取り敢えずダンまち知ってそうだからダンまちリストにぶちこんでおくぜー!
声が響いた。何時も聞きなれたあの魔神の声だ。
ーねぇ、ねぇってば!ー
朝からうるさい。何なんだ?
ー酷い、、ー
そう悲しそうな顔をするな
ー君は自分の目的を忘れていない?ー
、、、、、、、。ああ。覚えている。確りと。
ーそれなら良いんだけどー
ーもしかしたら明日かもしれないし、何十年後かもしれない。でも確実に貴方が生きている間に避けては通れない敵が来るー
それは、、、
ーううん。黒龍じゃない。それとは違う何かー
それを俺に伝えてどうする。
ーどうにも成らないかもしれない。でも伝えておいた方が良いと思ってー
ー今のうちに出来るだけ強くなって。貴方以外にその敵を倒せる人はいない。もし、貴方が
ー貴方の家族はきっと皆死ぬ。優しい主神も、格好いい小人も、強いドワーフも、横で寝ているエルフも、貴方の可愛い弟子も、皆死ぬー
ー奪われたくないなら奪うしかないの。そいつの命を奪って。また、家族を失いたくなのならー
突如、頭痛と言い様もない恐怖に襲われて目覚めた。横ではリヴェリアさんが僕の腕を抱いて眠っている。部屋着ということもあり、余り見ない姿をしているリヴェリアさんは新鮮で美しかった。リゼリットはリヴェリアさんを一瞥したあと、部屋の扉をゆっくりと開けた。余り部屋が少ない最上階といえ仮にも此処は女子棟である。見つかったらきっとこの本拠内での社会的地位が音を立てて崩落するだろう。リゼリットは気配と足音を消して朝早い廊下を歩いていった。
起きた後、軽く体を動かして朝食を食べているのだが、訓練所でアイズと会ってから、何故だかずっとアイズが上着の裾を掴んでいる。
「ねぇ、リゼ。リヴェリアと一緒に寝たって本当?」
「ああ」
無表情でアイズが詰め寄ってくる。正直怖い。
「そう。それなら今日は一緒に寝よ」
何故にそうなった???
するとティオネがリゼリットとアイズの向かえの席に座って朝食を食べ始めた。
「私達が話すこと、余りなかったから新鮮ね」
「えと、あっちで食べなくても良いのか?」
リゼリットが指を指した方向ではレフィーヤとティオナがじゃれあいながら朝食を食べている。
「レフィーヤは分かんないけど、ティオナとアイズもあんたと仲良くなってるのに私だけ仲間外れってのも癪だと思ってね」
「そうか」
「そうよ」
「「、、、」」
会話が続かない。別に自分が話す話題も必要性も無い。アイズに裾を握られたまま朝食を食べ始める。するとティオネが吹き出した。
「どうかしたか?」
「いや、だって!アイズがずっと裾掴んでるの、全く気にせず食べ始めるから!」
そんなに吹き出すようなことだろうか。でも少し気まずい状況を切り開けるかもしれない。
「何故、アイズはずっと俺の裾を握っているんだ?」
「さっきのあんたたちの会話から察するに、多分、嫉妬ね」
アイズがビクン、と反応して顔を赤らめている。リゼリットは意味が分からず首を傾げた。
「ほんと鈍感ね。まぁ何時か分かる日が来るわよ」
その何時かは何時なのだろうか。問は分からないまま朝食を食べ終えた。
薄暗い道をリゼリットとアイズは歩いていく。二人は朝食を食べ終え、ダンジョンに探索に来ていた。二人の道を阻む敵は容赦なく切り伏せられていく。
「アイズ、強くなったな」
アイズの師匠を務めてから約半年。アイズは着々と力を着けていき、元々、見事な剣技だったが更に磨きが掛かっている。
褒められた当の本人は頬を緩めていた。思えば、会って直ぐのアイズはこんな顔はしなかった。シルがリゼリットに対して言っていた様に、出会った頃のアイズは本当に無表情だった。しかし今では人前で頬を緩めるまである。半年という中途半端な間に、自分の周りの人はどんどんと変わっていくことに少しの恐怖と焦燥を感じながらダンジョンの敵を斬り倒していった。
暫くダンジョンを進んでいって、リゼリットは異変を感じた。明らかな血の匂い。しかも人のそれだ。近くでぼ冒険者が死んだのだろうか。
ダンジョンではよくあることだし気に止めることも無いが、匂っていると言うことは、まだダンジョンに吸収されていないと言うことだろう。それなら身分証なり、武器なり、本人を証明するものをギルドに渡そう。帰ってこない眷族を永遠に待ち続けるより、死んだと分かったていた方が主神の気も幾分かは楽だろう。そう考えてアイズとともに匂いを辿っていく。
そして辿り着いた場所は行き止まりだった。それでも匂いは壁の奥からする。リゼリットは大刀を構えて、壁に降り下ろした。
「隠しエリア。まだマップにも出てないよ?」
「多分、今までにこのエリアを見つけた人が居たんだろうけど、全員穴の中で死んだんだろう。アイズ、気を引き締めて行くぞ」
「はい」
壁が崩れ終わって、砂煙が立つ。リゼリットとアイズは顔を見合わせて、中へと進んでいった。
