異世界食堂 おバカな料理人   作:京勇樹

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ウチでは、年始によくお寿司やちらし寿司を食べます


108皿目 ちらし寿司

 

 

 

新年明けて、最初の土曜日の早朝。

 

「皆さん、明けましておめでとうございます」

 

『おめでとうございます!』

 

店長の新年の挨拶に、明久や早希達は一斉に挨拶した。

 

「去年一年間、皆のおかげで店を順調に回せました。今年一年も、よろしくお願いします」

 

『よろしくお願いします!』

 

とそこまで挨拶が終わると、店長は手をポンと叩いて

 

「さて、堅苦しい挨拶はここまでにして……霊夢ちゃん、妖夢ちゃん、アレッタちゃん。ちょっとおいで」

 

と三人を呼んだ。呼ばれた三人が近付くと

 

「ほれ、ボーナス代わりのお年玉だ」

 

と三人に封筒を差し出した。

 

「え、いいんですか?」

 

「嬉しいけども……」

 

妖夢と霊夢は困惑しながら受け取るが、受け取ったアレッタは首を傾げて

 

「お年玉?」

 

と呟いた。

 

「お年玉って言うのはね、一年に一度。お正月に大人が子供にお金をあげるイベントみたいなものだね。って訳で、はい。僕からも」

 

「私からも」

 

アレッタに説明した明久は、店長に続いて三人に封筒を差し出し、それに続いて早希も三人に封筒を手渡した。

今のねこやの従業員の中で、霊夢、妖夢、アレッタの三人が明確に子供である。(妖夢は実際年齢は不明だが)

 

「あ、ありがとうございます」

 

「有り難く貰います」

 

「ありがとうございます」

 

三人は受け取った後、無くさないようにか、一度ロッカーに向かっていった。

それを見送った店長達は、キッチンに向かった。

そして、六人が戻ってきたのはほぼ同時だった。

店長達は桶を重ねたゴンドラを押しており、クロが手早く用意した机の上にその桶を置いた。

 

「わあ……」

 

「これ、ちらし寿司?」

 

桶の中は、新年に相応しい彩りのちらし寿司だった。

 

「ちらし寿司?」

 

「うん。新鮮な魚や季節の素材をふんだんに使った料理だね。ご飯が何時もと違って、酢飯っていう少し酸っぱいのが特徴かな」

 

アレッタが首を傾げると、明久が簡単に説明した。

 

「お吸い物もあるから、好きにお代わりしてくれな」

 

店長はそう言って、お椀によそってから、全員に回した。

全員に料理が行き渡ったのを確認し

 

「んじゃ、いただきます」

 

『いただきます』

 

と全員で食べ始めた。

 

「この漬マグロ、凄く美味しいです」

 

「特製のタレに漬けたからね」

 

妖夢の言葉に、明久は自慢げに教え

 

「このネギトロ、凄く美味しいわね」

 

「頑張って叩いたし、良い中落ちが入手出来たからね」

 

霊夢はネギトロを食べて感想を言うと、店長は笑みを浮かべた。

 

《魚も美味しい……サッパリしてるけど、口の中が味で満たされる……》

 

「お寿司ってのは、素材と切り方で決まるからな」

 

クロからの素直な感想に、店長は安堵していた。

そしてアレッタは

 

「やっぱり、お魚本来の味って、こんなに美味しいんですね……」

 

「向こうの世界の魚って、やっぱりしょっぱいの?」

 

「はい、凄く」

 

早希の問い掛けに、アレッタはすぐに頷いた。

アレッタの記憶の限りだが、塩の味しかしない位だ。

 

「まあ、塩釜焼きっていう料理はあるけど」

 

「塩釜焼き?」

 

「うん。魚を大量の塩で覆い尽くして、そのまま焼く料理。まあ、それはまた今度かな」

 

話を聞いた明久は軽く説明すると、ちらし寿司を食べる事に戻った。

 

「このお吸い物は……卵?」

 

「暖まるように、生姜も使ってる。寒かったでしょう?」

 

妖夢はお吸い物が卵を使われている事に気付いたが、店長が更に生姜を使っている事を教えていた。

生姜は保温効果もだが、免疫力の向上にも使われる。

店長の細やかな心遣いである。

そして食べ終わり

 

「よし、頑張るか」

 

店長はそう呟きながら、キッチンに立った。

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