ハレル家の短編集   作:ハレル家

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 朝起きて確認したら、5票越えててビックリした。
 3日くらいかかると思ってたのになぁ~……

 そして、予告版という名のプロローグ並みの内容。


新連載アンケートダービー候補②『アルケミストの冠』

 

 ――熱い。

 肌が焼けるような熱を感じる。

 ――熱い。

 焦がすような火が広がる。

 ――熱い。

 自身に向けられる熱量が肌を焼く。

 ――熱い。

 まるでこの世の地獄のような、赤く燃える炎が獲物を見つけた獣の瞳のように光輝いていた。

 

「……はぁ………はぁ…………」

 

 一人の青年が炎の道を突き進む。

 己の探すモノが無事であることを祈り、赤い迷路と化した自宅を探し回る。不意に何かが目に入った。

 

「……親父!」

 

 そこには青年に似た雰囲気を持つ男性がいた。しかし、身体中に火傷があり、右肩と左太股に細くも太くもない焦げた木材が突き刺さり、特に右足が人の可動できる範囲を超えた方向を向いており、無事ではない事を伝えていた。

 

「……親父! しっかりしろ!」

「……おう……お前か………」

 

 青年の呼び掛けに男性は反応する。もはや虫の息だと見て明らかである。

 

「……少し、しくじった……だが、護ることはで、きた……連れて、行っ、て、くれ」

 

 男性の目線の先には身体の所々に黒い煤が付いているが、目立った外傷がない女性と幼い少年少女が眠るように気絶していた。

 

「待っていろ。すぐに親父も……」

「……だめ、だ。例え救え、ても、俺には、わかる……長くない。なら、ここで……」

「それ以上言うな! 貴様は俺に言ったであろう! 『家族を護る』と! ならば、それに憧れた俺も護ってみせる!!」

「………お……ま、え…………」

 

 青年の譲れない想いを聞き、男性は青年の目を見る。烈火のごとく熱い意志が、炎に負けない輝きが、己の身を焦がす情熱が、その瞳に宿っていた。

 ……ここから玄関までは遠いが、庭までならそう遠くない……親父を置いたら、すぐにお袋と弟妹たちを……

 男性に肩を貸し、急いで庭に向かおうとする。

 しかし、頭上から軋む音が聞こえた瞬間、天井が崩れ落ちた。

 

「なっ!?」

 

 突然の出来事に硬直した青年に赤い炎を纏った黒い牙が襲いかかった。黒い牙は青年に降り注ぎ、青年を床に縫い付けた。

 

「…………がはっ……………!」

 

 ……熱い……呼吸が上手く出来ないうえに、胸の辺りが熱く痛い……

 身体が動きそうにも動けない。難を逃れた右腕を胸の辺りに動かして確認すると――焼けた木が、胸を貫いていた。

 幸か不幸か青年を貫いた木は細く、これが太かったら青年の心臓は圧し潰されて即死だった。

 

「…………………………」

 

 思うように喋れない。想うように動けない。

 それでも、動かなければならない。

 ……せめて、お袋と弟妹達だけでも……!!

 命を削りながらも動けない身体を必死に動かそうとする青年。床をガリガリと引っ掻き、爪が割れ、血の跡が出来ても止めずに続ける。

 その様子を見ていた男性は何かを決意し、左手に何かを握ってナメクジのように這って移動して青年に近付く。

 男性の手に持っていたある(・・)物質に青年は驚く。その青年の側に辿り着いた男性はこれから始める事を語り始める。

 

「――――」

「…………ッ!!」

 

 その言葉に目を見開いて驚愕を表す青年は男性にやめるように伝えようとするが、男性は首を横に振る。

 

「言っ……ただろ、う……長くな、いと……これをおこ、なえば……妻子を、救え、るが、俺は死ぬ……だが、後悔は……ない」

 

 虫の息だが、命を燃やしながら話す男性は青年に笑い――

 

「――――――」

 

 何かを呟いて、実行した。

 それは眩いばかりの極光を照らし、光がおさまった直後、何かの叫び声と共に家事現場である家の中から黒い流星が天に昇った。

 

 流星が発生する上昇気流によって火が消され、鎮火した現場から現れたのは――

 

 ――黒い煤で汚れた幼い少年少女と安らかな表情で眠る男性、その男性を抱き締める女性、そして天に向かって吼える青年だけだった。

 

 

 歯車が、回り始める。





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