東方時哀録   作:シェイン

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こんにちは、シェインです!オリジンヒストリアだけじゃなく、こっちも頑張って行きますよ~!いつまでもクライマックスが訪れないガンガン・クライマックス(3)、どうぞ!


第15話 ~ガンガン・クライマックス~(3)

モモタロス「さて...」

ナオミ「あれっ?モモちゃん、どこか行くんですか?」

モモタロス「お、おい、ナオミ!しっー!」

 

良太郎に諭されて席を立ったモモタロスに、デンライナーの食堂車乗務員である"ナオミ"が声をかける。傷ついている皆を気遣ってこっそり出ようとしていたモモタロスは、慌ててナオミを制止するが、モモタロスの動きは、あっという間に食堂車の面々に知れ渡った。

 

幸太郎「モモタロス...さては、イマジンの手がかりが掴めたんだな?」

一輪「例のイマジンの話は、響子から聞きました。外道を粛正するべく、私も協力しますよ。」

響子「わ、わたしも行くっ!あの怪物...なんだか見たことあるような気がして...」

モモタロス「ったく、しょーがねぇな...いくぜ!お供たち!」

幸太郎・一輪・響子「「「誰がお供だっ!!」」」

 

極悪非道のアンブレライマジンを討伐するため、モモタロスは響子、幸太郎、一輪をお供に加え、青龍の里を目指すのだった。

 

...この後、モモタロスの言動で一輪たちに迷惑がかかることを危惧したハナがお目付役として同行すると言い出し、ならばと急に存在感を出してきたジークが勝手に着いてくることを、桃太郎気取りのモモタロスはまだ知らない。

 

 

妖夢「あれっ?なんで、人っ子一人いないんでしょう...?」

紘汰「それに、なんか静か過ぎないか...?」

 

青龍の里に夕飯の買い出しのために訪れた二人は、その異様な雰囲気に顔を見合わせた。いつもは人通りが多く、賑やかな通りも、祭事などでよく使われる大やぐらの周辺も、誰一人として人の姿が見えないのだ。困惑する二人の耳に、鬼気迫る怒号が届いた。

 

慧音「おいっ、お前たち!!」

妖夢「ひゃいっ!?...って、慧音さんじゃないですか...」

 

二人の前に駆けつけた慧音と巧は、それぞれに険しい顔をしている。声をかけた相手が妖夢だったと分かった慧音は、少しだけ安堵したような表情を浮かべた。

 

慧音「あぁ、妖夢だったか...驚かせてすまない。」

妖夢「いえいえ、お気になさらず!それより、この里の様子...なにがあったんです?」

 

妖夢に問いかけられた慧音は、暗く沈んだ表情で俯いてしまう。そんな慧音の肩に手を置くと、巧は彼女の代わって青龍の里で起きたことを説明し始めた。

 

巧「少し前に、里が化け物に襲われてな...里の子供を無差別に捕食したらしい。その被害者の中には、慧音の教えてる奴もいた。」

紘汰「なんだって...!?」

 

慧音の教え子を含む、多くの子どもたちが襲われたことを知った二人は、凄惨な事件に対する驚きと、化け物の非道な行いに対する怒りで表情を歪ませる。

 

慧音「...また奴が襲ってきた時のために、里長の泰翁(たいおう)殿の指示で里の者たちの外出を禁じているのだ。お前の剣の腕は知っているが、化け物共の力は計り知れん。早く冥界に戻ったほうが...」

アンブレラ「ケッハハハァッ!」

慧音「ッ...!!」

 

慧音が妖夢たちに警告する最中、アンブレライマジンの笑い声が青龍の里に響き渡った。その声に孕まれた狂気を感じ取った四人は、背中を合わせて円陣を組む。警戒心を強める彼らの前に、高速回転しながら飛行するアンブレライマジンが降り立った。

 

アンブレラ「なんだ、ガキが一人も居ねえじゃねぇか!仕方ねぇ、片っ端から家を襲って...」

慧音「お前が...お前が子どもたちを喰い殺した化け物かッ!!」

アンブレラ「あぁん...?」

巧「おい、お前ら!さっさと逃げろ!」

 

