 

「ゲームがクリアできるのなら、ベータだろうがビーターだろうが関係ない。それでベータやビーターに文句を言うのは、ゲームクリアより、自分の身や仲間を第一にする奴か、ただのバカだ」

 

「………辛口ですね」

 

「本音だ」

 

 そう言い、彼は階段を昇っていく。

 

 私は………

 

「ゼルダ姉ちゃん………」

 

 不安そうなユウキがそこにいて、私は、

 

「だいじょうぶ」

 

 私の目的はこの子を安全な世界へと帰す。

 

 それが私の願いだ。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 リンクさんの言葉に、私たちは言葉が無い。

 

 私たちはどうだろう。キリトがどんな気持ちでソロで活動して、私たちと一緒に居たのだろう。

 

 彼は疲れていた気がした。

 

 とても疲れて、そして私たちと一緒に居て楽しそうだったはずだ。

 

 だけど、彼はそこからいなくなった。

 

 彼は………

 

(どこで間違えたんだろう)

 

 そう思いながら、急いで彼らの後を追う………




彼らはどうなるか、黒猫団はどうなるか。次回に続きます。

お読みいただき、ありがとうございます。
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