異世界食堂 おバカな料理人   作:京勇樹

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87皿目 かきたま餡掛けにゅうめん

霊夢達が食堂の掃除をしている間に、明久と店長はキッチンに入り

 

「さて、賄いは何にするかな……」

 

「店長。これ、使いませんか?」

 

店長が首を傾げていたら、明久がある箱を取り出した。それは、夏のお中元の定番の一つ。そうめんの入った箱だった。

 

「ああ……まだ、大量に残ってたな」

 

「ですね……夏の間に大分減らしましたが、まだまだ残ってますよ」

 

これは恐らく、どこのご家庭でも悩み事の一つかもしれないが、大量に送られてきて、家族で食べてもまだ大量に残る。

それは、この二人も例外ではなかった。

未だに数kgは残っているのだ。少しでも減らしたい、というのが二人の思いだった。

 

「ふむ……よし、明久。メインは任せた」

 

「分かりました」

 

店長から任された明久は、まずそうめんを茹で始めた。

それから、十数分後

 

「はい、お待たせ。かきたま餡掛けにゅうめんだよ」

 

「こっちは、中華風サラダだな」

 

と人数分の朝の賄いが出された。

寒い為に、暖かい料理が良いと考えた明久は、そうめんを茹でながらかきたま餡掛けを作り、中華風の出汁と合わせたのだ。

 

「それじゃあ」

 

『いただきます!』

 

何時もより多人数だが、朝食が始まった。

 

「これ、そうめん……?」

 

「本当だ。味付けで、こんなに変わるんだな」

 

妖夢と魔理沙は幻想郷でそうめんになれている為に、驚いていた。特に妖夢は、仕えている家で料理人もしている為に驚きはひとしおだった。

 

(そうめんはつゆで食べるって思ってたけど……こんな食べ方があったなんて……!)

 

妖夢からしたら、そうめんはめんつゆに着けて食べるという固定概念があった為に、他の食べ方は考えられなかったのだ。

特に、かきたま系の料理というのは主に病人向けという考えも強かったから尚更だ。

そして、一口食べて再び驚いた。

 

(しょうがを使って風味を付けるだけじゃなく、保温性も上げてるんだ……この人達、凄い)

 

先にも述べたが、妖夢は仕えている家で料理人もやっており、主人はかなりの大食いかつ美食家だ。その為、質と量の両立で料理を作っている妖夢は、料理に関してかなりの自信があった。

しかし、調理の仕方や味付けに衝撃を受けた。

 

「旨っ! めっちゃ旨い! 霊夢、羨ましいぞ! こんな旨い料理を、7日に一回食べてたなんて!!」

 

「私は働いてるのよ、ここで。その雇用条件に、三食ごはん付きなのよ」

 

魔理沙は心底羨ましそうに、霊夢を睨む。しかし霊夢は、気にした様子もなくにゅうめんを食べている。

 

「あ、そういえば着替えてるな。それ、制服か」

 

「そうよ」

 

短く返答すると、今度はサラダを食べる霊夢。

それが目に入ったのか、妖夢はサラダを食べた。

 

(これ、ゴマ油と塩を使って味付けしてるんだ! それに、ワカメを一緒に使う事で食感の変化も起きて飽きない!)

 

やはり料理人な為に舌が肥えてる妖夢は、サラダの味付けに気づいた。匂いからゴマ油には気付いていたが、食べて確信したようだ。

そこからは、夢中になって食べた。

ふわふわのたまごと暖かいにゅうめん。そして、中華風サラダ。どちらも、妖夢からしたら新しい発想の料理で、食べて味を覚えようと考えたからだ。

そして、少しすると

 

「いやぁ、旨かったぁ……これ、また来たくなるな」

 

「うん、本当に……」

 

食べ終わった魔理沙と妖夢は、満足した様子で呟いた。

特に妖夢は、何か真剣に考えている様子だ。

 

「じゃあ、私達は食器を持っていきますね」

 

「お願いします」

 

早希は立ち上がると、アレッタやクロと一緒に食器を回収してキッチンに向かった。

霊夢も同じように、魔理沙や妖夢の食器を回収し立ち上がった。その時だった。

 

「あの……私に、料理を教えてくれませんか?」

 

と妖夢が告げた。

その言葉に、全員の視線が妖夢に集まった。

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