異世界食堂 おバカな料理人   作:京勇樹

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すいません
昨日上げるつもりでしたが、書いてる途中で寝落ちしてしまいました


五皿目 おにぎり

赤の女王が帰って、ホールを片付けた後

 

「お疲れ」

 

「お疲れ様です」

 

「お疲れ様でした!」

 

三人は、そのホールに集まった

そして、店長と明久が

 

「今日一日お疲れ」

 

「どうだった?」

 

とアレッタに問い掛けた

するとアレッタは、一日を振り返り

 

「とっても……疲れました」

 

と言った

それを聞いて、店長は大笑い

明久は

 

「だろうね」

 

と苦笑した

だが、アレッタは

 

「でも、とっても楽しかったです!」

 

と言った

それを聞いて、二人は

 

「そうか……」

 

「それは、良かった……」

 

と微笑みを浮かべた

すると店長が、指を鳴らして

 

「っと、そうだった。忘れない内に渡さないとな」

 

と言って、封筒をアレッタに手渡した

 

「これは、今日の給料だ」

 

「ありがとうございます!」

 

封筒を受け取ったアレッタは、頭を下げた

すると、今度は明久が

 

「それと……はい、これ」

 

と紙袋を手渡した

 

「これは?」

 

「余ったご飯で作ったおにぎりと、味噌汁が入ったポット。お腹が空いたら、食べてね」

 

アレッタの問い掛けに、明久はそう言った

おにぎりが何か分からず、アレッタは僅かに首を傾げたが、時間が無かったので、すぐに着替えて帰宅した

そして、自分が住んでる廃教会の窓から星空を見上げて

 

「お父さん、お母さん……私、ねこやっていう素敵な料理店で、働くことになりました」

 

と語りだした

それは、死に別れた両親への報告だった

 

「店長さんと明久さんは、凄く優しいし、凄く美味しい料理を作る凄い人達なんだ……」

 

アレッタはそう言いながら、二人を思い出した

二人は優しく、アレッタに様々なことを教えた

そして

 

「次も頑張るから、見守っててね。お父さん、お母さん……」

 

そこまで言うと、アレッタはあることを思い出した

 

「そうだ。体を洗わないと」

 

それは、以前の研修の時に明久が

 

『僕達料理店はね、体を綺麗に保つことが大切なんだ。だから、毎日体は洗ってね』

 

と言って、アレッタに石鹸を与えたのだ

それを思い出したアレッタは、近くの井戸から汲んだ水を貯めてある、水瓶から水を木桶に汲み、体を洗い始めた

アレッタとして驚いたのは、明久から渡された石鹸が、自分の世界の石鹸とは段違いで泡立つことだった

 

「凄い泡……それに、いい匂い……」

 

アレッタはそう言いながら、全身を隈無く洗った

なお次いでに、服も洗濯し干した

 

「これで良し!」

 

アレッタがそう言った時、お腹が鳴った

 

「うっ……食べちゃおうかな……」

 

と言ってアレッタが見たのは、明久から手渡された紙袋

 

「確か……おにぎりって言ってたよね……」

 

アレッタはそう言って、紙袋の中から銀色の塊

アルミ薄に包まれたおにぎりを三個と、銀色のポットを取り出した

そして、何時もの式句を述べてから、ポットの中を器に入れた

 

「あ……これ……」

 

それは、ねこやで提供している味噌汁

具は、あのファルダニアに出した豆腐だった

それを見たアレッタは、ゆっくりと味噌汁を飲んだ

 

(暖かい……体がポカポカする……)

 

味噌には保温効果が有り、飲めば体を内側から暖める

そのことをアレッタは知らないが、ゆっくりと一杯目の味噌汁を飲み干した

そして二杯目の味噌汁を器に注ぎ

 

「えっと、これかな……」

 

と言って、ひとつ目のおにぎりのアルミ薄を開けた

中から出てきたのは、お米の塊だった

上の部分からは、焼いてある魚

鮭が見えている

 

「これが、おにぎり……」

 

アレッタはそう言うと、一口食べた

 

「わ……焼いたお魚って、こんなにライスに合うんだ……」

 

焼いた鮭が非常に合い、アレッタは頬張るように食べ始めた

途中で喉に詰まったが、それは味噌汁で事なきを得た

そうしてひとつ目を食べ終わると、アレッタは二つ目を開けた

二つ目のおにぎりは、ひとつ目とは違う具

解した梅干しが、見えていた

梅干しを知らないアレッタは

 

「なんだろ、これ……」

 

と首を傾げた

だが

 

「でも、店長と明久さんが、食べられない料理を出すわけがないよね」

 

と言って、かぶりついた

次の瞬間、アレッタは梅干しの酸っぱさに驚いた

 

「び、びっくりした……けど、なんだろう……」

 

最初は、梅干しの酸っぱさに驚いたアレッタだった

だが、口の中には唾が溢れてくる

そして何より、もっと食べたいと思わせる

だからアレッタは、梅干し入りのおにぎりも頬張るように食べた

そして、最後のひとつ

 

「なんだろう、これ……あの黒いのも無いし、茶色い……」

 

それは、焼おにぎりだった

なお、アレッタが言った黒いのというのは、海苔のことである

アレッタは、一通り焼おにぎりを見ると、一口食べた

すると口の中に、芳ばしい味が広がっていった

 

(凄い……まるで、焼いたライスで包んであるみたい……)

 

最後の焼おにぎりも、アレッタは食べ終わった

そして、寝床に寝転がり

 

「ねこやで働き始めたから、少しは余裕が持てるけど……やっぱり、仕事は探そう」

 

と言って、眠りに就いたのだった


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