一緒に過ごした時間は。   作:三条蓮花

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結局前話とほとんど変わらない文字数になりました。まじすんませんm(__)m

しかし結構大事な場面ですので、個人的には割と切り詰めたと感じています。本当はもう少し詳しく書きたかったですが。

ところで、このタイトル。"Re"が入らないとタイトルとして成立しません。そのところのご承知を。


Re:彼の想いへの答えは。 ②

あかりは想い人にようやく素直な心を告げられた。

 

蒼太は二年片思いしていた相手に真っ直ぐな想いをぶつけられた。

 

 

二人が晴れて恋人となった。

 

 

 

 

「あかり………この状況すごく恥ずかしいです………」

 

「そんなの、私もです……よ?でも恥ずかしさよりも、蒼太くんと結ばれたことが嬉しくて。ずっと抱きしめていたいくらいです」

 

「……誰かティッシュちょうだい…」

 

告白してからずっと蒼太を抱きしめているが、今尚離れる意志の見受けられないあかりと、自分が好きな人に抱きつかれていることをあのあとようやく認知したことで、今現在既に鼻血が出てもおかしくないくらい羞恥を覚えている蒼太。

 

 

 

方や、羞恥が歓喜を上回り。

 

方や、満足と充足が羞恥を上回り。

 

今この瞬間、世界で彼らより幸せな人たちはいないだろう。

 

 

 

が、あかりがあることに気づいて、蒼太を抱きしめたまま首だけをくりっと捻り、リビングの大きい窓に目をやる。

 

「そういえば、窓の外からすごい音鳴ってますね………あ、雨が降ってるみたいです」

 

「……ほ、ほんとですね。今まで気がつきませんでしたね…テ、テレビの天気予報でも見ましょうか」

 

そういって、未だ羞恥の抜けきらない蒼太はテレビのリモコンを手に取りテレビの電源を入れる。抱きつかれていると言えど、ここはリビング。テレビのリモコンなんてすぐ近くにあるので容易に手が届くのだ。

 

ピッ

 

『現在、季節外れの豪雨が太平洋側に発生しています。また、日本海側では猛烈な吹雪が各地を襲っています。既に河川が氾濫している地域も多々あり、ここ数年で最も強い雨や雪でしょう。またそれに伴い、各地の鉄道は運転を見合せ・運休しています____』

 

すると、蒼太の住む東京都や埼玉県のある関東や、近畿、東北、北陸、四国などの地域で鉄道の運転の見合せ・運休が発表されていた。

 

「あれ、この線って………今日乗ってきた電車のやつですよね?」

 

「あ、ほんとですね」

 

ニュースの意外な情報を見て、蒼太は驚く。見れば、蒼太がいつもよく使っていて、今日あかりが乗ってきた××線も運休していた。どうやら、あかりは今家には帰れないらしい。

 

「じゃあ、運行が再開されるまで家にいますか?こんな雨ですから、他の移動手段も厳しいでしょうし」

 

「そうですね、そうさせてもらいます。あ、おうちに連絡しておかないと。なっちゃんにでも口裏を合わせてもらおうかな」

 

 

 

いくらか冷静になった蒼太がそう言って、あかりが電話を取り出す。

 

蒼太が、あかりが自分の家に帰られるようになるまでどうやって彼女をもてなそうかと思考を巡らせようとしたそのとき。

 

天気予報のアナウンサーが、衝撃的なことを告げた。

 

 

 

『尚、今現在降り続いている雨雪ですが、明日の未明まで続くことでしょう。河川が氾濫している地域は直ちに避難をし、そうでない地域も引き続き警戒してください』

 

 

 

「……………え?」

 

「えっと、つまり____」

 

 

 

 

(………もしかして、今日は僕(蒼太くん)の家に泊めないと(泊まらないと)いけないの!?)

 

 

 

 

そう、そうなのだ。

 

こんな雨ではまともに外を動き回ることも出来ず、よしんば出来たとしても今電車は止まっており、いつ復旧するかわからないのだ。少なくとも未明まではどこも動かないだろう。そうなると必然的に、あかりを蒼太の家に泊めるのが最も安全かつ的確だと言える。

 

(え、ええぇぇぇ………!?あかりんが僕の家に泊まることになるのこれ!?やばいよ、さっき恋人になったのに、流石にこの展開は映画でも見ないって!?)

