東方時哀録   作:シェイン

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第18話 〜大図書館のショータイム〜(3)

パチュリー「晴人...!どうして、ここに...!?」

晴人「ま、ちょっとした魔法さ。」

 

そう言って悪戯な笑みを浮かべた晴人は、右手の中指に輝く、橙の宝石が嵌め込まれた指輪──"ウィザードリング"をパチュリーたちに誇示した。

 

〜数分前〜

 

晴人「お、あったあった!!」

 

椅子に魔法陣で拘束されたまま、大図書館に取り残された晴人は自分の懐を漁り、1つのウィザードリングを探し出すと、手の形をした黒いバックルにかざす。

 

『リキッド!プリーズ!』

 

すると、バックルにかざした"リキッドウィザードリング"がより一層強く輝き、晴人の全身を液状に変化させる。その変幻自在な身体を活かして魔法陣から抜け出した晴人は、普通の人間の姿に戻ると「ふぃ〜...」と特徴的なため息をついた。

 

〜現在〜

 

晴人「んで、今に至るってわけ。ま、ここは俺に任せてくれよ。」

パチュリー「任せてくれって...やっぱりあなた、"仮面ライダー"なの?」

晴人「えっ...?まぁ、たしかに"仮面ライダーウィザード"だけど、なんで知ってんの?」

 

晴人が困惑した表情で聞き返した瞬間、パチュリー、小悪魔、晴人の3人を除く全員の挙動が、ピタリとすべて静止する。突然の異常事態に辺りを警戒する3人の前に、フランと交戦中だったはずの蒼が一瞬で現れた。

 

晴人「うぉっ!?君は...?」

蒼「待ってたよ、晴人!さて、じゃあ早速本題なんだけど、君自身のライダーの力は既に失われている。だから、そこのパチュリーと心を共鳴させることで、彼女にウィザードの力を分け与えて一緒に戦うんだ。それが...」

パチュリー「待ちなさい...そうはいかないわよ。」

 

晴人の返答も待たず、淡々と説明を始めた蒼。その言葉を途中で遮ったパチュリーは、常に眠たげだったジト目を少しだけ大きくして蒼を見据えた。

 

パチュリー「あなた、フランと士を導いた少年ね。なぜ、自分でディケイドの力を受け継ぐようにそそのかしたフランと闘っているのかしら?幻想郷にライダーの力を齎し続ける目的はなに?」

蒼「...さすがはパチュリー、なかなかに勘が鋭いね。」

 

パチュリーの核心に迫る問いを受けた蒼は、一瞬の沈黙の後に肩をすくめると、パチュリーたちから顔を背ける。

 

蒼「けど、まだ答えは教えてあげない!謎は多い方が楽しみが増えるでしょ?それに、僕の目的が何であれ、君たちは戦うしかない...それが、絶望の淵にいる咲夜を救う、ただ一つの方法なんだから、ね。」

パチュリー「それは...!」

 

苦虫を噛み潰したような顔で言葉に詰まるパチュリーを横目に見た蒼は、小さく口角を上げると、ヒラヒラと手を振りながらフランとの戦闘に戻っていく。それと同時に、静止していた世界のすべてが再び動き始めた。

 

晴人「なんだったんだ、あの子...?」

パチュリー「(どうする...?晴人と戦う道を選べば、まず間違いなくアイツの思うツボ...でも、このまま咲夜を放っておいたら...!!)」

 

 

咲夜「うっ...うぅ...!私は...!」

ラウム「チッ...なぜまだ絶望しない...!?」

 

選択を迫られるパチュリーをよそに、次々に現れる邪魔者に苛立つラウムは、力なくうなだれる咲夜を睨みつける。咲夜を見下すその冷たい瞳に、震える彼女の手に握られた金色のロケットペンダントが映った。

 

ラウム「そうか...それが、お前の"心の支え"か!」

咲夜「きゃっ...!?」

 

ニヤリとほくそ笑んだラウムは、チェーンを引きちぎって咲夜のペンダントを奪い取る。その中には、レミリアやパチュリーといった紅魔館の面々と、幼い頃の咲夜、そして彼女の傍に佇むスーツに身を包んだ紳士が一緒に映る写真が収められていた。

 

咲夜「か、返して...!それには、私の"家族"との大事な思い出が...!」

ラウム「家族だぁ?てめぇは、その家族を、自分で殺そうとしたんだよ!お前はもうアイツ等の家族でもなんでもねぇ、ただのクズなんだよォッ!!」

 

必死ですがる咲夜を殴りつけたラウムは、彼女の目の前でペンダントを握りつぶすと、原型を留めずにへしゃげたそれを中庭に投げ捨てた。思い出を踏みにじられた咲夜の頬に一筋の涙がつたい──

 

咲夜「白夜(びゃくや)さん...ごめん、なさい...」

 

──彼女の身体に禍々しい紫の光が漏れるヒビが走り始めた。グールたちの合間からその光景を目の当たりにした晴人は、急に目の色を変えて銀の銃──"ウィザーソードガン"を連射し、立ちはだかるグールたちを撃ち抜く。

 

