東方時哀録   作:シェイン

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こんにちは、シェインです!お久しぶりですね。活躍報告を読んで下さっている方は、お久しぶりでもないでしょうか?

さぁ、長らくお待たせしました!1ヶ月の出す出す詐欺を経て完成した第5話、どうぞ!


第5話 ~吹き込みしW/この世界(まち)を守る者~

頭蓋骨の牙が静真に迫る中、さとりの右腕が本人の意思なく動き、懐から黄色のガイアメモリを取り出して起動する。

 

『ルナ!』

 

十字の閃光の走る三日月の描かれたルナメモリは、月の女神の名を告げた。無意識に動き続ける右腕は、ドライバーのスロットを内側に閉じてサイクロンメモリとルナメモリを入れ替える。マキシマムスロットに入っていたジョーカーメモリも左スロットに戻すと、スロットを再び外側に展開する。

 

『ルナ!ジョーカー!』

 

さとりの服装の中心に走るシルバーラインから、右半身のカラーと装飾品が煌めく金色に変化していく。変化した金色のハーフボディは、幻想や神秘の力を秘めたルナメモリの力だ。

 

「えっ!?勝手に変わった!?」

「えいっ!」

 

勝手に変身した自分に驚愕するさとりをよそに、こいしは声を上げてさとりの右腕を操り、静真に向けて伸ばす。それは自体は普通なのだが、その伸びっぷりが異常だった。なんと数メートル先で倒れている静真の近くまで伸びていたのだ。右腕は触手のような動きで静真に巻き付くと、縮んでその身を引き寄せる。気絶している静真をなんとか抱えたさとりは、彼を足下に横たわらせて、メインディッシュを失った頭蓋骨を見据える。

 

「あら、せっかく味わってあげようと思ってたのに...」

「しゃ、喋った!?」

「本来ならメモリの使用者は意識を保ったままだ。ある意味こっちの方が自然さ。」

「言ってることは尋常じゃなく不自然だけどな!」

「人間って美味しいのかなぁ?」

 

ドーパントが言語を発したことに驚くさとり。それに対して冷静に答えるフィリップ。頭蓋骨の異常な発言に突っ込みを入れる翔太郎。そして的外れな疑問を持つこいし。一人で四人分喋るさとりを眺める頭蓋骨は、その可笑しな光景に笑い声を上げて言う。

 

「ふふっ!可愛いわね、あなた。その可愛さに免じて、静真君は諦めてあげるわ。でも、今度邪魔したら...あなたを食べちゃうわよ?」

「まっ、待ちなさい!」

 

再び地面の中に潜って行く頭蓋骨。さとりは右腕を伸ばして捕らえようとしたが、咆哮による衝撃波で弾かれてしまった。弾かれた右腕を縮めたさとりは、ドライバーのスロットを閉じて変身を解除する。小規模な竜巻が起きてステンドグラスが剥がれると、さとりの服装は元に戻り、翔太郎とのシンクロも解除された。

 

「逃がしてしまいましたね...こいしも元に戻ったのかしら?」

 

妹を気遣うさとりは、こいしの倒れていた場所に目を向ける。だが、そこにこいしの姿は無く、さとりは辺りを見回す。探していたこいしは、フィリップ、そして花香茶の店長である花名と共に、建物の陰から手を振りながら現れた。

 

「お姉ちゃ~ん!」

「こいし!フィリップさん!それに花名さんまで!」

「ごめんなさい、さとりさん。ついつい様子を見に来ちゃいました。」

 

避難を促した花名までこの場にいることに驚くさとり。少し申し訳なさそうに両手を合わせる花名は、さとりの足下で横たわる従業員の姿を見つけて目を見開いた。

 

「静真くん!?一体どうしたんですか!?」

「...お姉さん、心配は要らねぇよ。化け物に襲われて、気絶しちまっただけだ。」

「そうですか...良かった。」

 

静真に寄り添う花名は翔太郎の言葉に胸をなで下ろす。翔太郎はそんな花名を見て、帽子を目深に被る。さとりには、その時の翔太郎の曇った表情が見えていた。そんな彼らの隣を通り抜け、フィリップは一直線に破壊されたヴェロキラプトルメモリの調査に赴く。まだ熱の残るメモリを手に取ると、表面が破壊されたことによって剥き出しになった基盤を覗き込んだ。

 

「これは...?」

 

その基盤の中にある物を見つけたフィリップは、その存在に疑問を持つ。

 

「翔太郎さん、フィリップさん。とりあえず、私の屋敷に来て下さい。落ち着いて話がしたいので。こいしも一緒に来てね。」

「はーい。」

「お前の屋敷!?子どもなのに屋敷あんのかよ!?まぁいいか、おいフィリップ!行くぞ!」

「あぁ...分かった。」

 

さとりはガイアメモリのことを含めた諸々の話をするために、翔太郎とフィリップを地霊殿に招き、こいしにも帰宅するように伝える。翔太郎は見た目からは想像のつかない事実に驚愕し、フィリップは壊れたヴェロキラプトルメモリをポケットにしまって皆に合流した。

 

「花名さん。静真くんのこと、お願いしても良いですか?」

「は、はい。分かりました。」

 

さとりは花名に静真の処置を依頼してから、広場を後にする。その後ろを歩く翔太郎の耳には、ドーパントのいなくなった広場に集まる野次馬たちの声が聞こえていた...

 

 

俺は正直、胸くそが悪かった。

 

ここがどこで何が起こっているか分からないのもあると思うが、それ以上に耳の木霊する野次馬たちのたちの声が腹立たしくて仕方がねぇ。ドーパントメモリの使用者を庇うような嘘をついたり、勝手なことを言う野次馬に怒りがこみ上げたり、こんなんじゃハードボイルドには程遠いな...。そんな事を思いながら、俺はさとりの後ろに付いていく。広場から離れた辺りにはドーパントの被害はなかったらしく、健常な状態の建物が並ぶ大通りを抜けると、巨大な洋館が俺の目に映る。その洋館の上品な外観に、俺は今は無き相棒の実家を思い出した。

 

「マジでお屋敷じゃねぇか...」

「すごいね...」

 

どうやらフィリップも同じらしい。少し寂しそうな表情を浮かべながら立派な洋館に賞賛を贈っていた。そこから急に表情を明るくしたフィリップは、こいしにやや興奮気味な口調で問いかける。フィリップ、幼女にその勢いで絡むのは宜しくないと思う。

 

「そうだ、こいし!!君はなぜルナメモリを使用したんだい?彼を助けるには非常に適切な判断だったよ!ルナの特性も伝えた訳ではないのに、なぜ!?」

 

すれ違う人々の、化け物の次はロリコンか!?みたいな目に気付かない相棒に頭を抱えるが、それについては俺も気になっていた。静真とか言うあの青年が襲われた時、右腕がこいしに操られてルナジョーカーに変身。体を伸縮できるルナジョーカーの能力を利用して彼を助けた。まるでWの戦い方を熟知しているかのように。ガイアメモリと関わったことがあるのかと考えた俺は、息をのんでこいしの答えを待つ。

 

「う~ん、分かんない!」

「「・・・えっ?」」

 

あどけない笑顔を見せるこいしに、俺たちは唖然とする。分かんないってどういうこったい!?あんぐりと口を開けたままの俺たちに、振り返ったさとりはうっすら笑いながら衝撃の事実を告げた。

 

「仕方ありませんよ。こいしは無意識に行動してますから。」

「無意識...?」

「一体どういうことだい?」

「まぁ、それについてもお話ししますから、中にどうぞ。」

 

話しながら歩いている間に門についたらしい。目の前に俺の身長よりも少し大きい、黒い金属製の門がいつの間にかそびえ立っていた。どっちかって言うと柵っぽいけど。さとりがその門に手を翳すと、地響きを起こしながらゆっくりと開いた。俺は、魔法かよ!?と思いながら、屋敷の敷地内に踏み込むさとりに付いていく。広い庭の右側には美しく咲き誇るバラ園と色とりどりの花が植えられた花壇、左側には噴水やベンチなどが設置されている。

 

「まるでお洒落な公園だな...」

「ペットたちの遊び場でもありますからね。」

 

さとりの言葉通り、ベンチや花壇でくつろぐ猫や小鳥が見受けられる。少し不本意だがペット探しが生業のような生活をしてた俺は、動物の表情からその気持ちを理解することが出来る。庭にいる動物たちはみんな安らかな表情をしていて、いかにさとりがペットから信頼されているかが垣間見えた。さとりは玄関までたどり着くと、その扉を両手で開く。すると、猫耳の可愛い従者が出迎えてくれた。

 

「お帰りなさい!さとり様!」

「えぇ、ただいまお隣。」

「ただいま~!」

「あっ!こいし様も帰られたんですね!お帰りなさい!」

 

質素かつ広大なエントランスに控える、深紅の髪を両サイドで三つ編みにしたゴスロリっぽい服装の少女は、さとりとこいしの姿を見て明るく笑った。ところで、猫耳はカチューシャかなんかかな?ゴスロリファッションと言い、コスプレっぽいな。

 

「ん?そっちの人間は...?」

 

どうやら俺たちの存在に気づいたらしく、ゴスロリガールは怪しそうにこちらを伺ってくる。そんな彼女に、さとりは俺たちを手で示して紹介する。

 

「黒い服の人が左翔太郎さん、緑の髪の人がフィリップさん。少し話があるから、応接室に案内しておいてちょうだい。」

 

