どれくらいの距離だったのか、まるで分からない。相当逃げるのに必死だったと見える。
自分でも情けない、とギーマは自嘲していた。
「……ユニコンの足で二日、か。それを一夜にして……、生き意地が汚いのもここまで来ればお笑い種だ」
『笑ってもらっては困ります。地獄人が出現したのでは笑い事ではないのですから』
通信は常にオープンにされており、前を行く《ビランビー》の背中をギーマは馬車より追っていた。
「……詳しく聞いていなかったな。地獄人とは何なんだ。どうして、あんな風に……何もかもを喰らい尽くす?」
『説明は、今より三十年前に遡らなければなりません。知っての通り、アの国……、このバイストン・ウェルに最初の火を持ち込んだ原罪の国家のお話から』
「大方の知識はある。ショット・ウェポンという技術者がオーラバトラーを開発し、他国に戦争を吹っかけた」
『それは表向きでの話です。バイストン・ウェルは魂を慰撫する場所。ここに行きつくのは、地上界で役目を終えた魂でもあるのです。それはコモンとなって転生するか、あるいはフェラリオになるか、それとも……名もなきオーラの風になるか。……それは誰にも分かりません。ですが、地上界で罪を帯びた魂は、この安息の地、バイストン・ウェルでも許されなかった場合……、その罪があまりにも重かった場合、魂はオーラの安らぎを受けません。地獄へと堕ちるのです』
「それが、昨夜のあれだと?」
紫色の甲殻を持つ、オーラバトラーと強獣を足したかのような生物。どちらでもない、異端としか言いようのないその存在。
『あれは末端です。時折溢れ出すのです。地獄でも裁き切れなかった魂の成れの果て。最早、ヒトでもなく、強獣でもなく、そして魂としての存在は悪として。それを我々、アの国の調査隊はこう名付けました。――オーラビースト。オーラを持つ、獣だと』
どうにも納得は出来かねる。オーラバトラーを超えるべくして開発された巨人、オーラネフィリムをその数で圧倒したという生命体。
それがどうして、自分の前に現れたのか。忌むべき偶然か。恐るべき運命によるいたずらか。
それとも――。ギーマの視線は自ずと馬車で静かに佇むレイニーへと向けられていた。
彼女が招いたのか。自分を王だと欺き、陥れるために。そのシナリオのための自作自演、レイニーがわざと外交をうまく利用し、あの場所へと誘導したのだとすれば……。
疑いは膨れ上がるばかり。
どうして、何故……、そのような問いは往々にして無意味だと分かっているのに。
「……貴殿らは落ち着いているのだな。そのオーラビーストとやらが、あんなにも……、出現したと言うのに」
『あれの出現頻度自体は落ちているのです。一番多かったのは、大災害と大きな戦の後。三十年前には散発的に頻出していた彼らも少しばかりはここ近年、鳴りを潜めていた』
「しかし、聞いた事もないぞ。地獄とやらも、オーラビーストと言うのも。何故、噂にも上がらない?」
『ギーマ殿。あなたはこの世界の果てを見た事がありますか?』
その問いには素直に否と返すしかない。
「そんなもの、見た人間がいるのか?」
『オーラバトラーが跳梁跋扈し、オーラマシンは発達した。三十年。たった三十年と唾棄されるかもしれませんが、それでも三十年あったのです。どうして、三十年もあって、誰も世界の果てを見に行こうとは思わなかったのでしょう? オーラボムでも、ユニコンの足でも何でもいい。どうして誰も、世界を網羅しようとは思わなかったのか、不思議に思いませんか? 何百年……いいえ、何千年かもしれない、このバイストン・ウェルの歴史が、どうして今もまだ、前人未踏の地と、穴だらけの世界地図でしか知れないのは』
「それは……、禁忌があるからだろう。口にするもおぞましいが」
