何時間もいたような気持ちでいた山本はまだ日が真上にあることに驚く。
「どうしたの?いくよー!」
すでに敷地から出ている唯が上半身だけ山本の方に向けた状態で声を掛ける。
肩をピクリと揺らした山本もすぐさま笑顔で「すまん!すぐ行く!」と唯のもとを駆け寄り、目の前の距離となって並んで歩く。
そうして二人は真上にあった日が少しだけ傾いた頃に広い公園のような場所についた。
入口からすぐに園内の地図が掲示板で貼られていることからかなり広いことがわかるそこで、唯は迷いなく歩いていき、それに山本も続く。
「公園の中に墓があるのか?」
「ここ、公園じゃないよ?」
「え?」
唯に言われて思わず山本は周りをキョロキョロした。
「あ!」
よく見れば歩いている道の端に等間隔で海外式の墓があり、歩いている方向の先にはたくさんの墓の群れがあった。
それは、柵で囲われているものではなく、草原の中にポツポツとあるような群れで、日本でよく見かける墓地とは少し違い、墓同士の距離が少し遠い。
山本たちのいるそこは、広い霊園だった。
「おじいちゃんが葬式屋さんだったらしいんだ、だからってわけじゃないけど、もしも自分が死んだ時のことを誰よりもよく考えていたらしくてさ」
「おう」
「色々な霊園を見てきた中でここがいいって思ったらしいんだ」
「へぇ、まっ!確かにここは静かだし景色もいいよな」
祖母の眠る墓へ向かいながらそう説明した唯に周辺をキョロキョロしていた山本が思ったことをそのまま伝える。
それに頷きながら、唯も小さくキョロキョロとして「あ!」と声を上げて手を広げて「あそこ!」と示す。
「あそこがおばあちゃんのお墓!」
「おお!」
そこは霊園の中でも丘になっているところのてっぺんにあった。
見晴らしがよく、街も見えるそこは小さくはあるが並盛町も見えそうで、山本は思わず感嘆の声をあげる。
「いいな、ここ!」
思わずそう言って唯に振り返ると、唯はニコニコしながら花の入れ替えを行っていて、山本は慌ててそれを手伝った。
一通り墓の掃除が終わって、今度も両手を合わせて目を閉じる二人。
爽やかな秋風が二人の間を通り抜け、小鳥の声がよく聞こえる。
よくよく考えたら、昨年はヴェルデの教育についていくのがやっとで墓参りをすることができず、唯にとって祖母の墓参りは本当に久しぶりのことだった。
ヴェルデが来る前は新しい季節がやってくるたびに来ていたが、それも一年はなく、本当に話したいことはたくさんある。
紹介したい人も、その人に関する愚痴や、初めて芽生えた感情についても。
思えば、祖母との恋バナなんて、祖母の惚気だけで終わっていたように思った唯はなんとなく、くすぐったい気持ちになった。
(おばあちゃん、私ね、実は…)
好きな人ができた、と報告しようと少しだけ合わせている手に力が入ったその時、隣からドサッという音が聞こえて思わず目を開けて、その音の方を確認した。
「っ!山本くん!?」
そこには、気を失っている山本が倒れていた。