そう言ってさとりはエントランスの正面に伸びる廊下に向かっていった。取り残された俺は、ゴスロリガール改めて自己紹介をする。

 

「改めて、俺の名は左翔太郎。ハードボイルドな探偵さ。で、こっちはロリコン少年のフィリップくん。」

「翔太郎...ロリコンとは一体なんだい!?非常に興味深い!」

 

やばい、こいつにはお灸にもならなかったらしい。興味を無駄に焚き付けちまった...お、俺は知らねぇ!俺は悪くねぇぞ!ゴスロリガールは、若干怪訝そうな視線を向けながらも自己紹介をしてくれた。

 

「あたいは火焔猫(かえんびょう)(りん)。まぁ、気軽にお燐と呼んでよ!よろしくね、翔太郎!フィリップ!」

「あぁ!よろしくな、お燐。」

「よろしく頼むよ。」

 

どうやら彼女は陽気な性格らしい。ゴスロリガール改め、お燐は怪訝そうな視線をすぐに笑みに変えて、愛称で呼ぶように誘ってくれる。その明るい自己紹介に俺たちも好意的な印象を受けて、気さくに挨拶を交わした。互いに自己紹介の済んだ俺たちを、お燐は「じゃ、ついてきて。」と言って先導してくれる。エントランスの右手にある階段を登る俺は、ずっと気になっていたお燐の格好について聞いてみた。

 

「なぁお燐、お前の猫耳ってカチューシャか?」

「あははっ、違うよ。正真正銘、猫の耳さ。ほれ!」

 

耳をピクピクと動かして見せるお燐。俺はねこだましを受けたみたいな顔をしてんだろうなぁ。隣でフィリップが吹き出しそうな顔をしてんのが何よりの証拠だ。こんのロリコン野郎がぁ!!

 

「あたいはさとり様のペットでね、この下の灼熱地獄ってとこを任されてるのさ。」

「地獄!?」

「猫なのに人型なのかい!?ここに来てからと言うもの、ゾクゾクが尽きないよ!!」

 

フィリップの言葉を聞いた瞬間、俺の中で何かが冷めていくのを感じた。俺の冷たい表情をフィリップやお燐に悟られないよう、俺は帽子を深く被りなおす。きっと、「ここに来てから」という部分が引っかかったんだろう。ここは風都じゃないって現実を、改めて感じちまった。そんな暗い気分のまま廊下を進み、突き当たりの部屋へと案内される。

 

「じゃあ、ここで待ってておくれ。あたいは仕事に戻るよ。」

「あぁ...ありがとな。」

 

役目を終えて立ち去るお燐に、俺は少し無愛想な礼を言う。扉を閉めて廊下を戻るお燐は、ふと親友の様子が気になり呟く。

 

「そういえば、お空は何してるのかな?またサボってないといいけど...」

 

案内された部屋には長机と六つの椅子、タンスや棚の収納家具、さらには小さめのキッチンまで完備されており、下手なアパートより快適な部屋だろうと俺は思いながら椅子の一つに腰掛けた。部屋を見回したフィリップもまた、俺の隣に腰を下ろす。しばらくの間、俺たちは黙り込んでいた。時間と俺の醸し出す雰囲気が、重苦しい静寂を作り出してしまう。その居心地の悪い静寂を先に破ったのはフィリップだ。

 

「翔太郎...風都のこと、気になるかい?」

「当たり前だ。お前だってそうだろ。」

 

あまりに分かりきったことを聞いてくるフィリップに腹立たしさを感じた俺は、ぶっきらぼうに即答した。フィリップは、俺の言葉に対して「あぁ...勿論だ。」と答える割に表情は暗い。やがて、フィリップはゆっくりと話しだした。

 

「さっきの話...ここは風都のある地球とは別の地球かもしれないという話だが、僕は可能性が高いと思ってる。」

 

嫌な予感はしてた...だから俺はいつも通りなふりをして、必死で目を背けていたのかもしれない。

 

魔法のように開く門、猫耳の少女、ガイアメモリを使った者の罪。風都に全く無かったものと、風都にあった一番醜い部分、その全てから。

 

そんな俺に強い眼差しを向けながら、フィリップは続ける

 

「ロードのような例もある。何らかの力で構築された世界なら、その力の根源を排除すれば脱出が可能かもしれない。だが、もしも本当にパラレルワールドだったとしたら...」

「もう止めろッ!!」

 

フィリップの口から淡々と語られる想像通りの可能性に、俺は声を荒げて机に拳を叩きつけ、また目を背けてしまった。だがフィリップは動じることなく、無言で俺に強い眼差しを向ける。その時、扉がガチャリと鳴った。

 

「どうしたんですか...?」

 

部屋に入って来たさとりは、心配そうな視線を俺たちに向けてくれる。きっと俺の声が廊下まで漏れていたんだろう。フィリップは爽やかに「何でもないよ。」と言ったが、さとりにはお見通しだったらしい。正に覚った表情をしてキッチンの冷蔵庫に向かう。

 

「そうですか...少し待ってて下さい。お茶、用意しますから。」

 

さとりは冷蔵庫から冷茶ポットを取り出し、三つの透明なティーカップに注いでいく。お盆に乗せたティーカップを俺とフィリップの前に置きつつ、さとりは言う。

 

「恐らく、パラレルワールドではないと思います。この幻想郷は独立した世界なので外とは文化や歴史が大きく違いますが、あくまでここは日本国土です。」

「本当か!!」

 

俺は思わず立ち上がり、前のめりになってさとりに顔を近づける。俺の顔を見たさとりはその目を逸らし、心苦しそうに口を開いた。

 

 

「ただ...外の世界に、風都に戻ることは出来ないと思います...」

 

 

 

俺にはさとりの言葉が理解出来なかった。

 

どういうことだ?

 

何言ってんだよ?

 

戻れない?

 

愛するあの街に?

 

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だッ!!

 

 

 

風都への愛、帰れない悲しみ、怒り、絶望。俺の中で感情がぐちゃぐちゃに混ざって、心っていう器から溢れるのを感じた。俺は溢れ出る醜い感情に身を任せ、目の前のさとりにみっともなく怒鳴り散らす。

 

「風都に戻れないってどうゆうことだよ!!ふざけんな、俺たちを風都に帰らせろ!!」

「翔太郎ッ!!落ち着くんだ!!」

 

自分より幼い子供に対して喚く俺を情けなく思ったのか、フィリップは大声で俺をなだめる。フィリップの声で行き場をなくした感情を押さえ込んだ俺は、粗暴な態度で椅子に座り直し、お茶に口をつけた。その瞬間に鼻を抜ける優しい香りに、俺の記憶はフラッシュバックする。

 

 

(「あなたは私を満たしてくれる人?」)

 

(「ホント可愛いね、あんた。不器用すぎてよく死にそうになったりしない?」)

 

(「私...あんたの探偵助手になる。」)

 

(「好きよ、半熟の卵。」)

 

(「一人じゃ...きっと、」)

 

(「罪を数えられないから......」)

 

 

風都に残してきた愛する魔女の声とハナミズキの香りは、感情的になっている俺のストッパーを破壊するには──

 

 

 

 

 

十分過ぎるものだった。

 

 

 

「翔太郎さん、大丈夫でしょうか...」

「心配いらないさ。それよりも、翔太郎が悪いことをしたね。すまなかった。」

 

ハナミズキのお茶を飲んだ途端、部屋を飛び出して行った翔太郎を心配するさとりにフィリップは頭を下げた。対するさとりは恐縮した様子で座り、フィリップに頭を上げるように促す。

 

「私も配慮が足りませんでしたし、頭を上げて下さい。」

「...ありがとう。翔太郎は決して悪い奴じゃないんだが、良くも悪くもハーフボイルドなんだ。」

 

さとりの言葉に礼を言いつつ顔を上げたフィリップは、風都から離されて冷静さを失っている相棒のフォローをした。フィリップの行動に彼らの信頼関係を垣間見たさとりは、心で繋がっている二人の関係を少しばかり羨ましく思う。

 

「じゃあ翔太郎はいないけど、この世界...幻想郷について教えてくれるかい?」

「分かりました。まず...」

 

フィリップから頼まれたさとりは、翔太郎が居ない中、幻想郷の説明を始めた。幻想郷に訪れる仕組みや、妖怪や妖精の存在。更に自分たち姉妹も「覚」という妖怪であること、自分が扱う心を読む能力のことに加えて、シンクロについてを余す所なくフィリップに伝えた。話に聞き入るフィリップは、話の要所要所で様々な反応を示す。どうやら幻想郷はフィリップの知的好奇心を強く刺激するようだ。

 

「...といった所ですね。幻想郷がどのような場所か分かって頂けましたか?」

「凄いよ!この世界は考えても見なかった事象に溢れている!ゾクゾクする!ゾクゾクするねぇ!!」

 

興奮が抑えられないフィリップは、顎に手を添えて楽しそうな表情を浮かべる。そこで、いつも自分を止めてくれる相棒がいないことを思い出したフィリップは、興奮を自制して咳払い。どこか優しい笑みを向けるさとりに向き直る。

 

「こほん...それじゃあ、次はこちらの番だね。」

 

フィリップはガイアメモリ、仮面ライダーW、ドーパントについて解説していく。その説明は尋常ではない長さで、正に激流の如き熱弁っぷりだ。ガイアメモリだけでも一時間程度かかりそうだったので、さとりはフィリップを静止した。

 

「...ガイアメモリとは地球のあらゆる物質、事象を研究して分析されたデータを基に精製されるUSBメモリ形状のデバイスで...」

「フィリップさん...あなたの心を読んで概要は理解したので、もう大丈夫です。」

「...そうかい?残念だな。」

 

