友人に応援された為、やる気出たので少しずつ頑張ります!
短めですがどうぞ!
私、氷川紗夜には双子の妹と一つ下にもう一人妹がいる。───いや、いたと言うべきか。
双子の妹は日菜と言い、俗に言う『天才』。何をするにしても一番、人が長い間努力し続けてきたことを僅かに触るだけで追い抜き、完全に自分の物にする天賦の才能を持つ少女。
下の妹───茜は『秀才』。要領も覚えもあまり良くなかったが、人一倍…いや、何十倍も努力を積み重ねて確実に物にするタイプだった。
私達三姉妹は常に比べられてきた。その度に日菜と私は褒められ、茜は貶された。
そんな茜の姿を見て、どこか安心していた私がいる──────というのは、残念ながら否定できない。日菜の存在が重圧となっていた私は、心のどこかで茜の事を下に見ていた。
茜はそれに気づいていただろう。それでも、私の事を『姉』として慕ってくれていた。だからこそ、私は茜に誇れるような『姉』になりたいと思ったのだ。
けれど、それは思い違いだった。あの日、橋から突き落とされた茜の全てに絶望し、諦めた者達の目を見てようやく気付いた。
私はもう少し早く、茜の抱えていたものに気付いてあげるべきだった。
そう、茜はもうこの世にはいない。数年前、家族でキャンプに行ったときに川に落ちて流されてしまったから。
そして茜が川に落ちた理由───それは父が橋から突き落としたからだ。
私の父は冷酷で無慈悲。それでいて短気という最悪な性格をしている人物で、酒を飲んでは母親や茜に暴力を振るっていた。
私は茜のいなくなる直前までその事実に気が付けず、何もしてあげられなかった。恐らく私と日菜には見せないようにしていたのだろう。脅されていたのか、母親も茜も決して暴力の事を口にはしなかった。振り返ってみれば、おかしい点は幾つもあったのに。
何故父は私と日菜だけ褒めて、茜を貶したのか。母親が何故、そのことについて何も言わなかったのか。
それを日菜と共に父に問い詰めたところ、あっさりと話してくれた。
──────全ては茜が『劣っていた』からだよ。お前らは俺の価値を引き上げる『道具』なんだし、価値を下げかねない『道具』は捨てる…それだけだ。
それを聞いた瞬間、私の中にあった父への信頼が一瞬で消えた。同時に湧き出てきたのは、父に対する怒りと茜に対する罪悪感。何故気付いてあげられなかったのか、この罪悪感が消えることは一生無いだろう。
その後、ついに耐えきれなくなった母が警察に相談したことで父は逮捕され、私達は母の実家へと引き取られた。
そして私はやり場のなくなった怒りをあろうことか、妹の日菜に向けてしまった。それだけは決してしてはならないことだったはずなのに、日菜の存在が重圧になっていた私にはもう限界だった。
その結果、私はさらなる罪悪感を覚えながら日々を過ごしている。もうあの頃の仲の良かった姉妹は見る影もない。
何せ──────自分でそれを壊してしまったのだから。
もう、あの日々には戻れない。
浅い微睡みから私を引き戻したのは、いつもセットしている目覚まし時計と、全身にのしかかる謎の倦怠感だった。今日は私達『CHISPA』の初ライブの日。昨日はギリギリまで調整を続けたので、あまり寝れなかったのが響いているのかもしれない。
怠さを堪えて身体を起こす。この怠さもきっとすぐに消えるだろう。今日は休日だし、店の方も手伝わないと。
服を着替え、部屋を出る。今日は昼過ぎまで手伝いをして、そこから会場に移動して音合わせとリハーサル。そこから本番だ。
この日のためにたくさん練習したんだし、きっと大丈夫だ。そう願いながら、私は階段を下りてリビングへと向かった。
────けれど、崩壊の足音は直ぐ側まで近づいてきていたんだ。ここで気付けなかったのを後悔することになるのを、今の私は知るよしもなかった。
今回は少しだけ茜の過去を紗夜さん視点で紐解きました。ちょっとタイミングおかしかった気もしますが、とりあえずこのまま行く予定です。ここからの書き方次第では修正も視野に入れる予定です。
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