東方時哀録   作:シェイン

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こんにちは、シェインです!いやぁ、本当にお久しぶりですね...危うく連載が終わるとこでした(半年更新がないと、次話が投稿できなくなるとか、そんなんがあった気がする。たぶん。)

ということで、なかなか手が回らない状況が続いていましたが、なんとか急ピッチで仕上げたので、いつもより少し短めになります。


第18話 〜大図書館のショータイム〜(1)

紅魔館の地下、実態が把握できない程の空間を埋め尽くす量の蔵書を有する大図書館。その主とも言える、紫を基調とした服装の魔少女──"パチュリー・ノーレッジ"は、古ぼけた書物のページをめくる手を止めると、目の前の長机に用意された紅茶に口をつける。

 

パチュリー「ふぅ...やっぱり、紅茶は咲夜が淹れたものに限るわね。ダージリンのストレート、完璧よ。」

咲夜「ふふ、お褒めに預かり光栄です、パチュリー様。3日ぶりで腕が鈍ってないか心配だったのですが、ホッとしましたわ。」

 

そばに控える咲夜が淹れた紅茶を味わい、顔をほころばせるパチュリー。というのも、咲夜が休養していた間、パチュリーはろくな目に合わなかった。自身の使い魔──"小悪魔"は、紅茶を淹れては茶葉の分量を間違えたり、フランと、彼女にせがまれたユウスケが大図書館で遊び回って蔵書を滅茶苦茶にしたり...とまあ散々な目にあってきたのだ。そんな愚痴は零さず、パチュリーは病み上がりの咲夜の身体を気にかける。

 

パチュリー「3日くらいで大袈裟ね。ほんとに、もう身体は大丈夫なの?」

咲夜「もちろんです。むしろ、これ以上寝ていたら自責の念で身体を壊しそうですよ。」

パチュリー「そう...なら、いいんだけど。」

咲夜「では、私はそろそろ他の仕事に戻ります。ごゆっくり。」

 

軽い冗談を交えながら軽く挨拶した咲夜は、指をパチンと鳴らして一瞬で姿を消す。咲夜が佇んでいた場所を見つめるパチュリーは、彼女の身に起きた出来事を思い返していた。

 

パチュリー「(咲夜がおかしな小箱を身体に挿して変貌した"化け物"...それに対抗できる、渡や士のような"仮面ライダー"という存在。間違いなく、この2つには繋がりがあるはず...そもそも、なぜ幻想郷に化け物や仮面ライダーが現れるように...)」

小悪魔「きゃああああああ!?」

 

ノーレッジ(知識)の姓を冠するパチュリーの頭脳を巡る思考は、例のトラブルメーカー、小悪魔によって遮られることになった。小悪魔の耳をつんざくような絶叫の後に、何十冊もの本が落下する音、そして本棚の倒れる轟音が大図書館に響き渡った。ため息を一つこぼし、頭を抱えたパチュリーは、ガタッと立ち上がり全力で声を張り上げた。

 

パチュリー「まったく、あの娘は...こあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

ドミノ倒しになった本棚の下にパチュリーが駆けつけると、取り乱した様子の小悪魔が、赤い髪をなびかせながら彼女に駆け寄る。

 

小悪魔「た、た、大変です、パチュリー様!て、天井から成人男性が!!」

パチュリー「もう!言うに事欠いて、どこぞのジ○リみたいな言い訳しないの!蔵書は丁寧に扱いなさいって、いつもあれほど...」

小悪魔「ち、違うんですよぅ!ホントなんですって〜!ほら、そこに倒れてる人が...!」

 

半泣きの訴えを受けたパチュリーは、呆れ半分、不信半分のジト目で、小悪魔が指差した本の山を覗き込む。そこには、黒いジャケットに赤いズボンを履いた男が、本に紛れるようにして倒れ込んでいた...