 

(ど、どどどどうしよう!?やっと想いを伝えて恋人になれたのに流石にこうなるのは予想してなかったよ!?こ、この場合私はどういう反応すればいいの~!?)

 

このカップル、余りに青天の霹靂な展開に陥ってしまったためにお互いに「抱きしめ合ったまま」パニックになっている。ちなみに外は既に雷の音も聞こえ始めた。

 

 

 

これだけならまだよかったものの、この状況に更に追い討ちをかけるものが。

 

 

Pipipipi………

 

 

 

バッ!

 

 

「はいっ、もしもし望月です!」

 

 

「わわわ……さっきまで私はなんてことを……」

 

蒼太の家の電話が鳴り、反射的に離れてしまった二人。惜しい。蒼太はともかく、あかりなんてさっきまで自分のしていた大胆な行動を思い返して悶々とし始めたじゃないか。

 

そして当の蒼太は慌てて電話に出ようと動く。あかりともっと抱き合っていたかった蒼太だが、今家主は彼しかいないので、彼が出ないわけにはいかないのだ。

 

少し(いや、かなり)残念に感じながらも、こんなときに誰なんだと、蒼太は少し驚きながら子機を手に取る。相手は_________

 

 

 

『あ、もしもし蒼太~?お姉ちゃんだけど。今少し時間くれる?あ、それともお取り込み中だった?(笑)』

 

 

 

蒼太の姉、もとい蒼太の家族だった。

 

「ち、違うよ!?何言ってるのさ姉さん!それより、どうして電話なん…………」

 

 

 

(……………まさか)

 

何故姉が、今のタイミングで突然電話をかけてきたのか問い質そうと思った蒼太だが、この後姉から発せられる言葉が何か、彼は半ば予想が着いた。着いてしまった。

 

 

 

そして、案の定彼女はとんでもないことを蒼太に告げるのであった。

 

 

 

『お姉ちゃんたち、今山形にいんだけどさー。電車止まっちゃったから帰れないんだわ。だからこっちに泊まるね』

 

 

 

「………というわけで、あかりは今日僕の家に泊まってください。あと、僕の家族は今日帰ってこないらしいです。姉が言うには、その、衣服類は自分のを使ってくれと言ってました」

 

「わ、わかりました………」

 

 

蒼太とあかりは今、自分の身に起こっている状況を再確認し、やっと互いの理性が一段落ついたところだった。

 

 

 

『今山形の電車全部止まってんのよね。つまりこれは仕方のない判断なの。おとんやおかんも別に泊まってもいいって言ってくれたし。だから、ね?しっぽりやっちゃいなさいな。あ、彼女ちゃんには、寝間着や部屋着は私の使っていいって言っといてね!なんなら同衾しちゃえば?(笑)』

 

 

とは、蒼太の姉の言葉である。

 

もちろん蒼太には、姉に対しての発言力なんてあんまりない。しかし今がどういう状況かを把握するくらいの判断力はあるので、姉の言うように、この家にあかりを泊まらせるという答えが一番適切なのだが……

 

 

 

(普通に考えて、付き合ってまもない女の子といきなり一つ屋根の下とか、いろいろすっ飛ばしてるよ…………僕は嬉しいけど)

 

(こ、恋人になった日には、か、彼氏と一つ屋根の下にならないといけないの!?なっちゃんもしたのかな!?そんなの聞いてないよぉ………なんだかんだで私は嬉しいけど…)

 

 

 

 

この思考、二人ともぴったりじゃないか。良かったな。

 

「「はぁ………」」

 

「「……!?」」

 

蒼太とあかりがほぼ同時にため息をつき、それにお互いが驚き、

 

 

 

「 「もしかして嫌ですか……?」」

 

 

 

「「…………え?」」

 

 

 

お互いに焦り、不安になり、つい相手に聞いてしまっては、それにも驚いていた。よほど思考回路が同じなんだなこんちきしょう。

 

 

