一緒に過ごした時間は。   作:三条蓮花

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これから不定期更新ってタグつけます、なんだかんだでやる気に左右されたり忙しかったりするので。すみません。

今回はかなり短めになりました。最近疲れることが多くて。


身勝手ですみませんが、これからもじゃんじゃん書きたいとは思っています。

それでは後半。


初めての共同作業。 ②

「予定変更!その名も、『ドキドキ!二人にいろいろ聞いちゃう大会!』」

 

 

「「「「…………はい?」」」」

 

 

夏樹が、本当に突拍子のないことを言い始めた。あまりの突然さに、(優を除いて)誰一人として思考が追い付いていない。

 

 

「え、えと、夏樹。それってもしかして……」

 

 

正気に戻ったのか、蒼太が夏樹に恐る恐るといった様子で聞き返す。

 

 

「そのまさか!今ここで、二組のカップルについて事細かに聞いちゃいます!覚悟しててね!」

 

 

すると夏樹はふんぞり返ってそう言い放った。あたかもそれが当然の流れかのごとく。

 

 

「え、え、えええええええええ!?それめっちゃ恥ずかしいしさっき聞かれたんですけど!?まだやるの夏樹!?」

 

 

「あったりまえじゃーん!春輝と美桜がどうして付き合うことになったのか知りたいし、今日のあかりが私の見たことない顔してるときあるし!気になるでしょ!!」

 

 

「そりゃ春輝の件については僕も知りたいけど僕たちのはもういいんじゃないかなぁ!?」

 

 

蒼太、この必死さである。確かに何度も何度も聞かれると恥ずかしいだろう。

 

が、お笑いのネタが何回もされると笑えなくなるように、あかりは既に答える心構えは完了しているようだった。証拠に、先程から蒼太に対して「落ち着いてー落ち着いてー」と言わんばかりに背中をさすっている。

 

 

「まあまあ、落ち着いて蒼太くん。確かにあの日は私も恥ずかしかったけど、流石にもう腹をくくった方が良いと思うな」

 

 

「ほらほら、早坂もこう言ってることだし、俺らのことはほっといて洗いざらい話してもらうぜもちた」

 

 

「いーや!春輝には吐いてもらうからね!一人のラブコメ至上主義者として聞かないわけにはいかないっ!」

 

 

と熱く語る蒼太に、まさかの追い風が。

 

 

「美桜ちゃん、私も気になるな。まさか美桜ちゃんが芹沢くんと付き合うことになったなんて、私全然知らなかったよー」

 

 

「え、ええっ!?ああかりちゃんまでそんなこと!?ど、どうしよう春輝くん!」

 

 

「くっそ、こうなったら、もちた!」

 

 

「よし来た!負けないよ!」

 

 

何も言わずとも伝わるのは、幼馴染み故か。

 

 

蒼太と春輝は互いに向かい合い、右手を前に伸ばす。

 

 

 

 

 

 

「「最初はグー!ジャンケンポン!!」」

 

 

………………………

 

…………………

 

……………

 

………

 

 

「ま、負けたっ………!」

 

 

「よっしゃあ!俺の勝ちだもちた!さあ、たっぷり聞かせてもらうぜ!」

 

 

「くそぅ………よりによって春輝に…………ごめん、あかり…」

 

 

そう謝る蒼太は若干涙目にもなりつつあった。そんな蒼太をあかりがどう責められようか、いや責められまい。

 

 

「ううん、気にしないで?確かに美桜ちゃんとか春輝くんにもあれを話すのはかなり恥ずかしいけど……」

 

 

___大丈夫、二人で話せば恥ずかしさも共有できるでしょ?

 

 

あかりのその言葉に、蒼太はたまらず崩れ落ちる。

 

 

「………うちのあかりんが可愛すぎてどうしようもない……よし、覚悟を決めるぞ」

 

 

かくして、蒼太とあかりはあの日のことを含めこうなる経緯を語り始める。

 

 

 

 

「えー……まず。夏樹と優は知ってるかもしれないけど、数日前に僕とあかりは付き合うことになりましたっ!」

 

 

「「「「おぉ~!」」」」

 

 

パチパチパチ!と、その場にいた当事者以外の四人が盛大に拍手する。

 

 

「ねぇあかり?もしかしてもちたに脅されてない?大丈夫?」

 

 

「ちょっと!事実無根の捏造はやめてよ夏樹!」

 

 

こんな場面でも尚、蒼太は夏樹にいじられるようだ。

 

 

が、今回のものは少々過剰なのではないか。現に、その夏樹の言葉を蒼太の真横で聞いていたあかりは、ムッとした顔で蒼太の腕に抱き付く。

 

 

「うわっ、あ、あかり?」

 

 

「なっちゃん、告白したのは私からって言ったでしょ?脅されてなんかないよ。第一、蒼太くんはそんなことするような性格じゃないし」

 

 

「……うわー、これはガチ惚れだわ……」

 

 

あかりの、少し怒気の滲んだ言葉に夏樹は思わずたじろぐ。しかしそれは蒼太の性格をよく理解しているからこそ言えるのであり、あかりの非難は至極真っ当なものだった。

 

が、そんな言葉の中のある部分に目ざとく気づいた者が。

 

 

「えっ、早坂から告白したのか?もちたじゃなくて?」

 

 

当然、夏に蒼太があかりに告白したのは春輝と優は知っていた。だから二人は、もう一度蒼太から告白したのだとばかり思っていたらしい。

 

 

