それでは、第15話のパート4、どうぞ!
ハナと解散した聖は、傷だらけで倒れている慧音のそばに駆け寄る。聖の顔を見上げた慧音は、怪訝そうな表情浮かべた。命蓮寺は基本的に中立の立場ではあるが、どちらかといえば妖怪側に属する勢力で、それ故に人里に降りることは滅多にない。慧音が怪訝な表情をするのは必然という事だ。
慧音「あなたは、命蓮寺の...なぜ、人里に...?」
聖「先程の異形がこの里に現れたという噂を聞きつけ、追ってきたのですが...あの少女の介入で、取り逃してしまいましたね...」
慧音「そうか...面目ない。本来、この里を守るのは私の役目だというのに...」
そう言って唇を噛んだ慧音は、深々と頭を下げる。巧たちも幸太郎たちの肩を借りて立ち上がった頃、一行の佇む通りの近くに気の優しそうな青年が現れた。
青年「おーい!流麗!聞こえたら、返事して!」
少年「あ...光来さん...」
大きな声で呼びかける青年──
慧音「光来殿...!なぜここに...?」
光来「け、慧音先生!ど、どうしたんですか、その怪我っ!?というか、いい加減に"殿"って呼ぶのやめてくださいよ...僕は先生の教え子なんですから。」
恥ずかしそうに微笑した光来に見覚えのない聖は、慧音に彼の素性を尋ねる。
聖「え~っと、こちらの方は...?」
慧音「あぁ...青龍の里の長である泰翁殿のご子息が一人...氷戸羽光来殿。祭事や行事など、里興しのために尽力してくれている方だ。」
光来「むっ、またよそよそしく...!まぁ、いいです。」
少しふてくされたようにため息をついた光来は、きょろきょろと辺りを見渡して流麗を見つけると、小さくなっている彼に歩み寄った。
光来「流麗、無事だったんだね...良かった。だめじゃないか、こんな危ないことしたら!」
流麗「で、でも...僕を庇ったせいで、紅蓮が...!」
目尻に涙をいっぱいに溜めて、流麗は必死に訴えかける。今にも泣き出しそうなその表情には、友人を犠牲にした悲しみ、化け物に襲われた恐怖、無力な自分への悔しさが滲み出ていた。そんな光来を目の当たりにした聖は、穏やかな瞳を静かに揺らす。その時、紘汰の叫び声が聖たちの元に聞こえてきた。
紘汰「おい、離せ!離せよっ!アイツを追わなきゃ...ぐぅっ!」
響子「ちょっ、落ち着きなよ!追うったって、その怪我じゃ無茶でしょ...!」
紘汰「無茶でもなんでも、じっとしてられないんだよ!このまま諦めたら、妖夢にも、幽々子さんにも、顔向け出来ないッ...!!」
怪我をおしてアンブレライマジンを追いかけようとする紘汰を介抱していた響子は、彼を必死で引き止めるが、パートナーを目の前で喰われてしまった紘汰は響子を振り払おうともがいている。その想いを感じ取った聖は、皆に向けて告げた。
聖「...イマジンを追いましょう。今すぐに。」
響子「聖様、本気なの...!?聖様だって、怪我してるのに...しかも、あのイマジンがどこに行ったか分からないんでしょ...?」
聖の言葉を聞き、心配そうに問いかける響子に、聖はゆっくりと首を横に振った。
聖「それでも、やらなければならない。それだけは、はっきりと分かりました。」
モモタロス「お前...へへっ、おかしなとこだけ良太郎に似てやがるな...」
迷いなど微塵もない聖の決意を目の当たりにしたモモタロスは、どこか嬉しそうに笑い、小さな声で呟いた。しかし、アンブレライマジンの足跡が分からないのは紛れもない事実。その場の全員が思案し始めた時、空を仰いだ紘汰が口を開いた。
紘汰「どうやら、道は開けたみたいだぜ...!」
妖夢「きゃぁっ...!?」
妖怪の山の中、小傘が住処としている廃屋に降り立ったアンブレライマジンは、その腹の口から妖夢を吐き出した。軋む床の上に打ち付けられた妖夢は、粘つく唾液に塗れて思うように動くことが出来ない。廃屋の中には、先に攫われた子どもたちが同じように拘束されている。
