異世界食堂 おバカな料理人   作:京勇樹

4 / 119
料理が出る時は、○皿目と書きます


面接と研修

「ここで、働かせてもらえるんですか!?」

 

店長の言葉を聞いて、アレッタが驚いた表情で問い掛けた

すると、店長は

 

「ああ、さっき言ってたろ? 仕事を探しにきたけど、まだ見つかってないって」

 

と言った

それを聞いて、アレッタは無言で頷いた

それを見て、店長が

 

「ここは、分かってるだろうが料理屋でな。今は、俺と明久の二人で料理を提供してる。だが、二人だと何かと厳しくてな……」

 

と説明を始めた

その説明を、アレッタは真剣に聞いている

 

「働くのは、七日に一度。就業時間は、朝早くから夜遅くまでで……そうだなぁ……一日で、銀貨十枚でどうだ?」

 

「ええ!? そんなに!?」

 

店長が告げた金額を聞いて、アレッタは驚愕した

異世界では、形は様々だが、お金は三種類のみだ

それが、銅貨、銀貨、金貨である

日本円にすると、銅貨が一枚約百円

銀貨が一枚約千円

金貨が、一枚約一万円に相当する

なお、店長が提示した金額は、アレッタからしたら破格の給料だった

彼女のような半魔族では、安く雇われるのがザラだった

酷い条件では、一日働いて銅貨二枚というのもあった

それらと比べたら、店長が出したのは余りにも破格だった

 

「でも、私なんかが……」

 

とアレッタが躊躇っていると、店長が

 

「ただし、かなり急がしいからな。あ、あと一日三食出すぞ」

 

「やります! はっ!?」

 

食べ物に飢えていたアレッタは、店長の言葉を聞いて即答していた

それに笑みを浮かべつつ、店長は

 

「やるなら、さっきみたいな泣き顔はダメだぞ?」

 

と念押しした

するとアレッタは、感極まったらしく、涙を滲ませながらも笑みを浮かべて

 

「はい!」

 

と返答した

それを聞いた店長と明久は、立ち上がり

 

「よろしくな、アレッタさん」

 

「これからよろしくね」

 

と握手した

そして店長と明久は、アレッタを軽く見て

 

「まずは」

 

「衛生……ですね」

 

と言った

今のアレッタだが、はっきり言って汚れている

料理店としては、相応しくないだろう

そして、少しすると二人が

 

「買い物」

 

「シャワー」

 

と互いを指差して、頷いた

すると、明久が

 

「アレッタさん、着いてきてください。シャワーの使い方、教えますから」

 

と言った

その間に店長は、財布を取りに行った

そして数十分後、身綺麗になったアレッタが、ウェイトレス姿で立っていた

なお、彼女が着ていた服は洗濯中だ

ウェイトレス姿のアレッタを見て、二人は

 

「サイズは問題無さそうだな」

 

「靴は、大丈夫? 小さくない?」

 

と言った

するとアレッタは

 

「はい、大丈夫です!」

 

と元気よく答えた

それを聞いた二人は、頷いてから

 

「それじゃあ、これから研修を行うからな。この研修中も給料は出るから、しっかりな」

 

「最初は、僕がお客さん役するから。頑張ってね」

 

と言った

するとアレッタは

 

「よろしくお願いします!」

 

と言った

それから数時間後、アレッタの研修は問題なく終了

アレッタの採用が決まったのだった

そして店長と明久は、アレッタが扉を開けて外に出たら

 

「それじゃあ、今度からよろしくな」

 

「最初は六日後だけど、間違えないでね」

 

と言った

それを聞いたアレッタは、頭を下げながら

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

と言った

そして六日後、アレッタが宿にしていた廃教会内に、ドアが現れた

それを見たアレッタは、小さく

 

「よしっ」

 

と気合いを入れてから、ドアを開いた

そして

 

「おはようございます!」

 

と元気よく挨拶した

すると、机を拭いていた二人が振り向いて

 

「おはよう」

 

「今日からよろしくね」

 

と口々に言ってきた

 

「はい! よろしくお願いします!」

 

二人に再度頭を下げると、アレッタは明久に案内されたロッカールームに向かい、着替えた

そして二人と一緒に、店の準備を終わらせ、お客が入るのを待っていた

その時ドアが開き、客が入ってきた

それを見たアレッタは

 

「いらっしゃいませ! ねこやにようこそ!」

 

と元気よく、接客を始めたのだった


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。