獣の歌   作:ミサエル

2 / 4
どうも、ミサエルです。

第2話となります。

頑張って書きました。

それでは、今回もお楽しみください。


狩り、開始。




Behind the dream

...ここは、どこだ。

目覚めたのは、知らない場所だった。

一言で形容するなら、『高級ホテル』といった所だろうか。

...何でこんな所にいる。昨日、僕は何をしたんだ。

記憶を辿る。

あぁ、そうか。

また、戦ったんだ。

逃げ疲れていた所に、あの戦闘だったから、かなり疲れた。それで、倒れたんだ。

でも、一体誰がここに?

そう思ったとき、部屋の扉がノックされた。

 

「起きてるー?入っても良いかしらー?」

 

扉の向こうからは、女の子の声が聞こえてきた。

 

「....どうぞ。」

 

警戒しつつ、返事をした。

ガチャリと扉が開き、僕と同い年くらいの綺麗な金髪の子が、部屋に入ってきた。

肩を露出させた白いワンピースタイプの寝間着が、よく似合う。

 

「グッモーニン!良かった、目が覚めたのね。」

 

女の子が僕に微笑んで、言う。

その笑顔はまるで、大きく、綺麗なヒマワリが咲いたようだった。

 

「もしかして、君が僕を?」

「イェース!私がここに運んだのよ。ここは、私のパパが経営してるホテルなの。」

 

なるほど、そうだったのか。

 

「ありがとう。」

「ノープロブレム!何なら、お礼を言うのは私の方よ。」

「ん?何で?」

 

身に覚えがない。

 

「だって、あなたが昨日、私を、怪物(クリーチャー)から守ってくれたんじゃない。」

「そうなの?」

「覚えてないの?」

「うん。そうみたい。」

 

あの場にこの子が居たのか。

戦いに夢中で、気がつかなかった。

 

「そう。―まぁ、良いわ!私は小原鞠莉(おはら まり)!『マリー』って呼んで?」

「よろしくね、―小原さん。」

「マリーだよ!」

 

ウインクしながら小原さんはそう言うが、初対面の女の子をニックネームで呼ぶのには、抵抗がある。

 

「......マ」

「マ?」

「......鞠莉、ちゃん。」

 

頑張ってみたが、やっぱり無理だ。これで勘弁してもらいたい。

そんな僕のささやかな願いが通じたのか、鞠莉ちゃんは、

 

「んー。まぁ、いいわ!」

 

と言って、ニコっと笑った。

やっぱり、綺麗で、可愛い。

 

「それで、貴方は?」

「あ、僕?」

 

鞠莉ちゃんの笑顔に見とれていると、鞠莉ちゃんが僕に尋ねてきた。

そういえば、まだ名乗ってなかった。

 

「僕は...。」

 

.....あれ?

 

「どうしたの?」

 

僕が動揺していることが伝わってきたのか、鞠莉ちゃんが僕の顔を覗きこみ、聞いてくる。

 

「......分からない。」

「え?」

 

手が震え、頬を冷や汗が垂れる。

 

僕は...。

 

「僕は......誰だ?」

 

僕は、何なんだ?

 

なぁ、『僕』。

 

 

お前は、誰だ?

 

 

※※※

昨日、私が助けてもらった彼は、自分が何者か分からないと言った。

 

「思い出せないの?」

「......。」

 

無言で頷く、彼。

 

「何か覚えていることは、ある?」

 

私が聞くと、彼は少し考える。

 

「『何か』から逃げていたこと。それと、『あいつら』のこと。」

「『あいつら』って、あの怪物(クリーチャー)のこと?」

「うん。」

 

それは覚えているのね。

一体、この子に何があったのかしら。

私が考えていると、彼は『あいつら』について話しだした。

 

「あいつらは、『アマゾン』。」

「アマゾン?」

 

私が聞き返すと、彼は頷き、続きを話す。

 

「『アマゾン細胞』っていう未知の細胞に、生物の遺伝子が組み合わさって生まれた、怪物。」

「そんな危険な細胞、一体誰が。」

「それは....分からない。分かることは、アマゾンはタンパク質、特に人の肉を食べたがるってこと。」

「...人の、肉。」

 

それで、私は昨日襲われたのね。

 

「僕も、多分アマゾンだ。」

 

ん?何ですって?