アンブレラ「ケッハハァ!そろそろ仕上げといくかぁっ!!」
小傘「もう止めて!わちき、こんなこと望んでないよ...!」
ブレードを舌でなめ、狂った歓声を上げたアンブレライマジンに、皆と同じように拘束されている小傘は声を荒げる。
アンブレラ「あぁ?てめぇが、"子供を脅かしたい"っていうから、俺が代わりにビビらせてやってんだろぉ?今から、たぁ〜っぷりガキ共の悲鳴を聞かせてやるから、静かに待ってろや!ケハハッ!」
小傘「そ、そんな...」
アンブレラ「さて、誰から殺してやろうかな〜?」
悲壮な面持ちでうなだれる小傘を尻目に、アンブレライマジンは子供たちの首にブレードの切っ先を向けて、怯える悲鳴に愉しそうに笑う。他の子どもが震え上がる中、燃え上がる炎のような赤髪の少年が声を上げた。
少年「おい、やめろ!このバケモノっ!」
アンブレラ「あぁん!?またてめぇか!その反抗的な態度...気に入らねぇんだよ!よし決めた、お前から黙らしてやる...死ねぇっ!!」
刃を向けられようとも、怯えずに噛み付いてくる少年に腹を立てたアンブレライマジンは、彼に向けて思い切りブレードを振り下ろす。その瞬間──
モモタロス「黙るのはてめぇの方だ!」
アンブレラ「なにぃ...!?ま、まさか...!」
──モモタロスの怒号と共に、キィーンという金属音が響いた。その音に気を取られたアンブレライマジンは、ブレードが少年に触れる寸前で手を止める。
モモタロス「あ、あれっ...?やべっ、刺さっちまった!抜けねぇ、抜けねぇ!?」
聖「もうっ、何やってるんですか!はぁっ!!」
もたつくモモタロスに痺れを切らした聖が廃屋の壁を蹴破り、廃屋の中へと乗り込む。勢いよく飛び込んだモモタロスが、足元の唾液に足を取られてすっ転んでいる間に、聖はアンブレライマジンを睨みつけた。
アンブレラ「な、なんでこの場所が分かった!?」
紘汰「妖夢が...いや、"幼夢"が案内してくれたんだ!喰った相手が悪かったな、バケガサ野郎ッ!」
妖夢「紘汰さぁ〜ん...!」
最後の足掻きで放った半霊に気づいてくれた紘汰に、妖夢は涙目になって感激する。しかし、隠れ家を特定されたアンブレライマジンは、明らかな動揺を見せる。
アンブレラ「チッ!本当にしつこい奴らだなぁ...!これ以上、付き合ってられるか...!もう充分に悲鳴は聞かせた!契約完了だ!!」
小傘「う、あっ...!?」
追い詰められたアンブレライマジンは、契約者である小傘に手をかざし、小傘の身体に緑の裂け目を開く。アンブレライマジンは、逃げ込むようにその裂け目へと飛び込んだ。すると、すぐに裂け目は閉じ、アンブレライマジンに入り込まれた小傘は虚ろな瞳でうなだれる。
モモタロス「あの野郎!過去へ飛びやがった!!」
聖「過去に...?」
良太郎「イマジンは、契約者の願いを叶える代わりに、契約者の記憶を辿って過去に行くんです...早く追わないと!」
そう告げた良太郎は、取り出した一枚のチケットを小傘にかざすと、チケットの表面にアンブレライマジンの姿と、2012.09.02という日付が浮かび上がる。しゃがんで小傘の目線に合わせた良太郎は、チケットを小傘に示した。
良太郎「6年前の9月2日...この日付に記憶は?」
その問いを聞いた小傘は、ぼぉっと遠くを見つめながら、途切れ途切れに語り始めた。
小傘「忘れられないよ...その頃わちきは、人里の男の子と...よく遊んでた。す~ごく怖がりな子でね...その子だけは、わちきにビックリしてくれたんだ...その日も、少し脅かしちゃおうって、わちきが草むらから飛び出して...驚いたその子は、逃げた先で、怪物に...殺されたんだよ...!それ以来、誰かを脅かそうとする度にその光景が頭をよぎって、わちきは上手く脅かすことが出来なくなった...わちきが...わちきがあの子を殺したんだ...」
