小悪魔「パチュリー様が変身した...!」
目を丸くして固まる小悪魔に小さく微笑みかけたパチュリーは、晴人の落としたウィザーソードガンを回収すると、絶望していく咲夜を見下ろすラウムに向かって駆け出した。
晴人「まずは、とっととアイツを片付けよう。」
パチュリー「えぇ、一気にいくわよ!晴人!」
ラウム「チッ、性懲りもなく...!」
パチュリーの接近に気づいたラウムは、魔力で生成した2本の矛槍を振るって迎え撃とうとするが、彼女の舞うような動きに翻弄され、次々とウィザーソードガンによる斬撃を受けていく。とどめの一突きで吹き飛ばされたラウムは苦し紛れに炎弾を乱射するが、パチュリーの猛追の前には意味をなさない。炎弾をすべて撫で斬りにしながら突き進むパチュリーは、その片手間でドライバーのサイドレバーを操作し、バックルを右手向きに変形させる。
『ルパッチマジックタッチゴ〜!ルパッチマジックタッチゴ〜!』
変身時とはまた違った内容の詠唱をバックに、ベルトに提げているホルダーから外した"ライトウィザードリング"を右手にはめたパチュリーは、バックルにそれを手早くかざす。
『ライト!プリーズ!』
ラウム「うぉっ!?ま、眩しいっ...!」
パチュリーの手から発せられた強力な光を直視したラウムは、その眩しさに思わず目を覆い隠し、攻撃の手を止める。光が収まってすぐにパチュリーを探すラウムだったが、その視界に彼女は映らない。
ラウム「居ない...!?どこいった、あのガキ...!」
晴人「こっちこっち、後ろだよ。」
パチュリー「それと、私はガキ呼ばわりされる歳じゃないわ!はぁっ!」
目くらましの間に背後に回り込んでいたパチュリーは、慌てて振り向いたラウムに怒涛の連撃を浴びせ、華麗なソバットキックで一蹴する。
ラウム「グォッァ!?な、なんだこの強さ...!冗談じゃねぇ、こんなとこでやられてたまるか!」
勢いづくパチュリーに完全にペースを握られたラウムは、明らかな動揺を見せると、黒い翼を生やして空へと飛び立った。
晴人「逃げるつもりか...パチュリーちゃん、ここで決めよう。」
パチュリー「当然でしょ。さぁ、フィナーレよ。」
『キャモナシューティングシェイクハンズ!キャモナシューティングシェイクハンズ!』
ウィザーソードガンをガンモードに切り替えたパチュリーは、バックルと同じような黒い手を模したパーツ──"ハンドオーサー"を展開し、それと握手をするようにしてフレイムウィザードリングを反応させる。
『フレイム!シューティングストライク!ヒー!ヒー!ヒー!』
パチュリー「はぁっ!」
銃身に炎を纏ったウィザーソードガンを構えたパチュリーは、その場でスピンしながら5つの火球を連射する。銃口から放たれた火球は、まるで逃げ出すラウムに吸い込まれるかのような軌道を描き──
ラウム「ぐぉああああ!?」
──その背中に炸裂した。撃墜されたラウムの爆発を見届けたパチュリーは、颯爽とローブを翻して咲夜に駆け寄る。咲夜の身体に走っていた紫のヒビはすでに全身に広がり、彼女の心身を蝕んでいた。
パチュリー「咲夜っ!しっかりしなさい!」
咲夜「パチュリー様...!私、私は...従者失格です...!あの人に...白夜さんに、なんて詫びれば...!こんな、こんなクズに生きる価値なんて...!」
パチュリー「咲夜の価値なら、私やレミィたちがいくらでも教えてあげる...あなたは自分が思っているより、私たちにとってかけがえのない、大事な存在なの。だから、あなたを絶望なんてさせない、約束よ。」
子どものように泣きじゃくる咲夜の手を取ったパチュリーは、ホルダーから"エンゲージウィザードリング"を外してそっと彼女の指に嵌めると、サイドレバーを操作して再度右手向きにしたバックルにかざす。
『エンゲージ!プリーズ!』
エンゲージリングが温かい輝きを放つと同時に、咲夜は意識を失って地面に倒れ込むと、その身体の上に赤い魔法陣が展開される。
パチュリー「もう少しの辛抱よ、咲夜...!」
晴人「行こう、パチュリーちゃん...俺たちが、最後の希望だ!」
深呼吸して息を整えたパチュリーは、一息に魔法陣へと飛び込み、咲夜の精神世界──"アンダーワールド"へと踏み込んだ...