 

「………ははっ、ここまで考えてることが同じだと、なんだか一周回って安心できますね」

 

「……ふふっ、そうですね。いくら恋人の家に泊まると言っても一晩だけですし、それに蒼太くんなら大丈夫です、安心できます」

 

先ほどまでの切迫した空気から一転、ふわっとした空気になったのは、ひとえにこの二人がお似合いだからに違いない。というかそうであってくれ。

 

変に身を固くしていた二人は肩の力が抜け、顔の強ばりも緩んでいた。

 

「あ、そうだ」

 

と、あかりが一つ。

 

「どうしました?」

 

蒼太は声を返す。するとあかりは柔らかな笑顔で聞いてるこっちが恥ずかしくなるようなことを言う。

 

「お互い敬語使うのやめましょう?せっかく結ばれたんですし、いつまでも他人行儀なままだと蒼太くんにもっと寄り添えませんし、蒼太くんも私に寄り添えませんよ?」

 

「………………っ!!」

 

(寄り…………な、なななななんでそんな嬉し恥ずかしいこと言えるのかなあかりんはぁぁぁぁぁぁぁ!!)

 

あかりは告白して結ばれたことでいろいろすっきりしたのか、蒼太に対しての言葉がストレートになっている。そのため蒼太はもう羞恥が臨界突破している。

 

それでも、その提案は嬉しかったらしい、蒼太にとっても。

 

(……今までは、あかりんのことはどこか神聖視していたけれど、僕も変わらなくちゃ)

 

蒼太はそう決意し、あかりと対等になるため、距離を縮めるために敬語を捨てようと、彼女の名を呼び捨てにする。

 

「あ、あかり…………」

 

「何かな?」

 

するとあかりは、期待とからかいを混ぜた、本家顔負けのにっこにっこにーな笑顔を見せ、蒼太の次の言葉を待つ。

 

(うわああああさっきからなんなのあかりん可愛すぎるぅぅ………というかもうあかりんタメ語になってるし………)

 

蒼太の心臓バックバク。

 

そして、遂に____

 

 

 

 

 

「こ、これから宜しきゅ…」

 

 

 

 

 

 

 

「 「…………………………」」

 

 

瞬間、世界が止まる。

 

 

(………ぁぁぁぁぁあああやってしまったぁぁぁぁぁぁ!!どうして!なんでよりによってここで噛むかなぁ僕!!絶対タイミング間違えたでしょ!!)

 

蒼太は、顔を真っ赤に染め上げながら涙目で震えていた。もう笑うしかないだろう。

 

無理もない。せっかく、あかりとの新しい関係を始める第一声を発しようとしたのに、まさかこのタイミングで噛むとは。

 

 

 

「…………………」プルプル

 

あかりは、しばらく目を見開いていたが、よりによってこの場面で噛んでしまった蒼太がツボに入ってしまったらしい、口で手を押さえて笑いをこらえていた。

 

「そ、蒼太くん……」

 

「………ふふ、笑って……………いっそ僕の極度の緊張しいを鼻で笑ってください…」

 

蒼太は未だ尚笑いをこらえ気味なあかりの呼び掛けに、もう自虐全開な発言をする。

 

そんな蒼太に、あかりは(もちろん悪戯心からだろうが)さらなる処刑宣告を下す。

 

 

 

 

「……さっき、何て言ったのかな」

 

「それは流石にひどいよあかりん!?」

 

 

 

まさかの聞こえなかったフリという、蒼太のあかりに対するイメージが音を立てて崩れ去っていくような、衝撃的な言葉だった。

 

その蒼太の振り回されっぱなしな姿に、あかりは耐えきれずにからからと笑う。

 

「私は、ちゃんと蒼太くんに普通の恋人の距離で話しかけてほしいんだよ?」

 

「うっ……そうですよね……」

 

蒼太にも、あかりの気持ちくらいは理解できる。恋人だと言うのにいつまでも敬語をつけてしまうと何処か距離を感じるのだろう。

 

すると蒼太はからかわれたことで変な力みが消えたみたいだ。今度はあかりの目をしっかり見ながら___

 

 

 

 