良太郎「...行こう、聖さん。」
脳裏に焼き付く記憶に涙を流す小傘を見つめた良太郎は、揺るぎない想いを胸に立ち上がると、チケットを聖に差し出す。同じ想いを燃やした聖は、小さく頷いてチケットを手にする。
聖「紘汰さん、子どもたちと妖夢をお願いします。」
紘汰「あぁ!あんたたちは、アイツを追ってくれ!流麗の分、ガツンとぶつけてきてくれよ!」
妖夢「私の分もお願いします...本当に気持ち悪くて、今日は眠れる気がしませんもん...!」
モモタロス「へっ!言われるまでもねぇ!俺たちのクライマックスはここからだぜ!」
紘汰と妖夢の激励を受け取り、聖、良太郎、モモタロス、一輪、幸太郎、ハナ、ジークの7人は廃屋から飛び出した。廃屋の前でライダーパスを取り出して開いた聖は、その中にチケットを滑り込ませる。しかし、そこで良太郎は一つの問題に気づいた。
良太郎「あっ...!まずい...デンライナー、壊れたままじゃ...!?」
モモタロス「あぁ!そうだった!?やっべぇ、どうすんだよ!?」
時を超える唯一の手段、デンライナーが墜落の衝撃で壊れたままなのだ。デンライナーが動かない以上、イマジンを追いかけることは出来ない。モモタロスが慌てて騒ぎ出す中、良太郎の脳内にキザな声が響いた。
ウラタロス「(心配いらないよ、良太郎!)」
キンタロス「(俺らが何もせんで、寝てると思ったか?)」
リュウタロス「(えー!?熊ちゃんは寝てたでしょー!カッパちゃんのお陰で、デンライナーはバッチリ直ってるよ、良太郎!)」
良太郎「カッパちゃん...?」
リュウタロスの声を聞いた良太郎が、カッパちゃんという耳慣れない言葉に首を傾げた時、明朗な声が妖怪の森に響き渡った。
「悪いが、アンタらはここで足止めだ!」
「あなた達を、過去には行かせません...」
その声に気を取られた聖たちの前に、アンブレライマジンに反抗した少年と似た、燃え盛る炎のような赤髪を持つ男と、漆黒の双翼を持つ少女が立ちふさがる。
聖「あなた方は...!?」
紅蓮「俺は、
一輪「タイム・トラベラーズ...!つまり、敵ということですね...!」
紅蓮が熱く名乗りを上げたことで、二人がタイムトラベラーズの一員だと知った聖たちは、咄嗟にそれぞれのベルトを取り出して装着する。臨戦態勢に入った聖と一輪を前に、紅蓮は不敵な笑みを浮かべた。
紅蓮「ま、そうなるよなぁ...いいぜ、相手してやる!行こうぜ、"ミライ"!」
ミライ「うん。あんまり戦いたくはないけど...仕方ないね。」
顔を見合わせた紅蓮とミライは、それぞれ腕時計のような"ジクウドライバー"と、スピードメーターを模した"ドライブドライバー"を取り出し、腰に装着する。そして、紅蓮は腕のホルダーから懐中時計のような見た目のデバイス──"ゲイツライドウォッチ"を手に取って起動し、ミライは木の間を縫って飛来したミニカー──"シフトネクストスピード"をキャッチして変形する。
『ゲイツ!』
紅蓮は起動したゲイツライドウォッチをドライバーの右側に装填し、ドライバーの天面スイッチを押してロックを解除すると、両腕を大きく回してドライバーの両側を掴む。ミライはドライバーのイグニッションキーを捻り、レバー形状にしたシフトネクストスピードを、腕に巻いた"シフトブレス"のレーンに装填する。
紅蓮・ミライ「変身っ!」
『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』
『Drive!Type NEXT SPEEDE!』