コモンならば誰でも本能的に分かっている。言ってはいけない存在の名前を。
しかし相手は地上人。そのようなタブーはまるで無視してその名を紡いだ。
『ガロウ・ラン、ですね?』
ガロウ・ラン。それはどのような侮蔑の言葉やどのような屈辱の言葉よりもなお、コモンは先に教えられる「最も忌むべき者達の名前」だ。
この広い世界で、絶対に分かり合えないとすれば、それは彼らだと。
戦争があるのも彼らのせいだ。貧困や、飢えがあるのも彼らのせいだ。フェラリオの不可思議な幻惑が人を惑わすのも彼らのせいだ――。どこまで本気かは分かりかねるが、コモン人はそう信じて疑わない。
ギーマもその一人であった。彼らの名は、口にするだけでも充分に総毛立つ。
「……彼奴らの世界とコモンの世界は交わらない。ゆえにこそ、調停はある」
『了解しておりますとも。だから、世界は穴だらけなのだ。だから、世界には見えない場所があっても、何ら不思議はないのだと。……ですが、考えても見てください。文明国家の体裁を整えたコモン人が、三十年前ならばいざ知らず、どうして現在でも、彼らを恐れるのです。あなた達にはもう、オーラバトラーという叡智がある』
「所詮は地上人の道楽による代物だ。完全な信用は置きかねる、というのが心情だと思うが」
『それは建前でしょう? あなたは外交として、様々な国家を回っている。それは戦争をやるためです。目を塞ぎたくなるほどの、大虐殺の手前でしょう』
まだ話していないはずの情報だ。どうして、と勘繰ったこちらに、先んじて相手は応じていた。
『……失礼。オーラを見れば、大抵の事は。殊に、コモンは読まれやすい。明け透けな思考は控えたほうが無難かと』
「……諫言、痛み入る。しかし我々は相手のオーラを見る、不躾な地上人との外交まで考えてはいないのでね」
精一杯の皮肉にリリディアはご冗談を、と笑った。
『地上人を呼んでいる事くらいは分かるんですよ。特有のオーラがありますから』
そこまで悟られていれば、ここでの取り繕いは逆に滑稽なだけか。ギーマは根負けしていた。
「……外交努力に勤しんで何が悪い」
『戦火を広げる、あるいは領地のため、大いに結構でしょう。我々が関知するものでもございません。それはコモン人の営みの一つですから。たとえこのバイストン・ウェルが、全ての魂の終わりの地であったとしても、世界は裏表など関係なく、連綿と続いていくのです。それが地上だから、バイストン・ウェルだから、などというまやかしは抜きにして』
「随分と言葉を弄すな。ハッキリ言えばいい。ここに分不相応な野心を抱いたコモンを嗤いに来たとでも」
『いえ、嗤えませんよ。あなたは運命的にも地獄人と邂逅した。それはアの国の……、滅びた国家の調査員として、看過出来ぬ事柄ですので』
せいぜい三十年前に道を踏み外した国家の生き残りが言う、忠告だとでも規定したいのだろうか。いずれにせよ、気に食わないと鞭を振った。ユニコンが足を速める。
「しかし、奇怪なのはそれだけではない。貴殿一人か? 調査隊と言うのは」
リリディアは先ほどから組織立った物言いをしている割には、他の誰かと合流しようという素振りはない。何か、大きな事に担がれているのでは、と疑いたくもなる。
『調査隊は世界に散らばっています。私が偶然にもあなた達を見つけたので、今は私の管轄です』
「そういう、言葉の上だけの篭絡をして、ではわたしに信じろと? 調査隊とやらも、アの国の生き残りというのも、どうにも眉唾物だ。貴殿らには何か、譲れない信念でもあれば、別だが」
『譲れないものならばありますよ。地獄人を、決してここから出してはいけないのです。このバイストン・ウェルから。オーラ・ロードを開くフェラリオを、接触させてはいけない。それは世界の終わりを意味する』
