スーパーSNE大戦   作:白鮭

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ゼムさん、誤字報告ありがとうございます。


和マンチ、冒険者のパーティーに入る

夕方近くになり、今日の目的地であるアンデルリーブスに到着した。本来だったらもっと早くに着いていたのだが、盗賊集団を引き連れていたので時間がかかったのだ。

 

「ようやくリオス国内に入ったか、ラスベートまではまだ遠いから気を抜けないけどな。しかし、賞金首の報酬を譲ってもらって良かったのか? グラムが捕まえたようなものだったろ」

 

盗賊達を衛視詰め所に引き渡して気が抜けたのか、隣を歩いているアレックスがのんびりした様子でそんな事を言ってきた。

 

「賞金だって沢山出た訳じゃないし、受け取ってアレックス達のパーティーから不満を持たれた方が損だろ。一応、エリシアさん達のパーティーに入るって依頼を受けて前金を貰ったしな」

 

俺がそう言うと、アレックスは微妙に苦笑したような表情をした。

 

「あ~、あのパーティーの依頼……ねぇ……グラムは冒険者の店を通してないから判断出来なかったんだろうけど、依頼自体は合神領アルバからの正式な物で、裏とか怪しい物は無いんだよ。ただ、あそこは今お家騒動があってキナ臭いんだよな……まあ、そう言う訳だ。暗殺者には注意しろよ」

 

そんな話をしながら歩いていたが、アレックスには先に宿に戻ってもらう事にする。いくらアステリア様の加護で聖印も宝石も要らないとは言え、流石に聖印無しで神聖魔法を使うのはアステリア様に申し訳ないので、聖印は買っておく。宝石に関しては、謎空間に収納してあると言って誤魔化すが。それと、細々とした物もついでに買う。

そして、女神様通販はVer1.12 Byアリスにいつの間にかバージョンアップしており、一ガメル百円換算で地球の日用品が買える様になっていた。武器や乗り物は買えないみたいだが、そっちはシャドウランのアイテムを買えば良いだけの話だから気にしてない。

 

「アリス様もありがとうございます、色々気を使って戴いて感謝しております」

 

そう言いながらアリス様にも祈っておいた。サイバーアイに表示されている時間を見ると、そろそろ夕食時である。これからパーティーメンバーと一緒に食事を取る約束をしているのだ。前金で千ガメルも貰ってるし、アレックスの言っていた事を考えると嫌な予感しかしない。

 

「後金で二千ガメルもくれるって言ってたし、何やらされるんだろう……」

 

経験不足がモロに出た結果になりつつあるので、戦々恐々としながら宿に向かった。

 

***

 

アンデルリーブスは結構大きな村で、薬草栽培でにぎわっている事と、アイヤールからの湯治客がノイに向かう陸路の中間地点と言う事で、村と言われると首を傾げるような規模なのだが、そんな中でも事前に予約でもしてあったのか、結構高級そうで大きな宿屋に全員で泊まる事になった。

お金は雇い主がまとめて払ってくれるそうなので、懐には優しいが俺の精神には全然優しくない。馬車に乗っていたらしいメイドさんの案内で個室に連れて行ってもらい、ノックして部屋に入るとエリシアさんとライフル子ちゃん、後プレートメイルを着ていた俺に絡まなかった女の子と、ロリっ子がいた。

 

「お招きいただきありがとうございます」

 

そう挨拶した後で席に着く。女神様通販で地球の物を買える様になったので、水浴びついでに髪と体を洗ったり、服を買ったりしたので身綺麗にはなっている。

 

俺が席に座ると、上座に座っている銀色の髪で水色の瞳と白い肌のロリっ子が言ってきた。

 

「薔薇の騎士のメンバーなんですから、敬語なんて要りませんよ。私はアーネシルド・マリーシア・アルバ。見ての通りエルフで、合神領アルバのアステリア神殿の名目上のトップです。よろしくお願いしますね」

 

そう言って微笑んできた。それに続いて他の人たちも自己紹介をして来るが、何やらエリシアさんは拗ねている感じに見える。

 

「アーネは意地悪です。グラムにはみんなと仲良くなるのに、時間をかけて欲しかったのに。エルは人見知りだし、ジルはお堅いし。これからラスベートで生活するんですから今まで通りには行きませんのよ? ……さて、私はエリシア・ステイシー、人間の魔術師でこのパーティーのリーダーをしています。よろしくお願いします、グラム」

 

次に答えたのはプレートメイルを着ていた女の子、プラチナブロンドで紫色の瞳と白い肌の子なのだが、見ただけで真面目そうな雰囲気が漂ってきそうな、何とも委員長タイプな感じの子だ。

 

「ジルーネ・ハルシオンです。よろしくお願いします」

 

ジルーネって子は俺に不満があるみたいで、表情に不信感がありありと浮かんでいる。今まで三人……四人? でパーティーを組んでいたのに、いきなり知らない人間を入れるって言われたら、そうなるのも分からなくもないので仕方が無いとは思う。

 

「ごめんなさいね、ジルは三人だけでアーネを守れるって聞かなくて……昼間に出た盗賊の集団に私達だけじゃ負けてたのに、意地を張ってるの。長い目で見てくれると嬉しいかな?」

