東方時哀録   作:シェイン

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皆さん、ご無沙汰しております!なかなか時間と活力が足りずに、更新が遅くなって申し訳ないです!やれる範囲で続けて行くので、これからもよろしくお願いします!


第17話 〜光炎の双龍〜

神奈子「こんのっ!!」

 

早苗と電気眼魔が争っているころ、ジャガーロードを引き連れて妖怪の山に入り込んだ神奈子は、ドラグシールドでジャガーロードを殴りつける。怯んだジャガーロードは距離を取ると、唐突に木の上に登り始めた。

 

真司「な、なんだ?どうしたんだアイツ!?」

神奈子「逃げようったって、そうはいかないよ!派手に行こうじゃないか!!」

 

『STRIKE VENT』

 

一枚のカードをベントインし、ドラグレッダーの頭部を模したグローブタイプの武器──"ドラグクロー"を右手に装備した神奈子は、木の上のジャガーロードに狙いを着けると、ドラグクローの口内で炎を滾らせる。

 

真司「ちょちょちょ!?こんなとこで炎出したら大惨事だって!!」

神奈子「あぁっ!?そんなこと言ってる場合か!いいからぶっ放すよ!!」

 

真司の制止を一蹴した神奈子は、ジャガーロードに向けて炎弾を放つ。だが、その炎弾の大きさは小さめで、山を焼くことがないように配慮されており、真司はホッと胸を撫で下ろす。

 

ジャガーロード「グルゥッ!」

神奈子「ちょこまかと逃げ回りやがって!」

 

だが、ジャガーロードは軽快に木と木を渡り、すべての炎弾をひらりとかわす。ジャガーロードを狙う神奈子が上に気を取られた瞬間──

 

トリスティス「シャァッ!!」

神奈子「なにっ!?」

 

──別の木の上から飛び出して来た、黄色いマフラーを纏った黒いジャガーロード──"パンテラス・トリスティス"が、その手に持った"貪欲の槍"で神奈子の背中を切り裂いた。虚をつかれた神奈子が体勢を崩した瞬間を見計らい、飛び回っていた赤いマフラーのジャガーロード──"パンテラス・ルテウス"も攻勢に転じる。二人のジャガーロードのスピードに翻弄され、槍や蹴りで攻撃を受けた神奈子は、ルテウスのソバットキックで吹き飛ばされる。片膝を着きながらも、神奈子はジャガーロードたちを鋭い眼光でにらみつけた。

 

真司「もう一匹いたのか...!」

神奈子「獣のくせに、なかなか知恵が回るじゃないか...!!」

 

ジャガーロードたちはZを描くように指を動かし、何かに祈りを捧ぐと、神奈子に手のひらをかざす。すると、その手から放たれた超常的な念力波で、神奈子の身体が木の幹に押し付けられる。否、押し込まれていると言ったほうが正しい。徐々に身体が幹の中に吸い込まれ、呑み込まれているのだ。それに気づいた神奈子は、未知の現象にじわりと冷や汗を滲ませた。

 

神奈子「(この力、普通じゃない...!まるで、神の力と同質の...!?)」

真司「くっそ...なんなんだコイツら!?」

 

神奈子はドラグレッダーを召喚して脱出しようと考えるが、すでに右肩が幹に呑み込まれてしまい、腰のデッキには手が届かない。当然、物理的にもがいて抵抗しても意味は成さず、みるみる全身が呑み込まれていく。ついに顔だけになってしまった神奈子が、強く歯を食いしばった瞬間──

 

「はぁぁっ!!」

 

──1騎のバイクが閃光のように駆け抜け、2体のジャガーロードを弾き飛ばした。超能力を発揮していたジャガーロードが体勢を崩したことにより、神奈子も幹の中から開放される。ジャガーロードを吹き飛ばした金色のバイク──"マシントルネイダー"を停止させた男は、ヘルメットを外して神奈子に駆け寄ると、人の良さそうな笑顔を見せる。そして、彼の後ろに乗っていた金髪でヘッドホンのようなものを着けた少女もまた、神奈子の近くに歩み寄る。