少し不満そうに口をつぐんだフィリップは、部屋を見渡して小さな違和感を感じた。まるで、何かが欠けているような違和感を。そこでフィリップは、初めてこいしの姿が無いことに気づいた。

 

「そうだ、こいしはどこに行ったんだい?」

「私が部屋に入って来た時から居ませんでしたよ。あの子ったら、また無意識にいなくなっちゃうんだから...」

 

ため息をついて窓の外を見るさとり。その心中は、自由奔放な妹の身を案じていた。

 

 

 

僕の耳に小さな吐息がかかり、少しばかりムズムズとする。その感覚で僕は目を覚ました。ゆっくり目を開くと見慣れた木目の天井。鼻には優しい香木の香りが届く。間違いない、僕の大好きな花香茶の匂いだ。安心して起き上がった僕は、自分の目を疑った。

 

「あっ!お兄さんおはよー!」

「へっ...?あっ、おはよう。」

 

僕の手に手を重ね、目覚めの挨拶をしてくる緑髪の少女。見知らぬ少女がベッドのそばにいたことに衝撃を受けつつ、とりあえず挨拶を返す。

 

「あ、えっと...君は?」

「わたし、こいしだよ!お兄さんに聞きたいことがあってきたの!」

「聞きたいこと?」

 

こいしちゃんの言葉に僕は首を傾げる。気弱な僕が知ってることなんて大したことないし、こいしちゃんは何者なんだろう?体も妙に重いし、一体何が起こってるんだろう...?起きて早々に目が回りそうな僕に、こいしちゃんは質問を続ける。

 

「そう!お兄さん、昨日の夜何してたの?」

「昨日の夜は...知り合いの人と飲みに行ってたよ。我牙(わが)久羽(くう)さんって人。あんまりお酒は得意じゃないんだけど、断れなくて飲み過ぎちゃった...。そのせいか頭も痛いし、体も重いしで、情けないね。」

 

僕は自嘲気味に笑い、視線を落とした。それを見たこいしちゃんは、僕の頭にその小さな手を伸ばして撫でる。小さい子どもに頭を撫でられる僕は、戸惑いながらこいしちゃんに聞いた。

 

「え~っと、なんで僕の頭を撫でてるの?」

 

こいしちゃんは優しく微笑み、答えてくれた。

 

「分からない。でも、前に誰かがわたしにこうしてくれたの。その手はとっても優しくて、わたしはすごく温かい気持ちになったんだ。だから、お兄さんにもって。」

 

「ダメだった?」と聞いてくるこいしちゃんに対して、僕は静かに首を振って否定した。こいしちゃんは「良かった!」と元気に飛び跳ね、手を振りながら部屋を出て行った。

 

「なんか...不思議な子だなぁ。」

 

僕は撫でられた髪を弄りながら、こいしちゃんの手の温もりを思い出す。彼女との出会いが、僕──未先静真を変えていく全てのきっかけだった。

 

 

 

部屋から飛び出した俺は、がむしゃらに走った。廊下を駆け抜け、階段を飛び降り、エントランスの扉を開け放って屋敷からも飛び出す。理屈はよく分からねえけど、体が止まらなかった。感情のままに走った俺は、たどり着いた屋敷の庭のベンチに座った。頭上に広がる鉱石の天井を見上げた俺は、帽子を顔に被せて視界を塞ぐ。そのまま考える事を止めて呆けていた俺の耳に、いつもと変わらない相棒の声が聞こえる。

 

「何をやってるんだい、翔太郎?」

 

心の内に迷いがあった俺は、フィリップの問い掛けに答えられなかった。無言の俺を気にもせずフィリップは隣に座り、言葉を続ける。

 

「僕もあの街は大好きさ。帰れないなんて今でも信じたくないよ。でもね、この世界にも蔓延しているガイアメモリは、風都から吹く風に乗ってきた大きな不幸だ。それによって、また誰かの涙が流れようとしている。」

 

俺は、フィリップの言葉で感情が整理されていくのを感じた。同時に、熱い想いが燃え上がってくるのもな。フィリップは俺の肩に手を置き、強く言う。

 

「だったら、僕らのすべきことは一つだ。例え風都じゃなくても、彼女を傷つけない為に嘘をついた...ハーフボイルドな君なら、この世界の為にも戦える。目の前で泣いてる相手がいれば、その涙を拭わずには居られないのが左翔太郎だろう?僕は信じてるよ、相棒。」

「...俺は、ハードボイルドだっつうの。」

 

俺は帽子を顔から離し、フィリップに笑顔を向けて軽口を返した。それを見たフィリップは、分かっていたと言わんばかりに口角を上げる。

 

「いつもの調子が戻ってきたみたいだね。じゃあ伝えておこう。君が嘘をついたのは、選択ミスではないかもしれないよ。」

「...どういうことだ?メモリの使用者を庇うのが選択ミスじゃねぇって...」

 

フィリップはポケットから破損したヴェロキラプトルガイアメモリを取り出し、俺に見せつけながら告げた。

 

「今回は違うのさ。戦いの舞台も、ガイアメモリもね。」

 

 

翔太郎と別れた僕は地霊殿のエントランスに戻り、右側の階段の裏を覗く。そこには、さとりの言う通り地下へ階段が伸びており、僕はその階段に足を踏み入れる。その理由は、ヴェロキラプトルメモリを詳しく調査する為。さとりに、そういったことが出来る場所が無いか?と聞いたところ、この階段の先の地下を紹介されたのだ。普段は、極度の人見知りなペットがいるそうだが、今は散歩に出ているらしい。妖怪ならどんな容姿をしているか、非常に興味深かったが仕方ない。またの機会に対面させて貰おうか。そんなことを考えながら、僕は金属製の階段を下っていく。二十段程度下りた所で階段は終わり、たどり着いたのはガレージのような場所。そこに鎮座していた戦車のような巨大車両に、僕は声を上げた。

 

「リボルギャリー!!」

「ひっ...!?」

 

Wとしての戦いを支えてくれるビークルの一つ、リボルギャリー。僕や翔太郎の持つサポートメカ、メモリガジェットの一つであるスタッグフォンからの信号を受け取ることで自律稼動も可能なマシン。さらに、その内部にWが乗るバイク、ハードボイルダーの換装ユニットを格納している。見慣れたマシンがあったことに歓喜していた僕とは反対に、怯えるような悲鳴がガレージに響く。その声の方に目を向けると、ガレージの隅で震える少年の背中があった。

 

「もしかして、ここにいるっていうさとりのペットかい?」

「...て...ないで...」

 

僕がその背中に近づいていくと小さく呟く声が聞こえたが、その声は所々途切れている。更に接近していくと、その声ははっきりと聞こえた。

 

「...やめて...殺さないで...!」

「!?君、大丈夫かい!?」

 

殺さないでと懇願する言葉を聞いた僕は、思わずその肩に手を触れてしまった。それが過ちだったことを、僕は次の瞬間思い知らされた。

 

「ぅぁ...」

「えっ!?き、君!大丈夫かい!?」

 

彼は声にならない悲鳴を上げて倒れ込んでしまったのだ。完全に気を失ってしまったようで、呼びかけても反応が得られない。とりあえず近くのソファに寝かせるため、僕はその体を抱えた。その途中で彼の観察を行う。見た目の年齢は少年と言った所だろうか、フードを被った顔はまだ幼いものに思える。上品な金と黒を基調とした大きめのロングパーカーを羽織っているが、そのデザインはまるで賢者のローブのようで、どこか神聖さを感じさせるものだ。それ以外にも全身を観察したが、妖怪らしい特徴は見受けられなかった。観察を終えた僕は少年をソファに寝かせ、作業台らしき場所を拝借した。ドライバーでヴェロキラプトルメモリの基盤を覆うカバーを分解する中、僕は少年の言葉を思い出す。

 

「(殺さないで...か。この子の人見知りには、裏がありそうだね。)」

 

メモリのカバーを分解した僕は、内部の基盤に取り付けられた小型チップをピンセットで引っ張る。やはり後付けされた部品らしい、見慣れないチップは簡単に外れた。僕は分析の為、双眼鏡型のメモリガジェット、デンデンセンサーを懐から取り出した。デンデンセンサーの赤いレンズを通してチップを見ると、レンズ上にチップのプログラムが表示されていく。その内容を理解した僕は、小さく笑った。

 

「なるほど...メモリ使用者の自我を押さえ込み、暴走させるプログラムか。どうりで静真が理性を失っていたわけだ。しかも、持っているだけでメモリを使用するように特殊な超音波を放つとは。対応するコネクタがない相手には影響がないみたいだが、ハイドープの能力に近しいものだ...こんな危険なチップを一体誰が...?」

 

次々と疑問は浮かぶが、今するべきことは他にある。翔太郎の為、この世界の為、僕も調子を取り戻さなければいけない、僕の能力の調子を。

 

 

フィリップと別れた俺はさとりに謝るため、応接室に向かった。いい大人が、幼い少女に対して八つ当たりして怒鳴り散らしたんだ。恥ずかしいことこの上ないが、謝るのが俺の付けるべきけじめだ。だが、待てよ。フィリップによるとさとりもこいしも妖怪なんだよな。じゃあ俺より年上って可能性もあるのか!?さとりはなんか態度が大人びてるなぁ、とか思ってたけど、それが理由か!?でも、そうだとしたら年齢なんて聞けねぇよな...。応接室の前にたどり着いた俺は、さとりとの接し方に悩みつつ深呼吸。覚悟を決めてドアを開けた。

