異世界食堂 おバカな料理人   作:京勇樹

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年が明けてるのに、年末のことを書いてる作者が居るらしい(ナ、ナンダッテー)
短いです、ごめんなさい


58皿目 年越しそば

年末の午後10時。

全ての業務が終わり、一同はフロアに集まっていた。これから、一年の締めくくりをするために。

 

「全員、今年一年間お疲れさん」

 

『お疲れ様でした!』

 

店長の言葉の後に、明久達の言葉が続いた。先ほど最後の客が帰っていった。

 

「しかし、この一年は一気に変わったな……」

 

「ですね……新しい世界に繋がったりしましたね」

 

店長の言葉に、明久は同意するように頷いた。異世界食堂と呼ばれるねこやだが、最近は一つの世界だけでなく、次々と新たな世界に繋がるようになってきた。

それを受けて店長と明久は、更なる新たなメニューの開発に力を入れている。

 

「さてと……年末と言ったら」

 

「アレ、ですね」

 

二人はそう会話すると、キッチンに向かった。これから、一年最後の賄いを作るのだ。そして、年末は決まっている。それは

 

「はい、お待たせ」

 

「年越しそばだ」

 

二人がキッチンに入って、数十分後。二人は計5つの丼を持ってフロアに来た。

 

「年越しそば?」

 

「一年の締めに食べる料理で、来年も健やかに過ごせますようにって意味が有るんだよ」

 

アレッタが首を掲げると、早希が説明した。

蕎麦は同じ商店街の老舗の蕎麦屋からの貰い物だが、出汁と具は二人で作った物だ。

出汁は鰹と昆布の合わせ出汁。具は海老の天ぷらと特製のタレに浸したお揚げだ。

それを全員の前に置き

 

「んじゃ、来年も頑張っていこうってのと」

 

「今年一年間、お疲れ様でした」

 

『いただきます!』

 

クロが箸に四苦八苦したが、全員で蕎麦を食べ始めた。

すると、アレッタが

 

「このお蕎麦というのは、独特な風味がするんですね」

 

と少し不思議そうにしていた。

 

「前に食べたラーメンというのに似てますが、色も味も全然違います」

 

「あー、うん。あっちは小麦粉。こっちは、そば粉を使って作られてる。材料から違うけど、そば粉は独特な風味が特徴と言えるね」

 

アレッタの疑問に、明久が説明した。

小麦粉は黄色主体になるが、そば粉は灰色主体だ。そこからも、全然違うだろう。

 

《このお揚げというのは、甘いのにしょっぱい。けど、美味しい》

 

「それはな、ウチ特製のタレに浸けておいたお揚げだ。好評で何よりだ」

 

店長はそう言いながら、未だに箸の扱いに苦労してるクロに、箸の使い方を教えている。早希は早希で、海老の天ぷらを食べて

 

「……出汁の基本は、鰹と昆布だけど……他に何か隠し味が……」

 

と出汁が気になるようで、何やらブツブツと呟いている。そして、そんな早希の呟きを聞いた明久は

 

(さて、早希ちゃんは、干しシイタケと乾燥したホタテ貝柱に気付くかな?)

 

と観察していた。実は今回の出汁に関しては、店長から明久に一任されており、早希の料理人への試験の一つのような扱いになっていた。それはさておき、蕎麦を食べ終えると

 

「さて、繰り返しになるが、これで今年一年は終わりだ」

 

「また来年も、皆無事に集まって頑張りましょう」

 

と店長と明久の言葉があり、一年最後のねこやは幕を下ろしたのであった。

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