 

真司「ぶっはぁ〜...た、助かった〜...」

翔一「いやぁ〜、間に合ってよかった!俺、津上(つがみ)翔一(しょういち)っていいます。アイツらは俺と"神子さん"に任せてください!」

神奈子「まさか、お前たちも...!?」

 

軽く自己紹介を済ませた翔一の言葉に頷いた少女──"豊聡耳(とよさとみみの)神子(みこ)"は、怪訝な視線を向けるジャガーロードたちに勺を突きつけると、声を高らかにして告げる。

 

神子「よく聞け、罪なき命を奪いし下賤な者ども!この聖徳道士、豊聡耳神子が貴様らを成敗してくれるっ!!」

 

神奈子のそばを離れた翔一は、自信作の口上を述べて満面のドヤ顔を決める神子の隣に並ぶ。それに気づいた神子は、彼を横目に声をかける。

 

神子「行きましょう、翔一君!」

翔一「はいっ!」

 

神子の呼びかけに応えた翔一は、眩い金色の光に変貌して神子の魂に融合する。翔一とシンクロした神子は、キレのいい動きで左腰で両手を交差させ、右手を一度前に突き出してから右胸に引き寄せる。すると、神子の腰に光の渦が巻き、"賢者の石"が埋め込まれたベルト──"オルタリング"へと変化した。光り輝く賢者の石を目の当たりにしたルテウスは、初めて人間の言葉をこぼす。

 

ルテウス「アギト...!」

 

指を真っ直ぐに揃えた右手を、ゆっくりと前に伸ばした神子は、翔一と息を合わせて叫ぶ。

 

神子・翔一「「変ッ身!!」」

 

神子が両手でオルタリングのサイドスイッチを押すと、賢者の石の輝きがより一層強くなり、神子の全身を包み込む。やがて収まった光の中から現れた神子は、黒いブローチを胸に備えた神々しい金色の衣装に身を包み、瞳には赤い輝きを宿している。さらに、額には2つに分かれた金色の角──"クロスホーン"が装着されている。神子は、大地の力を宿し、超越肉体を誇る金のアギト──

"仮面ライダーアギト グランドフォーム"を模した姿へと変身したのだった。

 

神子「さて、行きますか!」

神奈子「そうはいかないよ...商売敵の道士に助けられっぱなしじゃ、山の神の名がすたっちまうからねぇ!」

真司「そうそう!俺たちだってまだ戦えるって!」

翔一「なら、俺たちもお手伝いしますよ!一緒にやりましょう!」

 

そうして並びたった神奈子と神子は、2体のジャガーロードとにらみ合うと、それぞれトリスティスとルテウスに突撃する。

 

神奈子「うぉらっ!」

 

トリスティスに狙いを定めた神奈子は、全力のラリアットをぶち当てる。怯んだトリスティスは貪欲の槍で反撃するが、それを読んでいた神奈子は半身で刺突を回避し、左手で貪欲の槍の柄を握る。

 

神奈子「虚を突かれなけりゃ、負ける道理はないっ!」

 

神奈子はトリスティスの顔面に右肘で肘打ちを叩き込み、奪い取った貪欲の槍で連撃を喰らわせる。

 

一方、ルテウスを相手取った神子は、撹乱しようと高速で動き回るルテウスに振り回されることなく、ルテウスの出方を伺う。やがて死角から神子に飛びかかったルテウスだったが、感覚を研ぎ澄ませていた神子は素早く振り返り、ルテウスの振るった爪を右腕の手甲で防ぐ。

 

神子「ハアッ!」

 

ルテウスの胸部にすかさず拳を打ち込んだ神子は、ルテウスの攻撃をすべていなし、的確なカウンターでダメージを与えていく。

 

