異世界食堂 おバカな料理人   作:京勇樹

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今回は短めで、様々なキャラが多数出ます


68皿目 バーベキュー

「……これで、大丈夫だよな……」

 

「……多分……」

 

明久と店長は二人して不安そうにしながら、入り口辺りに貼った紙を見ていた。明久と店長には読めないが、異世界の言語でこう書かれている。

 

《本日限定、バーベキュー。各種取り揃えてます》

 

そして、朝から注文が殺到していた。

 

「おーい! 肉の串焼きをくれ!」

 

「ついでに、海鮮のも頼むわい!!」

 

酒飲みたるドワーフ二人は、大ジョッキ片手に串焼きの肉やシーフードをガツガツと食べまくり

 

「生き物を食べるなんて……」

 

周りで肉やシーフードを食べている他の客に、少し不機嫌そうにしながらファルダニアとアリスが野菜の串焼きを食べている。今日は、バーベキューの日である。

バーベキューの日を考えたのは、先代店長の大樹だ。

大樹は何か夏らしいイベントは無いものか、と考えていたら、まだ小学生だった今の店長が学校のイベントでバーベキュー大会が有ると聞き、それをねこやの夏のイベントに採用した、というのがバーベキューの日の始まりであり、それ以来、夏の大人気イベントとなった。

矢継ぎ早に繰り出される注文に、明久と店長は忙しなく動いた。

 

「肉とシーフードの盛り合わせ、持っていってくれ!」

 

「野菜も出来たよ!」

 

「はい、わかりました!」

 

「持っていきます!」

 

明久と店長が怒涛のように串に刺しつつ、焼いて皿に盛ったのを、早希やアレッタ、クロ、霊夢が持っていく。普段なら定番メニューを頼む常連客達も、この日ばかりは好きな内容の串焼きを頼んでいき、怒涛のように消えていく。食べ終わった串は即座に回収され、洗われたらまた即座に食材が刺されては焼いて出す。ひたすらに、それの繰り返しだ。

この日ばかりは、何時もは出すサービス等は中々出せない。そちらに手が回らないからだ。

フロアの四人も、ひっきりなしにカウンター辺りと各席を行ったり来たりで忙しそうだ。

明久が見た限り、何時もの常連客達の他にはなのはやその娘のヴィヴィオ、フェイトが仲良く食べていて、ゴブリンスレイヤーが牛飼い娘、受付嬢の二人に挟まれて固まっていたり、何故か泣いてるシロエ、直継、アカツキの三人が居たりと、割りとカオスな状態になっていた。

 

「見ない間に、何があったのやら」

 

何があったのか気になる明久だったが、忙しいために直ぐに意識を調理に戻した。でないと、幾ら店長とはいっても調理が追い付かないのだ。そして、また怒涛に繰り出される注文を、明久と店長はこなしていく。

そして一息吐きながら、またカウンターから明久はフロアを見た。すると、以前に来た傭兵だというレイとスケアクロウの他に、もう一人が親しそうな様子で同じ席に座って串焼きをバクバクと食べている。三人目はどうやら、ティナと呼ばれてるようだ。まあ、美味しく食べられているならば、料理人冥利に過ぎるというものだ。明久はそう思って、新しい食材を切り始めた。

また少しすると、明久はカウンターからフロアを見た。何時の間にか、代理人とダミーが来ていて食べていたのだが、ダミーは純粋に楽しんで食べていて、代理人は串焼きを食べては時々

 

「この味は……」

 

と何やら呟いている。恐らくは、タレの味を分析しているのだろう。串焼きだが、素材への味付けはほぼしておらず、焼いてる途中と最後に塗っているタレに秘密がある。ねこやのバーベキュータレは、先代店長から受け継がれ、それを守りながら去年更に改良したものである。

 

(さあ……隠し味のすりおろした桃には気付くかな!!)

 

その桃も、知り合いの八百屋が数有る桃農家の中から厳選した桃を使用している。代理人は、それに気付くだろうか。そう思っていると

 

「串焼きの盛り合わせ、お願いします!」

 

「こっちも、盛り合わせだ!!」

 

と注文が入って、明久と店長は調理に戻った。こうして、バーベキューの日は過ぎていく。フロアは賑やかに、会話の声が響きながら。

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