ハレル家の短編集   作:ハレル家

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 活動報告に記載した作品候補の一つです。

 短いですが、よろしくお願いいたします。


候補①:召喚士とステキな世界

 

 春。麗らかな風が頬を撫で、新たな門出を祝う今日この頃……空を見上げれば見たこともない大きな鳥が飛び、右を向けば大きなイノシシに乗った人物が横切り、左を向けば頭部が牛の山のような巨漢が素通りする。

 

 昔なら誰もが絶叫する光景だが、周りの人々はまるで日常のように接している……現に頭部が牛の巨漢に挨拶をしている青年がいた。こうなったのも理由がある。

 

 “大禍災(だいかさい)

 

 本来なら交わらない世界が交わり、膨大な死者及び負傷者を叩き出した異端で異常な異質な現象。

 

 ある場所では戦車が圧し潰され、ある所では人が植物に捕食され、ある時には村一つが滅ぶ等の事件を起こし、人々は恐慌に震えた。

 

 しかし、友好的な悪魔や妖怪、魔族がその亀裂を和らげる緩衝材となって、遺恨は残っているものの争いや反感が次第に落ち着いていった。かくいう自身もその一人だ。

 

 今ではこうやって通学路を歩いても、エサだと認識されて襲いかかって来て以来、引きこもっていた。

 

 だからといって、護身術がないわけでもない……だが、使ったこともない。自身の実家が召喚士(サモナー)という魔術師(ウィザード)でも錬金術師(アルケミスト)でもない存在に首を傾げ、ご先祖は何を目指しているのか考えてもわからず、ため息が無意識に出た。

 

 そもそも、召喚士(サモナー)は何を目的にしたのだろうか……魔術師(ウィザード)は魔を極めたり、大魔法を得るため……錬金術師(アルケミスト)は賢者の石の精製……しかし、召喚士(サモナー)にはなにもない。何の目的もない。召喚なら魔法使いでもできるし、陰陽師の方が有能だ。一枚の紙から鬼を召喚できる連中なのだ……両親に聞いても知らないと言われ、不思議と頭に痛みが走った。

 

 

 

 だからこそ、気付かなかったんだと思う。

 

 自身が“運命”に出会うという事を――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――少なくとも――

 

 

『フォオオオオオオオオ!!』

 

 ――頭部が赤い果実でお馴染みのリンゴで葉っぱ柄のボクサーパンツしか着ていないほとんど裸の変態が両腕を上にあげ、手首らしき部分を高速で回転し、両足をがに股で開きながらズッダンズッダンと足踏みしている様子を見て、ろくでもない運命だと思う。

 

 ……よく見れば、山吹色に光輝くマッチョなボディビルダーがいる……

 

 ……やはり、ろくでもない運命だ。

 

 これは、悪を倒す物語ではない、

 

 これは、真実を探す物語ではない、

 

 これは、憎悪の復讐劇ではない、

 

 これは、人理を修復する物語ではない、

 

 これは、悲しみに満ちた悲劇ではない、

 

 これは、これこそは、万人を狂わせ、凌駕し、希望と笑顔を節分の豆まきのごとく周囲に撒き散らす喜劇である。

 

 幻想や科学が入り交じる世界で多くの個性溢れる仲間と変態を召喚してしまう青年の苦労性混沌青春学園活劇……ここに開幕!

 

 

 『召喚士とステキな世界』

 

 

 カミング・スーン?

 

 

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