神子の輝きを込めた拳で吹き飛ばされたルテウス、神奈子に自分の獲物で切り裂かれたトリスティスは、同じ場所に転がってくる。2体のジャガーロードを挟み込んだ神子と神奈子は、トドメを刺すために必殺技の構えに入る。

 

神奈子「さて、一気に終わらせるよ!」

『FINAL VENT』

 

貪欲の槍を投げ捨てた神奈子は、ファイナルベントカードをベントインして、ファイナルベントを発動する。飛来したドラグレッダーが神奈子を中心にとぐろを巻き、神奈子は低い姿勢で気合を溜める。

 

神子「はぁぁぁっ...!」

 

クロスホーンを六本に展開した神子が両腕を開くと、その足元に金色のアギトの紋章が浮かび上がる。左腕をしめて上半身を捻り、神子がすっと左足を引くと、紋章のエネルギーが右足に収束していく。

 

神子・神奈子「「はぁっ!」」

 

それぞれの力を高め、同時に飛び上がった二人はジャガーロードたちに向けて飛び蹴りを放つ。神子が繰り出した、大地の力を込めた飛び蹴り──"ライダーキック"はルテウスの首元を捉え、炎を纏った神奈子のドラゴンライダーキックはトリスティスを弾き飛ばす。勢いのままに地面を滑走した神奈子に対し、スッとその場に着地した神子は、変身した時と同じ構えを取り、上半身をひねってジャガーロードに背を向ける。その瞬間、フラフラと立ち上がったジャガーロードたちの頭の上に、天使のような光の輪が浮かび──

 

ジャガーロード「「グォォォォォッ...!」」

 

──跡形もなく爆発四散した。危なげなくジャガーロードを退けた神子と神奈子は、少し気を緩めて変身を解除する。光とともに元の姿に戻った神子は、ジャガーロードたちの爆発跡を眺め、ホッとため息をついた。

 

神子「ふぅ...片付きましたか。」

神奈子「ちょっと悔しいが...ま、一応、礼は言っておくよ、ありがとう。」

神子「いえ、礼には及びませんよ。とりあえず、一つ貸しということで。」

 

神奈子の言葉を受け止めた神子は、人差し指を立てて茶目っ気のある笑顔を浮かべる。

 

真司「いやぁ、本当にありがとう!他のライダーに、理由もなく助けてもらえるなんて...幻想郷って素晴らしい場所だなぁ...!!」

翔一「あはは、君も苦労してきたみたいだね。困ったときはお互い様っていうし、俺たちがピンチのときは助けてもらっちゃおうかな?」

真司「はいっ、そりゃもちろん!大船、いや大型客船に乗ったつもりで任せちゃってください!!」

 

キラキラと輝く瞳で自分の手を握る真司に、翔一は気さくに言葉を返す。だが、次の神子の言葉で、和気あいあいとした雰囲気は一瞬で覆った。

 

神子「さて...居るのは分かっています。コソコソと隠れていないで、出てきたらどうです?」

真司「へっ...?」

 

大きな声で誰かに語りかけ、鋭い眼光で山の上方をにらみつける神子に、真司は間抜けな声とともに同じ方向を見る。すると、その視線の50mは先にある木の裏から、銀の鎧を纏った蒼い少女が姿を表した。顔の大部分を鉄仮面で覆う、彼女の腰に巻かれたVバックルには、コウモリを象ったカードデッキが収められている。

 

真司「ナイ...ト...!?う、嘘だろ...!?」

神奈子「ん...?おい、どうした真司?」

 

見るからに動揺する真司をよそに、"仮面ライダーナイト"の力を纏う少女は神子に声をかける。

 

ナイトの少女「ここに私がいると、この距離でよく分かりましたね?」

神子「私は耳が良くてね、君の張り詰めた意識ははっきりと聴こえたよ。この八坂の神への、"殺意"も...ね?」

 