紅蓮がジクウドライバーを勢いよく回転させると、背後に出現したオブジェクトから鋭い「らいだー」の文字が射出され、赤い服に黄色のラインが入った服装に変身した紅蓮の額に装着される。ミライがシフトブレスに入ったシフトネクストスピードを傾けると、身体の一部にポリゴン形状の黒い鎧が装着され、服には水色のラインが走る。最後に、どこからともなく飛んできた"ネクストスピードタイヤ"が肩掛けにはまり、紅蓮とミライは"ゲイツ"と"ダークドライブ"の力を受け継いだ姿に変身した。
紅蓮「紅蓮の炎...止めてみなッ!」
ミライ「Start our mission...!」
変身を果たした紅蓮とミライは、「おの」と刻まれた斧状の武器──"ジカンザックス"と、黒い銃剣──"ガンナーブレード"をそれぞれ構える。ゆっくりとベルトの赤いスイッチに手を添えた聖は、モモタロスに目を向けた。
聖「モモタロスさん...力を貸して下さい。」
モモタロス「...しゃーねぇな!だが、"さん"って付けるの止めろ!なんか、こう、ムズムズすんだよ!」
聖「ふふっ...分かりました。行きますよ、モモタロス!良太郎さん!」
モモタロス「おうっ!」
良太郎「うん...!」
聖が赤いスイッチを押すと同時に、良太郎は聖にシンクロし、モモタロスは聖に憑依する。それによって瞳が赤く染まった聖は、独特なメロディーと共にパスを構える。幸太郎とシンクロを果たした一輪も同じくパスを構え、二人は肩を並べて叫ぶ。
聖・一輪「「変身っ!」」
『SWORD FORM』
『STRIKE FROM』
ライダーパスをバックルにセタッチした聖は、プラットフォームの姿に変身し、その上から赤いオーラアーマーを装着する。額のレールを辿って流れてきた桃の装飾が2つに分かれ、兜のように変化した聖は、"ソードフォー厶"へと変身を果たした。
モモタロス「俺、参上ッ!!...くぅ~!ようやく決まったぜぇっ!!」
聖「(えっ...?それ、なんですか...?)」
良太郎「(モモタロス流の挨拶...みたいな感じです。)」
一輪「ひ、聖様...?」
幸太郎「あぁ...それ、中身モモタロスだから、気にしない方がいいよ。」
一輪「は、はぁ...」
聖の体の主導権を譲り受けたモモタロスは、全力で左手を前に出して右手を伸ばす決めポーズと、十八番の決め台詞を披露し、満足げにガッツポーズをかましているが、一輪は大きく変貌した聖にやりづらさを隠せないでいる。そんな中、修復されたデンライナーが空中にレールを走らせ、廃屋の近くに姿を表した。
テディ「幸太郎~っ!」
幸太郎「テ、テディ!?」
マチェーテディに変形したテディはデンライナーから飛び降り、紅蓮を目掛けて回転しながら降下するが、紅蓮はジカンザックスで軽々と弾き飛ばす。飛ばされたテディを上手くキャッチした一輪は、エネルギー弾を地面に向けて撃ち出し、土煙を起こすことで目くらましをする。
紅蓮「うおっ!?」
一輪「今です、聖様!イマジンを追って下さい!」
幸太郎「こいつらは、俺たちが引き受ける!」
モモタロス「...分かった、頼んだぜ!」
一輪と幸太郎に紅蓮たちを任せたM聖は、デンライナーの先頭車両のコックピットに飛び乗る。デンライナーの操縦席であるバイク──"マシンデンバード"に跨がったM聖は、ハンドルの中心に備えられたソケットに、ライダーパスを差し込む。すると、デンライナーがチケットから日付を読み取り、モモタロスはマシンデンバードのスロットルを捻って、タイムホールへと飛び込んでいった。
幸太郎「残念だけど、じいちゃんたちの邪魔はさせないよ。」
一輪「私たちが、お相手しましょう。」
紅蓮「へぇ、随分な自信だな!なら、お手並み拝見と行こうか?」
それぞれの武器で土煙を振り払った紅蓮とミライは、マチェーテディを構えて迎撃の態勢を取る一輪に迫る...