晴人「やばい...!このままじゃファントムが...!」

 

咲夜の身体に走る紫のヒビは、絶望してファントムが誕生する前兆。それを嫌というほど理解している晴人は、急いで取り出した"ドライバーオンウィザードリング"を右手のウィザードリングと取り替えてバックルにかざすが、そこからは『エラー』の音声しか流れなかった。

 

晴人「なにっ...マジで変身できないのか...!だったら!」

小悪魔「晴人さんっ!?」

 

それでも諦めない晴人はウィザードソードガンのブレードを展開してソードモードに切り替えると、単身でグールたちに切り込んでいく。アクロバットを織り交ぜた剣技でグールたちを蹴散らす晴人だったが、それに気づいたラウムは、巨大な火球でグールもろとも晴人を吹き飛ばした。

 

晴人「ぐあぁぁっ!」

パチュリー「は、晴人っ!しっかりして!」

 

直撃は免れたものの、爆発の衝撃をもろに受けた晴人にパチュリーと小悪魔は慌てて駆け寄る。晴人を一蹴したラウムは、勝ち誇るように高笑いを上げた。

 

ラウム「ハハハハッ!そこで黙って見てるがいい...この女が絶望する瞬間をなぁ!!」

晴人「そんなこと、させるか...!ぐぅっ...!」

 

パチュリーに支えられて立ち上がった晴人は、地面に打ち付けられた身体を引きずって、再びラウムに立ち向かおうとする。だが、その手を握ったパチュリーが晴人を引き止めた。

 

パチュリー「晴人...私に、力を貸して。一緒に咲夜を助けるわよ。」

晴人「...ダメだ。君をこんな戦いに巻き込むわけにはいかない...」

 

戦う決意を固めたパチュリーのまっすぐな瞳に、一瞬迷いを見せた晴人だったが、彼女の身を案じて断ってしまう。その返答を受けたパチュリーは、やれやれといった様子で小さくため息をつくと、晴人に優しく微笑みかけた。

 

パチュリー「じゃあ、言い方を変えるわ...私の"希望"になって。このまま咲夜を見殺しにしたら、私が自分の無力に絶望する...あの子を助けたいって気持ちは、あなたと同じだから。」

晴人「パチュリーちゃん...」

 

(「誰かの命を守りたいって気持ちは、あなたと同じだから。」)

 

静かだが力強いパチュリーの言葉に、ファントムとの戦いに力を貸してくれた女刑事を重ねた晴人は、小さく笑い声を漏らすと、コクリと頷いた。

 

晴人「そこまで言われちゃ、しょーがないなぁ...パチュリーちゃん、かなり頑固だろうし。」

パチュリー「フフッ...さぁ、どうかしらね?」

晴人「そんじゃ、改めて...」

 

パチュリーと共に戦う覚悟を決めた晴人は、軽口を叩きながら彼女と並び立つと、右手にはめたドライバーオンウィザードリングを外してパチュリーの手を取る。

 

パチュリー「え、な、なに...?」

晴人「俺が、君の最後の希望だ。」

 

そう優しく囁いた晴人は、パチュリーの右手の中指にドライバーオンウィザードリングをそっと滑らせた。その瞬間、晴人が赤い光に変貌して、パチュリーの体に融け込んでいく。晴人とシンクロしたパチュリーは、それに呼応するかのように腰に出現した、晴人と同じバックルにドライバーオンウィザードリングをかざす。

 

『ドライバーオン!プリーズ!』

 

バックルを中心に具現化された銀のベルト──"ウィザードライバー"を装着したパチュリーは、バックルの両脇にあるサイドレバーをスライドさせて、右手向きのバックルを左手向きに変形させる。

 

『シャバドゥビタッチヘンシ〜ン!シャバドゥビタッチヘンシ〜ン!』

 

ウィザードライバーが詠唱するポップな呪文をバックに、パチュリーは赤い魔法石があしらわれた"フレイムウィザードリング"を左手の中指にはめると、そのリングに被さっているバイザーを下げる。

 

パチュリー・晴人「「変身。」」

 

『フレイム!プリーズ!ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!』

 

フレイムウィザードリングをバックルにかざしたパチュリーは、その左腕をまっすぐ横に広げる。すると、彼女の手が伸びる先に人間大の赤い魔法陣が発現し、ゆっくりとパチュリーの身体をくぐり抜けていく。魔法陣を通り抜けたパチュリーは、赤い宝石が施された黒のローブを纏い、被っているナイトキャップも赤い宝石のようなデザインに変化している。そして瞳を輝く真紅に染めたパチュリーは、絶望を希望に変える指輪の魔法使い──"ウィザード"の力を継承した姿へと変身したのだった。

 

パチュリー・晴人「さぁ、ショータイムよ。」「さぁ、ショータイムだ。」

 

パチュリーと晴人、二人の魔法使いのショーが今、幕を開ける...

 

【To Be Continued...】




第18話パート3、閲覧いただきありがとうございました!本当は挿絵も描きたいんですが、時間が足りない...そしてなによりも、画力が足りないッ!!

それでは、チャオ〜!
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