「何を言うかと思えば、世界の終わりだと? まさかバイストン・ウェルが滅びるとでも言うのか」
『あなたはその兆候を知っているはずだ。目にしたのでしょう? 異端狂戦士を』
どこまでも人の心を読んでくる。何も考えられないな、と襟元を整えた。
「……いい趣味とは言い難い。他人が口を割る前に、こちらの機密を暴くのは」
『失礼。口の堅いコモン人とお見受けしたので。そういう方には言ってあげるとよろしいのだと、経験則で知っております』
「侮蔑だ、それは」
『《ゼノバイン》は世界を侵して回る病魔のようなもの。それに触れれば、地獄人とのリンクが自ずと張れてしまったのも納得ではあります。ですが《ゼノバイン》を破壊しようとして戦力を集めていたようでもありませんね。……まぁ、そのような事、無駄なのですが』
ランラ達のあの眼差しが思い起こされる。《ゼノバイン》を、仇を取るまで死ねないと決意した瞳。どこまでも復讐者としてしか生きる事を許していないあの死狂いの様を。それを軽視されたようで、ギーマは自然と声にしていた。
「……この世にはこうと決めれば、もうてこでも考えを曲げない者達もいる。軽々しい言葉はしなくてもいい闘争を招きかねない」
『忠告感謝しますよ。ですが、我々は遥かに上の行動を基本としている。領国同士の争いなら、それは取るに足らないと』
どこまでも口の減らない女だ。ギーマはそれに比してレイニーが全く口を開かないのが先ほどから気にかかっていた。
「……わたしを殺そうと思ったわけではないのだろう」
「それでも、主様の逆鱗に触れたのならば、私は言葉を弄するべきではないのでしょう」
「……やろうと思ってこの状況を作り出したのでなければ、許すべき寛大なる心も持ち合わせている。これでも次期当主の身なのでな」
「許して……くださるのですか」
「それはこれから見る景色次第だ」
『そろそろ着きますよ』
リリディアの言葉に、確認するまでもない、とギーマは周囲を見渡していた。紫色の結晶体がそこいらに散らばっている。オーラビーストとやらの骸だろうか。
「……何かと戦った?」
『いえ、彼らは夜しか行動出来ないのです。陽の光を浴びた者達でしょう』
太陽の光だけでこうにまで劣化してしまうのか。ギーマが馬車を止め、手を触れようとするとリリディアの厳しい声が飛んだ。
『触らないようにお願いいたします。死んでいてもそれは地獄へと繋がっている』
手を彷徨わせる。オーラビーストの死骸は街のほうまでずっと続いていた。
『……おや。街は完全に終わったわけではないようですね』
最大望遠で何かを捉えたのか。ギーマが胡乱そうに口にする。
「まさか、まだ人が?」
『ええ、生存者です』
リリディアの《ビランビー》が速度を上げ、街の上空へと至った。その時、街から飛翔したのは巨大な影である。
無数のオーラビーストに機体を侵食されながらも、その巨躯にはまだ闘志が宿っていた。
オーラバトラーの倍ほどはある大剣を《ビランビー》に見舞う。
拡大された声が響き渡った。
『何奴!』
『剣を仕舞ってください。敵ではありません』
『信用なるか! 祖国は死んだ!』
『……敵ではないと』
『証を立てろ!』
オーラネフィリムが激しく剣を振るう。《ビランビー》はあえて交戦を控えている様子であった。
その赴くところをギーマは理解する。
「そこのオーラネフィリムのパイロット! わたしはゼスティア領の外交官! ギーマ・ゼスティアだ!」
如何に軍人とは言え、高官の名前ならば聞き覚えがあるはず。その剣が止まった。
『……交渉国家の?』
「此度の災厄……、残念であった。わたしとしてもその方の対処に尽力したい。街へと通してもらえるだろうか?」
オーラネフィリムが立ちはだかる形でいるために、馬車では街に入り込めない。
