獣の歌   作:ミサエル

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初めましての方は初めまして。
そうでない方はこんにちは(こんばんは)。
ミサエルと申します。
楽しんでいただけたら、幸いです。

狩り、開始。

※追記
必殺技名を修正しました。5/30 0:05


Amazing night

「ハァッ...あぁっ...。」

 

夜中の街を、傷だらけの少年がよたよたと歩いていた。

辺りに人気はなく、夜空だけが、少年を見ていた。

 

―嫌だ...。逃げなきゃ...。

 

少年はただひたすらに、その一心で歩く。

一体、何から逃げているのか。

 

―...ッ!!

 

唐突に、少年が足を止める。

数秒間、苦しそうな、迷っているかのような表情を浮かべた。

すると、すぐに駆け出す。

風にでもなったかのようなスピードだ。

駆けながら、腰に巻いた奇妙なベルトに着いている左のグリップを握る。

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

獣のように叫び、少年は自身の存在を知らしめるかのように、星に向かって咆哮した。

 

 

「アマゾンッ!!」

 

 

※※※

 

―What?何なの?

 

―私は一体、何を見ているの?

 

私、小原鞠莉(おはら まり)は、この状況が何も分からなかった。

今夜は何だか眠れなかったから、こっそり部屋を抜け出して、砂浜を散歩していたの。

そこまでは理解できるわ。

というか、できているわね。

そしたら、倒れている男の人が居たから、声を掛けたの。

 

―「大丈夫ですか?」

 

すると、その男の人が、

 

―「腹が...、減ったっ!」

 

って言って、体から蒸気をあげ始めたの。

 

―「へ?」

 

思わず、2、3歩。

いや、5、6歩は後ずさったわね。

そしたらね、爆発するみたいに蒸気が晴れて、その人は、見たこともない怪物(クリーチャー)になっていたの。

びっくりしちゃって、腰が抜けたわ。

そいつは、私の方に歩み寄ってくるの。

 

―「食ワセロ...。」

 

なんて言いながら。

 

とても、怖かったわ。

 

すぐに逃げたしたかった。

 

でも、私の体は、動いてくれなかったの。

 

―あぁ、私、こいつに殺されちゃうのかな。

―せっかく、あの子達と仲直りできたのに。

―また一緒に、アイドルができると思ったのに。

 

 

―ごめんね。皆。

 

 

私は、死を覚悟したわ。

目の前でそいつが腕を振り上げた。

私を、殺そうとしたのね。

目をギュッと瞑って、私はその瞬間を待ったわ。

でも、何故だか何も起こらなかったの。

いつまで経っても、私は殺されなかったわ。

 

...いや、『何か』は起こったわね。

 

私には、その怪物(クリーチャー)と、別の何かの叫び声が聞こえた。

恐る恐る目を開けてみると、さっきの怪物(クリーチャー)と、もう一体の怪物(クリーチャー)が戦っている姿が見えたの。

それが今の状況よ。

我ながら何を言っているのか、よくわからないわ。

私を殺そうとした怪物(クリーチャー)は、いかにも、って感じの、蟻人間みたいな見た目だけど、もう一体は、何かが違ったわ。

何だか、人に創られたみたい。

メタリックグリーンの皮膚に、赤い大きな目(複眼って言った方が良いかしら。)と、胸やお腹に着いた黄色いプロテクターのようなもの。

右の二の腕に着いた銀色の腕輪に、同じく銀色のベルトが、月の光を反射しているわ。

腕や足、特に踵からふくらはぎにかけては、よく切れそうなカッターみたいなヒレがついているわね。

そのヒレで、さっきから蟻みたいな方を何度も切りつけているわ。

その度に黒い体液が飛び散って...何だか気分が悪くなりそう。

すごく荒々しい、野生の戦いね。

お互いに一歩も譲らず、叫びあっているわ。

 

...でも、何でかしら。

 

何だかとっても、哀しそう。

 

「ヴォォォォォォォォ!!」

 

一旦距離をとった緑色の方が叫んで、ベルトの左側に着いたグリップ(?)に手を掛けて、捻った。

 

『violent attack』

 

くぐもった電子音声が聞こえて、次の瞬間には、一気に距離を詰めた緑色の腕が、蟻の怪物(クリーチャー)の胸を、刺し貫いた。

腕を引き抜くと、勢いよく体液が吹き出たわ。

そして、蟻の怪物(クリーチャー)の体がどろどろに溶けた。

 

終わったってことかしら...。

 

私がぼおっとその光景を見ていると、不意に緑の怪物(クリーチャー)が、こちらを向いたわ。

プロテクターのところには、蟻の怪物(クリーチャー)のだと思う黒い体液がこびりついている。

でも、月を背にして立つ姿は、何だか、『戦士(ヒーロー)』みたい。

すると、急に緑色の怪物(クリーチャー)が膝から崩れ落ちた。

 

って、ええっ!?

 

大丈夫かしら!?

 

慌てて駆け寄ってみると、そこには私と同じくらいのボーイが倒れていた。

 

「ねぇっ、ちょっと!」

 

少し体を揺すってみるけど、反応がない。

息はしているから、気を失っただけみたいね。

 

...しょうがないか。

 

「よいしょっ。」

 

Wow!意外と軽いわね。

それにもっとガッシリしてるのかと思ったら別にそうでもないみたいだし。

本当にこの子が、さっきまであんなに荒々しく戦っていたのかしら?

私は彼に肩を貸す形で、歩き始めたわ。

どこに行くのかって?

勿論、私の家。ホテルオハラによ!

こんなに傷だらけの子を、放っておくわけにはいかないもの!

 

...それに、さっきの怪物(クリーチャー)のこと、知らないままでいるのは、怖いし。

 

この子が起きたら、教えてもらおうっと!

さ、早く帰らなくちゃ!

私たちは夜空と海に見守られながら、砂浜を歩いていったわ。

 

何だかとっても、『シャイニー!』なことが起こりそう!

 

そんな予感と、一緒に。

※※※

 

異形の少年と、優しい少女。

 

この2人が出会ったところから、この物語は始まります。

 

決して綺麗ではないかもしれない、だけどどこか美しい、命と明日の物語。

 

 

 

 




NEXT HUNT

「僕は...何なんだ?」

「思い出すまで、マリーと一緒に居れば良いわ!」

「...どこに行ったのかな~?」

「僕は...人間だ!!」

※※※
はい、いかがだったでしょうか?
少しでも楽しんでいただけたのなら、本望です。
それでは、次回。
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