「………これからよろしく、あかり」

 

「………はいっ!!」

 

 

__どうやら、これから更に楽しくなりそうだ。

 

 

 

 

その後………

 

 

あかりは、家に「今友達の家にいるんだけど、帰れそうにないからこのまま友達の家に泊まることにしたよ。大丈夫、女の子の友達だから」と電話した。そりゃ、まさか「恋人の家」と言うわけにはいくまい。

 

電話を切ってすぐに、あかりは夏樹に電話をかけた。もちろん口裏を合わせてもらうためだ。

 

プルルルル……ガチャ

 

『もしもし、なっちゃん?突然で悪いんだけど、今日なっちゃんの家に泊まってるってことにしてくれないかな?』

 

『あ、もしもしあかり?別にいいけど、どしたの?』

 

『あ、いや、その、実は__』

 

『あかりー?晩御飯そろそろ出来るけどー』

 

『ふぇっ!?そ、蒼太くん!?ダメ、今は__』

 

『……はっはーん?オーケーオーケー、そういうことなら任せといて!あかりは安心してもちたの腕に抱かれて眠りなさい!』

 

『ま、待ってなっちゃん!?これには深い事情が………!』

 

『いーのいーの、皆まで言わなくても。その代わり、明日た~~~っぷり聞かせてもらうからね!そんじゃ、あかり、頑張って!』プツッ

 

『……………』

 

『……………』

 

『……………………蒼太くんのばか』

 

『………申し開きもありません』

 

 

……どうやら明日、詳しく聞き出されるのはあかりだけじゃなさそうだ。

 

 

 

 

『『ごちそうさまでした』』

 

二人は晩ご飯を仲良く食べ終えた。

 

あかりは最初、一緒に作らないかと提案したのだが、『いや、ここは僕が作るよ。恋人や大切な人以前に、うちのお客さんだから。僕がもてなさなくてどうするのさ』という蒼太の好意に甘えることにしたのだ。ちなみにそのあと蒼太は、自分がどれほど恥ずかしいことを言ったのか自覚して赤面した。

 

『……どうだった?あんまり作り慣れてないから、結構不安だったんだけど……』

 

『すっごく美味しかったー!本当に作ったの数回だけなのか疑いたくなるくらいだよ!』

 

『いやぁ、誉めすぎだよ?今まで料理らしい料理なんて、卵焼きくらいしか作ったことないし』

 

『へぇ~!あっ、良かったら今度一緒に作ろうね?』

 

『あかりんと……料理………鼻血が…』

 

『ええっ?大丈夫?』

 

『……大丈夫』ボタボタ

 

『全然大丈夫じゃないよ!?』

 

………抱きしめられても鼻血は出なかったのに、料理を共にする妄想では鼻血出るんだ………?

 

 

とまあ、二悶着くらいあって、現在の時刻は午後十一時。

 

普段なら蒼太は映画を見て、あかりは絵を描いている時間だが、明日少し早めに起きようということになって、少し早めの就寝時間となった。なお、お風呂の時間には何もなかったらしい。悔しすぎる。

 

蒼太の部屋に行き、蒼太は床に来客用のベッドを敷き、あかりを蒼太のベッドに(これが中々に異常な状況だと互いに承知した上で)寝かせる……はずだったのだが。

 

 

「ど、どうしてこうなった………?」

 

「そ、それは。蒼太くんが寒い思いをしないために……」

 

「だからと言って本当に同衾するの…!?」

 

はい、この有り様だ。

 

あかりが、蒼太を床に寝させてしまうことを疎んで自身の(正確には蒼太の)寝床に半ば無理矢理誘ったのだった。 ちなみに今、蒼太とあかりは向かい合って横になっている。お互いに好きな人の匂いが直に香ってくるのもあり、さっきから二人ともドキドキしっぱなしである。

 

「も、もちろん。……もしかして嫌だったかな……」

 

「い、いや。そうじゃないんだけど…」

 

 

 

 

 

____あまりにも急すぎやしないか。

 

 

 

 

 

そう、蒼太が思うのも無理はない。

 

数多の恋愛映画を見てきた蒼太には今、最悪の未来予想図が見えている。

 