 

「あ...翔太郎さん。」

「さとり...その...」

 

窓の外を眺めながら紅茶を嗜んでいたさとりは、ドアの開く音に気づいて俺の方に顔を向ける。その顔は気まずそうで、多分俺も似たようなもんだろう。俺とさとりの間に、何とも言えない時間が流れる。

 

「さっきはごめんなさい。」「すまねぇ、悪かった。」

 

一瞬ぽかんとした俺たちは、つい吹き出してしまった。同じタイミングで同じことを言うのは何だか気恥ずかしいが、どこか嬉しさもあった。さとりもそれを感じているのか、出会ってから一番いい笑顔を浮かべていた。

 

「ふふっ、やっぱりシンクロするみたいですね、私たち。」

「ああ、全くだ。」

 

俺はさとりの意見に賛同しつつ、飲みかけのティーカップの前に座った。ハナミズキの香りがする紅茶を改めて口に付けると、今度は不思議と心が落ち着いた。確かに...いい匂いだな。

 

───ときめ。

 

そう心の中で呼び掛けた俺は、自分の行いを鼻で笑った。そんな俺に、さとりは言う。

 

「翔太郎さんは、仮面ライダーは、幻想郷の希望。外の世界と幻想郷を繋ぐことが出来る唯一の人が、そう言っていました。」

「その人がみすみす俺たち、希望を帰す訳がないってことか。」

「その通りです...さすがは探偵さんですね。」

 

風都に戻れない理由を察した俺は、さとりの言葉を遮って呟く。感心したように微笑むさとりに、俺は一つ質問をする。さっきからずっと、俺の心に引っかかっているものを解消するために。

 

「なぁ、さとり。さっき、この里を守りたいって言ったろ?お前はどうして戦うんだ?」

 

質問を終えた俺の頭の中に、広場の野次馬たちの声が蘇る。

 

(「なんだなんだ?」)

(「まさか異怪の大乱の時の化け物が蘇るなんて...」)

(「おい見ろよ。あれ、地霊殿の覚妖怪だよな。」)

(「本当だ。普段屋敷にこもってんのに、気味悪いな。」)

(「その上、心を読んでくるんだろ?俺、関わりたくねぇわ。」)

(「もしかして、あの怪物もあの娘の仕業なんじゃない?」)

(「だとしたら悪魔ね...あんなのが地底の管理者とか、有り得ないわよ。」)

 

騒ぎを気にする男、ドーパントを恐れる女、まるでさとりを化け物のように指差す男、そして嫌煙する男。挙げ句の果てにさとりの仕業だ、悪魔だと罵る女たち。何も知らない、知ろうともしない連中の罵声が、命を懸けて戦ったさとりに向けらていた。

 

俺には、戦う理由が分からなかった。俺たちは風都を守り、風都のみんなは俺たちのことを街を守るヒーロー、「仮面ライダー」と呼んでくれた。当然、称えられる為に戦ってた訳じゃない。街のみんなが好きだったから戦ってたんだ。

 

俺は...あいつらの為に戦えるのか?

 

心の中で自問自答していた俺に、しばらく黙っていたさとりは突然立ち上がって告げた。

 

「翔太郎さん、ついてきて下さい。見せたいものがあるんです。」

「見せたいもの?」

 

扉を開けて部屋を出て行くさとりに、俺は戸惑いながらついていく。さとりはエントランスの階段を下り、階段の裏にある地下への階段を下りていく。俺は探偵事務所の秘密ガレージを思い出しながら、さとりの後に続く。そうそう正にこんな感じだ。ガレージのど真ん中にリボルギャリーがあって...ん?

 

「ってえリボルギャリー!?なんでここにあんの!?」

「あら、なんでしょう?あの子が拾って来たのかしら?」

「拾うって、マジかよ...」

 

驚愕する俺を気にせず、さとりは心配そうにガレージを見回している。作業台に向かっていたフィリップは、俺の声に気づいて体ごと振り返った。フィリップは少し苦い顔をしてさとりに話しかける。

 

「すまない、さとり。彼に話しかけたら、突然気を失ってしまって...」

「やっぱり帰って来てたんですね...!青龍(せいりゅう)...」

 

フィリップの言葉を聞いて一層青ざめたさとりは、ソファで横になる少年に駆け寄り、ゆっくりとその青い髪を撫でる。まるで子供を寝かしつけるように、優しく、柔らかに。やがてさとりは、静かに口を開いた。

 

「この子は青龍...川辺で倒れていた所を、偶然通りかかった私が助けたんです。この子は酷い人見知りですから、フィリップさんに驚いて気絶してしまったんですね...」

「本当に、それだけかい?」

 

フィリップの鋭い声に、さとりの肩が小さく動いた。フィリップも探偵だ、きっと何かあるっていう勘が働いたんだろう。

 

「青龍は、倒れる前に怯えながら繰り返していたよ。やめて、殺さないで、とね。ただの人見知りなら、初対面の相手に殺されるとまでは考えないよね?」

 

前言撤回、再び。こいつは頭脳派の探偵でした。ま、だからこそ二人で一人の探偵なんだけどな。フィリップの言葉を聞いたさとりは、少しだけ悲しい顔をして青龍の全てを話してくれた。失われてからの全てを...な。

 

「この子は...記憶喪失なんです。残っている記憶は、薄暗い場所で拘束されて様々な事の実験台にされた時のことだけ。それ以外の事は思い出せないみたいです。名前も、家族も、何もかも。」

「家族のことも...か。」

 

さとりの話を聞いたフィリップは、青龍と過去の自分を重ねているのか、暗い表情を浮かべていた。以前フィリップは、家族の記憶を失っていた時期があった。その頃は自分の名前も分からなくて、ハードボイルド小説に出てくるフィリップ・マーロウから、フィリップって呼んだんだったな。

 

「妖怪でも、家族ってやっぱ大切なんだな。」

 

ぼそっと呟いた俺に、さとりは悲しそうな笑顔を浮かべて言う。

 

「当然ですよ。私やこいしにも...いましたから。」

 

さとりはそれだけ言うと、再び青龍を撫で始めた。さっきよりも優しく、柔らかく、欠けた何かを埋めるように。そこには、寂しそうな優しさが漂っていた。

 

「うぅん...さとり様...?」

「気がついたのね、青龍...大丈夫?」

 

さとりの話で静まり返っていたガレージに、青龍のうめき声はよく響いた。青龍はその蒼眼をゆっくり開けて、そばで心配しているさとりを見た。目覚めた青龍に、さとりは優しく問いかけた。

 

「はい...知らない人がここに入って来て...ひっ...!」

 

なるほど、確かにただの人見知りじゃねぇな。青龍は俺とフィリップに気づくや否や、それこそドーパントを見たかのように怯え、さとりの陰に隠れてしまった。そんな青龍の手を握り、さとりは静かに声をかける。

 

「大丈夫、大丈夫よ。この人たちは私の知り合いなの。とってもいい人たちだから、安心して。」

「さ、さとり様の...」

「俺は左翔太郎、ハードボイルドな探偵さ。よろしくな。」

「さっきはすまなかったね。僕はフィリップだ。よろしくね、青龍。」

「...は、はい...」

 

あまり恐怖心をかきたてないよう、俺たちは軽く挨拶をした。それに対して青龍は、さとりに隠れながらではあるが応えてくれた。

 

「青龍、フィリップさんと一緒に居られる?」

「はい...大丈夫だと思います...」

 

自身なさげに頷いた青龍に微笑んださとりは、俺の方を向いて立ち上がった。

 

「さて、行きましょうか。翔太郎さん。」

「行くって、どこに?このガレージにはドアなんて見当たらねぇけど...」

 

ガレージを見回す俺を先導し、さとりはリボルギャリーの脇を通り過ぎて行く。リボルギャリーの先にある壁まで辿り着くと、俺はその壁に細い分割線があることに気がついた。さとりが壁の前に立つと、その直後、ウィーンと軽い音を立てて壁が二つに分かれ、円形の部屋が俺の前に広がった。

 

「自動ドアかよ!?」

 

俺のツッコミを完璧にスルーしたさとりは円形の部屋を手で示し、入るように促してくれた。それに応じて部屋に入った俺は、部屋の観察を始めた。この部屋は円柱状らしく、上にはどこまでも闇が広がっており、円の中心には操作用の電子パネルが備えられている。さとりがパネルの上矢印に触れると、電子パネルが自動で床に格納され、扉は再び軽い音を立てて閉じた。その動作が完了した直後、床は静かに上昇を始めた。

 

「これは、私が地上に行きやすいようにと、青龍が作ってくれた物なんです。」

「このエレベーターを作った!?あのひ弱そうな坊やが!?」

「えぇ。機械が好きみたいで、色々拾って来ては弄ってますね。あと、あの子は龍の妖怪ですから、見た目にそぐわず力も強いですよ。」

 

そんなことを話している間に、エレベーターに変化が起きた。いつの間にか迫っていた天井が二つに割れ、太陽の光が俺の目に飛び込んで来る。俺が眩しさに目を瞑っている間、エレベーターは天井と同じ位置で上昇を止めた。

 

「何か、久しぶりに太陽を見た気分だぜ...」

「地底には陽光石しかありませんからね。私も日の光を浴びるのは久しぶりです。」

 

さとりが「う~ん」と背伸びをする中、俺は辺りを見回す。俺とさとりがエレベーターから降りてから少しすると、エレベーターは自動で下降を始め、開いていた天井の扉も自動で閉じた。地続きになった扉は巧妙なカモフラージュが施されており、周りの地面と見分けがつかない程だ。周囲は林になっており、その中で木の生えていない広場の中心にエレベーターは造られていたようだ。林から心地よい小鳥のさえずりが聞こえてくる。

 

「で、どこに行くんだ?」

「...あそこです。」

 

さとりが指差したのは、ゆっくりと揺れる木の葉の間から見える、切り立った高い崖だった。

 

 

翔太郎たちがエレベーターに乗った後、残された僕は愛用の本を手に立ち上がり、両手を広げた。事件の真相を知るために...