 

そう言ってエリシアがフォローを入れてるが、本人はそう言われてバツの悪い表情をしていた。根は悪くない子だと思うので、焦らない事にする。

 

「よろしく、ハルシオンさん」

 

「…………パーティーのメンバーなので、ジルーネで良いです」

 

うん、悪い子じゃ無いと思う。

 

最後は、ある意味エリシアより目立っていたライフル子ちゃんだ。薄い紅茶色の髪に緑の瞳、白い肌でとがり耳なので、エルフなのだと思うのだが、見た目より性格の方がインパクトがあったので、ラクシアに来てから一番印象に残ってる子だ。

 

「……エルジィ・リースン……です。魔動機師……よろしく」

 

上目遣いでぽそぽそと自己紹介してくれるが、今までの行動を考えると、マギテックの事が関わると性格が変わるタイプなのだと思う。TRPGを趣味にしていた俺の周りには、それなりにいたタイプだからある意味なじみ深い。

こういう子は、慣れて来れば普通に付き合えるようになるから、最初は時間がかかるのだ。しかし、ラスベートまでの期間限定だと思っていたのだが違うのだろうか?

 

「よろしく、エルジィ。で良いか?」

 

「うん……後で……マギテックの話をしよ……」

 

そう言われてもな……俺のは純粋に科学の力だし、少し困る。

 

「俺は魔動機師じゃないから、マギテックの事分からないんだよ。別の事じゃダメか?」

 

「嘘! ガン使ってたのにマギテックじゃ無いの!? ……あ、そう言えばマギスフィア持ってなかった。どうやってガンを使ってるの?うわ~、すっごい気になる。その辺の事いっぱい教えてね!」

 

やっぱり俺の周りにそれなりにいたな、多分一番仲良くなるのが早いタイプだ。

 

「用事が終わったらな。で、色々と深い部分が聞きたいのですが……あ~、聞きたいんだけど良いか」

 

そう言うと、食事をしながらアーネシルドに詳しい話を聞く事が出来た。

 

「合神領アルバはアイヤールで二番目に新しい領で、場所は赤砂領レザナードの南東側にあります。名前の通りに神殿に対して優遇措置を取って、領全体をを門前町化する目的で作られました。まあ、他の意図もあったのですが。グラムは戦闘をする時に、一番必要な人材って誰だと思いますか?」

 

色々いると思う。特に先制を取れる人と傷を癒せる人……ああ、なるほど。

 

「領全体で人材派遣をやったのか。そう言う所って、人以外に産業が無い場合が殆どだから、それを門前町で補うと……上手く行けば良いけど、失敗すると領を乗っ取られそうだな」

 

そう言うと、アーネシルドはため息を付いた。

 

「アルバの誘致に乗ったのは、ティダン神殿、アステリア神殿、グレンタール神殿、シーン神殿、ザイア神殿です。お父様が生きていた時はきちんと統制が取れていたのですが、三ヶ月前に亡くなってしまって……

私を含めた残された子供の母親が、誘致した神殿の有力者の子女なんです。誰を後継者にするのか揉めていて、身の危険を感じて、ラスベートの紫露草女学院に留学名目で逃げ出している所なんです。あそこの隣には、アステリア神殿もありますから丁度良いですしね」

 

俺はおもいっきりお家騒動に巻き込まれたのか、道理で報酬が高い訳である。それを思って苦い顔をしていると、アーネシルドも申し訳なさそうな表情をしていた。

 

「ここに居るみんなは私が幼い頃から付き従ってくれていて、逃げ出す時も一緒について来てくれた大切な人達です。苦労をかけてしまってますが、アルバに居る時より自由になりましたから、みんな冒険者になるって言ってます。

私は流石に無理なので、アステリア様のプリーストを探そうと思っていたのですが、その時に私より凄いプリーストに出会ったのですから、アステリア様の思し召しですね……逃がしませんから」

 

そう言いながらにっこりとアーネシルドが笑ったのだが、全然嬉しくない。アステリア様の試練かと思っていた時に、サイバーアイにこんな表示が現れた。

 

アス:私は何もしてない。このロリっ子が自分で引き当てた運命だけど、面白いから手伝ってあげなさい。それと、リオスって私の信者が少ないから増やしておいてね、これは神託だからよろしく。

 

そうサイバーアイに表示された。慌てて女神様通販を確認してみると、Ver1.13 byアステリアになっていて、ショートメッセージ機能とブックリーダー機能が追加されていた。ついでにアステリア関連の書籍が大量に送られてきたので、アステリア様の聖職者としての勉強を始める事にする。

 

こうして冒険者パーティー、薔薇の騎士の一員としての生活がスタートした。所属している冒険者の店はまだ無い。

 

 

 

 

 

 

 




資金:2380ガメル

アステリアの聖印、スカウト用ツール、冒険者セット、アウェイクンポーション×2、魔香草×3、プリーダー用通常弾180発、地球の生活雑貨(服も含む)を購入。

合計:-1460ガメル

残 :820ガメル

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