〜2012年 9月2日〜
ジオウの姿に変身した蒼は、数発の威嚇射撃を行ってからジカンギレードの銃身を回転させる。
『ケン!』
ジカンギレードを時計の針を模した"ケンモード"に切り替え、斬りかかってきた蒼に対し、聖もデンガッシャーで応戦する。激しい鍔迫り合いの中、蒼は静かに囁く。
蒼「君たちがこの時間にいると、何かと都合が悪いんだ...だから、消えてもらうよ。」
聖「この時間...!?あなたたちは、異怪の大乱に関係しているんですか!?」
蒼「さぁ、どうだろうね?ちょっとベタだけど、僕に勝ったら教えてあげるよ、っと!」
聖「きゃっ!」
飄々と聖を押しのけた蒼は、腕に巻き付いている"ライドウォッチホルダー"から、"電王ライドウォッチ"を取り外して起動する。
蒼「まっ、今の君たちじゃあ、無理だけどね。」
『電王!』
良太郎「(電王...!?)」
不敵に笑う蒼は、起動した電王ライドウォッチをドライバーの左側に滑り込ませ、ドライバーのロックを解除すると、素早くドライバーを回転させる。
『ライダータイム!仮面ライダージオウ!アーマータイム!《SWORD FORM》電王!』
すると、ドライバーのディスプレイからピンク色の「デンオウ」の文字が射出され、蒼の前に電王を象った鎧が形成される。その鎧に蒼が触れると、鎧はいくつかのパーツに分かれて弾け飛び、蒼の身体に装着されていく。そして、「ライダー」の文字と入れ替わるように、「デンオウ」の文字が額に装着される。デンライナー型の肩アーマーが特徴的な"電王アーマー"に変身を遂げた蒼は、モモタロスの決めポーズを真似てみせる。
蒼「僕、参上っ!なんてね!」
〜2018年 4月20日、現在〜
一輪「きゃぁっ!?」
一方、紅蓮とミライを一手に引き受けた一輪は、圧倒的な劣勢を強いられていた。大きく吹き飛ばされ、坂道を転がった一輪は、マチェーテディを杖代わりにして立ち上がる。
一輪「くっ...!」
幸太郎「あいつらの強さ...紛れもなく本物だな...!」
苦言を呈する二人の前に、一輪を追ってきた紅蓮とミライが降り立つ。紅蓮はジカンザックスを肩に掛け、余裕を見せつけながら挑発する。
紅蓮「おいおい、もうギブアップか?」
ミライ「諦めて逃げるのなら、見逃しますよ...?」
どこか悲しげな雰囲気を漂わせるミライは、一輪たちを諭すように語りかけるが、そんな言葉で逃げ出すような一輪たちではない。
幸太郎「冗談でしょ!終わってからが本当の戦いなんだ、諦めたりしない!」
一輪「えぇ...!どんな状況でも、諦めなければ未来は変えられるんです!」
その身を奮い立たせた一輪たちは、マチェーテディを構え直し、まっすぐな瞳で、あくまで抗い続けるという意志を体現する。その目を見た紅蓮は嬉しそうな笑みを浮かべ、ライドウォッチホルダーに手を伸ばす。
紅蓮「いいねぇ...!俺も燃えてきたぜ!」
雄叫びを上げた紅蓮は、ホルダーから"ゴーストライドウォッチ"を取り外して起動する。
『ゴースト!』
起動したゴーストウォッチをドライバーの左側に滑り込ませた紅蓮は、ドライバーのロックを解除して回転させる。
『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!アーマータイム!《カイガン!》ゴースト!』
すると、ドライバーのディスプレイから黄色い「ごーすと」の文字が射出され、紅蓮の前にゴーストを模した鎧が形成される。紅蓮がその鎧に拳を叩きつけると、鎧はいくつかのパーツに分かれて弾け飛び、紅蓮の身体に装着されていく。そして、「らいだー」の文字と入れ替わるように、「ごーすと」の文字が額に装着される。紅蓮は、アイコンを模した肩アーマーが特徴的な"ゴーストアーマー"へと変身したのだった。
