ラジオ祭り楽しかったです(唐突な感想)
いやー、愛美さんや工藤晴香さん、相羽あいなさんetc…多くの声優さんを生で観れて、とても嬉しかったですね。一生の思い出です。何気に初めて知った作品の設定もあって、中にはこれからの物語で使えそうなやつもありました。
これはさっさと続き書いて、物語進めていくしかないと、そう思ったわけです。
てなわけで、頑張りました。…なんかよくわからない文章になりましたけどね!(いつも通り)
茜の病室から静かに退室し、そのまま廊下の壁に寄りかかる。
『──今になってその努力を踏みにじるような事、言わないでよ!』
「…はっ」
私の口から一番最初に漏れたのは、自身に対する失笑だった。
(一番知ってる…?何も知らなかったじゃん…)
茜にあんなことを言っておきながら、結局私は茜を傷付けただけ。何が一番知っているだ、何もわかってなかったじゃないか。あれほど努力していた姿を見ていたのに、私は茜の努力を完全に否定してしまった。
(バカだなぁ…私って)
周りに迷惑しかかけず、そのくせ他人の努力を否定する…そんな人間が、自分が楽しいことだけやってていいのか。答えは──否。
『もう、出てって』
目から大粒の涙をぽろぽろと零しながら呟く茜の姿が脳内に再生される。
(これは、嫌われちゃったかな…)
正直、こればかりは私が悪い。あれだけの事をしてしまった以上、嫌われて当然だから。
「…でも、辛いなぁ」
ぽつり、と。静かに呟いたのと同時に視界がぼやけ始める。頬を伝う涙を指先で拭うけれど、拭っても拭っても涙は止まらない。
茜が家に来てから三年。一度も喧嘩することなく、まるで本物の姉妹のように過ごせた幸せな時間。それが失われるかもしれないと思うと…辛い。
「っ…うああぁ…」
誰もいない病院の、僅かな月明かりが差し込む廊下。そこで私は静かに──泣き続けた。
「…沙綾」
廊下の突き当たり、角を曲がった直ぐの所に私達は隠れるように立っていた。
茜のお見舞いに行こうって事になって、茜の入院している病院に来たはいいんだけど…廊下まで聞こえた茜の怒鳴り声にビックリして歩みを止めちゃったんだよね。そしたら茜の病室から沙綾が出てきて、さらにビックリした。いつもの茜なら、沙綾に絶対怒鳴らないし。
病室の外の壁に寄りかかって、静かに泣き崩れる沙綾。それを見て、相当な出来事があったんだと瞬時に理解出来た。
「…皆、今日は帰ろう」
「夏希?何言ってるの?」
「少なくとも、今日は話できる状態じゃなさそうだから」
沙綾に聞こえないくらいの声で皆に言って、私は来た道を引き返す。あの状態で私達が出ていったら、2人はきっと無理をする。そんなに無理してまで、笑って欲しくはないから。
2人には、これ以上無理させたくない。
そう願う私はきっと、間違ってないよね?
──1週間後。ようやく退院出来た私は、久しぶりの我が家へ帰宅した。三年前と同じく千紘さんが迎えに来てくれたけれど、沙綾の姿は無い。それを少しだけ寂しく思いながらも、喧嘩別れした後に会っても気まずいだけだと思い直す。
──正直、私にも悪い所はあると自覚している。いや、むしろ私が全面的に悪いと言うべきか。あそこで手を上げるなんて、なんて馬鹿なことをしてしまったんだろう。
纏まらない思考を抱えたまま、やまぶきベーカリーのドアを開ける。途端に漂ってくるパンの匂いが、何故か酷く懐かしく感じた。
「ただいま」
「おかえり、茜。もう大丈夫なのかい?」
「はい…ご迷惑をお掛けしました」
ドアの開いた音に反応して工房から出てきた亘史さんに、深く謝罪する。今回の件で多くの人に心配させてしまったから、謝るのは当たり前だし私自身謝らないと気が済まなかった。
「いいんだよ、無事ならそれで。ただ、あまり無理はしないようにね」
「…はい、お気遣いありがとうございます」
「それと今日は店の手伝いはしなくていいから、しっかり休みなさい」
そう言われて驚く。今日の店番は誰がやるのだろうか?
「店番は沙綾がやってくれるらしいから、あまり心配しなくていい。…それよりも、沙綾と何かあったのかい?お見舞いから帰ってきた時、浮かない顔をしていたから」
疑問と心配が顔に出ていたみたいで、苦笑しながら亘史さんが説明してくれた。それよりも沙綾、というワードに思わず反応しそうになるが、それだけは顔に出さない。
「…いや、別に何もなかったですよ?」
「…そうか、ならいいんだ」
返事が僅かに遅れたのが怪しく思われるか──と思ったけれど、亘史さんは追及してこなかった。
「それじゃあ私は仕事に戻るから、部屋で休むこと。いいね?」
「わかりました」
工房へと戻っていった亘史さんの背中を見送り、階段を上がって自分の部屋へと向かう。
(…やっぱり、謝らないとダメだよね)
何度考えても、昨日の喧嘩は私が悪い。いつまでもこんな状態で居るのは私だってまずいと思っている。ただ、どうやって謝りに行くべきなのかわからない。
(困った…なんて言いに行けばいいのかな…?)
そんな事を考えながら、階段を上り切ったところでがちゃり、とドアノブを捻る音。
私の部屋の隣…沙綾の部屋のドアが開き、中から沙綾が出てきて──目が合う。合ってしまった。
「あ、茜…」
沙綾の表情が段々と翳って行くのが見えた瞬間、直前まで考えてた事が全て頭から飛び、私の頭の中は真っ白になった。謝らないといけないのに、舌が張り付いた様に動かない。
「…ただいま」
どうにかそれだけ言って、自分の部屋のドアを開けて中へ。後ろ手にドアを閉めて、そのまま床に座り込む。
「…なんで」
自分でも、何がしたいのかわからなかった。沙綾に謝りたいと思ってたはずなのに。
──何故あそこの場面で逃げたの?
頭の中に響く声。どこかで聞いたことのある声だったけれど、思い出せない。
(わからない。何で私は逃げたの?)
──質問に質問で返さないでよ。謝るんじゃなかったの?
(そのつもりだったよ。でも…謝ろうとしたのに、いつの間にか逃げてた)
──本当は分かってるんでしょ?
(…やめて)
──沙綾はもう
(…そんな事、ない)
──本当に?
(…そんな、こと)
──答えられないのが何よりの証拠だよ。
(ち、違う!私は…!)
──まあいいさ。せいぜい否定し続けて、壊れ果てるのがいいよ。
そんな一言を最後に、声が消えた。聞き覚えのある声だったけれど、誰の声かなんてとても思い出せる状況じゃない。
(私は…沙綾を信頼してない?)
誰かの声に言われたその一言が、頭の中をぐるぐると回っていく。どれだけ自分に問いかけても、答えが出ることは無い。そんな情けない自分に対する自責の念と、沙綾への罪悪感。それらに押し潰されそうで、私はもうどうすればいいか分からなかった。
「誰か…助けて」
シリアスもどきは私の得意分野です()