東方時哀録   作:シェイン

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皆さんは、お気づきになりましたか?

実は、第1話から設定ミスをやらかしていました!クウガファンの方なら、気がついていらっしゃるかもしれませんね。

まぁ、それは後書きで改めて答え合わせをします。第2話の後書きを読む前に、第1話を見直してみて下さいね。(修正を入れたら、この文章は消します。)

長々と失礼しました。それでは、楽しみに待っていてくれた方も、それほどでも無かった方も、初めて見たらもう投稿されてた方も、第2話、どうぞ!


第2話 ~白き閃光は突然に~

「うぅん...」「ヴッ!?」

 

和風の木造住宅の居間に金髪で黒い洋服の少女と、黒髪の爽やかな青年が並んで横になっている。幸せそうに寝転がる少女がごろんと寝返りをうつと、その手が青年の腹部にめり込み、青年は苦しそうなうめき声と共に爽やかではない目覚めを味わう。

 

「あら、意外に早いお目覚めね。五代雄介君?」

「うぉあ...え...?」

 

腹部に走った激痛によって目覚めた雄介の眼前に居座るのは、上品なロングの金髪に清楚なドレスを纏い、格の違う雰囲気と気品を漂わせる女性。彼女は左手に持つ扇子で口元を隠しながら、まだ頭の冴えきらない雄介に声を掛けた。

 

「あら、寝ぼけてるの?あなたの隣でまだ寝息をかいている子と、自分が何を為したかよく思いだしないさいな。」

「隣...ルーミアちゃん!?大丈夫!?しっかりして!!」

 

隣で転がるルーミアを扇子で指し示す女性。その扇子の方向に目を従わせた雄介は、隣で寝込むルーミアの存在に気づき、彼女が傷でも負ったのかと、慌ててその身を揺さぶる。

 

「うぅ...ん?あれぇ...ゆうすけぇ?あさごはぁん...?」

 

眠りから覚めた暗闇の少女は、目の前の男に寝ぼけた瞳を向けつつ気の抜けた笑みを浮かべる。...おそらく用意されていない朝食に思いを馳せているのだろう。ちなみに、未だ空には煌々と月が輝いている。彼女の思いが果たされるのは、半日近く後になりそうだ。雄介は能天気な目覚めを果たしたルーミアに、小さな笑い声を漏らすと、良かった、と繰り返し呟く。女性の方は興味が無いのか、自分の扇子の模様を暇そうに眺めていた。そしてその扇子を、突然ピシャリと閉じる。

 

「全く...相変わらずね、ルーミア。今はまだ夕飯の時間よ?」

「うん...?」

 

若干呆れながらため息をつくと、女性は寝起きのルーミアに声を掛ける。ルーミアは目を擦りながら体を起こし、女性の姿を捉えた。ルーミアは目を見開き、静かに口を開く。

 

「誰なのだ~?」

「・・・」

 

完全にルーミアの記憶の闇に葬られていた女性は、明らかに不機嫌な表情を浮かべる。彼女はそのまま押し黙ると重い空気を作り出す。当のルーミアは人差し指を顎に当てながらう~んと考え込んでいるが、思い出すことは不可能であろう事を察した雄介は、女性に向けて救いを求める苦笑を投げ掛ける。その苦笑に、仕方がないといった様子で女性はため息をつきながら立ち上がると、床に付きそうなロングスカートの端を持ち上げつつ、慎ましやかに挨拶を行う。

 

「妖怪の賢者にして...」

「この幻想郷の創造主、八雲(やくも)(ゆかり)様です。」

 

女性の言葉を遮るようにもう一つの声が部屋に響く。その声は雄介とルーミアの背後から流れており、二人はばっと振り向く。そこには特徴的な文字の書かれた赤い魔方陣のようなものが浮いており、その魔方陣の円周には等間隔に焔が揺れていた。その魔方陣から、金髪の上に柔らかい帽子を被り、腰の背面からふかふかの尻尾を9つ伸ばした女性が進み出てくる。