紅蓮「命、燃やし尽くすぜっ!!」
ミライ「えっ...!?紅蓮、し、死んじゃうの...?」
紅蓮「えっ、いや、死なない!死なないから!そんな泣きそうな顔するな!」
ミライ「ほ、ほんとに...?」
勢いで言った口上にミライはうっすらと涙を浮かべて心配し、紅蓮は慌てて訂正しながらなだめる。急に和やかな雰囲気を醸し出してきた二人に、一輪は困惑しながら戦闘態勢を保つ。少し気まずそうな顔をした紅蓮は、一つ咳払いをした。
紅蓮「さ、さて...改めまして!行くぜっ!」
微妙な空気を振り払うように進撃を始めた紅蓮は、肩のアイコンから喚びだしたオレ、ムサシ、ニュートンのパーカーゴーストと共に襲いかかる。次々と繰り出されるパーカーゴーストの攻撃を捌こうとした一輪だったが、その猛攻にガードが崩れ、間合いを詰めた紅蓮のジカンザックスに切り裂かれる。
一輪「ぐぅっ...!!」
ミライ「はぁっ...!」
『NEXT!SP・SP・SPEEDE!』
さらに、シフトアップして瞬間移動したミライが怯んだ一輪に接近し、高速斬撃を浴びせる。息の合ったコンビネーションアタックに圧倒され、吹き飛ばされた一輪は、木の幹に身体を打ち付ける。
一輪「うぅっ...!!」
紅蓮「まだまだ!あんたらの限界はそんな所じゃない筈だ!」
『You・Me!』
ジカンザックスを"ゆみモード"に変形させた紅蓮は、倒れ込んだ一輪に向けてレバーを引き絞る。発射口に赤い閃光が渦を巻き、紅蓮がレバーを離そうとした瞬間──
妖夢・紘汰「「うぉりゃぁっ!」」
紅蓮「うぉっ!?」
──妖夢と紘汰の飛び蹴りが、紅蓮の背を直撃した。それによってバランスを崩した紅蓮は、前のめりに倒れそうになるが、素早く前転して体勢を整える。着地した妖夢たちは、颯爽と一輪の側に駆けつけた。
妖夢「お待たせしました!魂魄妖夢、推参っ!」
紘汰「子どもたちの拘束は解いて、避難はハナちゃんに任せてきた!こっからは、俺たちみんなのステージだ!」
妖夢・紘汰「「変身っ!」」
『ソイヤッ!オレンジアームズ!花道!オンステージ!!』
紘汰とシンクロした妖夢はオレンジアームズへと変身し、一輪に手を差し伸べる。その手を取って立ち上がった一輪は、大橙丸を構える妖夢と並び立つ。一方、紅蓮に駆け寄ったミライは、心配そうに紅蓮を見つめる。
ミライ「紅蓮、大丈夫?」
紅蓮「あぁ、問題ないさ。ミライ、NEW電王の方は任せる。頼めるよな?」
ミライ「うん...!任せて!」
『NEXT!SP・SP・SPEEDE!』
紅蓮の頼みに頷いたミライは、シフトアップして高速移動で一輪に迫り、反射的にマチェーテディを構えた一輪を、鍔迫り合いの中で前進して妖夢と引き離す。
妖夢「一輪さんっ!」
紅蓮「おっと、あんたの相手はこの俺だ!」
一輪に加勢しようとした妖夢だったが、紅蓮はジカンザックスから放ったエネルギー矢でそれを妨害し、交戦を開始した。
〜2012年 9月2日〜
モモタロス「てめぇ、俺と同じようなカッコしてんじゃねぇ!被るだろうが!おいっ、代われ!」
聖「えっ、ちょっ、モモタロス!?」
モモタロス「行くぜ、行くぜ、行くぜぇ〜!!」
聖から強引に身体の主導権を奪取したモモタロスは、怒りのままに蒼に特攻する。だが、余裕の笑みを崩さない蒼は、その荒々しいデンガッシャーの軌道を先読みし、軽々と躱す。しばらくの間、攻撃をあえて躱し続けていた蒼は、デンガッシャーの刃を人さし指と中指で挟むだけで止めてみせた。