 

 

 

「...ぅん...?...ここは...?」

パチュリー「おはよう、コソドロさん。気分はいかがかしら?」

「えっ...?ちょっ!?なにこれ!?」

 

目を覚ました男は、パチュリーの作り出した魔法陣によって椅子に拘束されており、困惑したような表情を見せる。そんな彼の対面に座り、冷徹な目で見下すパチュリーは、淡々と尋問を開始する。

 

パチュリー「まず聞くわ。貴方は何者なの?」

「ん?...あぁ、俺?俺は、"最後の希望"さ。」

パチュリー「...はぁ?よくこの状況でふざけられるわね...」

小悪魔「パチュリー様...もしかしてこの人、アブナイ人なんじゃ...!?」

 

早々に冷静さを取り戻し、突拍子も無い返答した男。隣に立っていた小悪魔の囁きに、パチュリーも苦い顔をする。

 

晴人「へぇ、パチュリーちゃんっていうんだ。俺、操真(そうま)晴人(はると)、よろしく。」

パチュリー「あ、よ、よろしく...って、違う違う!あ〜もう!調子狂うわ...」

 

掴みどころがない晴人の態度に振り回され、パチュリーは小さくため息をつく。威圧的に問いただすことを諦めたパチュリーは、軽い口調で質問を続ける。

 

パチュリー「で、この紅魔館になんの用?とてもじゃないけど、普通の人間が来る場所じゃないわよ?」

晴人「それが、まるで心当たりがないんだよな...俺はドーナツ食べてただけなんだけど。」

パチュリー「なんの予兆もなく、この世界に...?貴方、もしかして仮面ラ──」

 

パチュリーが核心に迫る質問を口にした瞬間、地下に広がる大図書館を震わせるほどの爆発音が響き渡った。

 

パチュリー「な、何っ...!?」

小悪魔「あわわ...!まさか、また化け物が!?」

晴人「化け物...?パチュリーちゃん、一体...」

パチュリー「貴方との話は後!おとなしくしてて!こあ、行くわよ!」

小悪魔「あ、はい!」

 

晴人「ちょっと、パチュリーちゃん!?...うそーん...って、なんかデジャヴ...しょーがないか。」

 

明らかな異変を肌で感じ取ったパチュリーは、小悪魔を従えて大図書館を飛び出していく。そして、椅子に拘束されたまま取り残された晴人は、動きの制限された手で懐を探りだすのだった...

 

 

〜晴人が目覚める数分前〜

 

色とりどりの花が咲き誇る、広大な花壇を眺めることができるテラスで、レミリアとフラン、そして士とユウスケは、一つのテーブルで顔を突き合わせ、真剣な眼差しでにらみ合う。そして、次の瞬間、全員がテーブルに5枚のカードを叩きつけた。

 

フラン「イェーイ!フルハウスで、わたしの勝ち♪」

士「チッ...ストレートでも駄目か...」

ユウスケ「いや、二人がレベル高すぎるんだって!俺なんかツーペアだからな!?レミリアちゃんは...」

レミリア「なぜ1枚も揃わない...?運命は私を見放したの...?」

ユウスケ「あー...なんか、ごめんね。」

レミリア「だぁー!もっかいよ!こうなったら私が勝つまでやるんだから!!」

 

すでに14回連続で最下位の座を守り続けているレミリアは、ムキになって再戦を申し込む。ポーカーで盛り上がる4人の下に、咲夜と渡がそれぞれの飲み物を手にやって来た。

 

咲夜「お楽しみのようで何よりです、皆様。お飲み物をお持ちいたしました。」

渡「レミリアさんが紅茶、フランさんがミルクティー、士さんとユウスケさんはコーヒーですね。」

咲夜「えぇ。さすがは渡くん、覚えがいいわね。」

 

それぞれの飲み物を手早く配置していく渡に、咲夜は優しく微笑みかける。和やかな雰囲気の二人を見守るレミリアもまた、安心したように笑みを浮かべていた。

 

