スーパーSNE大戦   作:白鮭

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和マンチ、初めての戦闘をする

女神様通販のマップ表示機能で現在位置を確認すると、フェイダン地方に降りた事が分かった。

 

「ここから近いのはリオスかな? 道の状況にもよるけど、パトカーを使えば大抵の所には行けるからな……大都市に行って冒険者になるのが手っ取り早いか」

 

そうマップを見ながら呟いて、取り合えず森を抜ける為に街道に一番近い場所へ向かって歩き出したのだが、装備のテストもしたいので、レッド・サムライ・アーマーをアイテムボックスから直接体に装着してみる。

 

「……慣れればメタルヒーローごっこが出来るな。パワーアシスト機能と、油圧ジャッキの性能も確認しておくか」

 

森の中で軽く走ってみたり、ジャンプしながら先に進む。特に油圧ジャッキの効果が凄い、なにしろ軽く助走を付けてジャンプすると、五メートル以上飛ぶのだ。元の体とは比べ物にならない位に運動神経が良いし、何より凄い楽しい。レッド・サムライ・アーマーにしても、機動力アップグレードとパワーアシストのお陰で動きやすいのだが、鎧と言うよりパワードスーツに近いから、これを着て長時間歩くのは無理だと思う。そんな事を試しながら移動していると街道に出たのだが、森から出た所で何か戦闘をしている集団がいた。

 

***

 

箱馬車三台がキャラバンを組んで進んでいたらしいのだが、前後から襲われたみたいだ。馬車を襲ってるのは前十名、後ろ十名の馬に乗った人間で、そいつらを見たらデーターがサイバーアイに投影された。それによると、馬に乗った山賊と表示されている。

 

「えー……」

 

ますますゲームじみていて来ていて、この世界を現実と認識出来なくなるのではと少し心配になったが、大丈夫だと信じたい。突然のデーター表示を疑問に思っていたら、女神様通販のバージョンが1.02 Byアステリアに変わっていて、アナライズシステムが追加された結果みたいだ。

前は結構装備が良さそうな五人が戦っているが、後ろにいるのはたったの三人で、しかも装備の余り揃って無さそうな女の子ばかりだ。

 

「少し離れろ!!」

 

そう声を掛けて、二十メートル位離れている所から、神経増速によって加速した神経を使って、長バーストで銃弾をバラ撒く。

 

パパパパパパパパパパパパッン、パパパパパパパパパパパパッン、パパパパパパパパパパパパッン、パパパパパパパパパパパパッン、パパパパパパパパパパパパッン、パパパパパパパパパパパパッン………………

 

P93プリーダーはブルパップ方式のSMGなのだが、高速連射出来る様に改造されており、しかも使い手である俺は、神経増速によって三秒間に四回行動出来る。

反動補正装置を組み込まれたレッドサムライアーマーと、銃本体に組み込まれたガスベントや各種装置によって限界まで反動を補正、そして、サイバーアイに投影された各種銃器データーを確認しつつ、強調表示された標的に向かって、赤い照準(クロスヘア)が合った瞬間に機械の様な正確さで銃弾を叩き込む。

 

1.5秒で最初のクリップ使い切って、スマートガンで即座に二本目のクリップに切り替える。二本目のクリップの弾を半分ほど使った後、空になったクリップを思考制御で自動的に抜いて、アイテムボックス経由で新しいクリップを挿す。だが、既に馬上に人影は存在しなかった。

戦闘が続いている前方に向かって走って行き、アナライズシステムの表示を確認、山賊の首領と出た目標に対してプリーダーを向ける。

 

「降伏しろ、お前が馬で逃げるより銃弾の方が速いぞ」

 

全員が後ろの惨状を理解したのか、青くなって武器を捨てた。監視を続けながら、装備の整っている冒険者に話しかける。

 

「緊急だと思って勝手に割り込んだ、悪かったな」

 

そう言うと、冒険者のリーダーらしき青年が苦笑しながら返して来た。

 

「いや、助かった。あの人数だと俺達はともかく、後ろのルーキーが不安だったんだ。こっちの人数を割こうにも、下手したら護衛対象に取り付かれるから、内心困ってた所だったからな。俺の名前はアレックス、梟の目のリーダーだ。よろしくな……え~っと……」

 