蒼「君の剣は力強くて、勢いがある...でも、その反面に技がない。どれだけ強い攻撃でも、当てられなければ意味がないよ?」
モモタロス「うるせぇ!てめぇに指図される覚えはねぇよ!!」
蒼の言葉に逆上したM聖は彼を蹴り飛ばそうとするが、蒼は小さくバックステップして後退した。蒼からデンガッシャーを奪い返したM聖は、猪突猛進、再び蒼に立ち向かう。
蒼「しょうがない...思い知らせてあげるよ。今の君たちが、どれだけ弱いか...」
今までとは違う、怪しげな笑みを浮かべた蒼は、まるでワープしたかのように、一瞬の内にM聖の背後に移動して、その背を斬りつけた。さらに、蒼は瞬間移動を繰り返して、一切の隙を与えずに何度も斬りつける。大きく横一文字に切り裂かれたM聖は、アーマーから火花を散らして膝から崩れ落ちた。
モモタロス「ぐおぉ...!」
良太郎「(モモタロスっ!)」
聖「くっ...あの瞬間移動は、いったい...!?」
苦しみながらも起き上がるM聖の眼前に出現した蒼は、ドライバーに装填された2つのライドウォッチのスイッチを押して、素早くドライバーを1回転させる。
『フィニッシュタイム!』『電王!』
蒼「必殺!僕の必殺技...」
『俺の!タイムブレーク!』
すると、デンライナー型の肩アーマーが時空から後続車両を伴って空中を走り出し、オリジナルのデンライナーと同じ要領でM聖を砲撃。2つのショルダーデンライナーは、小さいながらも射撃数でM聖を怯ませ、走行した軌跡に走るレールを巻きつけてM聖を束縛する。蒼は、電王ウォッチから放出されたフリーエネルギーを蓄積したジカンギレードを構えて走り出し、すれ違いざまにM聖を一閃した。
蒼「パート100!」
聖「きゃっ...!」
良太郎「うわぁっ!」
モモタロス「うぉっ...!?」
爆発と共に吹き飛ばされた聖は、強制的に変身とシンクロが解除され、良太郎とモモタロスも憑依が途切れて分離してしまった。地面に倒れ込んだ3人を見下ろす蒼は、電王ウォッチを外してジオウの姿に戻る。
蒼「クライマックスのあとには、ピリオドを打つものだよね...」
『ジュウ!』
ジカンギレードをジュウモードに変形させた蒼は、ライドウォッチスロットの上のスイッチを押す。エネルギーチャージを開始したジカンギレードの銃口を、蒼はゆっくりと3人に向けた。
『タイムチャージ!ゴー・ヨン・サン・ニー・イチ...ゼロタイム!』
モモタロス「やべぇっ...!」
カウントダウンが終わりを告げ、蒼は笑顔のままでジカンギレードのトリガーを引く。ジカンギレードの銃口から放たれた、高出力なピンク色のエネルギー弾が3人へと迫ったとき──
蒼「うわっ!」
──蒼と聖たちの間に割り込んだデンライナーがエネルギー弾を遮り、倒れた聖たちを救出して時空の中へと走り去っていった。取り残された蒼は、ドライバーからジオウウォッチを外して変身を解除する。
蒼「君たちは弱い...今はまだ、ね。」
一人で呟いた蒼は、降りしきる雨の中で嵐の空を見上げる。その顔には、今まで崩さなかった笑顔が消え、どこか悲壮さを感じさせる。
蒼「僕は、世界を破滅させる...魔王だ。」
その頬を伝った水滴は、彼の髪を濡らす雨の滴だったのだろうか──
〜2018年 4月20日〜
一輪「はぁッ!」
ミライ「やぁっ!」