 

「さぁ、検索を始めよう...」

「検索...?」

 

青龍は急に立ち上がった僕に驚きつつ、首を傾げた。ゆっくりと目を閉じ、記憶の泉に意識を深く沈めていく。その数刻の後、意識の中に白い空間が広がった。その空間に無数の本棚が陳列されていく。この空間は地球(ほし)の本棚と称される空間で、地球のあらゆる記憶や知識が本として具現化され、詰め込まれている。それは一生をかけても読みきれない程の冊数で、知りたい本を探すには絞り込みが必要不可欠となる。その行為を検索と呼ぶのだ。

 

「どうやら馴染んだようだね。」

 

ノイズに弾かれることなく地球(ほし)の本棚にアクセスできたことに安堵しつつ、知りたい項目を宣言する。

 

「知りたい項目は...ティーレックス。」

 

これで検索対象の定義が完了した。次は絞り込みだ。

 

「キーワードは...」

 

僕の言葉はそこで止まってしまった。よく考えれば、今回の事件は捜査をしていない。本来であれば、翔太郎が調べてきた情報を元に関係者の中の誰がドーパントか探る。だが今回は事情が違う。幻想郷に訪れたばかりで勝手が分からない上に、翔太郎は調査が出来る状態じゃない。何かキーワードになるものはないか、僕は記憶を探る。その最中、こいしの声が聞こえた。

 

「キーワードは、子どもへの愛情!」

「えっ?」

 

こいしが告げた子どもへの愛情というキーワードが入った瞬間、本棚が移動を始めた。その多くが白い空間の遠方へと消え去る中、二つの本棚だけが僕の前に並ぶ。動揺する僕を放置し、こいしは言葉を続ける。

 

「地底の先生。最後は...『食べちゃいたいぐらい可愛いっ!』!」

 

次々とキーワードが入れられ、本棚と本は絶え間なく移動する。やがて残った一冊が僕の前に差し出された。僕はその本を手に取りつつ、背表紙のタイトルを読み上げる。

 

「我牙...久羽...?」

「そう、多分その人がメモリを使った人。前は地底の寺子屋で教師をやってたけど、異怪の大乱で寺子屋が損壊しちゃって退職。それからは、地極酒っていう居酒屋さんで働きながら里の子どもたちの面倒を見てたみたい。子どもたちからも久羽姉ちゃんって呼ばれてて、人気だったよ。そんな久羽さんの口癖が、『食べちゃいたいぐらい可愛いっ!』。」

「確かに、彼女はティーレックスに体質が合っている。その珍しい口癖は、いい決め手になったよ。」

 

意識を現実に戻した僕は、愛用の本に写し出された文字に素早く目を通す。それと平行して、こいしの能力について考えを巡らせる。彼女が持つ無意識を操る程度の能力は、自分の存在や行動に向けられる意識をコントロール出来るものだと、さとりから伝えられていた。実際、僕はこいしがガレージに訪れたことに、声が聞こえるまで気づかなかった。自分の知らない領域の片鱗を見た僕は、その深奥に期待を膨らませていた。

 

「でも、何でこいし様はその人のこと知ってたんですか...?」

「ん?お兄さんとか、里のみんなとお話して聞いただけだよ。」

「...お兄さんというは、静真という青年のことかい?」

「うん。昨日の夜、その人と飲みに行ってからの記憶が無いんだって。」

 

こいしの言葉を聞いた瞬間、僕の頭の中で一つのシナリオが組み上がっていった。僕の仮説が本当に正しいとしたら、一刻も早く彼女を止めなくてはならない。これ以上、被害者を増やさないため。そして──

 

 

 

生徒を愛する彼女を、加害者にしないために。

 

 

 

「頑張って下さい、翔太郎さん。あと少しですよ。」

「お、おう...!」

 

近くを浮遊するさとりが、優しく励ましてくる。こんな事になるなら、ハードタービュラーを持ってくりゃ良かったと、岩を掴む力を強めながら俺は後悔した。スタッグフォンで呼び出そうとも考えたが、あの屋内で起動したら事故待ったなしだろうからなぁ...

 

「やっぱ登るしかねぇか...」

 

何度目かの諦めを経て上を見上げると、頂上がしっかりと捉えることが出来た。安堵した俺は、右手を岩から離して頂上を狙う。

 

「アンカー!」

 

狙いを定めた俺は、右手首に巻いている電子腕時計「スパイダーショック」からアンカーを射出した。伸びていったアンカーが岩に刺さった感触を得た俺は、アンカーを巻き取って上昇力を付ける。この作業ももう十数回目だが、これで最後だ。俺はしっかりと岩を踏みしめて、頂上へと登っていく。

 

「よっしゃぁ!!あぁ、疲れた!!」

「お疲れ様です。大変な思いをさせて、すみません。」

 

崖の頂にたどり着いた俺は、柔らかい草原の上に寝転び、澄み渡った青空に叫んだ。崖の頂上には緑豊かな草原、色とりどりの花畑、その先には下と同じように森林が広がっている。浮遊していたさとりは俺に声をかけると、ふわっと着地して崖の先端へと歩いて行く。

 

「これが、私の見せたかったもの。私の...戦う理由です。」

 

さとりの言葉を聞いた俺は、まだ少し怠い体に力を込めて起き上がる。そして、ベルトに留めていた帽子を外して被り直し、さとりの下に向かった。

 

「...すげぇ...」

 

そこから見えた景色に、俺は感嘆の声を漏らした。一面に広がる自然の雄大さ、いくつもの家屋が集まる人里、力強く根付く大きな山。風都とはまるで違う世界。だけど、その所々に人影があった。

 

あれが人間か妖怪か、はたまた妖精か神様か。そんなのはどうでもいい。この世界は、風都と何も変わらねぇ。風都のみんなと同じように、喜んで、怒って、哀しんで、楽しんで、時には悩んで、そして笑って。そうやって生きているんだ。

 

それに気づいた瞬間、爽やかな一陣の風が吹き抜けていった。

 

「私は、この場所が好きなんです。この素晴らしい世界を眺めることが出来る、この場所が。例え嫌われ者だとしても、私はこの景色を守りたい。だから...」

「おっと、そこまででいいぜ。」

 

俺はさとりを手で制止し、ニヤリと笑って見せる。

 

「お前の依頼、受けるさ。俺は...探偵だからな。」

「依頼...?」

 

俺の言葉にさとりが疑問を浮かべた直後、下の林で数本の木が宙に浮いた。その光景に、俺とさとりは目を見開くと同時に何が起こっているかを理解した。

 

「...どうやら、俺たちの出番っていう、風向きらしいぜ。」

「えぇ、行きましょう!」

 

俺と目を合わせて頷いたさとりは、軽い助走をつけて飛び出して飛行した。ってオイ!さとりさん、俺は飛べませんよ!?あ、いや待てよ。飛べはしないが、滑空なら出来るんじゃねぇか?

 

「男の仕事の8割は決断だ!やってやらぁ!!」

 

『スタッグ!』『バット!』

 

俺は一つの策を実行するべく、朱色と紺色のギジメモリを取り出す。朱色のスタッグメモリをスタッグフォンの下部に差し込み、紺色のバットメモリはデジタルカメラ型のメモリガジェット、バットショットの側部に差し込んだ。スタッグフォンはクワガタ型のライブモード、バットショットはコウモリ型のライブモードに変形して崖の少し先に浮遊する。

 

「あら...可愛いですね。」

「よし、頼むぜお前ら!」

 

俺はスタッグフォンの底部に向けて、スパイダーショックから粘着性の糸を発射。糸がスタッグフォンに接着した事を確認した俺は、右腕を上げて崖から飛び出した。

 

「おりゃぁぁぁ!!」

 

俺の落下する重量に耐えかねたスタッグフォンはバランスを崩したが、すかさずバットショットがサポートに入る。俺がぶら下がったスタッグフォンを、バットショットが抱えるような形で滑空していく。この姿が滅茶苦茶カッコ悪いことに気づいたのは、さとりの苦笑を見た瞬間だ。

 

妖怪少女とドローン宅配されてる探偵は、空を渡って事件現場に向かう...