 

「あら...お帰りなさい、(らん)。」

 

紫は九尾の女性を藍と呼び、迎えの言葉を掛ける。魔方陣から抜け出た女性は紫の従者のようで、それに対して恐れ多いといった態度で一礼すると、紫の眼前に片膝を着いて頭を下げる。その間に彼女の現れた魔方陣は消滅し、赤いお札が魔方陣の中央の位置に残った。しかしそのお札も、炎を纏い自然と焼消した。

 

「河童の長に対応の要請、次いで守矢の巫女に協力の依頼、完了致しました。どちらも既に行動を開始しているかと。」

「そう、ご苦労様。あなた達の件は対応が終わったそうよ?」

 

藍からの報告を受けた紫は彼女に労いの言葉をかけつつ、雄介とルーミアに悪戯な笑みを向ける。あなた達の件という言葉で、紫が何を言いたいのか理解した雄介は、「あっ...」と声を漏らす。一方隣のルーミアは、相変わらず顎に指を当ててポカーンとしているのだった。

 

「すみません...俺たちの起こした、山火事の件ですよね...。」

「はっ、そうだった!こいつ、八雲紫だ~!って、山火事?...あっ。」

 

紫が対応を行ってくれていた事に畏縮する雄介。その隣でワンテンポ遅れた話題から一気に抜け出したルーミアも、ようやく今の話に追い付く。二人の態度を見て満足そうに笑う紫は、一転険しい表情をして二人を問い詰める。

 

「さて、お代を頂こうかしら?あなた達が戦った化け物...そして、ルーミアの()()姿()について、知っている事を全て話しなさい。」

 

紫の語尾が命令形であることが表すように、彼女の瞳は強い思いを宿していた。溢れる威圧感にルーミアの眠気も完全に消えたようで、彼女もしっかりと紫に向き合う。それを見届けた雄介は、自分が一番理解している事から説明を始めた。

 

「あの化け物は...グロンギです。古代に存在した戦闘民族で、他の部族に対して殺戮を行っていたという記録があります。グロンギはその時代に、同じく古代民族のリントという部族が作り出したアークル、その力を扱うリントの戦士、クウガによって封印されました。」

「封印された?じゃあ、なんでいるの?」

 

雄介の話に聞き入っていたルーミアは、封印というワードに対して雄介に質問をするが、紫が閉じた扇子を額に投げつけ、話の腰を折るルーミアにお灸を据える。相当痛かったようで、ルーミアは目に涙を浮かべつつ大人しくなった。紫は雄介に、話を続けるよう促す。

 

「長い年月を経て封印が行われた場所は遺跡となりました。そして現代、遺跡を訪れた調査団の手によって、封印は解かれてしまいました...。封印が解かれた事によりグロンギたちは目覚め、規則性を持つ殺戮を始めました。まるで...ゲームやギャンブルをするかのようにっ...!」

 

話を進めるうちに固く握られる雄介の拳。しかし、その表情には憎しみや怒りはなく、ただただ悲しみを漂わせるだけだった。紫は無表情のまま雄介の話を聞いていたが、その傍らに控える藍は思う所があるようで、死を弔うように目を閉じる。

 

「でも、抗う術はありました。遺跡にはグロンギだけでなく、リントの戦士と共にアークルも封印されていたんです。そして俺は、みんなの笑顔を守るために戦うことを決めました。アークルを身に付け、クウガに変身して戦う中で、俺は多くのグロンギを殺しました...この手で。そして最後のグロンギを倒し、グロンギは全滅した...。これが、俺の知っているグロンギの全てです。」

 

自らの戦いを簡潔に伝えた雄介は、心を落ち着かせるように大きく深呼吸をする。最後まで話を聞き終えた紫は、納得のいっていない様子で、間髪入れずに雄介に質問を続ける。

 