神子の言葉が図星だったのか、少女は口元をわずかに動かしたが、すぐに口をつぐむと、腰に提げている細身のサーベル──"ダークバイザー"を抜いて、その切っ先を神奈子に向けた。

 

ナイトの少女「そこまで知られているなら、話は早いです...龍騎、八坂神奈子...ここであなたを倒す!覚悟!!」

 

一方的に宣戦布告した少女は、目にも止まらぬ速さで山を駆け下り、一直線に神奈子を狙ってダークバイザーを一閃する。

 

神奈子「おっと...!」

 

ダークバイザーでの奇襲を間一髪で回避した神奈子は少女の追撃をかわすと、心ここに非ずな真司を連れて距離を取る。

 

神奈子「この私を狙うか...ふふっ、血が騒ぐねぇ!ちょっくら相手になってやろうじゃないか!来い、真司!!」

真司「...わ、わかった!」

 

神奈子・真司「「変身ッ!」」

 

自らを狙う刺客に血を滾らせる神奈子は、真司に喝を入れて、再び龍騎の姿に変身する。追撃を続ける少女の攻撃を防いだ神奈子は、少女と組み合いながらこの場から離れていく。

 

神子「あっ、ちょっ...!?翔一君、私たちも!流石に殺神未遂を見過ごすわけにはいかない!」

翔一「は、はい!」

 

置いてけぼりにされた神子と翔一もその後を追うが、組み合ったままの神奈子と少女は、その勢いのまま近くの滝つぼに飛び降りた。

 

神子「なっ!?」

翔一「う、うそでしょっ!?」

 

この崖から滝つぼまで、直線距離で100メートルはある。神奈子の行動に愕然とした神子は慌てて滝つぼを覗き込むが、滝つぼの水面には波一つ立ってはいなかった...

 

 

神子の心配をよそに、水面を鏡に見立ててミラーワールドに突入した神奈子とナイトの少女は、苔むした岩場で激突していた。2人は互いに距離を取ると、ソードベントカードをベントインする。

 

『『SWORD VENT』』

 

ドラグセイバーを装備した神奈子、漆黒の大槍──"ウイングランサー"を装備した少女は、鬼気迫る剣幕で激しく鍔迫り合う。

 

神奈子「神殺しを狙うなんて...祟られても知らんぞ?」

ナイトの少女「上等です...!祟りだろうが、呪いだろうが、全てを背負ってでも...私は"願い"を叶えるッ!!」

 

気迫とともに神奈子を押しのけた少女は、流れるようにウイングランサーを振るい、神奈子の防御を崩して少しづつダメージを与え始める。

 

神奈子「ぐっ...!結構やるじゃないか!」

『GUARD VENT』

 

ナイトの少女「無駄です!」

 

劣勢を感じた神奈子は、ドラグシールドを装備して耐久を高めるが、追撃を続ける少女はすかさず一枚のカードをベントインする。

 

『TRICK VENT』

 

電子音に合わせ、2人、3人と分裂し、最終的に5人に分身した少女は、神奈子を取り囲むように並び、守りの薄い背中を攻撃する。

 

神奈子「なにっ!?」

 

ガードベントの弱点を一瞬で見抜かれたことに動揺した神奈子は、されるがままに5人の猛攻を受け、大きく吹き飛ばされた。分身と一体化して1人に戻った少女は、水しぶきを上げて川に転がる神奈子を見下ろす。

 

ナイトの少女「無駄だと言ったでしょう...私は眼がいいんです。貴方の手の内は、先程の戦闘で見させてもらいました。」

真司「それで、あそこに居たのか...!?」

神奈子「ずいぶん、姑息な真似してくれるじゃないか...!だが...」

 

『STRIKE VENT』

 

少女の戦い方に苦言を呈した神奈子は、重しになるドラグシールドを投げ捨て、代わりにドラグクローを装備する。

 