 

「貴方が、アマゾン?」

「うん。でも、今はお腹が空いていないし、鞠莉ちゃんを見ても、可愛いとは思っても、食べたいとは思えない。」

「....ふ、ふ~ん。そうなのね。」

 

この子、さっきあだ名で呼ぶのは恥ずかしがってたのに、今、さらっと可愛いって言ったわね。

どうしよう。こんなに真面目に、真剣に可愛いって―しかも、男の子に―言われたこと無いから、何だか照れちゃう。

あぁ、顔が熱くなってきたわ。

 

「鞠莉ちゃん、どうしたの?」

 

気がつくと、彼の顔が目の前にあった。

 

.....って、近い近い!

何か距離近くない!?

しかも、昨日は暗くて分からなかったけど、結構格好いい顔してるから、余計に照れちゃうじゃない!!

 

「だ、大丈夫!!何でもないから!!」

 

慌てて私は彼から少し離れる。

不思議そうな顔をする彼を見て、ふと、思いついた。

 

「ねぇ、名前、考えない?」

「名前?僕の?」

「そう!思い出すまでの、仮の名前!」

 

私がそう提案すると、彼は少し考えてから、

 

「そうだね...。うん。無いと困るし、考えてみるよ。」

 

と言った。

 

「あ、マリーが考えてあげる!」

「え、いいの?」

「オフコース!う~ん、そうねぇ。」

 

私達が出逢った、昨日の夜を思い出す。

月と星が綺麗な、夜だったから....。

うん、決めた!

 

星夜(せいや)ってどうかしら?『星』に、『夜』って書くの!」

「『星夜』か....。」

 

彼は少し目を瞑って、それから、うん、と頷いた。

 

「気に入った。素敵な名前だ。ありがとう、鞠莉ちゃん。」

 

そう言って彼、星夜は、微笑んだ。

とってもキラキラした、良い笑顔ね。

 

「気に入ってもらえて、何よりだわ。」

 

「うん、とっても、気に入ったよ。」

 

すると星夜は立ち上がり、枕元に私が置いておいたあのベルトを肩に掛けて、

 

「それじゃ、そろそろ行くよ。」

 

と、部屋を出ようとした。

 

「ちょ、ちょっと!どこ行くのよ?」

 

私は、星夜の前に回り込む。

 

「どこ、だろうね。」

 

星夜は、少し下を見て、呟く。

 

「...どういうこと?」

 

星夜は顔を上げて、私に微笑んだ。

微笑みながら、言う。

 

「僕は、人間じゃない。それに、記憶もない。このままここに居たって、鞠莉ちゃんや他の人に、迷惑をかけてしまう。だから、ここを出る。大丈夫、これまでも多分、そうやって生きてきたから。」

 

その笑顔は、何だか。

さっきの、シャイニーな笑顔とは全然違う。

 

あぁ、そうか。

 

この子は、寂しいんだ。

 

すぐに分かったのはきっと、そんな風に笑っていた誰かさんを、よく知っているから。

 

「!?鞠莉ちゃん?」

 

気がつくと、ごく自然に、星夜を抱き締めていた。

 

「.....大丈夫よ。」

「...え?」

「私ね、つい最近まで、友達とケンカしてたの。しかも、2年間も。」

 

脳裏に浮かぶのは、親友2人の顔。

 

「その間、とっても寂しかったわ。それで、貴方みたいに、どこかできっと、無理矢理笑っていたの。

 

「だけどね、分かったの。

 

「そんな笑顔は、笑顔じゃないの。

 

「笑顔には、人を元気にする力がある。

 

「でも、無理して作る笑顔には、そんな力は無いわ。」」

 

「鞠莉ちゃん...。」

 

「私は、星夜に、心から笑っていてもらいたいの。勿論、寂しい思いもしてほしくない。ここに居れば、私が絶対に、星夜を寂しくなんてさせないわ。」

 

