午後の最後の客を送り出し、念のために泥酔状態の客が居ないかを確認してから
「よし……今日1日お疲れさん」
『お疲れ様でした!』
(お疲れ様でした)
店長の言葉に、全員が斉唱で返す。
そして店長は
「それじゃあ、何時も通りに閉店作業開始」
と指示を出した。
霊夢と妖夢はフロアの掃除を始め、早紀やアレッタはシンクに残っていたお皿等を洗い始め、クロは入り口付近に置いてあるボードや掲示板の片付けに取りかかった。
その間に店長と明久は、冷蔵庫を確認し
「さて、賄いはどうするかな」
と考え始めた。
すると明久が
「店長、これらを使いましょうよ」
と箱を見せた。
それは、知り合いの店から貰った物。
「よし。明久、おかずは任せた」
「はい!」
そうして、二人は調理に取りかかった。
そして、十数分後
「お皿類は食洗機に入れました」
「お鍋や包丁も、指定の場所に収めました」
「ありがとう!」
「もう少しで出来るから、霊夢ちゃん達と待っててな」
店長はそう言って、早紀とアレッタに台拭きを投げ渡した。
それから、数分後。
「お待たせ!」
「今日はゴーヤチャンプルとソーキそばだ」
明久と店長は説明しながら、皿と丼を置いた。
「ゴーヤチャンプル……」
「ソーキそば……」
「うん、どちらも沖縄の郷土料理だね。正確には、琉球料理って言うのかな」
霊夢と妖夢が不思議そうにしていると、明久が軽く説明した。
今回のだが、何時も野菜とお肉を納品をしてくれる八百屋と精肉店が、奇跡的に沖縄料理向けの野菜とお肉を納品してくれたのだ。
それが、ゴーヤとソーキだ。
因みに、ソーキそばというのは沖縄そばにソーキと呼ばれる骨付きのあばら肉を乗せた料理の通称である。
しかも、何時も麺等を納品してくれる店も、試作品として沖縄そば向けの麺を納品してくれた。
余りにも偶然が重なったが、今回はそれを利用させてもらった形だ。
「それじゃあ……いただきます」
『いただきます!』
そうして、何時も通りに食べ始めた。
「うわっ、結構苦いけど美味しいですね、このゴーヤチャンプル」
「その緑色で、ちょっとデコボコしてるのが、ゴーヤって野菜。沖縄ではありふれた野菜みたいで、それが苦いけど、食欲が増進されるんだって」
初めての苦さにアレッタが驚いていると、明久が苦さの正体を教えた。
ゴーヤの苦さの正体は、モモルデシンという成分が由来で、この成分は強い苦味があるが、食欲増進の効果があり、更にゴーヤにはビタミンCが豊富に含まれている。
因みに苦さ抜きをしている為に、これでも苦さは相当に抑えられている。
元来の苦さは、野生の動物ですら避ける事もあるらしい。
だが、この苦さとビタミンCにより、夏バテに効果的な野菜だ。
後捕捉すると、ゴーヤには他にカリウムという成分も含まれており、むくみや脱水症状、熱中症に効果的でもある。
「こっちのソーキそばも美味しいです」
「特にこのお肉、凄い柔らかいわ。骨から簡単にお肉が剥がれるし、軟骨も柔らかいから食べられるわね」
「そのお肉がソーキって名前でな、ソーキそばって名前は2つの沖縄の郷土料理が合体した名前なんだよ」
霊夢と妖夢がソーキそばに驚いていると、店長が軽く説明した。
因みに、ソーキというのは豚のあばらが農具の鋤に似ている事が由来らしく、そこから訛り、ソーキと呼ばれるようになったらしい。
なお戦後にアメリカ軍が統治していた時は、オキナワスペアリブとも呼ばれたそうな。
話を戻し、濃厚だがあっさりとした沖縄そばに、味が濃い目のソーキを乗せたらよく合った為にソーキそばとして有名になったのが、ソーキそばの始まりらしい。
余談だが、沖縄そばの出汁は家庭や各島毎に僅かに差異があるようで、各島で比較するのも面白いかもしれない。