更なる悲劇をもたらさんとするアンブレライマジンに、憤怒を露わにした慧音は怒号を飛ばす。巧は慧音の隣に並び立ち、妖夢たちに声をかける。だが、妖夢は静かに首を横に振ると、紘汰と共に二人に並び立った。

 

妖夢「ふっ...心配は無用です。行きますよ、紘汰さんっ!」

紘汰「おうっ!」

 

慧音「よくも皆を...巧ッ!」

巧「...あぁ。」

 

それぞれのパートナーとシンクロした妖夢と慧音は、互いにライダーの力を受け継いだ者であることを理解すると、アンブレライマジンに向き直る。慧音はファイズドライバーを装着してファイズフォンを操作し、妖夢は戦極ドライバーを装着してオレンジロックシードを展開、セットする。

 

『Standing by...』

『オレンジ!Lock On!』

 

「「「「変身ッ!」」」」

 

『Complete』

『ソイヤッ!オレンジアームズ!花道!オンステージ!!』

 

妖夢・紘汰「ここからは私たちのステージです!」「ここからは俺たちのステージだ!」

巧「...なんだそりゃ?とにかく行くぞ!」

 

ファイズの姿と鎧武の姿にそれぞれ変身した慧音と妖夢は、アンブレライマジンに突撃する。二人を敵と認識したアンブレライマジンは、愉しそうな笑い声を上げて二振りのブレードを構え、二人を迎え撃つ。

 

アンブレラ「ハハァッ!俺と遊んでくれるのかァ!ちょーどストレス発散したかったとこだぜェ!!」

慧音「ふざけたことをッ!」

 

慧音は怒りを込めて拳を振るうが、それをひょいとかわしたアンブレライマジンは慧音の背を切り裂く。妖夢は大橙丸を大きく振りかぶり、慧音に気を取られているアンブレライマジンに斬りかかるが、アンブレライマジンは片足を軸に回転して妖夢を弾き飛ばした。

 

慧音「くっ...!」

妖夢「ならっ!」

 

『Singl mode』

 

体勢を立て直した慧音は、ドライバーから取り外したファイズフォンに「103」と入力し、銃形状の"フォンブラスター"へと変形すると、アンブレライマジンに照準を定める。同時に、妖夢は無双セイバーを引き抜いてエネルギー弾をチャージし、双方からアンブレライマジンに狙いを定めた。慧音と妖夢はアイコンタクトでタイミングを合わせ、アンブレライマジンに一斉射撃を敢行する。

 

アンブレラ「ぐおぁッ!?...チィッ!」

 

銃弾の雨に曝されたアンブレライマジンは膝をつくが、すぐさま立ち上がり、腕を目一杯横に伸ばして高速回転を開始する。高速回転する刃が傘を象り、殺人傘へと変貌したアンブレライマジンは、飛行しながら慧音と妖夢を何度も斬りつけていく。

 

慧音「ぐっ...妙な技を...!」

妖夢「うぅ...もう、まどろっこしい!一気に叩きますよ〜!」

 

アンブレライマジンの連撃に、妖夢はLSー05と刻まれた金色のロックシード──"パインロックシード"を手に取り、解錠すると共に、オレンジロックシードをドライバーから外す。

 

『パイン!』

 

妖夢の頭上に開いたクラックから、パイナップルを象った鎧が降下してくる。妖夢は流れるような動きでパインロックシードをドライバーにセットし、素早くカッティングブレードを倒した。

 

『ソイヤッ!パインアームズ!粉砕!デストロイ!!』

 

パイナップルを象った鎧が妖夢の頭に落下し、展開されると、妖夢は"パインアームズ"へと変身した。

 

妖夢「さぁ!覚悟なさい!」

 

妖夢は、変身と同時に装備したパイナップルを象ったモーニングスター──"パインアイアン"を振り回し、十分な遠心力をつけてから、アンブレライマジンに投げつけた。

 

妖夢「てぇりゃぁぁぁ!!」

アンブレラ「ハッ!そんなノロマな武器じゃあ、当たらねぇよ!」

 

アンブレライマジンは機敏な動きでパインアイアンを回避するが、攻撃を避けられた妖夢は何故かニヤリと笑う。

 

紘汰「そうとも限らないぜ?」

妖夢「武器も、食材も、使い方次第で可能性は無限に広がるんですよ!こんな風にね!」

紘汰「...え、食材?」

 