 

 

~数分前~

 

「彼女が...」

「うん、間違いないよ。あの人が久羽さん。」

 

こいしは女性の後ろ姿を見ながら頷く。僕たちが樹の幹に隠れながら行動を観察している女性、我牙久羽は黒い長髪に獣の耳が生えており、本棚で読んだ通り狼の妖怪らしい。狼なのに先生とは...一匹狼は妖怪には当てはまらないようだね。僕がそんなことを考えている内に、こいしは久羽との接触を始めていた。

 

「ねぇお姉さん。あなたが恐竜のドーナッツでしょ?」

「ドーナッツ?ふふっ、面白いこと言うのね。食べちゃいたいくらい可愛いわ。」

 

おかしな間違いをするこいしに対して、笑顔で話す久羽。もう少し観察してから対応を決めたかったが、こうなった以上仕方がないと考えた僕も、彼女との接触を図る。

 

「こいし、ドーナッツじゃなくてドーパントだよ。そうだろう?我牙久羽。」

 

僕の言葉を聞いた久羽は穏やかな視線で僕に向けたが、その瞳の奥には牙が輝いているかのような鋭い眼光があった。それに臆することなく、僕は言葉を続ける。

 

「君がティーレックスの魔人、そして静真をドーパントにした犯人だ。」

「...へぇ、そこまで知ってるのね。」

「君は昨夜、静真と酒場で飲み交わした。その時、酒に睡眠薬でも入れておいたんだろう?そして眠りに落ちた静真に、生体コネクタの施術を行った。後は静真を自宅に戻して、この催眠効果のあるドーパントメモリを側に置いておくだけだ。」

 

僕は壊れたヴェロキラプトルメモリを示して見せる。それを見た瞬間、久羽は狂ったように笑い出した。

 

「アハハハハッ!!全部正解!模範解答よ!でも、よく私を見つけられたわね!」

「今日も誰かと飲みに行く予定だったんだろう?だったら同じメモリを持ってるだろうと思って、このメモリから発せられる超音波と同じものを探って来たのさ。」

「なるほどね...フフッ!!」

 

相も変わらず、笑いながら木にもたれかかる久羽。そんな彼女に僕は叫ぶ。今は心の風が止まってしまっている、半熟玉子(ハーフボイルド)な相棒の代わりに。

 

「君は生徒や子供を愛する教師だったはずだ!今ならまだ間に合う!メモリを渡してくれ...!!」

「私は今もみんなの事が大好きよ!だから、食ってあげるのよ...フフッ!アハハッ!!」

 

『ティーレックス!』

 

久羽は大口を開けた恐竜の頭蓋骨で「T」を象ったシンボルのあるティーレックスメモリを取り出し、起動。それに応じて鎖骨に生体コネクタが出現した。臨戦体制に入った久羽に対して、僕は警戒を強め、こいしを庇うように立つ。

 

「ふふっ...いただきまぁす♪」

 

久羽が生体コネクタにティーレックスメモリの端子を押し付けると、体内にメモリが吸い込まれていく。その全てが体内に収まった瞬間、久羽の肉体は超人へと変わった。その際に発せられた衝撃波は、僕とこいしはもちろん、周辺の樹木すら吹き飛ばした。こいしは浮遊して堪え、僕はなんとか受け身を取って久羽の姿を確認した。ヴェロキラプトルドーパントより一回り大きな頭蓋骨、そこから四肢が生え、背中からは骨で出来た尻尾が伸びている。それがティーレックスの記憶をその身に宿した異形、ティーレックスドーパントの姿だ。

 

「フィリップ、変身しよ!」

「翔太郎たちに連絡を入れないと無理だよ!ダブルドライバーの本体は、翔太郎しか持っていないんだ!」

「機械は美味しくないから邪魔ね。」

 

僕はスタッグフォンで翔太郎との通話を試みたが、その途中でティーレックスドーパントの尻尾にスタッグフォンを弾き飛ばされてしまった。その衝撃で僕は地面に倒れてしまった。

 

「くっ...!」

「じゃ、頭のいい坊やから食べてあげる...」

 

『スタッグ!』

 

そこに迫るティーレックスドーパント。僕の目の前に無数の牙が並んだが、そこにライブモードのスタッグフォンが二本の角を突き立て、妨害。ティーレックスは周りを飛び回るスタッグフォンを追い払おうともがいている。その隙にティーレックスから離れた僕がスタッグフォンの飛来した方向を見ると、そこにはこいしの姿があった。どうやら倒れた時にギジメモリも飛び出たらしい。こいしは無意識にスタッグフォンとギジメモリを組み合わせ、ライブモードを起動したのだ。だが、そんな抵抗はすぐに払われた。スタッグフォンは振り回された頭蓋骨に弾かれてしまい、ティーレックスはこいしに狙いを切り替える。

 

「食事の邪魔をするなんて...悪い子ねッ!!」

「止めろぉっ!」

 

ティーレックスは子供を叱るような口調で話すと、こいしに向かって駆け出した。口調は先生のようであれど、そこにあるのは愛ではなく狂気。こいしに牙が届く数秒前、僕は思う。

 

「(翔太郎...僕では君の代わりは務まらなかったみたいだ...まだ止められたはずの人を救うことも、目の前の小さな女の子を守ることも、僕には......)」

 

 

 

 

 

 

 

「させるかぁぁぁ!!」

 

空から降ってきた黒い蹴りがティーレックスの巨大な頭蓋骨に叩き込まれ、その巨体を吹き飛ばした。華麗に着地したその黒い影は...誰より甘く、誰より情に流されやすく、誰より僕を理解してくれる、僕の最高の相棒。

 

誰かのために戦い続ける風都のヒーロー、仮面ライダー(左翔太郎)だった。

 

「無事ですか!こいし!フィリップさん!」

「あ、お姉ちゃん!」

 

次いでさとりも到着し、こいしと翔太郎の隣に降り立った。だが、それには目もくれず、僕は嬉々として相棒の名を呼んだ。

 

「翔太郎!」

「すまねぇな、フィリップ。俺のせいで迷惑かけちまって。」

 

僕に背を向けたまま謝罪する翔太郎に、僕は笑みを浮かべて言う。

 

「その顔...迷いは晴れたようだね。」

「あぁ!俺は...この世界(まち)を守る仮面ライダーだ!」

「それを言うなら俺”たち”は...だよね?」

「おっと、そうだな。半分力貸せよ、相棒。」

 

高らかに叫んだ翔太郎の右肩に手を置き、お決まりのやりとりとした僕たちは、お互いに信頼を示す笑みを浮かべた。

 

「それを言うなら4分の1ですよ。これからは私たちもいるんですから。」

「わたしたちは、四人で一人の~仮面ライダーだ~!」

 

翔太郎の左に並んださとりは僕になぞらえて翔太郎に言葉を返し、こいしは僕の右に並んで、弾けるような笑顔でゆるく名乗りを上げた。四人で一人の仮面ライダーか...ゾクゾクするねぇ。僕と翔太郎はそれぞれのパートナーにガイアメモリとドライバーを預けると、それぞれ光球となってさとり、こいしとシンクロを果たす。さとりはダブルドライバーを腰に押しつけると、射出された銀のベルトが自動で巻きついてドライバーの装着が完了。こいしの腰にもダブルドライバーが浮き上がるように出現する。

 

『サイクロン!』『ジョーカー!』

 

僕たちから受け取ったメモリをそれぞれ起動したさとりとこいしは、腕をWに構えてポーズを決める。シンクロする僕とこいし、ダブルドライバーで意識の繋がっているこいしとさとり、さとりとシンクロしている翔太郎。心を一つにした僕たちは、声を合わせて叫ぶ。

 

「「「「変身!」」」」

 

こいしが差し込んだサイクロンメモリが、さとりのドライバーのソウルスロットに転送され、魂の抜けたこいしの体はゆっくりと倒れ込む。それを抱き止めたさとりは、こいしの体を優しく地面に寝かせ、転送されてきたサイクロンメモリをスロットに押し込む。続いて右手に握るジョーカーメモリをボディスロットに差し込み、弾くようにドライバーを展開した。

 

『サイクロン!ジョーカー!』

 

樹林に突風が吹き荒れ、木の葉を揺らす。風に運ばれるステンドグラスを纏ったさとりは、Wの姿"サイクロンジョーカー"に変身した。

 

 

「くっ...あの男!よくも邪魔を!」

 

翔太郎に吹き飛ばされたティーレックスドーパントは彼への怒りで身を震わせ、サイクロンジョーカーに変身したさとりを睨みつける。

 

「あなたたち...約束通り食ってあげるわッ!!」

「お断りします。あなたは、私たちが止めてみせる!」

 

ティーレックスドーパントの言葉を一蹴したさとりは、決意を宿した赤い瞳で彼女を見据えた。そんなさとりに、翔太郎は紫の輝きを放って問いかける。

 

「さとり、こいし、決め台詞は分かってるよな?」

「えぇ。街を泣かせる者たちに、二人が投げかけ続けたあの言葉...」

「いくよっ!せーの!」

 

確信を露わにしたさとりは右手をスナップし、左手の人差し指をティーレックスドーパントに向けた。

 

「「「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」」

「馬鹿にしないでちょうだい!数学は得意教科よ!!」

 

翔太郎の師匠の代から受け継がれてきた台詞を言い放ったさとりたちに、ティーレックスドーパントは到底的外れな反論と共に咆哮し、衝撃波を放つ。対するさとりは風に乗って衝撃波を回避、後続の衝撃波もステップやジャンプを駆使し、ティーレックスドーパントとの距離を着実に詰めて行く。

 

「はあぁっ!!」

 

ある程度の距離になった所でさとりは飛び上がり、ティーレックスドーパントの頭蓋骨に格闘能力の向上している左足での跳び蹴りを浴びせる。それをまともに受けたティーレックスドーパントは大きく吹き飛び、林の開けた場所まで転がって行った。同じ場所まで追いかけてきたさとりの前に、鋼鉄で構成された5体の兵士が躍り出た。

 

「なんだこいつら!?」

「どうやら鋼鉄製の兵士のようだね。」

「へぇ~!青龍に見せてあげたいな~!」

「残念だけど、そうも言ってられなさそうね...」

 

