詳しくは、後書きにて
「神様が、人と一緒に住んでる……つまり、お客さんが、神様……と?」
「そうさ! ボクは、ヘスティアさ!」
店長の問い掛けに、中学生のような身長に豊かな双丘を備えた黒髪ツインテールの少女。ギリシャ神話の炉の女神。ヘスティアは何処か自慢気に答えた。
その後ろに居る少年少女は、ヘスティアの血を分け与えられた眷族で、ファミリアと呼ぶらしい。
「僕がそのヘスティアファミリアの団長を務めます。ベル・クラネルです」
「私は、リリルカ・アーデです」
「自分はヤマト・命です」
「俺は、ヴェルフ・クロッゾだ」
「私は、サンジョウノ・春姫と申します」
最初に白髪赤目の少年が名乗ると、次に小柄な茶髪の少女。次に、侍のような雰囲気のポニーテールにした黒髪の少女。ショートカットにした赤い髪に黒い着流しを着た青年。最後に狐の耳と尻尾が特徴の少女が名乗った。
これが、ヘスティアファミリアの全員らしい。
「はあ……まさか、神様に会う日が来るとわ……」
「ですね……」
店長と明久が驚く中、早希はヘスティアと自分の一部を見比べて、深々と溜め息を吐いた。一応フォローすると、人種的に見るとむしろ出ている方である。
「さて、ご注文は何になさいますか? メニューに無いのも、ある程度は出せますよ」
どうやら言語は英語と同じらしいので、通常のメニューを手渡した。すると、リリルカが
「安くてボリュームの多い料理をお願いします!」
と勢いよく告げた。
「おい、リリ助……今日くらい……」
「ダメです! ヘスティア樣の莫大な借金が、まだ丸々残ってるんですよ!? 特に今回の遠征、赤字なんですよ!? 少しでもムダ遣いは避けるべきです!!」
ヴェルフが文句を言おうとしたが、それを遮ってリリルカが机をバンバンと叩いてからビシっとヘスティアを指差した。その指摘に、ヘスティアが申し訳なさそうな表情を浮かべながら頬を掻いて、僅かに視線を逸らした。
一体、どれ程の借金を背負っているのだろうか。
それを聞いた明久と店長は、少し考えてから
「では、こちらにお任せ。という形でよろしいですか?」
「そうすれば、幾らかはお安く出来ますよ?」
と告げた。その言葉に、リリルカがブンブンと勢いよく頷いた。それを聞いて、明久と店長はキッチンに戻り、早希達も通常業務に戻った。その時、ヘスティアがクロを見て
(あの子……何者? 尋常じゃない存在感だ……)
と思っていた。それから、少しして
「お待たせしました、
と全員が座る席の机の真ん中に、大きなお皿で料理が置かれた。
「本来は一人前ずつをお出しするんですが、それを大皿に纏めました」
早希が説明した後、クロとアレッタがそれぞれライスと玉子スープを置いた。そうして三人が下がると、ベルが回鍋肉を見て
「これが、回鍋肉……」
と少し驚いていた。恐らく、その見た目からだろう。しかし、春姫が鼻をスンスンとしてから
「しかし、いい匂いはします……この匂いは、魚介系……ですね」
と口にした。それを聞いてか、ヘスティアが一口分取って
「よし、食べてみよう」
と口に運んだ。そうして、モグモグと噛んだ後に、飲み込んだ。その直後、目をカッと見開いて
「凄い美味しい! 初めて食べるよ、こんな料理は!?」
と驚きの声を挙げた。そこから、全員が箸を伸ばして食べ始めた。
「確かに美味しいです!」
「使ってる材料は、私達の世界と何ら変わらない物なのに!!」
「この深い味わい……箸が止まりません!」
と口々に言いながら、野菜や肉を次々と頬張っていく。そして同時に、ライスも減っていく。そこに、早希がやってきて
「ライスのお代わりは、どうしますか?」
とちょうど最後の一口を食べた、ベルに問い掛けた。するとベルは、すぐに
「お願いします!」
とお代わりを頼んだ。お代わりは無料と事前に教えられているので、遠慮する必要はないのだ。その後、ベルを皮切りに一同も次々とライスをお代わり。全員が二杯目のライスを食べ終わった頃には、大皿に盛り付けてあった山盛りの回鍋肉は無くなっていた。
「ああ……美味しかった……」
「ですね、神様」
ヘスティアの心からの言葉に、ベルは深く同意した。そうして、全員が満足そうにしていると、リリルカが財布を取り出して
「あ、そういえば……」
と疑問らしい声を漏らした。全員が視線を向けると、リリルカが
「……異世界ならば、お金の単位が違う筈です」
と呟くように言った時、店長が現れて
「何かありました?」
と首を傾げた。そうしてリリルカがお金のことを問い掛けると、店長はリリルカにお金の単位を聞いた。
「そちらじゃあ、ヴァリスって単位で統一されてて、金貨だけ? あ、金貨に1から1000って彫ってあるのか……なら、その数字に合わせて払ってもらうってことでいいか」
と頭を掻きながら言った。それを聞いたリリルカは、驚愕で目を見開いて
「いいんですか!?」
と問い掛けた。
「まあ、統一されてるし、それ以外に払いようが無いからな。構いませんよ」
「ありがとうございます! では、お代ですけど……」
「3500ヴァリスになります」
「予想より安い!?」
余りに安かった為に、リリルカが驚きの声を挙げた。何時もならば、外食した場合は優に5000は越えていたからだ。
「ど、どうぞ」
「毎度」
リリルカは財布の中から、三枚の1000と彫られた金貨と500と彫られた金貨を取り出し、店長に手渡した。そこに、明久が現れて
「こちら、サービスのお握りです。後程どうぞ」
と人数分の紙の箱を差し出した。
「当店は、七日に一度開きますので。またお越しくださいませ」
「お待ちしております」
明久と店長の言葉を聞きながら、ヘスティアファミリア一同は退店。消えていくドアを見ながら
「本当、下界は不思議が一杯だね……」
「まあ、流石に毎回は来れないでしょうが、また来ましょう」
そして、ヘスティアファミリアはホームに入っていった。
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