そう言い放った妖夢は、パインアイアンを思いっきり横に振り抜く。すると、鉄球に引っ張られた鎖が高速回転していたアンブレライマジンに絡みつき、動きを制限した。

 

アンブレラ「グォ!?」

妖夢「はぁぁっ!」

 

妖夢は気勢と共にパインアイアンを振り下ろし、アンブレライマジンを地面に叩きつける。強い激突の衝撃に、アンブレライマジンは大きく怯んだ。

 

妖夢「慧音さん!今です!」

慧音「あぁ!!」

 

『Ready...』

 

妖夢の声に力強く応えた慧音は、ベルトのサイドにマウントされたデジタルカメラ型のデバイス──"ファイズショット"にミッションメモリーを差し込み、ロックの解錠されたグリップを右手に握る。そして、ドライバーに戻したファイズフォンを開き、エンターキーを押す。

 

『Excced Charge』

 

慧音・巧「「はぁぁぁっ!!」」

 

ドライバーから流れ出すフォトンブラッドが、フォトンストリームを辿ってファイズショットに蓄積される。腰を低く構えた慧音は一気に駆け出し、ファイズショットを用いた紅い拳撃──"グランインパクト"を、アンブレライマジン目掛けて放った。だが、その瞬間──

 

慧音「うぐぅっ...!?」

 

──慧音の肩に青いエネルギー弾が炸裂し、慧音は火花を散らしながら地面を転がった。

 

妖夢「けっ、慧音さんっ!きゃっ...!」

 

続いて妖夢の胸部にも同じエネルギー弾が炸裂し、パインアイアンを手放してしまう。その隙に、アンブレライマジンは鎖を振り払って拘束を解いてしまった。

 

妖夢「しまった...!」

慧音「いったい、誰が!?」

ルーナ「2対1だなんて、卑怯ではありませんか...それに、あなた方の過干渉は迷惑です。お引き取り願いますわ。」

 

予測外の攻撃に襲われた慧音と妖夢の前に、メイド服のフリルをふわりとなびかせたルーナが降り立つ。その手には、黒のベースカラーに水色のラインが入ったライドブッカー──"リュードブッカー"が握られており、ルーナが二人を銃撃したのは明らかだった。

 

巧「お前...何者だ!?」

ルーナ「私の名は、ルーナ・ファンタジア。"時の王者"を主導者とするタイム・トラベラーズ...そこに仕えるメイドです。以後、お見知りおきを...」

 

スカートの裾をつまみ上げて深々とお辞儀をしたルーナは、穏やかな笑顔のまま、漆黒のディケイドライバー──"ディリュードライバー"を取り出し、腰に添える。すると、銀のサイドバックルとベルトが出現し、ルーナの腰に装着された。サイドバックルを引いてドライバーを回転させたルーナは、リュードブッカーをベルトに提げると、そこから一枚のライダーカードを取り出す。そのカードには、形こそディケイドに近いが、ベースは灰色、複眼は水色に染まっているライダーのマスクが描かれていた。

 

ルーナ「変身。」

 

『カメンライド...』

 

静かに囁いたルーナはライダーカードをドライバーへと差し込み、胸の前で両腕を交差させると、ゆっくりと外側に回して流れるようにサイドバックルを押し込んだ。

 

『ディリュード!』

 

すると、両腕を広げるような姿勢になったルーナの周囲に青いホログラムが出現し、それが彼女に重なると同時にルーナの姿が変化する。胸部から両肩にかけてV字のラインが入ったロングドレスを纏ったルーナのヘッドセットに、ドライバーのレンズから射出されたプレートが突き刺さり、ティアラのように変化する。それと同時にロングドレスが水色に色付き、彼女の瞳は水色に強く光輝く。

 

ルーナは、幻の戦士──"仮面ライダーディリュード"の力を行使した姿へと変貌を遂げたのだった。

 

紘汰「変身...しやがった...!」

 

ルーナは首元に飾られたブローチを撫でるように触れると、リュードブッカーを長槍形状の"ランスモード"へと変形させて、その切っ先を二人に向ける。

 