相手は聞き分けがいいのか、剣を鞘に仕舞う。
『……浮いているのは』
「アの国の調査官殿だ」
『聞いた事もない』
『極秘権限があります。知らないのも無理はない』
よくもまぁ、そうも易々と嘘がつける。いや、真実かもしれないが確かめる術などないのだ。
『……女だてらにオーラバトラーの騎士か。真似事を』
『戦闘経験だけは積んでいるつもりですが』
『吐き捨てろ。ゼスティアの高官殿。それがしはこの国家のオーラネフィリムのパイロットが一人。イースと申す』
巨人のオーラネフィリムは人がそうするように膝を立て、その場に傅く。彼は軍人としての領分が分かっているタイプなのだろう。
政の領域に口を出さない、生粋の軍人か。
「……街へと入っても」
『構いませんが、怪物共の警戒のため同行させていただきます』
「許す。彼女も」
仰ぎ見たギーマに、イースは胡乱そうに返す。
『……アの国なんて。御伽噺です』
「それが案外、そうでもないようなんだ。《ビランビー》にも許可を」
『……そう仰るのならば』
オーラネフィリムが身を翻し、街へと道を開く。
道中のオーラビーストの死骸は日光で死んだのではなく、巨大な質量による両断で粉砕されていた。
彼の偉業だろう。
「……立派な剣士だ。あのような異常事態でも、問題なく剣を振るえるとは」
『いえ、勿体なきお言葉です。それがしには元より、剣を振るう以外の才はなく……。頭の出来も悪いので生き意地が汚かっただけでしょう』
「他の者達は」
無言が全てを物語っていた。
「……そうか」
『見える範囲では、他のオーラネフィリムもない。撃墜されたのですか』
『口が裂けても今の発言を繰り返すなよ、女。我々は応戦の果てに、自ら喉を掻っ切り、腹切りをして自害した。この化け物共に喰われた軟弱者は一人もいない』
それが彼の国の誇りか。高官との話にあったオーラモデルに偽装しての軍備増強を彼が聞けばどう思うだろうか。
軍人としては、素直にオーラネフィリムに乗ればいいとだけ教えられてきたクチだろう。
この国が辿っていた偽装も、軍備増強政策にも彼らは全く、関知の外であったに違いないのだ。
『高官殿。……いや、まどろっこしいですね。ギーマ殿とお呼びしても?』
「構わない。こちらこそ、イース、と呼んでも? 階級は分からんが」
『呼び捨てで構いません。階級もさほど上ではございませんゆえ。それに……国が滅びれば、階級など……』
屈辱を噛み締めた声音にギーマは街中で崩落した家々を見渡していた。どの家屋にもオーラビーストが突っ込んだ痕跡がある。
民間人は皆殺しか、と怖気づいた様子のユニコンに鞭を振るう。
『酷い有様でしょう。……守り切れなかった』
「その方のせいではない。あんなものが攻めてくるなど想定外だ」
『しかし……、目の前で喰われていく民を見るのは……』
オーラネフィリムの力であっても、全ての敵を粉砕は出来ない。彼は自らの至らなさに、激しい後悔を抱いているようであった。
『民はいずれ死に絶える。それが遅いか早いかだけでしょう』
『……自業自得で滅びた国の言い草か。それらしいものだ』
どうやら水と油らしい。リリディアもどうしてだか、相手に心を許す気はないようだ。
「……政府高官で、誰かは……」
尋ねた声音にイースは、残念ながら、と声を搾り出す。
『……生き残っていれば今頃命令があるはず。それがないのは……』
帰結する先は見えていた。分かっていたはずだろう。
彼らは一夜にして虐殺された。地獄、と呼ばれる場所から来た異端者によって。
現実に、ギーマは身震いする。こんな、兵力でも何でもない。思想さえも存在しない相手に、一方的に蹂躙を許す。
それがこの地の末路か。
「……こういう感情からは切り離すべきだろうが、悲しい、な」