『ウィザード!』
蒼「フフッ...これで13人目、もう少しだ。」
フラン「はあっ!」
ホルダーのブランクライドウォッチが"ウィザードライドウォッチ"に変化するのを確認した蒼は、その隙を突こうとしたフランのライドブッカーの刀身を、目を向けることもなく左手で掴み取る。
フラン「うそっ...!?」
蒼「さ〜て、今日の目的も果たしたことだし...遊びは終わりだよ。」
『フィニッシュタイム!』『ファイズ!』
獲物を狙う狼のような眼光でフランを睨みつけた蒼は、ジカンギレードを投げ捨ててジオウウォッチとファイズウォッチのスイッチを押すと、勢いよくドライバーを一回転させる。
『エクシード!タイムブレーク!』
蒼「はぁっ!」
フラン「うっ...!?」
赤い閃光とともに右脚に発現した、ファイズポインターによく似たデバイス──"ポインター555"にフォトンブラッドが蓄積されるや否や、蒼はフランの胸部を蹴りつけて円錐型のエネルギーマーカーを打ち込む。
蒼「はぁっ!」
フラン「うわぁぁっ!?」
蹴りつけの衝撃で突き放されたフランに、蒼は立て続けに飛び蹴りを叩き込んだ。クリムゾンスマッシュを模倣した技──"エクシードタイムブレーク"を受けたフランは、大きく吹き飛ばされた上にディケイドの姿に戻ってしまう。
士「チッ...!化け物じみた強さだな...!」
蒼「化け物だなんて、人聞きが悪いなぁ...僕は普通の旅人だよ。それはそうと、やっぱり君の力は厄介だね...」
士の悪態に顔をしかめた蒼は、奪取したライドブッカーをブックモードに変形させて宙に放り投げると、青い光球に閉じ込めて謎の閃光を浴びせる。
フラン「な、何してるの...!?」
蒼「時を巻き戻してるのさ...生物であれ、物質であれ、すべての存在はその身に時間を刻んでいる。僕はそれを操っているんだ。」
レミリア「うあぁっ...!」
ユウスケ「ぐわぁっ!」
蒼の人知を超越した能力に愕然とするフランの下に、それぞれルーナとエイサイヤミーに吹き飛ばされたレミリアとユウスケが転がり込む。
フラン「お姉様っ!ユウスケっ!」
ルーナ「まったく、話になりませんね...まぁ、口だけが達者で生意気なお子様には、その程度が関の山ですか。」
レミリア「なんですって...!?人をコケにするのもいい加減にしなさいよ、この毒舌メイド!」
ルーナの手練手管に手も足も出ず、一方的に叩きのめされてしまったレミリアは、彼女の嘲笑にも意地になって声を荒げる。だが、ルーナはその罵声を歯牙にもかけず、彼女の分かりやすい態度を鼻で笑った。
ルーナ「なら、このヤミーを倒して証明しなさい...自分が口先だけの弱者ではないことを、ね。」
ルーナの言葉に応じるかのように、エイサイヤミーは一度全身を銀のメダルに変換し、自身を巨大なエイの姿──"イトマキエイヤミー"へと再構築すると、甲高い奇声と共に空へ浮き上がる。上空へと舞い上がったイトマキエイヤミーは、紫の怪光線を紅魔館の敷地内に放射し、降り注ぐ怪光線を浴びた紅魔館の屋根や外壁は次々に崩壊していく。
レミリア「ぎゃ〜!?私たちの屋敷に、なにしてくれてんのよ〜!!」
キバット「なんだあのエイもどき!?きっ、気持ちわるぅっ!?」
蒼「...これでよし。お〜い、フラン!」
フラン「わわっ!」
わーぎゃーと騒ぎ立てるレミリアとキバットをよそに、閃光の止んだ青い光球からライドブッカーを取り出した蒼は、それをひょいとフランに投げ渡す。慌ててライドブッカーをキャッチしたフランは、急いでその中身を確認するも、そこにはすっかり色が抜け落ちて力を失ったライダーカードが収納されていた。
フラン「そんな...!?」
蒼「士がディケイド以外の力を失っていた頃まで、カードの時間を戻させてもらったよ。でも、力を奪うだけじゃ可哀想だからね、代わりにプレゼントっと!」
蒼が手のひらを空に向けると、上空に巨大なタイムホールが発生し、それをくぐって城のような胴体に紫の四肢と顔を持つ奇怪なドラゴン──"キャッスルドラン"が飛来すると、破壊活動を続けるイトマキエイヤミーに体当たりを敢行した。
渡「キャッスルドラン...!?どうしてここに...!」
蒼「さ、僕たちに構ってないで、早くあのヤミーを倒したほうが賢明じゃないかな?」
ラウムに立ち向かおうとしたレミリアたちを妨害し、自分たちが使役するヤミーを倒させるためにキャッスルドランを提供する...常に不敵な薄ら笑いを浮かべたまま、意図の読めない行動を取る蒼をレミリアは怪訝な目を向ける。
レミリア「...何を企んでるのか知らないけど、今はあなた達の思惑に乗ってあげるわ。これ以上、紅魔館をボロ屋敷にされちゃたまらないしねっ!行くわよ、フラン!一応、ユウスケは中の妖精メイドたちをお願い!」
フラン「む〜...しょーがないなぁ...」
ユウスケ「わかった!」
蒼たちの手の上で踊らされていることを自覚しながらも、主として紅魔館を守ると決断したレミリアはキャッスルドランの屋根へと飛び乗り、イトマキエイヤミーとの交戦を開始する。蒼に力を奪われたフランは不満そうな表情をしながらもレミリアの後を追いかけ、ユウスケはあちこちに火の手が上がり始めた紅魔館に突入する。各々の戦いに向かうレミリアたちの背を見届けた蒼とルーナは、慣れた手付きで変身を解除した。
蒼「さて、と...」
ルーナ「あら...?蒼くん、帰らないんですか?」
変身を解くや否や中庭の方へと歩き始めた蒼に、ルーナは不思議そうな顔で尋ねる。その声にクルッと振り返った彼の表情は──
蒼「ちょっと、"忘れ物"があってね。」
──今までの貼り付いたような笑顔ではなく、まるで無垢な子どものような、無邪気で純真な笑顔だった。
【To Be Continued...】
第18話パート4、読んでいただきありがとうございました!ルーナが使役するために、改めてエイサイヤミーについて調べたんですが、今まであの巨大なエイの姿がイトマキエイヤミーっていうの知らなかったんです...そこそこ長いことライダーファンをやってても、知らないことはあるものだなぁ、としみじみ思いました。
それでは、チャオ〜!