刃を打ち付け合った一輪とミライは、衝撃を吸収しながら互いに距離を取る。イグニッションキーを回したミライは、腰のシフトカーホルダーに停まっていた蒼い炎のようなシフトカー──"シフトマックスブレイズ"を手に取り、レバーに変形してシフトブレスに装填すると、それを素早く傾ける。
『タイヤコウカン!マックスブレイズ!』
幸太郎「た、タイヤコウカン?」
すると、ミライの肩にかかっていたネクストスピードタイヤが自動的に排出され、代わりに蒼炎の燃え盛るタイヤ──マックスブレイズタイヤが装着される。"タイプネクストスピード・ブレイズ"にチェンジしたミライは、早々にシフトアップを行う。
『BLA・BLA・BLAZE!』
ミライ「蒼炎のイリュージョン、見せてあげます!」
シフトアップに伴い、燃え上がったマックスブレイズタイヤの蒼炎を自在に操るミライは、空中に無数の蒼炎を散らす。人魂のごとく空中で揺らめく蒼炎は、ミライが一輪に掌を翳すと、一輪にめがけて不規則に襲いかかる。
一輪「くっ...!?数が多過ぎて、捌ききれ...きゃぁっ!」
蒼炎にその身を焼かれ、爆発で吹き飛んだ一輪は地面を転がっていく。倒れ込んでしまった一輪は、再び立ち上がろうとするが、足に力を込めることが出来ない。それも必然だ。シーラルとの戦闘から始まり、アンブレライマジンの追跡、さらには紅蓮とミライを同時に相手取って戦っていた一輪の肉体は、限界を示していたのだ。
一輪「くっぅぁ...」
幸太郎「そんな...一輪っ!」
テディ「大丈夫か!?しっかりするんだ!」
ハナ「一輪さんっ!」
そんな中、子どもたちの避難を終えたハナとジークが一輪たちの近くに駆けつけた。地に付したままの一輪を見たハナは、隣に並ぶジークに怒号を飛ばす。
ハナ「ちょっと、ジーク!あんた、お高い所から眺めてないで助けに行きなさいよ!!」
ジーク「しかし、姫よ...パスがあれど、変身出来なくなってしまったのだろう?ならば、私に出来る最大の手助けは見守ること...家臣たちよ!お前たちの勇姿、私が見届けて...」
ハナ「つべこべ言ってないで、さっさと行きなさいっ!!」
痺れを切らしたハナに突き飛ばされたジークは、その勢いのまま一輪に憑依してしまう。一輪を追ってきたミライは、ガンナーブレードの刀身から蒼炎の斬波を繰り出した。
『WING FORM』
しかし、幸太郎が持つ特殊体質によって、憑依したジークが純白の翼──"ジークウィング"へと変換され、一輪を包み込むようにして、蒼炎から彼女を護った。
一輪「これは...?」
ジーク「美しいであろう?忠実な家臣を護るのも、主の務めだ。思う存分、戦うがよい!」
一輪「はぁ...ありがとうございます。」
ミライ「はぁっ!」
斬波を防がれたミライはガンナーブレードで直接斬りかかるが、一輪はジークウィングで軽く羽ばたき、辺りを自由自在に飛び回って撹乱する。ミライは再び蒼炎を散らして撃ち落とそうとするが、ほとんどの蒼炎は一輪たちが回避する。しかし、ミライが一斉に放った蒼炎がついに着弾し、空中で爆発を起こしたが──
『FULL CHARGE』
──ジークウィングで難を逃れた一輪は、爆煙の中から飛び出しながらライダーパスをバックルにセタッチし、マチェーテディにフリーエネルギーをチャージする。
ミライ「っ!?」
『ヒッサーツ!フルスロットル!ブレイズ!』
急接近してくる一輪に危険を感じたミライは、ガンナーブレードのレーンにシフトマックスブレイズをセットし、刀身を蒼炎で包み込む。
一輪・幸太郎「「はぁぁっ!!」」
ミライ「せりゃぁっ!」
互いにエネルギーが蓄積された刃がぶつかり合い、一輪とミライを包み込むほどの爆発が起こった...
