異世界食堂 おバカな料理人   作:京勇樹

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神々の住まう地から

「神様、今日の晩御飯は何にしましょうか」

 

「ベル樣、今月はそれなりに稼いでるとはいえ、無駄遣いは厳禁ですよ!?」

 

「まあいいじゃねぇか、リリ助。ベルが無事に深層から帰還したんだ。今日位はパッーとな」

 

「まあ、今日は本拠地(ホーム)の食材の買い置きもありませんし……外食するしかありませんが……」

 

「う、ごめんよ……皆が無事に帰ってくるか、気が気でなかったから……」

 

白髪赤目の少年、ベル・クラネルの問い掛けを聞いて、小柄な少女、リリルカ・アーデは何やら慌てた様子で苦言を言うが、大柄で短い赤髪が特徴のヴェルフ・クロッゾは笑顔で快活に笑う。そして何やら思い出したように、黒髪の少女。ヤマト・命が言うと黒髪ツインテールに巨乳のヘスティアが僅かに俯いた。

彼等が居るのは、オラリオ。神々が集まり住まう土地であり、その神々が人間や亜人を眷族(ファミリア)にしてファミリアを結成し、ダンジョンを攻略しに行ったり、農業を営んだりしている地だ。

そしてヘスティアも、そんな神の一人だ。ただし、地上に降りてからかなり長い年月を知り合いの神の所でグータラと過ごした結果、その神の所から追い出され、何とかファミリアを結成しようと頑張り続けた結果、初めて眷族になったのがベル・クラネルだった。

その後は様々なトラブルを乗り越えて、今の人数にまで増えた。

先に挙げたベル、リリルカ、ヴェルフ、命の他に、金髪に狐の尻尾が特徴のサンジョウノ・春姫が居る。規模としては小規模のファミリアだが、中々の修羅場を潜り抜けたメンバーだ。

 

「さてと、どうし……ん?」

 

最初にそれに気付いたのは、ベルだった。知り合いの店(豊穣の女神)に行こうかなとも考えていたが、そこは割かしお高めの店でもあり、金庫番のリリルカが許してくれるか分からないなあ、と考えていたら、そのドアを見つけた。今や自分達の本拠地となった敷地の一ヶ所。そこは本来、資材を仕舞う倉庫の筈で確かにドアは有るが、質素なドアだった筈だ。しかし、ベルが見つけたドアは、高級そうな黒いドアだった。

 

「ベル樣、どうし……なんですか、アレ?」

 

「初めて見るドアだな……」

 

「ですね……自分も初めて見ます」

 

「これは……猫ですね……」

 

「なんて書いてあるんだ……? 共通語とも、神聖語とも違うな……」

 

ベルの視線を追って気付いた一同は近づき、一様に首を傾げた。しかし、そのドアから凄まじい魔力が満ちていることは分かった。さて、どうするか。と全員が悩んでいると

 

「よし、開けよう」

 

とベルが、ドアノブを掴んで開けた。すると、目の前が一気に明るくなって、カウベルが聞こえて

 

「いらっしゃいませ、洋食のねこやにようこそ!」

 

と一同を、長い黒髪の少女が出迎えた。

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