「で?その全滅したグロンギが、何故この幻想郷に現れたのかしら?」

「それは、俺にも分かりません...でもあいつらを放って置けば、また誰かが犠牲者になるかもしれない...。それは、止めないと。」

「あなた自慢の、2000の技とやらで?」

 

雄介の返答を聞いた紫は期待外れといった感じで彼を見ると、一枚の紙を取り出して眺める。その紙には「2000の技を持つ男 五代雄介」と書かれている。雄介が初対面の相手に渡している名刺だった。見ず知らずの場所に来て動揺していたのもあり、渡していなかったが、ルーミアは文字を読めないので、渡した所でただの蛇足になってしまっていただろう。最も紫も、雄介から受け取った訳ではなく、彼の荷物から落ちた物を拾っただけだが。

 

「あの、俺からも一ついいですか?」

「えぇ。何かしら?」

「幻想郷って何ですか?国の名前...じゃないですよね。」

「そういえば、あいつに襲われる前にも、幻想郷について聞こうとしてたね。」

 

紫は、雄介からの質問で彼がこの世界に訪れたばかりであることを思い出す。聞いてばかりでなくこちらの事も教えるべきだと考えた紫は、この幻想郷について語り始める。

 

「ここは、忘れられた者たちが生きる楽園。妖怪や妖精、八百万の神が現存している世界よ。因みに、私も藍も、そこにいるルーミアも妖怪ね。そして、あなたがこの世界に現れたという事は、あなたは全てから忘れられたという事。例外として、私が招き入れることがあるけど、あなたに関しては、私は何もしていないわ。」

「えっ...忘れられた?俺が、みんなに?」

 

この世界の驚愕のメカニズムを伝えられた雄介はまだ信じられないようで、乾いた笑い声を挟みながら紫に聞き返す。それに対して、紫は黙り込んで答えない。それこそが残酷な事実は、真実であることを無言で告げていた。明らかに憔悴していく雄介を見かねたルーミアは、小さな手で雄介の手を握り、雄介の虚ろな瞳を見つめる。

 

「大丈夫だよ...わたし、傍に居てあげるから。」

「ルーミアちゃん...うん、ありがとう。」

 

ルーミアの言葉が雄介の気持ちを引き戻したようで、少しだけ彼に笑顔が戻る。そんな雄介を見て、ほっとしたルーミアもうっすらと微笑む。二人の様子を見守っていた紫は一段落ついたと判断し、優しく声を掛ける。

 

「少しは落ち着いた?」

「はい...。まだ、受け入れることは出来ないけど...大丈夫です。続けて下さい。」

「そう。なら、次はあなたに直接関係はない話をしましょうか。あなたが戦った、グロンギに関わる話を。」

「えっ...?」

 

紫は覚悟を決め、その光景を記憶から呼び起こす。その惨劇の光景を。

 

「“異怪の大乱”と呼ばれる事件よ...。」

「“異怪の大乱”...?」

「ええ...あの大乱で多くの命が奪われた。」

 

雄介は初めて聞き及ぶその名を、反射的に呟く。それに対して、紫は静かな頷きを返すと、その事件の内容を彼に伝え始めた。

 

「今から6年前、この世界に大量の化け物が現れた。文字通り、至るところにね。その化け物の中には、あなたが教えてくれたグロンギもいたわ。突然現れた奴らは、この世界の生命を狩り始めた。人間、妖怪。見境なく襲われる彼らは、この異形に恐れ退きながら殺害された。悔しいけれど、私の力も奴らには通用しなかった上、有効な対策も見つけられずに、被害は幻想郷の総人口の4割に及んだわ。」

「よ...4割!?そんな...」

 

身を乗り出して驚く雄介の手に強い圧がかかる。ルーミアが手を握る力を強めたのだ。その手は小さく震えており、顔もうつむき加減で表情は暗い。彼女の消えやすい記憶の内にもその蹂躙は微かに残っており、そこから来る恐怖がルーミアに影を落としていた。そんなルーミアに声もかけられない内に、紫の話は続く。

 

