「朝か。昨日は疲れたな。」朝といってもまだ4時くらいだ。基本、これまでの旅では日の出に起きて深夜に寝るという生活リズムだったので、まだ誰も起きていないこの時間に起きてしまった。そして歯を磨き、顔を洗ったあと着替えて鍛練場へ向かった。
「、、、、、」特に無言で刀を振る。俺のオリジナル剣術はまだ未完成だから、この剣術を最高峰のものへ完成させるためにこうして毎日刀を振っている。いろいろな型で刀を振るって、より無駄な動きを無くして、より一撃の威力を高めて、より速く振って、、、ってやっていくうちに日も明るくなってきた。まだ朝食まで時間があるだろうから刀を振ろうと思うのだが、さっきから俺をみる視線でどうにも集中出来ない。
「アイズ。出てこい。」と言うとバレたのが恥ずかしいのか頬を紅潮させながら陰からぴょっこっ、って出てきた。うん、可愛い。
「ごめんなさい。誰か剣を振ってるのが見えて、リゼリットだったから、、、気になって、、、」
「そうか。」あまり言及しない方が良いと思い、また刀を振る。
「そう言えば、今日の稽古は?」やべぇ。完全忘れてた。ここはてきとーに、、
「午後2時、市壁の上に集合。」昨日の夜に寝付けなくて、こっそり抜け出してオラリオを見て回ったけど市壁はまぁまぁ良かった。そこそこの広さも有るから稽古も問題無く出来るだろう。
「分かった!」元気よく返事して鍛練場の椅子に座った。
「リゼリットの練習、見ても良い?」
「ああ。」そう返事し、刀をもち今度は丸太を置いた。そしてそこに木刀で技を打ち込んで、駄目なところを修正していく。あの方との約束を果たすために時間を掛けてじっくりより良く形へとしていく。
しばらくやっていると謎の鐘の音が響いた。
「アイズ。この鐘の音は?」
「食事。このファミリアでは皆一緒にご飯を食べる。」ああ、だから昨日の夕飯もあんなに人が。
「食堂まで案内する。リゼリット。」
「ありがとう。それとリゼリットって長いし言いにくいだろう。だからリゼでいい。」と言うと
「分かった。」
「じゃあ朝食会場へ案内、お願い。」
そして二人で朝食会場へ向かった。
朝食会場へ向かうと混み合っていたが、部屋の隅にポッカと穴の空いたように誰も居ない空間が有ったから、そこに座りパンとコーヒーを取ってきて食べる。周りに誰もいない。騒々しい空間から隔絶されたようなこの空間の居心地は最高だった。朝食を食べ終わりコーヒーをお代わりしデザートを取ってきて持ってきた本を開く。
「なんかさ、リゼリットって近寄るなオーラ凄いよね」そんなリゼリットの様子を遠くで見てアマゾネスの少女、ティオナは言う。
「あの読んでる本何かな?英雄譚だったら気が合うかも!」そんな様子に呆れた姉のティオネが言う
「多分違うわよ。英雄譚なんてお伽噺、15の男子が読まないでしょ。まぁ近寄るなオーラが凄いっていうのは共感出来るわ。」
「ハン、どうせ雑魚が周りに馴染めず浮いてるだけだろ。」灰色の髪の狼人、ベートは不機嫌そうに言った。
「何でベートはそんなに不機嫌なのさー。もしかして大好きなアイズがリゼリットに稽古を付ける、ってのが気に食わないの?」煽りを入れるティオナにキレつつベートはリゼリットへ向かう。
「どんな手品を使ってアイズに勝ったかは知らんがアイツが俺より下だと証明してやる。」そう独り言を溢したあと、一人で本を読んでるリゼリットの頭に向かって殴りかかる。一連の音の出ない動作に大食堂に居る団員は反応が遅れたが独りだけ違った。
ここの団員血の気多すぎ。いきなり本読んでる最中の人に後ろから殴りかかるとか。どんだけだよ。後頭部目掛けて飛んでくる拳を頭に当たる直前で避ける。直前で避けることによって追尾する事ができず、拳は勢いよくリゼリットの居ない方向へ向かっていき、バランスを崩したベートは前のめりになる。そしてベートの腕を掴んだあと体術を使って投げる。
「かはっ、この雑魚が!!」
「雑魚(笑)。じゃあ雑魚に攻撃をかわされ投げられるという反撃を喰らったお前は雑魚以下だな。」
ベートは悔しそうに歯軋りした後胸元をさぐる。あれ、無い!ベートは胸元に忍ばせたナイフをさぐるが、ないことに気づく。
「何を探してるんだ?もしかしてこれか?」そう言いナイフをベートに見せ付けるように出す。そして、
「駄目じゃないか。拳で闘うと決めたらそれを貫かなければ。雑魚が。」冷ややかな目線でベートを見下すと、チッと舌打ちをして席に戻っていった。
リゼリットは居心地が急に悪くなってコーヒーを飲んで自分の部屋へ向かった。
読んでいただきありがとうございました。そしてお気に入り等最近増えてますが大変ありがとうございます。