こいしたちが鋼鉄製の兵士”メタルソルジャー”に反応する中、メタルソルジャーは右腕に備えられた二本のブレードを構え、さとりに迫っていく。さとりはブレードを捌きつつ攻撃を加えていくが、サイクロンの出せる火力では、鋼鉄の身体にまともなダメージを与えることは出来なかった。そこで、さとりが大きく飛び退いて距離を取りながら、こいしはさとりの右腕を操って炎のように赤いメモリを取り出した。

 

「お姉ちゃん!わたしの側、変えるよ!」

「えぇ!お熱いの、かましてあげましょう!」

 

『ヒート!』

 

『ヒート!ジョーカー!』

 

さとりは「高熱」の記憶を宿すヒートメモリを起動してドライバーを閉じ、サイクロンメモリとヒートメモリを入れ替えて再び展開すると、シルバーラインから右半身が輝く真紅に染まっていき、さとりは”ヒートジョーカー”へとハーフチェンジした。

 

「足りない火力をヒートで補う...いい判断だね。」

「さとり!一気にぶっ飛ばせ!」

「ずいぶんアバウトな助言ですね...」

 

翔太郎からの激励を受けたさとりは、ヒートの力を最大限に引き出して拳に炎を纏わせる。さとりは機械的に襲い来るメタルソルジャーの内一体に、ブレードをかわして懐に炎の拳を叩き込む。その威力と高熱で吹き飛んだメタルソルジャーは、後方にいた別個体を巻き込んで爆砕。その後にはいくつかの鉄材が散らばった。続いてさとりは、背後に回り込んでいた二体のメタルソルジャーに炎の回し蹴りを喰らわせ、同時に撃破する。上空から突き刺しを狙う最後の一体は、ブレードを振り下ろす直前で手首を左手で掴んで、炎の拳を二発打ち込み、よろけた所で手首を離して、左足の蹴りでとどめを刺した。メタルソルジャーを一掃したさとりは、いつの間にか姿を消していたティーレックスドーパントの行方を探る。

 

「どこ行きやがった!?」

「...地中です!!」

 

ティーレックスドーパントがいた辺りの地面に大きめの穴が空いていたことに気づいたさとりだったが、時既に遅し。地面から飛び出してきたティーレックスドーパントの牙がさとりの華奢な体に突き刺さり、ティーレックスドーパントの牙は鮮血に塗れていく。

 

「大正解!!ご褒美に痛めつけてあげる!」

「くっ...あぁぁぁ!」

「ぐおっ!さ、さとり!しっかりしろ!」

「お姉ちゃん!こんの...!」

 

か細い悲鳴を上げるさとりを救うべく、こいしは右半身のヒートハーフボディから高熱を放射。その高熱に、ティーレックスドーパントは思わず口を放す。こいしはそれを逃さず、左半身を引きずるようにしながらも、右腕でのラッシュをかましていく。二発のジャブから炎のフック、最後に全力のアッパーをティーレックスドーパントの頭蓋骨に叩き込み、ティーレックスドーパントは鉄材の山に突っ込んで行った。

 

「お姉ちゃん、大丈夫!?」

「くっ...!大丈夫よ、こいし。ありがとう。」

 

慌てて心配するこいしに、さとりは痛みに耐えながら笑顔を作ってみせた。鉄材の山で起き上がったティーレックスドーパントは、今までよりも大きく咆哮した。

 

「これは...!?」

 

メタルソルジャーが遺した鉄材が咆哮したティーレックスドーパントに向かって集結していく。鉄材がティーレックスドーパントの胴体に纏わりつく中、その光景を見たフィリップは静かに呟く。

 

「...こいし。一つ頼まれてくれるかい?」

「ん?...うん、分かった!」

 

こいしは、空中を飛び回る鉄材を防御しているさとりの右腕を借りてスタッグフォンのナンバーキーを入力していく。全ての入力を終えてエンターキーを押した瞬間、地底のガレージで漆黒の装甲車が赤いライトを輝かせた。磁力を操って鉄材を全て纏ったティーレックスドーパントの姿は、まさに機械仕掛けのティラノサウルス。幾多の鉄材で巨体が構成されたビック・ティーレックスドーパントへと形態変化を遂げていたのだ。

 

「この為の鉄材だったのか!?ったく!誰だか知らねえが、迷惑なもん送りつけやがって!」

「文句言っても仕方ないですよ!やるしかないです!」

 

『メタル!』

 

翔太郎を諭したさとりは、「鋼鉄」の記憶を秘めたメタルメモリを起動し、ドライバーを閉じてジョーカーメモリと入れ替える。そして、再度ドライバーを展開した。

 

『ヒート!メタル!』

 

ガイアウィスパーと共に左半身が光り輝く銀に染まり、格闘能力を特化させたジョーカーから、鋼鉄の防御力を誇るメタルへとハーフチェンジ。火力と守備力を併せ持つ形態"ヒートメタル"へと変身した。さとりが、メタルハーフボディの背中に備え付けられた棒状の武具"メタルシャフト"を握ると、シャフトの両端が飛び出して全長が伸びる。身の丈程あるメタルシャフトを一回転させて構えたさとりは、ビック・ティーレックスドーパントの噛みつきをかいくぐり、その足下に駆け込んだ。

 

「これでも喰らいなさいっ!」

 

足下に潜り込んださとりは、遠心力を利用してメタルシャフトでの攻撃を放つ。火炎を纏った一撃は右足の鉄材をいくつか剥ぎ取り、それに手応えを感じたさとりは振り向きざまにもう一撃叩き込み、足下から尻尾の方へと前転で脱出した。しかし暴れまわる巨体をいつまでもよけ続けることは出来ず、さとりは尻尾での薙ぎ払いを受ける。大きく吹き飛ばされたさとりだったが、硬化させたメタル側で尻尾を受け止めており、空中で体勢を立て直して綺麗に着地した。

 

「...鉄材を剥ぎ取っていたらきりがないですね。」

「ちょこまかと...さっさと私に食われなさい!!」

 

怒りに任せてさとりに突進を開始したビック・ティーレックスドーパント。だが、彼女の突進がさとりに届くことはなかった。

 

「うぐっ!!」

 

森林の中から飛び出してきたリボルギャリーが重量を活かしてビック・ティーレックスドーパントに突撃し、その巨体を吹き飛ばしたのだ。

 

「リボルギャリーじゃねぇか!?」

「こいしに呼んで貰ったのさ。青龍にリボルギャリーが起動したら地上まで持って来くるよう、伝えておいて正解だったよ。」

 

光を放って会話するフィリップは、リボルギャリーが地霊殿のガレージから発進出来た理由を翔太郎に説明してみせた。リボルギャリーを使うことを見越していた相棒の用意周到さと、リボルギャリーを持って来た青龍の怪力に、ダブルで驚愕する翔太郎であった。

 

「うぅ...こうなれば、人里ごと人妖を食い散らかしてやる!!」

 

起き上がったビック・ティーレックスドーパントは、もはや冷静な判断力も残っていないらしく、人里を襲撃すると宣言して森林に踏み込んだ。樹木をなぎ倒しながら人里に向かうビック・ティーレックスドーパントの姿に、さとりは焦りを見せる。

 

「そんなことさせません!絶対に止める!!」

「ちょうどいい!さとり!バイク使え、バイク!」

「バ、バイク!?分かりました、とにかくやってみます!」

 

少し前までバイクのバの字も知らなかったさとりだが、背に腹は代えられない。決意を固めたさとりは、赤い二つ目のある前面のハッチが二つに分かれて開放されたリボルギャリーのデッキに上り、そこに搭載されていた黒と緑のツートンカラーが目立つバイク、ハードボイルダーに跨がる。

 

「エンジンはかかってる!彼女を止めてくれ、さとり!」

「はいっ!!」

 

フィリップの願いを聞き届けたさとりは、勢いよくハンドルのグリップを捻りハードボイルダーを発進させた。さとりはリボルギャリーのデッキから飛び出した直後、ハードボイルダーの後部に接続された緑のブースターユニットで爆発的な加速を開始。倒れた樹木をかいくぐり、ビック・ティーレックスドーパントを追いかけていく。その道中でも倒れる木々や荒ぶる尻尾がさとりに襲い来るが、さとりはまるで手足のようにハードボイルダーを駆り、それらをスムーズに回避して見せる。

 

「わはぁ~!はやーい!!」

「すげぇな...俺が運転してるのと大差ないぜ。」

「シンクロは経験や運動能力も反映されるみたいですね!体が走り方を理解してます!」

 

迷いなく走るさとりは、ビック・ティーレックスドーパントと平行に倒れていく木の幹に飛び乗り、その上で目一杯にハンドルを捻り、加速。空中へと飛び出したさとりは、ハードボイルダーのシートの上に立ち上がり、メタルシャフトを構える。

 

「そこまでですっ!」

「しつこいわねぇ!!いい加減に食われろォォォォッ!!」

 

ハードボイルダーを踏み台にジャンプしたさとりは、振り返って大口を開けたビック・ティーレックスドーパントの鼻筋の辺りにメタルシャフトの先端を叩きつけ、その反動を利用してより高くへと飛び上がった。そこでドライバーからメタルメモリを抜き取り、メタルシャフトの中央に備わっているマキシマムスロットにメタルメモリを差し込む。

 

『メタル!マキシマムドライブ!』

 