「そんな中、この世界にも抗う力を持った者が現れた。その者は黒と灰色を基調とした姿で灰色の布を身に纏い、同じ配色の仮面を着けた戦士だったと言われているわ。その戦士は実体のない弾丸を打ち出す銃を操り、化け物たちを次々に排除していった。やがて化け物たちは衰退していき、遂に大乱は終わりを告げたわ。多くの犠牲が出たとはいえ、大乱を沈めた戦士を、人々は“仮面の英雄”と呼び称えた。正体を調べて特別な地位に迎えようとする動きもあったけれど、その戦士の正体が分かることは無かった...これが、異怪の大乱の顛末よ。」

「この世界で...そんなことが...。」

 

紫の口から伝えられる大乱の惨劇。雄介の頭の中には、大乱で失われたであろう多くの笑顔が浮かぶ。それを思い、彼の胸は締め付けられる。しかし、それ以上に強く、長く苦しみを味わっている者が雄介の前にいる。自らが創り上げ、管理する世界での殺戮を許してしまった過失。そして起きた蹂躙に何も出来ずにそれを野放しにしてしまった後悔。その2つの罪に板挟みにされてしまい、押し潰されそうな心に境界線を引いている。そんな、妖怪の賢者が。その心の内を知る藍は、物思いにふける紫に代わり、話を進める。

 

「雄介、ルーミア。あの時の姿についても説明して貰えるか?」

「あの時の姿って、赤い服装の時の事?あれ?そう言えばわたしたち、いつの間にか元に戻ってる!」

「あっ...確かに...!」

 

藍に改めて問い掛けられ、話し込んでいたために気付かなかった自分達の姿の回帰に自分の体を見回す雄介とルーミア。それに気付いた紫は、思い出したように二人を招き入れた時の状況を語り始めた。

 

「あぁ...それなら、私があなた達を連れてきた時には、まだ赤い服のままだったわよ。で、落ちたときの衝撃で気を失ったでルーミアから、赤い光と共に雄介が出てきて、それに合わせてルーミアの姿もいつもの服装に戻ったわね。」

「連れてきた...?」

 

紫の発言に雄介が首を傾げると、彼女は一度困惑した後に納得した様子で実演を始める。

 

「あぁ、まだ話して無かったわね。丁度良いわ、あなたの荷物も預かったままだったし...」

 

紫が小さな動作で指を鳴らすと、雄介の隣の空中に裂け目が入る。裂け目は大きく広がっていき、やがてその間には無数の目玉が覗く暗い紫の空間が現れる。そう、少し前に雄介とルーミアを呑み込んだ空間である。やがて、床に向かって開いたその空間から、中身の詰まったリュックが落ちてきた。

 

「これ、俺の荷物!あそこに置いてきちゃったのに...!」

「確かにお返ししたわよ?これが私の能力(ちから)、“境界を操る程度の能力”よ。今みたいに空間と空間を繋いだり、対象に世界との境界を作って現世との繋がりを絶つことも出来るわ。」

 

しれっと恐ろしい事を言いながら説明と実演を終えた紫は、自分の荷物をなめ回すように見る雄介と、驚きできょとんとしているルーミアを会話に引き戻しすために、「さて」と仕切り直す。

 

「これで納得して頂けたかしら?改めて、赤い姿のルーミアについて教えて頂戴。」

「教えて頂戴と言われても...俺達も無我夢中で、何が何だか分かってないのが正直な所ですね...」

 

「ふふっ、安心しなさい!それも含めての色々は、私が教えてあげるわ!」

 

再び答えを求める紫、互いに顔を見合わせ紫に気まずそうな表情を向ける雄介とルーミア、そんな彼らの間に透き通った声が響く。その声に目を見開く雄介とルーミア。二人はこの声に聞き覚えがあった。戦いの中でルーミアの力について伝えた、あの声だ。次の瞬間、屋敷の庭に眩い閃光が走った。強烈な閃光は、雄介たちの居る障子の開け放たれた部屋にも激流の如く流れ込み、全員が思わず目を瞑る。やがて閃光は収まり、その光源には白い少女の姿があった。少女は肩の辺りまで伸ばした金髪、その髪に付けられた赤いリボン、純白のポンチョが目立っている。ポンチョには金の光柄が刺繍されており、正に光の少女といった出で立ちをしている。