「ち、違うよ!そりゃ僕だってあの日にもう一度と思ったさ!だけど僕がへたれてたらあかりの方から…………っ」

 

 

あのあかりの告白は(主に抱き合っていたせいで尚更)印象に残ったらしい、蒼太は思い出して瞬時に顔が赤くなる。

 

それを見ていたあかりもまた、蒼太が自分の抱き付きと告白を思い出して、同様の様子になった。

 

 

「「「「わぁ………」」」」

 

 

その場にいた四人は、あまりの二人の以心伝心さに生暖かい視線を送るしかなかったとか。

 

 

 

 

「はぁ………結局ほとんど話しちゃったよ。結構どころじゃなく恥ずかしかった…」

 

 

「ほんとだね。にしても美桜が思ってたよりずっと食い付いてきたときは私もびっくりしたよ……」

 

 

ここは駅までの帰り道。無事ゲーム大会(半分は暴露大会)も終わり、今は蒼太とあかりが二人で「手を繋いで」帰っている最中だ。

 

 

(なんせ、あかりが抱き付いてきたこととかその後のことも話さざるを得なかったからなぁ…………その代わり、春輝にはたっぷり問い詰めたけど)

 

 

そう、あかりから蒼太に告白したという衝撃の事実が露呈したのを皮切りに、あれよあれよという間に蒼太とあかりは全てを吐かされた。と言っても、例の同衾のあの場面だけは二人とも、何がなんでも口を割らなかったが。

 

自分達ばかりが恥ずかしい思いをするのに若干の不満を感じた蒼太は、夏樹に誘いをかけた。すると、見事詰問の矛先は春輝と美桜に変わったのだ。その後は蒼太とあかりが主に聞き出していった。

 

 

「あかり、ごめん!あの日のことは話したくないこともあったよね!強く断れなくて本当にごめんなさい!」

 

 

「へ?…………あぁ、全然気にしてないよ?確かに恥ずかしかったけど、美桜からも色々聞けたし、蒼太くんは無闇に話すような人じゃないってわかってる」

 

 

「……あかり、ありがとう、僕のこと少しでもわかってくれてて。比べて僕はまだまだだね…」

 

 

ギュウッ

 

 

「ふあっ………って、どうしたの?急に強く握って」

 

 

蒼太がひとりでに落ち込んでいると、あかりが不意に繋いでいた手に力を込めた。あかりは少し叱るようなねだるような顔で___

 

「…蒼太くん、すぐに謝らないように」

 

 

「………はい、頑張ります……」

 

 

 

 

「それじゃ、ここでお別れだね」

 

 

駅前。既に日は落ちて、そろそろ午後六時になろうかという頃。とうとう別れの時間が来てしまった。

 

 

(はぁ…今日は色々あったけど楽しかったなぁ。楽しい時間はすぐ過ぎるって言うけど、ほんとあっという間だ。ああ、あかりと離ればなれに………)

 

 

「…うん、そうだね」

 

 

二人の家はそれなりに距離がある。だからこそ蒼太は、あかりに気軽に会えないことがわかっている。寂しく思うのは至極当たり前だ。

 

電話やメールも出来るだろ、という人もいるかもしれない。しかし実際に会うのと、声や文字だけでやり取りするのでは天と地ほど差のあることなのだ。

 

(ああ……蒼太くんが凄く寂しそうな顔してる。そんな顔されたら私ももう少し一緒に……だけどお母さんにいつ帰るかはもう言っちゃってるし、流石に無理だなぁ。よし、だったら………)

 

 

どうやら、あかりも名残惜しいらしい。実際、駅に着いてから別れようと決意して手を離すのに、五分くらいかかっていたのだ。かかりすぎじゃない?

 

そんな名残惜しさを抱えたままではきっとすぐにまた会いたくなる。求めたくなる。それでは依存してしまうため、あかりはあることを決めた。

 

 

「えいっ!」

 

ダキッ

 

 

「うわっ!?あ、あかり!?」

 

 

蒼太が突然の抱擁に目を白黒させる。するとあかりはか細い声でこう言う。

 

 

「………またすぐにでも逢いたい、けど。今は無理みたいだから。ほんの一瞬、蒼太くん成分を補充させて?」

 

 

「……っ、ずるいなぁあかりは!」

 

 

そんなあかりの願いに蒼太は返答する、代わりにあかりを思いっきり抱き締めた。

 

 

「僕、寂しいんだ。今日はなんだかんだで楽しかったから。今お別れしたら、あかりが消えてしまうんじゃないかって」

 

 

「…私だって。ほんとは凄く寂しいけど、今日は門限があるから…………」

 

 

だから、とあかりは言葉を続ける。

 

 

「……近いうちにまた遊びに行こう、蒼太くん。すっごく楽しみにしてるから」

 

 

「……うん、そうだね、そうしよっか。あぁ、僕も楽しみだなぁ……」

 

言いながら、蒼太はあかりの華奢な体躯に手を回している。体全体で、愛しい人の熱を感じたいのだ。

 

 

「……ごめん、あかり。そろそろ家に帰らないといけないのに」

 

「ううん、私からこうしたから。でも、もう少しこのまま………」

 

外が暗くなっても、駅にはまだたくさんの人がごった返している。その中には蒼太とあかりの様子を見かける人も少なくない。二人の密着に舌打ちをする者、はたまたサムズアップをする者、果てには写真を撮る人までいる始末。

 

 

それでも、そのまま二人はしばらく互いの存在を確かめるように抱き合い続けたのだった。

 

 

 

 

 

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