 

………すなわち、早期の別れ。

 

いくら好きな人と付き合えたからと言って、互いの距離を極端に縮めようとすれば、早くに幸せが最高潮に達してしまって冷めるのも早くなるのは、今まで多くのカップルが証明している。

 

だからこそ、蒼太はそれを恐れている。怖がる。不安になる。焦る。が__

 

 

「………このまま、すぐに互いが互いに飽きてしまうんじゃないか、でしょ?」

 

「っ………!なんで、なんでわかってるのにこんなこと……」

 

蒼太は思わずあかりのことを糾弾しそうになるが、あかりはそれを目で止める。

 

 

 

「私、不安なんだ」

 

 

 

「……………へ?」

 

このタイミングで何を言い出すんだと、蒼太は思った。が、あかりは蒼太のそんな様子を気にしないのか気づいていないのか、話を続ける。

 

「本当は黙ってるつもりだったけど、結局蒼太くんも私と似たような不安を抱えてたんだね……」

 

「え……」

 

それはどういう意味……と、蒼太が思わず聞き返してしまいそうになるが、今すべきではないと悟り、口をつぐむ。

 

そうして語られるのは、あかりの本音。

 

 

 

「私、皆に迷惑かけたくなくて、いつからかずっと周りに笑顔を見せてたの。まあ、一部の人からは点数稼ぎだーだなんて言われてたみたい」

 

「それは蒼太くんに対しても同じで。もし蒼太くんの前でもずっと笑顔でいてたら、きっと蒼太くんは私のことを疑って、信じなくなると思う」

 

「蒼太くんは優しいから。それすらも隠してしまえるんじゃないかって思うと、怖くて」

 

「だから、今日みたいに、素直な私を見せたりして。ただニコニコしてるだけじゃないってことを示したかった…」

 

「…………………」

 

 

 

 

ひとしきり耳を傾けていた蒼太は、しばらく黙りこんだ後、口を開いた。

 

「"相手の今まで知らなかった一面を知るのはとても素晴らしいことだ。しかしそれを許すか拒むかで君の未来は大きく変わる。"って名言、知ってる?」

 

「映画の言葉ですか?」

 

「そう。この言葉は、文字通りに捉えると『恋人の知らない一面を見てどう思うかによって結末が左右される』って意味なんだけどさ」

 

よく考えてみると、と蒼太は言う。

 

「この言葉、『恋人同士だとしても知らないこと、知らない一面はたくさんある』って言ってるようにも捉えられない?」

 

するとあかりは、何かに気づいたようにはっと目を見開く。

 

「確かに……」

 

「だからさ、今は別に、無理に全部見せようとしなくてもいいと思うんだ。そりゃ、あかりに隠し事とかされからもう僕は生きていけないかもだけど……それでも僕は、あかりのことを少しずつでも良いから分かりたいし、あかりにも僕のことをわかっていってほしいかな」

 

「………………」

 

あかりが、まるで天啓を受けたかのような顔をしている。それに気づいた蒼太は、途端にしどろもどろになる。

 

「え、ええっと、だから、その、焦んなくていいってこと!」

 

 

「………………」

 

 

ギュー

 

と、あかりは急に蒼太に抱きつき、蒼太の胸に顔を埋める。

 

「へぁっ!?あ、あかり!?」

 

「………蒼太くんのこと、もっと好きになった」

 

そう告げるあかりは、暗がりの中でもはっきりとその変化が見てとれるくらい、耳まで真っ赤になっていた。蒼太もつられて頬を紅潮させる。そしてあかりは顔を上げて、蒼太と目を合わせる。

 

 

「……………ありがとう、蒼太くん。大好き」

 

「……僕もだよ、あかり」

 

 

二人は顔を見合わせて、愛の言葉を交わす。

 

 

そのまま、二人は安らかな顔で深い眠りへと落ちていった。

 

 

 

「ん…………」

 

翌朝、午前八時。いつもならとっくに起きている蒼太だが、昨日の疲労のせいかたっぷりと寝てしまったらしい。もちろん、その疲労が決して不快なものだったわけではない。

 