「でも、僕は...。」

 

「人間じゃなくても良い。記憶が無いのなら、思い出すまで、マリーと一緒に居れば良いよ!」

 

「...だから、ね。」

 

少しだけ、抱きしめる力を強くする。

 

「ここに居て。」

 

星夜の鼓動が伝わってくる。

私達人間と、何も変わらない、命の音。

 

「...分かったよ。」

 

そう言って、星夜は私の肩を掴んで、引き離す。

とっても優しく、そっと。

 

「鞠莉ちゃん、僕は、ここに居てもいい?」

 

私の目をじっと見て、そう言った。

返事は、決まっている。

 

「もちろんよ。」

 

私は微笑んでそう答える。

すると、星夜も笑って、

 

「ありがとう。」

 

って、言った。

 

それはとっても素敵な、心からの、とびきりの笑顔だったわ。

 

※※※

少年、星夜が居場所を見つけた頃。

とある山奥を、一体の(アマゾン)が歩いていた。

 

「...どこに行ったのかな~。」

 

どこか狂気めいた雰囲気を纏い、ゆっくり、堂々と歩く、赤い(アマゾン)

腰には、星夜と同型のベルトが巻かれており、その姿も、星夜のそれと、少し似ていた。

その身体は傷だらけで、数々の修羅場をくぐり抜けてきたであろうことを、容易に想像させる。

(アマゾン)は不意に、緑色の複眼をどこかに留めた。

 

「そこか。」

 

そう言うと跳躍し、1本の樹を、腕のヒレで切り倒した。

ミシミシと音を立てて倒れる樹。

と、完全に倒れきる前に、樹冠から何かが飛び出した。

その影は赤い(アマゾン)を襲撃する。

 

「ガァァァァァァ!!」

 

それは、青い(アマゾン)だった。

星夜や赤い(アマゾン)と同じように、腰にはベルトが巻かれているが、青い(アマゾン)が身につけているのは、星夜達のモノとは違い、赤く、より近代的な見た目だった。

青い(アマゾン)は、装甲を身体中に纏っており、その顔もまた、装甲で守られていた。

青い(アマゾン)の攻撃を、腕で受け止めた赤い(アマゾン)

両者一歩も退かず、対峙し続ける。

 

「いい加減、諦めたらどうだ。お前達みたいな『化け物』は、この世界に存在しちゃいけないんだよ。」

 

「うるさいっ!」

 

赤い(アマゾン)の腕を弾き、距離をとる青い(アマゾン)

 

「あんたなんかに、僕達を語ってほしくない!!

 

「僕達は....

 

「僕は...

 

「人間だ!!」」

 

そう言うと、青い(アマゾン)は、地面を力の限り叩いた。

砂埃が、視界を遮る。

 

「小癪な真似を....!」

 

赤い(アマゾン)はその不意打ちに、身動きが取れなかった。

砂埃が晴れたときには、青い(アマゾン)の姿は、そこには無かった。

 

「....逃げられたか。まぁ、いい。いずれ見つけるさ。」

 

そう言って、踵を返す。

 

 

「あぁ、そうさ。見つけてやるよ。そして、殺してやる。一匹残らず、全て。」

 

 

「勿論、『あいつ』もなぁ。」

 

 

ひとしきり呟くと、赤い(アマゾン)も、無常の世界へ、消えていった。

 

 

 




NEXT HUNT

「執事!?」

「これが私達、『Aqours』よ!」

「僕が、鞠莉ちゃんを、皆を守る!」

「この、甘ちゃんが!!」


※※

如何だったでしょうか。

最後に出てきた2体は恐らく簡単に予想がついたと思いますが、アマゾンアルファとアマゾンネオです。

3体のアマゾンが出逢うとき、一体何かが起きるのか。

今後も、読んでいただければ、幸いです。

また、お気に入り登録してくだった


野獣と化した先輩さん、サスライガーお兄さんさん、

めんどくせえええさん、セイ2015419さん、悠貴さん、

八瀬か瀬戸瀬さん、島知真さん


ありがとうございます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。