ルーナ「さぁ、最上級のもてなしをして差し上げます。揺らめく幻想に惑いなさい...」

アンブレラ「な、なんなんだ、てめぇ...!」

ルーナ「黙りなさい、(けだもの)が...さっさと消え失せなさい。」

 

狼狽えるアンブレライマジンを冷たく横目で流したルーナは、二人に向けて颯爽と駆け出した。慧音と妖夢は慌てて体勢を立て直し、迎撃の構えを取る。手早くパインアイアンを拾い上げた妖夢は、迫り来るルーナに向けてパインアイアンを放った。だが、新体操のように美麗な動きで飛び上がり、それ回避したルーナは、着地すると同時にパインアイアンの鎖を握る。そして、軽く鎖を引くことで妖夢を引き寄せた。

 

妖夢「うわわっ!?」

ルーナ「はぁっ!」

 

咄嗟にパインアイアンから手を離したものの、前のめりの体勢になってしまった妖夢に急接近したルーナは、妖夢の腹部を斬り払う。

 

妖夢「ぐあっ...!」

ルーナ「隙だらけですよ?その体たらくで『お爺さまを超える』なんて不相応な夢を持つとは...愚の骨頂ですね。」

慧音「黙れ...!お前に他人の夢を嗤う資格はないッ!!」

 

倒れた妖夢を見下したルーナの言葉に憤慨した慧音は、彼女にファイズショットを振るうが、ルーナは軽く身を引くだけでそれをかわしながら、嘲るように笑う。

 

ルーナ「ふぅん...よく言いますね。今までいくつもの夢を踏みにじってきたくせに...今の言葉を聞いたら、"妹さん"もさぞお怒りになるでしょうね。」

慧音「な...!?お前は...なにを...!!」

巧「おい!どうしたんだよ、慧音!慧音っ!!」

 

ルーナの言葉を聞いた慧音は、目を丸くして唖然とする。慧音が手を止めた瞬間、ルーナはリュードブッカーから一枚のカードを取り出すと、ドライバーに挿入してバックルを回転させる。

 

『アタックライド...スティング!』

 

ドライバーの音声が流れると同時に、リュードブッカーの刃が淡い輝きを纏う。光刃のリュードブッカーを構えたルーナは、呆けたままの慧音の胸部に一突きを放った。慧音に攻撃が当たった瞬間、光刃の周囲に5つの幻影の刃が出現し、慧音の胸部を連続で刺突する。

 

慧音「うぐあぁっっ!!」

 

雷雨のように襲いくる痛みに絶叫する慧音は大きく後ろに吹き飛び、力なく倒れ込む。その慧音と入れ替わりになるように、無双セイバーを支えに立ち上がった妖夢は、ルーナに特攻する。

 

妖夢「慧音さんっ...!はぁぁぁっ!!」

ルーナ「未熟者が振るう名刀は、達人の振るうなまくらにも劣る。冥界の庭師に甘んじているようでは、貴女の伸びしろも底が知れていますね...」

 

妖夢が振り抜いた無双セイバーをかわしたルーナは、エネルギーの残留していたリュードブッカーでその背を斬りつける。前のめりに倒れた妖夢を見下し、余裕をひけらかすルーナは鼻で笑う。息を荒くしながらも立ち上がった二人は、それぞれ真っ直ぐにルーナを見つめる。

 

妖夢「ぐぅっ...!なら、見せてあげます...私の全力っ!!」

慧音「お前には聞きたいことができた...合わせるぞ、妖夢!」

妖夢「はいっ!」

 

『ソイヤッ!パインスカッシュ!』

『Excced Charge』

 

それぞれカッティングブレードとファイズフォンを操作した二人は、息を合わせてルーナに向かう。勢いよい飛び上がった妖夢は"無頼キック"を放ち、拳を固めた慧音は再び"グランインパクト"を放つ。二人に挟撃されるようになったルーナは、一枚のカードをドライバーに差し込んで操作した。

 

『アタックライド...クロックアップ!』

 

サイドバックルが押し込まれたディリュードライバーの前に、"ZECT"というロゴの入ったシンボルが表示された瞬間、ルーナの姿が忽然と消える。一瞬の内に目標を見失った二人は愕然とするが、その刹那──

 

妖夢・慧音「「...ぐぁぁぁっ!?」」

 

──荒れ狂った嵐に飲み込まれたかのように、怒涛の斬撃が二人の全身を襲った。ほんの数秒の内に数え切れないほどの攻撃を受けた二人は、自らの意志とは関係なく変身が解除され、大きく吹き飛ばされてしまった...