真司「(神奈子さん、どうするつもり...?こいつもさっき使っちゃってるじゃん!)」

神奈子「(いいや...こいつの全力は、まだ見せてないだろ?ここなら問題ないよな、真司!)」

真司「(あっ、そうか!!)」

 

ナイトの少女「そんな豆鉄砲、威力も知れたものです!」

 

神奈子たちの思惑など露知らず、少女はドラグクローを構える神奈子に向けて一直線に突撃する。少女を待ち構える神奈子は、右腕を限界まで後ろに引き、ドラグクローの口内に業火を滾らせた。

 

神奈子「はぁぁぁぁ...おらぁっ!!」

ナイトの少女「っ!?」

 

神奈子の渾身の叫びとともに、ドラグクローから放出された業火は、少女の身体を正面から覆い尽くし、川の水を干上がらせる。最大火力の炎を正面から受けてしまった少女は、露出した川底に力なく膝をつく。

 

神奈子「策士、策に溺れるとは、まさにこのことだな。戦場に置いて最も恐ろしい敵は、自分自身の慢心、恐怖、迷いといった感情だ。覚えときな!」

ナイトの少女「ぐっ...!!」

 

神奈子の言葉に言い返すこともなく、ただ唇を噛んだ少女の身体から、粒子が放出され始める。それは、ミラーワールドでの活動限界を示していた。

 

神奈子「ずいぶん勝負を急いでいたからな、そっちの方が先に時間切れみたいだな?もっと強くなって、また来るといい...」

 

どこか期待を込めたような笑みを浮かべて、神奈子は言葉を紡ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

神奈子「いつでも、相手になってやるよ..."椛"。」

 

 

 

 

ミラーワールドから抜け出し、玄武の沢のほとりで変身を解除したナイトの少女──犬走椛は、どうにも気まずそうな顔で神奈子に尋ねる。

 

椛「いつから、気づいていたんですか...?」

神奈子「決定打は、"眼がいい"って言葉だ。お前の能力は、確か千里眼だったよな?それに、最初にしかけてきた時の動きは、山に慣れてるやつの動きだった。妖怪の山の哨戒を担ってる白狼天狗なら、それも説明がつく。ま、こんなところさ。」

 

少し自慢げに根拠を上げた神奈子。その隣にいた真司は、いつになく真剣な表情で椛に詰め寄ると、一つの質問を投げかける。

 

真司「ねぇ、椛ちゃん。さっき言ってた、"願いを叶える"って、どういうこと...?」

神奈子「あぁ...そういや、そんなことも言ってたね。」

 

真司の言葉、神奈子の反応を目の当たりにした椛は、驚愕と困惑が入り混じったような表情を浮かべる。

 

椛「えっ...!?ご、ご存知ないんですか...?私はてっきり、神奈子様もそのために戦っているのだと...」

神奈子「ん?どういうことだ?」

椛「えっと...」

 

真司「"ライダーバトル"だ...」

 

説明しようとした椛の言葉を遮り、真司ははっきりと宣言した。今までの真司とはまるで別人のような雰囲気に、神奈子と椛は何も口を挟まず、次の言葉を待つ。

 

真司「ライダーに選ばれた人間が、ミラーワールドで命を賭けて、最後の1人になるまで戦い続ける。最後に残った1人は、どんな願いでも叶えることが出来る...それがライダーバトルだよ。」

椛「そ、そのとおりです。そんな伽話、馬鹿馬鹿しいとは思いましたが、それでも...私にはこの方法しか...!」

 

真司の説明に頷いた椛は、少しうつむいてぐっと拳を固めた。そんな椛の肩を掴み、真司はもう一度問いかける。

 

真司「なぁ!ライダーバトルの話は、誰から聞いた!?」

椛「こ、このカードデッキを渡してきた、黒いローブを纏った者から...」

 