〜2012年 9月2日〜
小傘「...ばぁ〜っ!!」
少年「うっ、うぎゃぁ〜っ!?」
空のすべてが厚い雲に覆われていた日。その手に持った傘を広げ、草かげから飛び出して来た小傘に驚いた少年は、勢いよく尻もちをつくや否や、一目散に逃げ出す。
小傘「えっへへ〜!大成功〜!おーい、待って〜...うっ!?」
イタズラが成功して満足げだった小傘の満面の笑みは、一瞬で消え去った。全身から砂が吹き出し、こぼれ落ちた砂がアンブレライマジンへと姿を変えると同時に、小傘は魂が抜けたように気を失い、倒れ込む。
アンブレラ「へへっ...!ようやく過去にたどり着いたぜぇ...!なにもかも、ぶち殺してやるッ!!」
実体化したアンブレライマジンは歓声を上げると、逃げた少年を追って走り出す。やがて、息を切らして立ち止まった少年に追いついたアンブレライマジンは、気が狂ったように嗤った。
少年「ひぃっ...!?ば、バケモノ...!?」
アンブレラ「ギャハハハッ!今まで、散々邪魔されたからなぁ...お楽しみはここからだぜぇっ!!」
少年「うっ、うわぁぁぁっ!?」
突如現れた異形に怯え、また尻もちをついてしまった少年は、自身に振り下ろされるブレードの恐怖に叫び声を上げる。その瞬間、この時間にたどり着いたデンライナーからマシンデンバードごと飛び出したM聖が、その車体でアンブレライマジンを引き飛ばした。
モモタロス「させるか、この野郎!」
アンブレラ「てめぇ...!追って来やがったのか!?ここからがお楽しみだってぇのにィ!!」
モモタロス「ハッ!ちげぇな!」
マシンデンバードを止め、怒り狂うアンブレライマジンと対峙したM聖は、両腰に提げている4つのパーツ──"デンガッシャー"を組み合わせ、赤い刃を持つソードモードへと変形させる。
モモタロス「いいか?俺は最初っからクライマックスなんだ!てめぇの悪趣味なお楽しみなんて、出る幕ねぇんだよ!」
アンブレラ「黙れぇッ!もういい加減にうんざりだ...決着をつけてやる!!」
とうとう怒りを堪えきれなくなったアンブレライマジンは、2本のブレードをめちゃくちゃに振り回してM聖に襲いかかる。しかし、M聖はデンガッシャーでブレードを防ぎ、アンブレライマジンが反動でよろけた隙を起点に猛攻を開始する。荒々しい太刀筋でデンガッシャーを振るい、頭突きや蹴りを織り交ぜたモモタロス特有のファイトスタイルに、アンブレライマジンは徐々に追い詰められていく。
モモタロス「どうした、口ほどにもねぇな!」
アンブレラ「...チィッ、これでどうだっ!!」
モモタロス「バーカ、同じ手に何度もかかるかよ!」
劣性に陥ったアンブレライマジンは胸部の瞳からビームを乱射するが、既にその技を見切っていたM聖は、大きく移動しながらビームを躱し、止めて置いたマシンデンバードに飛び乗る。間髪を入れずにマシンデンバードを急発進させたM聖は、手早くライダーパスをバックルにセタッチした。
『FULL CHARGE』
モモタロス「必殺!俺の必殺技...」
バックルから放出されたフリーエネルギーが、デンガッシャーの刃に蓄積され、赤く眩い光を放つ。フリーエネルギーがフルチャージされたデンガッシャーを手に、M聖はマシンデンバードを巧みに操り、アンブレライマジンに向かって加速する。
モモタロス「...ライディングバージョンッ!!」
アンブレラ「グォアァァァッ...!?」
力強く叫んだM聖はすれ違いざまにデンガッシャーを振り抜き、アンブレライマジンの腹部を鋭く一閃する。横一文字の残光を腹部に残したアンブレライマジンは、うめき声を上げながらゆっくりと倒れ込み──
アンブレラ「ガァァァッ!!」
──壮絶な断末魔を伴って爆散した。ブレーキをかけてマシンデンバードを停めたM聖は、ニヤリと口角を上げる。
モモタロス「へへっ、決まったぜ...!」
聖「モモタロス、お見事ですね...なかなか、かっこよかったですよ?」
モモタロス「おぉっ...だよなぁ!俺、かっこいいよなぁ!?いやぁ、お前、けっこう話の分かるやつじゃねぇか!」
聖にかっこいいと持ち上げられ、モモタロスはあからさまにご機嫌になる。浮かれ気分でマシンデンバードを降りたM聖は、怯えたまま腰を抜かしている少年に歩み寄った。
モモタロス「おい、大丈夫かボウズ?」
少年「は、はい...!あの、お姉さんは...?」
聖「...ッ!?」
差し伸べられたM聖の手を握り、少年が立ち上がった瞬間、彼の背後でアンブレライマジンとまた別の異形が蠢いた。その異形の存在に唯一気がついた聖は、"自分自身の意志"で少年を庇うように覆いかぶさる。
バット「はっ!!」
聖「ぐぅっ...!」