 

「貴女...何者?私の屋敷に入り込むなんて、只者ではないでしょうけど。」

 

光源に佇む少女を、威嚇するように睨み付ける紫。その目線に気付いた少女は挑発的な笑みを浮かべつつ、大袈裟に怯えるような仕草をする。少女はその場でくるりと一回転すると紫たちに向き直り、自分の胸元に手を当てた。

 

「私は“白の輝光子”、シェイン。あなた達で言う所の、“光を操る程度の能力”を持つ者よ。以後、お見知り置きを。」

 

シェインは自己紹介を終えると、胸元に添えていた手を真っ直ぐ伸ばし、手のひらを紫たちに翳す。その動作に危険を感じた紫は、雄介とルーミアの足元にノーアクションで境界の空間、スキマを開く。重力に従ってスキマに落下する二人。二人が落ちていったスキマが閉じるのと同じタイミングで、部屋には無数の光線が張り巡らされた。壁に当たる箇所では角度を変えて、まるで壁を鏡としたかのような光の軌跡。それを見届けたシェインはゆっくり手を下ろし、楽しそうに笑う。

 

「レーザーライト・クローズ。鳥籠に閉じ込められる鳥の気分はいかがかしら?」

「貴様、紫様を侮辱するとは...!覚悟...」

「止めなさい、藍。屈辱的だけど、今の私たちには何も出来ないわ...。」

「...はい。紫様...。」

 

おちょくるように語り掛けるシェインに、藍は声を荒げ、紫は唇を噛む。主を馬鹿にされ憤る藍は、光線を気にせずシェインに向かって駆け出そうとするが、紫は落ち着いた口調で彼女を静止する。この判断は正解だった。光の束である光線は、人間、妖怪の肉体を焼き切るには十分な温度を備えている。触ればその部位が体からおさらばする事になるだろう。その証拠に、周囲には妖怪一人が歩ける程度のスペースもなく、複雑に入り組んだ光線の配置になっている。シェインの言う通り、鳥籠に閉じ込められる鳥の如き状況になってしまっていた。紫はスキマを作って移動することも考えたが、それも無駄だろう。いくらスキマと言えど、光を遮断する訳ではない。シェインの言った能力が本当なら、光が入る場所であれば全て彼女のテリトリーである。

 

「(なら...最終手段ね...!)」

 

紫は、観賞するようにこちらを眺めるシェインに意識を集中させる。そして、彼女の体に沿って境界線を引くイメージを固める。

シェインと現世の繋がりを絶とうとしたのだ。これは紫にとって奥の手の技。これが通じなかったのは、紫の生きてきた時間の中でも一つの種族だけ。異怪の大乱で現れた、あの化け物たちだけである。だがその記録は、今日を持って塗り替えられる事になってしまった。

 

「そんな...馬鹿な!?」

「ふふっ、残念で~したっ!私にその力は通用しないよ?諦めて大人しく話を聞いたら?と~りさん。」

 

容姿の通り子供っぽい言動で紫をからかうシェインは、屈辱に悔しさを滲ませる二人を眺めるのに満足したのか、部屋の外にある縁側に腰掛ける。敵に背を向けた形になったシェインは、ぶらぶらと足を揺らしながら紫たちの知らない情報を話し始める。

 

「じゃあまずは、どうやってここに来たのか、からね。簡単な事よ、月明かりに乗っかって来ただけ。これからはあなたの結界に、光の遮断機能も付けないとね~♪」

 