オーラネフィリムが地獄人の現れたと思しき箇所へと、剣を突き立てる。街の郊外とも言えない場所であった。
既に亀裂のようなあの亜空間は閉じている。
せめて手向けの花を、とギーマは周囲に花を探そうとして、土地が黒く汚染されている事に気がついた。
地獄人の痕跡には、赤黒い血のようなものが溜まっており、それが土壌へと侵食しているのである。
『……地獄人の出現はその土地の死を意味します。それが通った箇所の土は、もう……』
「バイストン・ウェルの大地さえも穢すか。まさしく悪鬼だな」
『ギーマ殿。それがしから、是非、聞き届けていただきたい願いがあります』
見上げんばかりのオーラネフィリムが自分相手に頭を垂れていた。
『どうか、仇を。滅ぼされた国の末裔がするだけの、ただの意趣返しですが、それでもこの行き所のない暴力だけは……如何ともし難いのです。どうか、その道標に、同行を』
ギーマは目を見開いていた。結果論とは言え、自分の下に二人の強力な戦士がついた。
これはレイニーの予言通りなのだろうか。
――暗黒城の主として、相応しい力を。
一方はアの国の調査員。一方は滅びた国の兵士。
しかし、この二つは時代を変えるだろう。間違いなく、ランラ以上の戦力だ。
自分の下に集いつつあるのは、やはりフェラリオの王冠の宿命か。あの呪われし王冠が、因果を集めているのかもしれないと、ガラにもなく思ってしまう。
「……顔を上げてくれ、イース。志は同じだ」
『……ああ、喜んで……!』
「そういえば、聞いていなかったな。オーラネフィリムの名前を」
『験を担ぐと言いますか、あの伝説のオーラバトラー、《ダンバイン》より名前を授かりました。――名を《ギガスバイン》と』
《ギガスバイン》。巨人の《ダンバイン》か。青い装甲に、装飾華美な絢爛なる軍旗をなびかせる。どこか強獣との境目がまだ存在しないかのような機体各所の構造は、より俗世とは隔離された巨人を思わせた。
「では、イース。ゼスティアのために、戦って欲しい」
これでお膳立ては整ったか。だが、問題なのは戦力を揃えれば、この外遊は終わりではないのだ。
地獄人という新たなる脅威に対して、何らかの措置を取るべきである。そうでなければ、何のための外交か。
「……他国に密書を送らねばならないだろうな。同盟関係の国家には全て。だがユニコンでは難しい」
『オーラネフィリムは緩慢なので、そういう事には……』
『私がやりましょうか? 同盟国、とは言ってもユニコンで外遊出来る程度の距離なのでしょう?』
「頼めるか?」
『小間使いではないのですが、地獄人とのリンクが張れたあなたは厄介です。監視のためにもその行動を逐一見ていなければ』
『……どの口が』
「イース。彼女にも事情がある。わたしは夜が来る前に、この街を離れる。リリディア、落ち合う場所を決めよう」
『南方に小さな村があります。村民も穏やかな気風なので受け入れてくれるかと』
「オーラビーストの事は」
『言わないほうが無難でしょうね。要らぬ恐怖を招く事になる』
だが、巨人を引き連れて何もなかった、というのも通用しないだろう。策を講じている間に、レイニーが声にしていた。
「オーラネフィリムはオーラモデルを偽装出来るのでは? その方法ならば、警戒心を抱かれずに済むはず」
イースへと視線を飛ばす。《ギガスバイン》は足を折り畳み、器用にもオーラ・コンバーターを仕舞い込んで山車の形態へと変形していた。
『この国から外交に来たとでも言えば』
「理屈は通用する、か。あとは物分りがいいかどうかだけだが……、それはわたしの手腕だな」
何よりも、ここで自分が臆すれば全てが水泡に帰す。
戦い抜いてみせるとも。
「……地獄人。それがどれほどの困難と悪の権化であろうとも、わたしは制する。この戦い、勝利者はわたしだ」