士「ふっ、ご苦労。なかなか悪くないもんだな、主人ってのは。」

ユウスケ「誰が主人だ、士はただの居候だろ!どっから来るんだその横柄な態度は!ホントにすみません、咲夜さん。」

咲夜「いえいえ、客人の言葉一つで腹を立てるほど、心の貧しい人間ではありませんよ。それに、私が休養している間、色々と手伝って下さっていたのも、知ってますし...ね。」

士「...別に。この世界のことを知るついでの、ただの暇つぶしだ。」

 

咲夜に遠まわしに感謝を伝えらえた士は、照れ隠しのつもりなのか、そっぽを向いてコーヒーをすする。そんな穏やかな時間の流れる庭先に、一人の鴉天狗が降り立った。

 

鴉天狗「あの〜、すみませ〜ん!ちょ~っと取材よろしいですか〜?」

咲夜「なんでしょう、あの怪しげな男は...?」

 

鴉天狗の男に気づいた咲夜は、どこか怪しげな雰囲気に訝しげな顔をしつつも、対応するために彼のもとに向かう。

 

咲夜「悪いけど、取材ならお断りよ。」

鴉天狗「いやいや、そう言わずに!あなたにだって、無関係な話じゃないはずですよ〜?」

咲夜「...どういう意味かしら?」

 

ニタニタと気味の悪い笑みを浮かべた鴉天狗は、ジャケットの胸ポケットから何枚かの写真を取り出し、咲夜に見せつける。その写真の一枚目には、変身したレミリアに襲いかかるタイム・ドーパントの姿が写されていた。それを見た瞬間、咲夜の頭に激痛が走る。

 

咲夜「っ...!これは...!?」

鴉天狗「この紅魔館の主、レミリア・スカーレットは、つい最近化け物に命を狙われた。そして、その凶刃は彼女の妹君であるフランドール・スカーレットにも向けられた!」

 

頭痛に苛まれる咲夜をまくし立てる鴉天狗が示した二枚目の写真には、変身したフランと交戦するタイム・ドーパント。それ以降の写真にも、タイム・ドーパントがスカーレット姉妹と戦いを繰り広げている様子が収められていた。一枚、また一枚と、写真がめくられるたびに、咲夜の頭痛は強く、激しくなっていく。

 

咲夜「はぁ...くぅ...!?」

鴉天狗「ククク...そして、その化け物の正体は〜...」

 

咲夜の苦しそうな表情を見た鴉天狗は、勝ち誇ったかのように笑い、最後の一枚の写真を突きつける。そこには──

 

鴉天狗「...お前だ。」

咲夜「...あっ...」

 

──咲夜がタイム・ドーパントに変貌する、正にその瞬間が記録されていた。それを見た瞬間、咲夜の中で失われていた記憶が激流のようにフラッシュバックし、この写真が真実であると裏付けていった。力なく座り込んだ咲夜は、両手で頭を抱えて小さく呟く。

 

咲夜「そうだ...私があの化け物になって、お嬢様や妹様を...わ、私は...なんてことを...!あぁ...あぁぁぁっ!!ゔぁあああああ!?」

士「咲夜...!?」

 

咲夜の叫び声で彼女の異変に気がついた士たちは、すぐさま彼女のもとに向かおうとするが──

 

蒼「はーい、みんなそこでストップ!」

ルーナ「申し訳ありませんが、彼女を救われては困るんです。」

 

──それを妨害するように現れた蒼とルーナが、士たちの前に立ちはだかった。

 

【To Be Continued...】




第18話(1)、閲覧いただきありがとうございました!ちなみに晴人のデジャヴというのは、ウィザード第一話の拘置所でのシーンのことです。(身動きが取れないまま置いていかれる、という共通点がある)

晴人との邂逅を果たしたパチュリー、自分の過ちを思い出した咲夜、そして士たちの前に立ちはだかったタイム・トラベラーズの二人!次回は、レミリア&フランと蒼&ルーナが激突しますよ〜!お楽しみに!

それでは、チャオ〜!
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