あえて重要でない事から話すシェイン。その内容は常識的には到底簡単ではないものだが、いつか守矢の巫女が「この世界では常識に囚われてはいけない」と言った通り、この世界では簡単と言えるのかも知れない。そんな簡単な話を聞かされても、どうすることも出来ない二人は、静かに固唾を飲んで彼女の話に聞き入る。

 

「お次は、赤い姿のルーミアについて、ね。あれは外の世界で、“仮面ライダー”と呼ばれる者達の一人、“仮面ライダークウガ”の力よ。」

「仮面...ライダー?」

「あなた達に身近な言い方で言うなら、仮面の英雄ね。」

 

仮面ライダー、仮面の英雄が同一の存在だと知らされた紫は、すぐさま一つの推論を導き出した。その推論は、異怪の大乱で現れた化け物たちに対抗出来る力は仮面ライダーの力であり、化け物たちには魔力、妖力、程度の能力の類いは意味を成さないというものだ。そして目の前にいる白の輝光子にも、自らの力は通用しなかった。それから導き出された答えを、紫は彼女に突き付けた。

 

「...もしかして、あなたはグロンギなんじゃないかしら?白の輝光子さん?」

「う~ん...それはまだ秘密かな。まぁ、いずれ分かるよ。星の光が何億光年も経った後に私たちに届くのと同じ。焦っちゃだめだめ。」

 

顎に人差し指を当てながら少しの間考える仕草をしたシェインは、顔を紫たちに向けて、人差し指を唇に当てて無邪気に笑う。紫はその笑顔に追及の気が削がれる。子供らしい悪戯な笑顔と、真っ直ぐで無邪気な笑顔。二つの笑顔に翻弄される紫をよそに、シェインは話の流れを元に戻す。

 

「少し話が逸れちゃったかな。元々クウガに変身して戦っていたのは五代雄介。でも彼はこの世界を訪れた時に、クウガに変身する能力を無くしてしまった。その代わり、自分と共鳴する唯一の相手と“融合(シンクロ)する程度の能力”を得たわ。雄介とルーミアが一つになった理由がこれ。雄介と融合(シンクロ)したルーミアは、一時的にクウガに変身することが出来るようになった。そしてクウガの力を、ルーミアが自分に適応させた姿が、赤い姿のルーミアって訳。」

 

一通り説明を終えたシェインは、「ふぅっ」と息をつく。得た情報から推測を開始している紫と藍に構わず、シェインは伸びをしながら立ち上がった。その後、自分の懐から一冊の冊子を取りだし、縁側にそっと置いた。

 

「じゃあ、これであなた達に伝えることはないね。これは、私たちからのプレゼントだよ。」

「っ!待ちなさい!!」

 

役目は終わったと言わんばかりに立ち去ろうとするシェインに、紫はとうとう怒りを露にする。だがその声も聞こえているのか、いないのか、全く意に介さずルンルンと踊りながら庭の中心に舞い戻る。足を止めたシェインは再び無邪気な笑顔を向け、紫に告げる。

 

 

 

「最後に1つ。私たちは...タイム・トラベラーズ(時の旅人)、この世界の時間の終焉を望む者。まだまだ楽しい時間はこれからだよ...八雲紫さん。」

 

 

 

シェインは意味深な言葉を残し、淡い光となって消え去った。それと同時に能力も解除したらしく、紫たちを囲っていた光の檻も粒子となって消え去りようやく自由の身となる二人。藍は自らの不甲斐なさにその肩を小刻みに震わせる。紫は頭の中で1つの言葉をぐるぐると回しながら、縁側に残された冊子を手に取る。表紙には「仮面ライダーについて」とだけ書かれており、それに気を引かれた紫はページを一枚めくる。そこには雄介の写真と名前、性格、クウガの力、グロンギについて書かれており、もう一枚ページをめくると、“津上翔一”と言う名の男の写真、性格、アギトという戦士の力、大乱で現れた化け物の内の一種について書かれていた。それが合計で20ページ近くの枚数重ねられている。

 