「ふぁぁ…………起きよ…………っ!?」

 

蒼太が目を開こうとした瞬間。

 

蒼太の眼前にはあかりの無防備な寝顔があった。

 

「なっ……なななななななんであかりんがうちに!?なんで僕のベッドに!?なんで僕と一緒に寝_____って」

 

(そうか、昨日確かあかりんがうちに来て映画を一緒に見たはいいけど、突然雨が降って電車止まったから家に泊めたんだっけ………ああでも駄目だ、素のあかりんがこんな目の前に…………僕、明日死ぬのかな……)

 

刹那、蒼太は寝ぼけていたが、すぐに昨日の出来事を思い出して心を落ち着かせ………たが、あかりがすぐ近くにいることで緊張に対処できなくなっているみたいだ。

 

すると蒼太の寝起きのビッグボイスに反応したのか、あかりがピクッと体を揺らし、やがて。

 

「う、ぅん……………っあれ………?なんでうちに蒼太くんが………?」

 

(寝起きのあかりんめっっっちゃ可愛いんですけどおおぉぉぉ……!!)

 

蒼太が、動揺を隠しつつ一人悶えている。あかりはまだ頭が起きていないようだが。

 

「あ、あかり?おはよう」

 

「ふぇ……おはよ………って、なんで蒼太くんが私の家に!?」

 

あ、こいつら同じ反応してるべ。

 

そんなあかりを見て、蒼太はむず痒い羞恥を覚えながらも全く自分と反応が一緒であることに思わず笑いがこぼれる。

 

「あかり?昨日僕の家に泊まったよね?それで、僕が寒くなるといけないからって、僕を…………っ」

 

「あ…………っ」

 

言いかけて、自分たちが如何に特殊な状況の中に身を置いているか再確認する羽目になった、午前八時の蒼太とあかり。

 

「「………………」」

 

束の間の静寂。

 

「あかり………僕たちって、昨日恋人になったんだよ………ね?」

 

それを割ったのは、蒼太の不安げな質問だった。まあ、わからいでもない。今までずっと憧れ片思いしてきた人が、前の日に恋人になったばかりかそのまま一夜を共にしたのだ。蒼太からしてみれば、これが夢であってほしくないだろう。

 

そんな蒼太の問いかけに、あかりは少しの間目をぱちくりとさせていたが、すぐにからかうような笑顔で答える。

 

「あれ?昨日の私の一世一代の告白に、噛みながらもしっかりと答えてくれたのは誰だったかな?」

 

「…………………僕です」

 

(まさかあの最悪のタイミングで僕が噛んだのを持ってくるなんて………恥ずかしすぎる……)

 

(からかうように言えたから良いけど、言ってから私もなんだか恥ずかしくなってきたよ………ていうか、さりげなく寝顔見られたみたい……まあ蒼太くんになら…)

 

二人とも赤面している上にあかりの思考が若干ずれてきているのは気にしないでおこう。

 

「……朝ご飯、食べる?」

 

と、蒼太が一言。

 

「……そうしよっか」

 

と、返事をするあかり。

 

 

 

こうして、緩やかに恋人との朝の時間は過ぎていく。

 

 

願わくば、これからの二人に幸あらんことを_____

 

 

 

 

 

それから少し経ち、駅前のケーキ屋にて。

 

「それでそれで!?もちたとの進展はどうなの!?」

 

「えと、その」

 

「Aまで行った!?それとも……もうBまで!?キャーーーッ!!あかりやっるぅ~!!これは優にも報告しないと!!」

 

「……話を聞いてよなっちゃ~~~~ん!!」

 

 

あかりは夏樹から質問責めに合っていたとか。

 

 

 

 




さてさて、ここで一つ。

この二人を先に進めすぎたかな?と。

いやまあ、最初に「僕の妄想」だと予防線を張って………もとい注意書きしたので大丈夫だと思うんですけど。

割と原作より、蒼太の照れを控えめにしています。


それでは、また次話にて。

次からはどんどん書いていきますよー?

追記
一体何回挨拶すれば気が済むのやら………自分でもビックリしました。というわけで即、修正。

もっといろんな会話をさせられるように頑張ります。
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