 

 

 

アンブレラ「はぁっ...はぁっ...!なんなんだ、いったい...」

 

一方、ルーナが慧音と妖夢を攻め立てている隙に逃げ出したアンブレライマジンは、息を上げながら青龍の里をふらふらと歩く。そんなアンブレライマジンの前に、駆けつけた聖と良太郎が立ちふさがった。

 

聖「見つけましたよ、イマジンッ!」

良太郎「君には悪いけど、逃がさないから。」

アンブレラ「あぁん!?」

 

毅然と言い放った良太郎とシンクロした聖は、デンオウベルトを巻いてライダーパスを構える。

 

聖・良太郎「「変身。」」

 

重なり合う声と共にパスをセタッチした聖はプラットフォームへと変身し、アンブレライマジンに突撃する。猛進の勢いが乗った拳撃に見舞われたアンブレライマジンは、大きくよろめきながらもブレードを構えて応戦しようとするが、妖夢と慧音との戦闘で消耗していたアンブレライマジンは、一方的に聖に追い込まれる。吹き飛ばされたアンブレライマジンは、悔しそうに地面を殴りつけた。

 

アンブレラ「うぅ...ちくしょうっ...!」

聖「これで終わりです...っ!?」

 

聖がトドメを刺そうと脚を上げた瞬間、ルーナに吹き飛ばされた二人が、近くに転がった。聖がそれに気を取られた瞬間、聖の眼前に現れたルーナがリュードブッカーで聖を幾度となく切り裂いた。

 

聖「なっ...!?きゃあぁぁぁっ!!」

 

攻撃面は聖のポテンシャルでカバー出来ても、防御力はそうもいかない。プラットフォームの軟い防御力でルーナの攻撃を受けてしまった聖は、妖夢たちと同じように吹き飛ばされ、変身が解除されてしまった。シンクロも解除されて倒れ込む聖たち6人を、冷ややかに眺めるルーナは、一つため息をついた。

 

ルーナ「弱い...この程度では、蒼くんの望みを叶えることが出来ない...!」

聖「貴女...!そのイマジンを庇うつもりですか!?貴女たちの目的は、一体何なんです!?」

ルーナ「あなた如きに教える必要はありませんよ。さぁ、早く行きなさい...」

 

ルーナに急かされたアンブレライマジンは、困惑しながらも飛びさろうとしたが、その目の端に一つの小さな影が映る。妖夢が吹き飛ばされた際にぶつかったことで崩れてしまった物陰に、赤い縁の眼鏡をかけた少年が隠れていたのだ。

 

アンブレラ「ろくな目に合わなかったが...手ぶらじゃあなくなったなァ!」

少年「ひっ...!?」

 

アンブレライマジンに目を付けられてしまった少年は、強張った表情で後ずさりする。ニタリと猟奇的に笑ったアンブレライマジンは、胸部の一つ目の下を大きく開け、その中に忍ばせていた長い舌を露わにすると、少年を目掛けて伸ばした。

 

妖夢「あ、危ないっ!!」

 

その近くに居合わせた妖夢は傷ついた身体を引きずり起こし、自分を盾にして少年を庇う。アンブレライマジンの長い舌は、締め付けるように妖夢を絡め取り、生暖かい唾液にまみれた舌に全身を包まれた妖夢は、顔を真っ青にして身体を強ばらせた。

 

妖夢「ふひゅぅっ...!?」

 

おかしなな悲鳴を上げた妖夢は舌に引っ張られて空にうち上がり、大きく開いたアンブレライマジンの第二の口に手繰り寄せられていく。

 

妖夢「ひぃぃぃぃ!?無理っ!無理ぃぃぃぃ!いぃぃぃやぁぁぁぁぁ...」

 

咄嗟に少年を庇ったものの、お化けや不気味なものが苦手な妖夢はジタバタと暴れて抵抗しようとしたが、それも虚しく妖夢は頭から丸呑みにされてしまったのだった。

 