椛の返答を受けた真司は、彼女の肩から手を離し、地平線に沈みゆく夕焼けをぼんやりと見つめる。

 

真司「(誰が、ライダーバトルを仕掛けたんだ...!?なんのために...!?...いや、でも俺のやることは、願いは変わらない!俺は...)」

 

勢いよく振り向いた真司は、いつもと変わらない朗らかな笑顔を見せると、神奈子と椛に宣言する。

 

真司「決めたっ!今日はみんなでご飯食べよう!!翔一さんも、神子さんも、文ちゃんやにとりちゃんも呼んで、もちろん椛ちゃんもね!!」

 

神奈子・椛「「はぁっ!?」」

 

真司「いいから、行こう!俺が用意するからさ!自分で言うのもなんだけど、俺の特製餃子、絶品なんだぜ〜!!」

 

仮にも殺し合った相手と一緒に飯を食べろ、という真司に思わず顔を見合わせる神奈子と椛。動揺する二人の肩に手を回した真司は、有無を言わさずに連れて行く。

 

真司「(今度こそ、俺が戦いを止めてみせる!!)」

 

 

 

 

その晩、翔一と真司によって振る舞われたご馳走を酒の肴に、守矢神社では宴会が開かれた。その後、神子を追ってきた神霊廟の面々や、ご馳走の匂いを嗅ぎつけた山の妖怪、しれっと参加していた紫などが乱入し、いつの間にやら大宴会となった。その騒ぎも静まった夜更け、文やにとりたちと離れた椛は、縁側で1人、酒を呑んでいた神奈子の隣に腰を降ろす。

 

椛「...なぜ、私を殺さなかったんです?」

神奈子「ん〜?まぁ、お前が本気じゃなかったからかねぇ...勝負を焦ってたのは、迷いを押し殺そうとしてたからだろ?殺す覚悟がない奴を、殺すつもりはないさ。それに...」

 

そこで言葉を切った神奈子は、今日出会ったばかりの妖怪たちと騒ぎ疲れて爆睡している真司を目の端に、小さく広角を上げた。

 

神奈子「あのバカがいるからね...私たちのわだかまりを無くすためだけに、こんな宴会を催したんだ。まったく、大したやつだよ。」

椛「えぇ...本当にそうですね。彼を見ていると、自分のしていたことが馬鹿らしく思えてきます...」

 

自責の念に駆られている椛の心を見透かした神奈子は、優しく言葉をかける。

 

神奈子「でも、なにを犠牲にしても叶えたい願いってのは...分からなくもない。もし、本当にどんな願いも叶うなら...」

 

 

 

(「神奈子様、諏訪子様...どうか、あの子をよろしくお願いします...」)

 

 

 

どこか思い詰めるような顔で月を見上げた神奈子は、盃に残っていた酒を一気に飲み干した...

 

神奈子と椛、熾烈なライダーバトルに巻き込まれた2人は、幾多の願いと迷いの狭間で戦うことになる。その最果てに待つものはなにか──

 

 

──それは、神のみぞ知る。

 

 

〜次回予告〜

 

小悪魔「パチュリー様!天井から成人男性が!!」

 

パチュリー「貴方は何者なの?」

 

晴人「あぁ、俺?俺は、"最後の希望"さ。」

 

咲夜「わ、私は...なんてことを...!あぁ...あぁぁぁっ!!」

 

パチュリー・晴人「「変身。」」

 

『フレイム!プリーズ!ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!』

 

パチュリー・晴人「さぁ、ショータイムよ。」「さぁ、ショータイムだ。」

 

第18話 〜大図書館のショータイム〜




書き終わって気づいた...これって、アギト回だったよね〜!?気づいたら、ほとんど龍騎だったのです...アギトファンの方には申し訳ないのですが、別に不遇な扱いにしようって訳じゃないのでご安心下さい!

それでは、チャオ〜!
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