異世界食堂 おバカな料理人   作:京勇樹

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今回は短いです



101皿目 トマトリゾット

 

 

 

「さて……賄いはどうするか……」

 

午前中の客がハケた為、従業員の為のお昼を考えていた店長。そこに、妖夢が来て

 

「えっと、お皿は食器洗浄機に入れました」

 

と報告してきた。

 

「あいよ。あ、これで休憩室の机を拭いてきてくれ」

 

「はい、わかりました」

 

店長から渡された布巾を持って、休憩室に向かう妖夢。そこに、明久が

 

「店長、これ使いません?」

 

と出したのは、トマト缶。見れば、賞味期限ギリギリだった。

 

「あら? そんなに古いのがあったか」

 

「はい。今見つけました」

 

明久は棚の奥から見つけたらしい。トマト缶が三個。

それと幾つかの材料を見て

 

「うし。メインは俺が作る。明久、スープを頼んだ」

 

「わかりました」

 

そこから二人は、調理を開始した。

そして、暫くして

 

「すまんな、遅くなった」

 

「はい、どうぞ」

 

「はい、順番に取って」

 

と店長、明久、早希が料理を運んできた。

 

「これは……」

 

「トマトリゾットとコンソメ冷製スープだよ」

 

トマトリゾットとコンソメ冷製スープ。

それが、店長と明久が作った賄いだった。

 

「トマトリゾットは熱いから、気をつけてな」

 

「こっちは冷たいから、トマトリゾットが熱かったら、こっちを飲んでもいいよ」

 

トマトリゾットはイタリア地方の料理で、生米から作る料理だ。そして明久が作ったコンソメ冷製スープは、夏向けに考えた試作料理だ。

 

「え、このスープ……細かく凍ってる!」

 

「実は、一度作ったのを製氷皿に入れて、凍らせたのを砕いたんだ。一応味見はしたけど、皆の意見も聞きたくて出したんだ」

 

今回の冷製スープは、明久の完全な思い付きの料理で、オリジナルという訳でもない。一部では氷結スープとも呼ばれている。

 

「じゃあ……いただきます」

 

『いただきます』

 

何時ものやり取りを合図に、お昼が始まった。

 

「ん! このリゾットってご飯、マルメットの味が凄いです!」

 

「だろ? 生米の段階から、一緒に煮込んでるからな。中にまで染み込んでるのさ。勿論、他の素材の味も染み込んでるから、栄養満点だ」

 

先にトマトリゾットを食べたアレッタは、驚いていた。すると、クロも

 

(……様々な味がライスとスープの中で混ざり合って、お互いの味を引き出してる……凄く美味しい……)

 

と評価している。クロは忌憚なく味を評価するので、貴重な意見だ。

それを聞いた店長は

 

「よしよし、好感触だな。ほぼメニュー入りだな」

 

と何やら、メモ帳に書いていた。

そして、早希達の方は

 

「このスープ……凍らせてる事で、より素材の味を感じますね……」

 

「本当……繊細な味が、より感じられるわ」

 

「スープって、暖かいだけじゃないんですね……美味しい……」

 

と感嘆していた。妖夢は冷たいスープに驚いているようだ。しかし、全員から中々高評価を得ている。

 

「良かった……一応、もう少し改良してみようかな」

 

明久はそう言いながら、自身が作った冷製スープを口に運んだ。

こうして、ねこやのお昼休憩は過ぎていく。

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