アンブレラ「チッ!なんでコイツが...まぁ、"エサ"としては申し分ないか...!さっさと帰らせてもらうぞ!」

紘汰「妖夢...妖夢っ!」

 

妖夢を捕食したアンブレライマジンは、不満をたれながらも高速回転して飛行を開始すると、妖怪の山の方角へと飛び去って行く。そこに一足遅く到着したモモタロスたちは、その姿を見て地団駄を踏んだ。

 

モモタロス「あーっ!あの傘野郎、逃げやがった!おい、待ちやがれ~!!」

幸太郎「くそっ、テディが居れば撃ち落とせるのに...!」

ルーナ「あの獣め、余計な真似を...まぁ、いいでしょう。」

 

ため息をついたルーナは、ディリュードライバーを操作して変身を解除し、メイド服についた砂ぼこりを払う。身嗜みを整えたルーナは穏やかな笑顔に戻り、足早に踵を返す。

 

ルーナ「さ~て、帰ったら晩ご飯の仕度をしなくっちゃ♪」

 

ご機嫌にステップを踏みながら立ち去るルーナは、青い光を放ってその場から姿を消した。傷を負ったまま倒れている聖に気づいたハナたちは、慌ててそばに駆け寄る。

 

ハナ「聖さん!大丈夫ですか!?」

聖「私は、大丈夫です...他のみなさんを助けてあげて下さい。一輪たちも、手を貸してあげて下さいね。」

 

少しよろめきながらも立ち上がった聖は、腕の切り傷から流れる血を手で抑え、ハナに続いて駆け寄って来た一輪たちに微笑みかける。

 

一輪「は、はい、わかりました!」

響子「う~ん...」

一輪「響子?」

 

一輪は一瞬心配そうな顔をしたものの、聖の思いに返事をして頷いた。だが、響子は腕を組んでうなり声を上げながら固まっている。一輪がその顔を覗き込もうとした時、「ああっ!!」という響子の絶叫が里にこだました。

 

一輪「ひゃあっ!?きゅ、急に大きな声を出さないで下さい、響子!何事ですか!?」

響子「思い出したの、あの怪物の姿!"小傘"の傘にそっくりなんだ!」

 

響子の言葉を聞いた聖と一輪は、ハッとした表情を浮かべる。だが、誰のことを言っているのか分からないハナは、響子に小傘という人物について尋ねる。

 

ハナ「ねぇ響子ちゃん、その小傘ちゃんってどんな人なの?」

響子「う~んと...驚かせるのが下手な、唐傘お化けだよ。その小傘が持ってる傘に、あの怪物はそっくりなんだ!」

一輪「ほら、響子!皆さんを助けに行きますよ!」

響子「はーい!」

 

急かされた響子は、一輪に連れ立って慧音たちの元へ駆けていった。響子の話を真剣な眼差しで聴いていたハナは、少しの間考え込むような仕草を見せた後、ゆっくりと聖に向き直った。

 

ハナ「聖さんはもう知ってると思いますけど、イマジンは取り憑いた相手のイメージを借りて実体化します。取り憑いた相手が人間だった時は、童話や昔話がイメージの元になってましたけど...その相手が妖怪だったとしたら、自分自身がイメージの元になることも有り得るかも...」

聖「なるほど...あのイマジンの契約者は、小傘だと考えていいかも知れませんね。でも、肝心の小傘は一体どこに...?」

 

二人は小傘の居場所まで探ろうと思案するが、如何せん情報が少なく、そこで話が詰まってしまった。聖はうつむき加減な顔を上げ、ハナに困ったような笑顔を向けて話しかける。

 

聖「仕方がありませんね...どのみち、この惨状を放置する訳にもいきませんし、私たちも皆さんをお手伝いしましょう。」

ハナ「そうですね...じゃあ、後でみんなも集めて、改めて話しましょうか。」

 

聖と彼女に同意したハナは、それぞれに負傷者の元に向かうのだった。

 

【To Be Continued...】




第15話(3)、読んでいただきありがとうございます!丸飲みにされた妖夢の運命や如何に...!?ちなみに、妖夢が庇った少年は次回も登場しますよ!適当なモブではありませんので、お楽しみに!次回、遂にモモタロスと聖が...!の、予定。

それでは、チャオ~!
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