そう言って手を伸ばしてくるので握手をしようとするのだが、全身隈無くレッド・サムライ・アーマーに包まれているので少し困る。さっき試したアイテムボックス式装着術を、フルボディー・スーツとアーマージャケットで試してみると上手く行ったので、装備を変更してから握手に応じる。

 

「こちらこそよろしく、グラム・アリステアだ。冒険者になる為にリオスに向かってる田舎者で、都会に出るのは初めてだ。助かったと思ってくれたら、良い冒険者の店を紹介してくれ」

 

そう言ってアレックスに笑いかけたのだが、アレックスが俺の顔を見て赤くなった…………アステリア様の眷属になったお陰で男も魅了出来る顔になったのか、アレックスが特殊な趣味なのかは判断出来ないが、頼むから前者でいてくれとアステリア様にお願いしておいた。

 

***

 

アレックス達が、盗賊を拘束して馬車の後ろに繋いでいるのを俺も手伝っていた。とは言っても監視役として見ているだけだ。その代わりに、俺が倒した盗賊の戦利品の権利が俺にあるらしいので、探すのを手伝ってもらう。流石にラクシアに来たばっかりで、死体の懐を漁るのはキツイのだ。

 

「失礼、先ほど助けて下さったのはあなた様で良かったかしら?」

 

後ろから声を掛けて来た人物を見ると、黒髪で青い瞳と白い肌をした何となく気品がありそうな、多分十五~六歳位のスタッフを持って、ソフトレザーを着た女の子だった。

 

「はい、そうですが……何とお呼びすればよろしいでしょうか」

 

「エリシアと呼んで下さいな。実は貴方を雇いたいのですけれど、どれくらい払えば良いのかしら?」

 

エリシアさんはそう言って来たのだが、正直困ってしまった。ルルブには最初の冒険は五百ガメルと書いてあった気がするが、プリーダーの弾代は結構高くて、一クリップ百ガメルもするのだ。

 

「まだ正式に冒険者にもなってないのですが……相場だったら五百ガメルで良いのですが、さっきの連射出来るガンの弾が高いので、あれを使わないのでしたら五百ガメル、使うのでしたら千ガメルですね」

 

そうすると、エリシアさんは不思議そうに首を傾げていた。

 

「普通、ガンの弾って十二発で五十ガメルですよね。あの短時間に何発使ったのですか?」

 

エリシアさんと話をしていたら、ライフルを持った女の子がだんだんと近づいて来た。俺はさっき使ったプリーダー用のクリップをアイテムボックスから取り出して、エリシアさんに見せながら説明した。

 

「この箱型の装置に50発入ります。さっき使ったガンには、この装置が二つ付けられるのですが、約6秒で空になるんですよ。金額的には十発二十ガメルで安いのでs……

 

「こ、こんな中に50発も入るんですか!? それに連射って……あんなガンは資料でも見た事無いです!!」

 

さっきからズリズリ近づいて来ていた子が俺とエリシアさんの中に入って、予備クリップに視線を固定したままで話を聞いていた。

 

「……エリシアさん知り合い?」

 

そう聞くと、彼女は楽しそうに頷いた。

 

「はい、彼女も私達のパーティー、薔薇の騎士のメンバーの一人です。グラムさんは私達のパーティーに入って、一緒に冒険をして下さいな」

 

そう言って、エリシアさんは俺を見ながら微笑んだのだった。

 

***

 

「う~ん……」

 

ラクシアに来て初めての実戦が、蛮族じゃなくて人間だったのに動揺してないのが不思議だ。後方から攻めて来ていた十人は、俺が全部倒したのに平穏を保っているのが不思議と言うか、不自然と言うか……何かモニョモニョする。

それと隠れて見ている積りなのだろうけど、俺を監視している人間がいる。と言っても変な人物では無く、さっき助けた三人組の内の一人だ。ライフルを持っていて、マギスフィアが浮かんでいるから、銃の話が聞きたいのだと思う。

一応パーティーメンバーだと言うのに、俺は彼女の名前すら聞いて無い。雇い主兼パーティーリーダーは、本人から名前を聞いて下さいなとか言って、教えてくれないし……

そっちを向いて手を振ると、仮称ライフル子ちゃんは、動いている馬車の陰に隠れてしまう。苦笑しながら馬車の横をのんびりと歩く。リオスに着くには、まだ時間がかかるみたいだ。

 

 

 

 

 

 




馬に乗った追剥×10 経験点:300 一ゾロ経験点:50

戦利品:武器×6(百八十ガメル)

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