そのまま一直線の道を進んでいくが、暗くて辺りがよく見えない。リゼリットは腰に掛けたランタンに火種を入れ、灯をともした。そして進んでいくと、少しだけ開けた場所に出た。
匂いが鮮明に成った。多分、この広場の居るんだろう。ランタンで照らしながら歩いていくと、黒くて小さい影を見つけた。後ろの方で休んでいるアイズは措いておいて、影に近付いていく。一歩、二歩と近付いた所で影の正体が分かり、リゼリットは目を見開いた。
そこにいたのは、
少女を抱える母親だった。
五歳にも満たないであろう少女と母親だ。母親の方は既に絶命していて息をしていない。二人の背中を見てみると恩恵が無い。少女と少女の母の背中に万が一の為に持っていた
考えてみれば此処は27階層。此処の水はメレンに通じているとリヴェリアさんから教わった。しかし即座にその考えは否定した。現在はリヴァイアサンのドロップアイテムでメレンと通じている穴は封鎖していると聞いた。それなら、何故、、、。
リゼリットは頭を振った。取り敢えず目の前で吐血している少女にポーションを飲ませよう。裂傷は外から掛けて治療しよう。そう考えて少女の服を捲った瞬間、息を飲んだ。少女の体を覆う青い鱗。リゼリットは少女の頭を見た。そこには羊の様にクルリと丸く捻れた青い角があった。
「蒼の竜人族」
もし、メレンとの間を封鎖するリヴァイアサンのドロップアイテムが無くなった、取られたとしたら、この親子は流れ着いたことになる。実をいうとこの親子がとてつもなく人に似たモンスターだという可能性も考えていた。しかしこの子は竜人だからその可能性は無しだ。俗に竜人は18歳を過ぎるまではどの種族よりも弱いと言われているが、自己回復力だけはズバ抜けて高い。更に蒼竜の血を引く蒼の竜人族は、竜人の中でも頭一つ抜けて自己回復力が高い。しかも母親に確りと抱き抱えられた状態だと言うことを考えれば水路を渡ることだって不可能ではない。ポーションを飲み込んだ少女はむせこんだ。リゼリットは、少女が生きているようで安心した。少女を母親から遠退けると、リゼリットは母親の身体に液体を掛けた。そして弔いの意味を込めて、母親の身体に火を放った。
するとアイズがこちらに気づいた様で少女を覗き込んだ。
「リゼリット、その子どうするの?」
「一先ず、ロキの所に連れていこう」
リゼリットは少女を抱き抱えた。外見から察するに年齢は2、3歳だろう。其にしては、栄養が足りていないのか、小さく、余り物が入っていない、リゼリットのバックパックにすっぽりと入った。そしてリゼリットはスキル【竜化】を使い、翼を伸ばした。そのままアイズを抱えて、飛び立った。
地上に着いたアイズは酷くぐったりとしていた。理由はリゼリットの超高速移動の所為である。リゼリットはぐったりしたアイズを一瞥して本拠に入っていった。本拠の中でアイズと別れて、一人で団長室に向かっていき、目の前の大きな扉をノックした。
「リゼリットです」
「ああ、君か。入って良いよ」
ゆっくりと扉を開ける。丁度良く、フィン、リヴェリア、ガレス、ロキの四人が揃っていた。
「リゼリット、どうしんだい?」
リゼリットは抱えている少女を降ろして、覆っている布を取った。
「ダンジョンの27階層で発見しました」
その場の四人が驚く。
「ロキ、リゼリットは嘘をついているかい?」
「いや、ついとらん」
「その子の種族は何だ?」
リヴェリアさんの質問に答えるように、服を捲って見せた。
「僕と同じ竜人です」
少女の蒼い髪に付けたヘアピンを取ると、角が露に成った。リゼリットはヘアピンを付け直しながら幹部達と話す。
「少女を発見したとき、母親だと考えられる女性に抱き抱えられていたんです。十中八九、その女性が母親でしょう」
寒いのか、少女は小刻みに震えている。少女の服と布を戻した。
「それなら提案が有ります。この子を育てませんか?」
「「「「!!!」」」」
この子が隠し持っているもの等は何一つ無かった。危険性は無いと言って良い。
「竜人は竜人や、竜が育てないと大成しないそうです。それなら俺が育てます」
育てる、ということはその子の一生の責任を取る、と言うことでもある。だから生半可な覚悟で育てるなどと言ってはいけない。フィンやガレス、リヴェリア、ロキはリゼリットの目を覗き込んだ。リゼリットの顔は会ったときと変わらず無表情なままだ。目も何処と無く悲しい。しかしその目は覚悟を決めた者の目だ。
「僕は良いと思うよ。その子がリゼリットの何かを変えるかもしれないしね」
「私も賛成だ。その目ならな」
「儂も賛成じゃ。少しはこの不器用も器用になるかも知れんしのぉ」
「ウチも賛成やな。しっかし可愛ええ子やなぁ、リゼリット、たまに抱き締めさせてくれな!」
リゼリットは全員を前に一礼した。そしてお礼の言葉を言ってから部屋から出た。リゼリットの部屋は個室だから少女を育てることも出来るだろう。
この時、リゼリットは知らなかった。此の少女が、波乱の渦にいることを。
後悔はしていない!新しいキャラを出したことに!