異世界食堂 おバカな料理人   作:京勇樹

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……突発的に思い付いた


新しい仲間

朝5時。

 

「ああ……お腹空いた……」

 

そう呟くのは、大胆な改造が施されて脇が露出している巫女服を着た少女。博麗霊夢(はくれいれいむ)である。彼女が居るのは、幻想郷の博麗神社だ。

幻想郷というのは、世界で忘れられし者達。妖怪、吸血鬼、魔法使いといった、所謂オカルトの存在が、最後に流れ着く場所である。

そして彼女が住む神社は、その幻想郷の大事な要の場所であり、彼女の一族は代々その幻想郷の治安を維持する役目を担ってきた。

霊夢も15という若さだが、その実力は幻想郷でも随一であり、その役目を十分に果たしていた。

しかし、彼女は貧乏だった。博麗神社は山の上の方にあり、更にはその周囲は妖怪が住む森のために、中々人が来なく、それに比例するように賽銭も中々入らない。

入った賽銭も、神社が壊れた際の修理費の為に貯金している。彼女はこの年齢で、現実主義者(リアリスト)であった。

 

「……お腹空き過ぎて、一切やる気が起きない……」

 

霊夢はそう言いながら、自室の畳の上をゴロゴロと転がった。先も言った通り、霊夢は賽銭のほとんどを貯金に回しているために、中々人里で買い物も出来ず、二三日何も食べないことなどザラだ。

だから霊夢は、その年齢の割に小柄だし痩せている。その巫女服の脇からあばら骨が浮いて見える程だ。

そして、自室で転がっていると、ある感覚を覚えた。

 

「……なんか、敷地内に変な力の流れが……」

 

流石に自宅の敷地内に異変を感じたとなれば、調べない訳にはいかない。そう判断した霊夢は、起き上がると机の引き出しから札を取り出し、更に何時も戦闘で使う御幣を持って自室から出た。

それを見つけたのは、神社の敷地の外れの物置の中だった。

物置の中には、彼女が普段使う箒や塵取りの他に、昔は祭事の時に使っていたらしい道具が納められているのだが、その物置の壁際に、黒いドアが有った。

 

「……なんで、こんな場所にドアが……」

 

霊夢はドアを調べると、文字に気付き

 

「洋食のねこや……レストランのドア?」

 

首を傾げながら、ドアの取っ手を握って開いた。

 

「おっと、今日一番のお客さんかな?」

 

「いらっしゃいませ……って、巫女服?」

 

そんな霊夢を出迎えたのは、店長と明久だった。どうやら掃除中だったらしく、モップを持っている。

 

「……ここ、外の世界?」

 

「えっと……その外の世界って、どういう意味か分からないけど……」

 

「ここは通称、異世界食堂って呼ばれる所でね……恐らく、そちらからしたら異世界の筈なんだ」

 

霊夢の問いかけに、明久と店長が答えた。その時、可愛らしい腹の虫が聞こえた。流石に恥ずかしかったらしく、霊夢は顔を赤くした。それを聞いた店長と明久は顔を見合わせてから

 

「なんなら、飯を食ってくか?」

 

「僕達もまだだから、一緒にどうかな?」

 

「けど私……お金無いわよ……?」

 

二人の言葉に、霊夢は思わずそう返した。

 

「大丈夫だよ、ツケでも」

 

「けど私……収入が不安定なのよ……」

 

「ん、どういうこと?」

 

霊夢の言葉が気になった明久が首を傾げると、霊夢は自分のことを話し始めた。話し終わると、着替え終わった早希が

 

「つまり、霊夢ちゃんはその年で巫女さんでもあり、事件を解決する警察みたいなこともやってるんだ……」

 

と感心していた。すると、霊夢は

 

「ただ、賽銭は中々入らないし異変事態も起きて月一位……報酬は貰えるけど、大部分は貯金に回してて……日々に使えるのは微々たる金額……結果として、1日2日位は食べない日があるのよ」

 

と説明した。しかし内心では

 

(……私、なんでこんなこと喋ってるのかしら……)

 

と首を傾げていた。先にも書いたが、霊夢は現実主義者だ。そんな話をしても、変わらないと思っていた。

すると、明久が

 

「霊夢ちゃんは、本当に偉いね」

 

と言いながら、霊夢の頭を撫でた。撫でられること事態は、時々ある。保護者代理のような妖怪や一部の身長の高い知り合いから撫でられることが度々あった。しかしそれは、やはり知り合い故に気楽さがあった。

しかし明久のそれは、純粋な優しさからだった。

 

(……こんな気持ちになるの……もしかして、初めてじゃないかしら……)

 

霊夢はそう思いながら、明久に撫でられていた。そして少しすると、明久は

 

「店長……彼女を、ねこやで雇いません?」

 

霊夢からしたら、予想外の提案をした。

 

「はい!?」

 

「ん? まあ、彼女が良ければ俺は構わないが……」

 

「軽い!?」

 

店長の気軽さに、霊夢は驚いた。すると明久は

 

「さっき触ってわかったけど、霊夢ちゃんかなり痩せてて心配で……」

 

実は握手した際に、明久は霊夢のあまりの細さに驚いたのだ。

 

「ふむ……なるほどな……確かに、それは心配になるか……」

 

「だけど……」

 

「いいんじゃないですか? 三人でも、回らないことがありますし……」

 

明久の案に賛成したのは、早希であった。実は早希は、特別営業の時はバイトリーダーみたいな立ち位置を任せているのだ。一番最初はアレッタだが、アレッタは性格的に指示を出すのに向いていない。年齢的にはクロだが、クロは一人で居た時間が余りに長かったことから辞退。結果、消去法で早希になった。

 

「けど……」

 

「働いてくれるなら、お給料だけじゃなく、1日三回は賄いを出すけど」

 

「やります……はっ」

 

「なんか、デジャブ」

 

今の一連のやり取りに見覚えがあった店長だったが、そう決まれば話は早い。アレッタに案内されてシャワールームに行った霊夢がシャワーを浴びて体を綺麗にしてる間に、早希が下着類を買いに行き、数十分後

 

「……なんか、着なれなくて違和感が……」

 

ウェイトレスの服を着た霊夢が、その場に居た。

すると早希が

 

「……サラシで分からなかったけど……霊夢ちゃん、胸大きかった……Cはあった……」

 

と自分の胸をペタペタと触っていた。胸に関してはデリケートなので、明久と店長は聞き流す。

こうして、なんだかんだと新しい仲間が追加された。

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