襲いかかってきた異形──"バットイマジン"の鉤爪を背中で受け止めた聖は、バックルにライダーパスをセタッチして右の掌にフリーエネルギーを纏わせる。
バット「な、なにっ!?」
聖「聖拳奥義...壱の型ッ!」
左腕で鉤爪を振り払った聖は、フリーエネルギーを纏った掌底をバットイマジンに打ちこみ、腹部に大技を叩き込まれたバットイマジンは、空中で爆砕した。急襲を凌いでホッとため息をついた聖は、自らの意志で動く身体に違和感を覚える。
聖「あら...?この姿のまま、私が闘うことも出来るんですね...」
モモタロス「おいっ、主役は俺だろうが!?さっさと返せ!」
良太郎「(モモタロス...聖さんの身体は聖さんのでしょ?)」
少年「(この人...こ、怖い!)」
急に口調が変わった聖に、ただでさえ怖がりな少年はガタガタとあごを鳴らす。そんなことはつゆ知らず、聖は一人、思考を巡らせる。
聖「なぜ、もう一体イマジンが...?まさか、この時間は...!?」
小傘(「驚いたその子は、逃げた先で、"怪物"に...殺されたんだよ...!」)
小傘の記憶の6年前には、アンブレライマジンは居ない。ならば、少年を殺した怪物は他にいたということになる。それが、先程のバットイマジンだったとしたら...幻想郷に怪人が現れたのは、歴史上でたったの一度。そのことに気づいた聖は、静かに呟く。
聖「"異怪の大乱"...!」
その瞬間、目をくらませるほどの落雷が起こり、バケツをひっくり返したかのような、土砂降りの雨になる。激しい雨に濡れながら愕然とする聖の左肩に、ピンクのエネルギー弾が炸裂した。
聖「きゃあっ!?」
少年「おっ、お姉さんっ!!」
肩アーマーから火花を散らして倒れる聖に少年は駆け寄るが、言葉では言い表せない悪寒を感じた聖は、彼の手を振り払って立ち上がる。
聖「ここから逃げて、安全な場所に隠れなさい!早くっ!!」
少年「えっ...う、うんっ!」
第一に少年を逃した聖は、銃弾が飛来した方向を冷たく睨みつける。そこに姿を表したのは──
蒼「ふぅん...シンクロと憑依が同時に行われている影響で、聖とモモタロスの意識が混濁してるみたいだね。」
──ジュウモードのジカンギレードの銃口を聖に向けながら、穏やかに笑う蒼だった。彼らの行動に翻弄された聖は、張り付いたような笑顔を崩さない蒼に、その真意を問う。
聖「どういうつもりですか...?私たちを助けたり、デンライナーをジャックしたり、イマジンを倒す妨害をしたり...あなたたちタイム・トラベラーズは、いったい何が目的なんですか!?」
雷雨の中、聖の叫びが響く。数刻の沈黙の後、蒼は「ふふっ...」と静かに笑い声を上げ、高らかに告げた。
蒼「...僕たちは、この世界の終焉を望む者。この幻想郷を打ち壊す者さ!」
聖「幻想郷を...!?」
ピシャリと落ちた雷光に、蒼の笑顔が照らし出される。蒼の野望に動揺する聖は、その変わらぬ笑顔に戦慄すら覚えた。聖の前で仁王立ちする蒼は、懐から紅蓮と同じ"ジクウドライバー"を取り出し、腰に装着する。
蒼「そして、僕はタイム・トラベラーズのリーダーであり..."時の王者"だ。」
そう宣言した蒼は、取り出したジオウライドウォッチのカバーを回転させ、天面のスイッチを押す。
『ジオウ!』
起動したジオウウォッチをドライバーの右側に滑り込ませた蒼は、ドライバーのロックを解除して両腕を大きく横に回す。顔の横に持ってきた左手を素早くスナップさせた蒼は、高らかに叫ぶ。
「変身ッ!」
『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』
蒼が左手でドライバーを回転させると、白を基調としていた服装が黒へと反転して所々にピンクのラインが走り、首から下に銀色のバンドが装着される。背後に発生したオブジェクトから放たれた、ピンク色の「ライダー」の文字を額に受けた蒼は、時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者──その名も"仮面ライダージオウ"の力を受け継いだ姿へと変身したのだった。
蒼「さ〜て、始めよっか?」
過去と現在。2つの時間の中で、タイム・トラベラーズの実力者たちとの戦いが始まった...
【To Be Continued...】
15話パート4の閲覧、ありがとうございます!
ついに動き出したタイム・トラベラーズ!ジオウの力を我が物とする蒼の実力や如何に!?さらに、オリジン・ヒストリアの主人公である紅蓮が、なぜタイム・トラベラーズの一員となっているのか!?本編、外伝、両方から楽しんで頂ければと思います!
それでは、チャオ~!