「(あの子...シェインは最後に私を名指しにした...一体何を企んでいるのかしら...タイム・トラベラーズ(時の旅人)とやらは...!)」

 

紫の心に絡み付く不安は、長く思えてしまうこの夜に煌々と輝く満月に向けられた。彼女は一瞬、月の光に白の輝光子の無邪気な笑顔を見た気がしたらしい。

 

幻想郷とタイム・トラベラーズ(時の旅人)の戦いの時は、ゆっくりと動き出した。

 

 

 

~次回予告~

 

「俺は天空寺タケル。君は?」

 

「オレの槍で串刺しにしてやろう、感謝しろよ?」

 

「フフッ、あなた方が無様に散る。それが美しいエンディングです...。」

 

「天空寺タケルッ!!彼女と融合(シンクロ)しなさい!あなたにはその力がある!」

 

「「変身っ!!」」

 

『レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!』

 

「命、燃やすぜ!!」「命、燃やします!!」

 

第3話 ~共鳴!元幽霊と奇跡の巫女~

 

 

 

ここからはキャラクター、アイテム等の紹介コーナーです!二次創作設定がもりもりなので、読んで頂けると本編の理解がより深まるかもしれません!(私に本編内に自然に入れられる文章力がないばかりに...すみません!)

 

 

~八雲紫~

 

幻想郷を創成した妖怪の賢者にして、幻想郷を統べる最強の妖怪。基本的に落ち着いた性格で、腹の内が読めない。頭脳明晰、眉目秀麗であり、数多の二つ名に恥じない実力、頭脳を持つが、自分が表立って活動することは少ない上、戦いに赴いたとしても相手の力量を測るように戦うため、その全力は未知数である。

 

幻想郷に訪れたばかりの雄介にこの世界の情報を提供し、グロンギ、仮面ライダーの存在について知る。それからは、シェインの残した資料を利用し、仮面ライダーの力を得た者達のサポートを陰ながら行っている。

 

~八雲藍~

 

紫に仕える式神であり、最強の妖獣と呼ばれる九尾の狐を依り代としている。主である紫と同じく落ち着いた性格だが、自身の式神には甘い一面もある。基本的に紫の使徒として幻想郷の各地を訪れ、その意思を伝える役割を担い、その他にも家事の諸々は彼女が行っている。

 

~シェイン~

 

謎の組織、タイム・トラベラーズ(時の旅人)の一員。自らを“白の輝光子”と名乗る、身体中に光のデザインのある白い服装の少女。容姿は12歳程度。自らの能力を操り、紫と藍を封じ込むことに成功した。二人の元から去る際に意味深な言葉を残しており、紫に疑問を抱かせている。

 




第2話、いかがでしたか?

早速説明回になってしまって、スピード感がない気がしますけど、色々と工夫してみたつもりです!ちなみに、シェインと同じ名前をペンネームにしている理由は、初めて考えたオリキャラが彼女で、思い入れがあるからなんです。(興味ないですよね...)

キャラクター・アイテム紹介は、第1話の方にも追加しました。ルーミア、雄介、ルーミアバージョンのクウガについて書いています。気が向いたら読んでみて下さい。

ではでは、前書きの答え合わせといきましょう!

正解は、「グロンギのズ集団はモーフィングパワーが使えない」です!本編で装飾品を武器に変えるモーフィングパワーを使っていたのは、ゴ集団からでしたね。

設定だけなのを良いことに、二次設定を盛り込んで出したズ・ジャモル・レは設定ミスの生け贄になりました...(違和感のない文章を思い付いたら、修正致します。)

起こらないように注意は払いますが、恐らくこれからも、仮面ライダー、東方問わず設定ミスが発生してしまう思います。そういったものに気がついた方は、メッセージ等で教えて頂ければ非常に嬉しいです。大筋のストーリーに影響の出ない範囲で、修正させて頂きます。

第3話に登場するのは、今話にも少しだけ出ていた人ですよ!

それでは、チャオ~!(もうネタ切れ。)
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