メタルシャフトの両端に炎が燃え上がり、それを両手に握ったさとりはビック・ティーレックスドーパントから目を離さずに腰を捻り、その巨大な頭蓋骨を目掛けてうつ伏せに落下していく。限界まで捻った腰を使って一回転しながら、さとりと翔太郎たちは叫ぶ。悪魔の小箱に惑わされた、優しき一人の女性の心を呼び覚ますように、強く、高らかに。

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

「「「「メタルブランディング!!」」」」

 

空中での横一回転による遠心力、落下によって加わった重力、そして何よりも強い四人の想いを乗せたメタルシャフトの炎撃はビック・ティーレックスドーパントの頭蓋骨を捉え、一つの大きなひびを入れた。そして、膝立ちの姿勢を取って着地したさとりの頭上で、ビック・ティーレックスドーパントの堅牢な頭蓋骨は──

 

「アァァァッ!!」

 

─爆音を合図に砕け散った。

 

さとりはその轟音を気にせず、膝立ちの姿勢を保ったまま、元の姿に戻って落ちてきた久羽の体を受け止めた。ぐったりとした彼女のコネクタからティーレックスメモリが排出され、メモリのシンボルとして描かれていた頭蓋骨もまた、粉々に砕け散る。

 

メモリブレイク。世界(まち)を守る者としての彼女たちの初陣は、花々しい勝利を飾ったのだった。

 

 

 

「勝ったか。」

 

森林を見渡せる小高い丘の上で佇む、青いメッシュの入った髪の男は森林で起こった爆発を確認して、静かに呟いた。彼の後ろに並ぶ、共通の黒いジャケットを着た四人の男女の内、赤いインナーを着た女性が青いメッシュの男に問いかける。

 

「冷たい言い方だね。興味もないって感じ?」

「いや、そうじゃない。」

 

男は横顔だけを女性に見せて、小さく笑みを浮かべた。

 

「あいつらなら勝って当然と思っただけだ。あの程度のドーパントに負けてるようじゃ、この世界を守るには程遠いからな。」

「そうよねぇ...!その横顔!イケメン!イケメンよ!!いよっ、男前!」

「うるせぇよ!!一人で勝手に盛り上がるなよ!!」

 

青いメッシュの男をハイテンションで持ち上げるオカマ口調の男に、それにツッコミを入れる筋肉質な男。いつも通りの茶番を繰り広げる二人に、女性と無表情な男が冷たい視線を向ける。その変わらない光景に青いメッシュの男は明るい笑い声を漏らした。

 

「さぁ、用事は済んだ。帰ろう、俺たちの家族の下に。」

「あぁ...」

「なによ!どこからどう見てもイケメンでしょ!イケメンをイケメンと言って何が悪いんじゃ!!」

「だ~か~ら!うるせぇって!!」

「ちょっとオッサン!黙らないと夕飯抜きにするよ!!」

「はいっ!黙ります!!」

 

タイム・トラベラーズ(時の旅人)戦闘部隊、「Re:NEVER」のメンバーたちは和気あいあいと騒ぎながら姿を消した。彼らとさとりたちが対峙するのは、まだ先のこと。だが、それは永遠の未来ではない。いつか必ずやってくる。

 

ガイアメモリや融合(シンクロ)の相手と、運命で結ばれているのと同じように。

 

 

 

──こうして俺たちは、幻想郷で初めての事件を解決した。幻想郷に警察みたいな機関がない以上、久羽さんは目を覚ますまで地霊殿で面倒を見ることになった。フィリップの調査によると、彼女が使っていたティーレックスメモリにも効果の弱いチップが入っていたそうだ。彼女は、「食べちゃいたいくらい可愛い」という子どもたちへの愛情を暴走させられ、教え子を狙ったのだろう。幸いにも彼女の殺人は未遂に終わり、新たに暴走ガイアメモリを渡すことも防げた。しかし、数えなければいけない罪はある。静真をドーパントになるように仕向け、地底の里を恐怖に陥れた罪だ。だが、彼女は必ず罪を償える。

 

彼女の周りには、支えてくれる教え子や子どもたちがいるのだから。

 

「ふぅ。あんなにボロボロだったのに、完璧に動いてる...青龍の奴、底知れないな。」

 

テーブルに置かれた新品同然のタイプライターを打つ手を休め、手に取ったハナミズキティーの優しい香りを楽しむ。ティーレックスとの戦いから三日後、俺はさとりが貸してくれた地霊殿の一室にいた。俺たちを地霊殿に招いた後、俺たちに貸す部屋の鍵を取りに行ってくれていたらしい。その直後に俺は怒鳴り散らしちまった訳だが、許してくれたさとりの包容力に感謝だな。

 

「どうやらこの世界にも、理不尽に涙を流している人がいるらしい。俺は左翔太郎だからな、その涙を拭ってみせる。四人で一人の仮面ライダーとして、風都のみんなの想いを背負ってな。」

 

見ててくれよ...ときめ。おやっさん。

 

例え風都から離れても、風都のみんなが仮面ライダーの名前に込めた「みんなを助けてほしい」という願いを背負い、戦うことを決めた俺は、帽子を被り直し、ハナミズキティーを飲み干して再びタイプライターに向き合った。

 

「さて、次は...」

「翔太郎さん、入りますよ。」

 

三回のノックの後に入って来たさとりは、その手にティーポットを持っていた。心が読めることに関わらず、さとりの気の利きようには脱帽する。どこかの女子学生所長とは大違いだな...。そんなことを考えながら、俺は紅茶を注ぐさとりに要件を尋ねた。

 

「どうかしたのか、さとり?」

「いえ、翔太郎さんの言っていた"依頼"というのが気になって。私、依頼なんてしましたっけ?」

 

崖の上で言った言葉について尋ねてくるさとり。紅茶を注ぎ終わって席についたさとりに、俺は自然に答えた。

 

「最初に会った時に言っただろ?"力を貸して下さい"って。俺は、探偵としてその依頼を受けただけだ。」

 

この返答を聞いた時、さとりは一瞬ぽかんとしていたが、すぐに小さく微笑んで俺を見つめる。そこからパンと両手を合わせて、さとりは驚くべき提案をしてきた。

 

「決めました。探偵事務所を開きましょう!」

「えっ!?」

 

俺は突然なさとりの提案に動揺したが、それ以上に心の底から溢れてくる喜びを感じていた。探偵は俺の生きがい、一生を賭けて付き合っていく覚悟の仕事だからな。

 

「場所は応接室を使って、翔太郎さんとフィリップさんの探偵業を再開させるんです。翔太郎さんの心に探偵を続けたいという願いが見えたからなんですが...どうします?」

「お前にゃ隠し事は出来ねぇな...もちろん大歓迎だ!ありがとな、さとり!」

 

俺は嬉々として頷き、さとりに感謝の意を述べた。これをきっかけに、古明地探偵事務所は始まりを迎えた。この時の俺は、さとりと分かり合えた気がしていた。心を読むことも出来ないくせに、分かった気をして驕り高ぶっていた。

 

さとりが背負う罪も、戦う本当の理由も知らなかったというのに。

 

地底に吹き込んだ新しい風は、いずれ訪れる嵐の前兆であったことを、俺たちはまだ知らなかった。

 

~次回予告~

 

「美しい音色ね。」

 

「奴らはファンガイア...人間のライフエナジーを喰らう怪物です!」

 

「行くわよ!渡!キバット!!」

 

「いよっしゃぁ!何だかよく分かんねぇけど、キバって行くぜ!」

 

『ガブッ!』

 

「「変身...!」」

 

第6話 ~出逢いの音楽(メロディー)・紅い月下のヴァンパイア~

 

ウェイクアップ!運命(さだめ)の鎖を解き放て!

 

 

人物・アイテム紹介コーナー!

 

~古明地こいし~

 

ほんわかとした不思議な雰囲気の少女。さとりの妹であり、無意識を操る程度の能力を持つ。いつもふらっと居なくなる為、姉であるさとりは常にその身を案じている。だが、無意識な行動の中に事件を解決するきっかけを作ったりと、予想外な活躍を見せる。基本的に天然ボケ。フィリップとシンクロを果たし、さとりの半身として戦いに身を投じた。

 

~フィリップ~

 

翔太郎の相棒である好奇心旺盛な青年。地球の本棚にアクセスする能力を持ち、地球の記憶から必要な情報を検索することが出来る。気になった事は知り尽くさないと気が済まない、翔太郎曰わく検索バカで、日々検索と探求を繰り返している。ガイアメモリの開発に携わった過去があり、普段は見せないがガイアメモリで傷付く人々を無くすという決意を秘めている。

 

~青龍~

 

地霊殿の地下ガレージに住む妖怪の少年。特に能力は持っていないが、妖怪の中でも上位に属する龍であるため、その強さは計り知れない。しかし、謎の実験施設で薬物などのモルモットにされていた過去のせいで、極端な人見知りになっている。その実験施設でのショックで記憶を失っているらしく、過去のことは何も思い出せない。機械いじりが趣味で、翔太郎に頼まれたタイプライターの修理もあっという間に仕上げてみせた。




いかがでしたか?

今回は翔太郎とフィリップの風都に向ける想いを考えて書きました。風都に戻れなかったらこうなるかなと。風都探偵を読まれていない方は「誰だお前?」ってなったと思いますけど、回想でときめさんが出演しました。彼女が登場する風都探偵、ぜひ読んでみて下さい。

結局アンケートが返って来なかった...!まぁ、そんな訳で第6話はキバ編になりました。私は絶望なんてしない!いつかリベンジしますよ!

私事ですが、活躍報告で「シェインのライダー感想録」を毎週投稿してますので、良ければ見にきて下さい!

それでは、チャオ!
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