妖夢「うわぁっ!?こっち来ないで!」
一方、一輪たちと離れて闘う妖夢は、紅蓮の操るパーカーゴーストの攻撃に手を焼いていた。大橙丸と無双セイバーでパーカーゴーストたちを振り払おうとするが、縦横無尽に動き回るパーカーゴーストたちを捉えることが出来ず、妖夢は連撃に見舞われる。
紅蓮「せいっ!」
妖夢「きゃぁっ!」
隙を見せてしまった妖夢は、紅蓮が振るったジカンザックスに大きく吹き飛ばされた。パーカーゴーストを帰還させた紅蓮は、ふと思い出したように尋ねる。
紅蓮「そういや、慧音先せ...ファイズはどうした?」
紘汰「あの人は、万が一に備えて里に残ってるけど...それがなんだ!?」
紅蓮「やっぱりか...あの人らしいな。」
どこか懐かしそうに笑った紅蓮は、ゲイツウォッチとゴーストウォッチのスイッチを押す。
『フィニッシュタイム!』『ゴースト!』
紅蓮「さぁ、覚悟してもらおうか!」
『オメガ!タイムバースト!』
ロックを解除してドライバーを回転させた紅蓮は、印を結んで紋章を出現させると、紋章を橙の炎に変換して右足に纏わせる。ゴーストよろしくふわりと浮き上がった紅蓮は、雄叫びと共に飛び蹴りを放った。
紅蓮「はぁぁぁっ!」
妖夢「うわぁっ!?」
妖夢は大橙丸と無双セイバーを重ねて防ごうとするが、護りも貫通したオメガタイムバーストに再び吹き飛ばされ、地面に倒れ伏す。着地した紅蓮が妖夢に迫ろうとすると、紅蓮の懐から音楽が流れ出した。
『Calling...Calling...』
紅蓮「ん...?」
ライドウォッチに似た形状の携帯電話──"ファイズフォンX"を取りだした紅蓮は、展開して着信に応答する。
蒼「もしもし、紅蓮?こっちは終わったから、撤退していいよ。」
紅蓮「了解!そんじゃ、また後でな。」
蒼「うん、ありがとね!」
ファイズフォンXを閉じてポケットに仕舞った紅蓮は、ドライバーからライドウォッチを外して変身を解除する。
紅蓮「なぁ...あんたは何のために、誰のために戦ってるんだ?」
妖夢「何のため...?誰のため...?そんなの、幽々子様のために決まってます...!」
紅蓮の意味深な問いかけに、ボロボロの妖夢ははっきりと答えた。だが、紅蓮はため息をついて質問を続ける。
紅蓮「じゃあ、幽々子さんがいなくなったら?残されたあんたは何をする、何を望む?」
妖夢「えっ...?」
紅蓮「それを見つけられないようじゃ、鎧武の力は使いこなせないだろうな...さて、ミライ!帰るぞ〜!」
ミライ「うんっ!」
一輪と互角の戦いを繰り広げていたミライは、紅蓮の呼びかけに応じて、彼のもとに戻ってくる。紅蓮はゴーストウォッチから放出した黒い霧で自分たちを包み込み、姿を消した。
妖夢「私は...何を望む...?」
残された妖夢は、うわ言のように紅蓮の言葉を繰り返し、迷いが交じる瞳で戦極ドライバーに触れた..
