「剣での勝負で魔法の使用は許可する。お互い本気で戦うこと。ルールはそれだけだ。」
「それでは双方構え、、、、掛かれ!」フィンの開始を告げる声が響き、アイズは一気に間合いを詰め、リゼリットに連撃を繰り出す。剣先が見えなくなる程の速度で連撃は放たれ、文字通り見えないから、研ぎ澄ました感覚で其れを避ける。まだまだ余裕だ。一通り連撃を終えたアイズだがまだリゼリットに傷ひとつ付いていないと言う事実に歯を食い縛る。
「まだ本気じゃないだろう。本気で来い。」リゼリットがそう言うとアイズは何かを呟いた。するとアイズの細剣に暴風がまとわりつく。そしてもう一度、さっきとは比べ物にならない速度で連撃を繰り出す。流石に避けるだけ、と言うのは難しくなってきたから大中二振りの刀を使いアイズの連撃を捌く。
「そう。それでこそだ。」冷えきった声でリゼリットは言った。そして更に冷えきった声で言う。
「でも、それではまだ足りない。」
瞬間。アイズは浮いた。違う。切り飛ばされたのだ。大刀から放たれる眼にも見えない、感じることも出来ない光速の居合い斬りによって。そして鍛練場にアイズは打ち付けられた。立ち上がり反撃しようとするが今度は光速で正確にアイズの横に投げられた刀によってそれは阻まれる。光速で投げられた刀に驚いていてアイズはあることに気付いた。自分はもう負けていることに。
リゼリットはアイズの顎を人差し指で上に上げて、露になった首の頸動脈の位置に先ほど投げた刀を突き付ける。
「これで“詰み”だ。」
「勝負あり!」まさかのアイズの敗北、しかもレベル1の今日恩恵を授かった人によってされたそれに対して、いまいち理解出来ず、静寂が訪れる。
そんな静寂を切り裂くよう持っていた大刀と刀を地面に突き刺すと刀は金色の粒子になり、霧のように霧散したあと、背中に浮いている、支柱を持たない輪に入り、粒子は元の刀の形に戻った。
「戦闘中もアイズの剣の動きを見ていたから気付かなかったけどそれは何かな?」フィンは二振りの形を束ねるように刀の刃の根元辺りを見えない力で押さえている、浮いている輪を指した。
「これはあなた達が持っている鞘みたいな物です。浮いている原理もどうやって刀を落ちないように押さえているのかも俺は知りません。意思次第で場所も変えられる様です。」そう言い俺の前に来い、と念じる。すると輪は刀を連れて目の前に来た。
「便利だね。あとその刀もさっき霧みたいになっていたけど。」
「あれについてもよく解りません。納刀と念じると出来ます。距離はどれだけ離れてても霧散して納刀出来ます。」
「ははは、、」滅茶苦茶な武器にフィンは苦笑していた。するとアイズが寄ってきた。そして、
「リゼリット。稽古をつけて欲しい。」え、えぇー!こう言っちゃ難だが教えるのは下手くそだ。思わず素っ気ない態度をとってしまったりしてキレられることが多い。
「俺なんかで良いのか?」そう言うとアイズはコクッ、っと頷いた。
「リゼリットの剣技を、ステイタスに依存しないその技を習いたい。」
アイズの強い意志の持った眼で言われたからもう断れない。
「わかった。1日5時間。本気で身に付けろ。この剣技は相当な集中力が必要だ。何度も心が折れそうになるし、肉体的なダメージも相当喰らうが決して弱音は吐くな。」
「いいな?」アイズに目を合わせて言う。
「はい!」アイズはいい返事をする。
「良い返事だ。稽古は明日からだ。何時かは明日連絡する。」
そうして此処にレベル1が師匠で、弟子はレベル2の不思議な師弟関係が出来るのだった。
今回も読んで頂き誠にありがとうございます。
設定についての話ですが、リゼリットがアイズに教える剣術はリゼリットの旅の最中に出会った、7歳から13歳までの歳月を共に旅した剣を極めた人と旅の中で大成させたオリジナル剣術です。その人は旅の中で死んでいて、その人に「この剣術はまだまだ未完成だ。此れからはお主がこの剣術を鍛え、大成させて、いつかその力を正しきことに使える奴に継承してくれ。」と頼まれた物です。故にまだ極めた訳でもないのでリゼリットも日々稽古し、オリジナル(名前は未定)剣術を創っています。
設定の話は以上。それでは!