聖「ぅん...?」
ナオミ「あっ!オーナー、目が覚めたみたいですよ~!」
食堂車のソファで目覚めた聖は、モーニングサービスとして置かれていたナオミのイマジンコーヒーに眉をひそめる。聖の隣の席に座っていた老紳士──デンライナーの"オーナー"は、ゆっくりと聖に目を向ける。
オーナー「おはようございます、聖さん。ナオミくんから、話は伺いましたよ。」
聖「あなたは...?」
オーナー「私はこのデンライナーのオーナーです...良太郎くんが一人で電王に変身出来なくなった以上、時間の運行を守るためには、あなたに協力してもらう他ありません。」
おもむろに席を立ったオーナーは、ゆっくりと歩みを進めながら言葉を続ける。
オーナー「しかし、必要以上の過去への介入は、控えて貰わなければ困ります。あなたが歴史を変えたことで、あの少年は九死に一生を得たようですが...歴史を改変すれば、時間が歪んでしまう可能性がある...すなわち、時から零れ落ちる存在がいる、ということを、肝に命じて下さい。」
聖「は...はい...」
ずいと顔を近づけ、まるで表情の読めないオーナーは念を押す。その異質な雰囲気に気圧された聖は、戸惑いながらもうなずく。聖の返答に微笑んだオーナーは、自分の座っていた席に戻っていった。
聖「ふぅ...」
小さくため息をついた聖は、ぼんやりと窓の外に視線を投げる。今にも吸い込まれそうな時の砂漠は、細かく儚い輝きを放ち、どこまでも広がっていく...そんな景色を遠目に眺める聖は、胸の内で思惑を巡らせる。
聖「(時を超えて、歴史を変える...このデンライナーの力があれば、もしかしたら...)」
~2018年 4月20日~
現代に帰還した聖と良太郎は、小傘が残っている廃屋へと駆け付ける。だが、そこには──
青年「ねぇ、小傘
小傘「うぅん...?カ、カズ君...!?」
青年「よかった...小傘姉ぇが怪物にさらわれたって聞いて、助けに来たんだ。ほんとに無事でよかったよ...」
木刀を携えた青年の声で目を覚ました小傘は、一瞬驚いたような表情を見せると、一転して滝のような涙を流し始めた。
青年「ど、どうしたの!?どこかケガしてる?」
小傘「ううん...ううん...でも、なんでかなぁ...?カズ君に会えるのが、言葉を交わせるのが、うれしくて仕方ないんだ...!ありがとう...カズ君。」
青年「ふふっ...小傘姉ぇは泣き虫だなぁ。でも、僕もだよ...ありがとう。」
この幸せを噛みしめるように、二人は強く、優しく、抱きしめあう。大切な人と言葉を交わし、触れ合う、そんなありきたりな時間を生きる二人を見つめる良太郎は、聖に静かにささやく。
良太郎「過去であの男の子を救っても、結局あのイマジンは小傘ちゃんと契約して里の子どもたちを攫った...あの事件自体が、なくなったわけじゃないんです。でも...」
聖「えぇ...でも、あの子たちは心から笑ってる。私たちのしたことは間違ってない、そう、思います。」
そう呟いた聖は、優しく微笑む。その万人を包み込む笑顔は、仏の道を往く彼女にふさわしいものだった。
聖「そういえば、リュウタロスの言っていたカッパちゃんって...誰のことだったんでしょう?」
良太郎「さぁ...?」
──光のない薄暗い部屋で、何かに取り憑かれたかのようにパソコンのキーボードを叩き続ける少女は、不気味な薄ら笑いを浮かべる。
「フフフ...これで、これでわたしの長年の発明も...!」
「そ~だ、それでいい...!アイコン復活はもうすぐだ...ケヘへへ!!」
何も存在しない、誰も知らない時間軸。暗闇の中からゆらりと出現したフードの女は恭しくひざまずき何者かに報告を開始する。
フードの女「ご報告致します、我がマスター。配下のイマジンを暴れさせて出方を伺いましたが、やはり”時の子”が既に動いている模様です。いかがいたしましょうか?」
エンダー「フン、案ずることはない...運命の引き金は、常にこちらが手をかけているのだからな。焦らずとも、時が満ちれば終焉は訪れる...いや、私がもたらすのさ。この私、”
そう宣言した男──エンダーは、手の中で遊ばせていた砂時計を握りつぶし、砂の零れ落ちるその拳を震わせた。
~次回予告~
文「清く!正しい!幻想郷最速の新聞記者!毎度どうも、射命丸文です!」
椛「最近、にとりの様子がおかしいんです...」
タケル「こいつ、白玉楼で襲ってきた...!?」
にとり「この発明のためなら、わたしは死んだって構うもんか!」
早苗「でも、あなたが死んで悲しむ人、残される人がいるってこと...忘れないでくださいね。」
『カイガン!エジソン!エレキ!閃き!発明王!!』
第16話 ~雷鳴!命の価値~
第15話、5パートにも渡って読んでくださった皆様、本当にありがとうございます!投稿頻度は遅くなってしまうと思いますが、これからもお付き合いいただければ幸いです!
次の投稿はオリヒス(外伝)の予定です!でも、もしかしたら本編かもしれないです(優柔不断)
それでは、チャオ~!