しん、とした空間に響き渡る竹刀と竹刀のぶつかる音…俺、衛宮士郎は鍛錬を受けていた。
「ぐっ…!」
突き出される竹刀を紙一重で躱す。一瞬でも気を抜くと…
「甘い…ッ!!!」
バチンという竹刀からとは思えない音と共に吹っ飛ばされる。竹刀じゃなかったら身体真っ二つだぞこれ。
「相変わらず容赦ないな…セイバー。」
「これも士郎のためです!大体、士郎が鍛錬をつけて欲しいと言ったではないですか?」
俺の相手をしてくれていたのはセイバー、聖杯戦争で共に戦い抜いたサーヴァント。聖杯戦争は終わったので鍛錬はもう必要ないのだが…毎日日課のようにやってたのが急に無くなるのは寂しい感じがして今でもやっているという感じである。
「そうだったな…集中、集中…」
もう一戦、と言おうとしたところで『ぐぅぅ〜』とお腹が鳴る。
「…」
セイバーの体内時計は実に優秀で、特にご飯の時の正確さと言ったらなんのその。あ、セイバー顔が赤くなってる。
「飯にするか!」
「…そうしましょう、腹が減っては鍛錬はできません。」
…ん?なんか違うような…まぁいいか。しかしさすがは王様…冷静さを一瞬で取り戻したな、あの恥ずかしそうな顔、あれはあれですごく可愛いんだが…
「…士郎は意地悪ですね…」
「っ、悪い口に出てたか…?」
「今日のお昼、私のリクエスト通りなら許してあげましょう。」
おっと、そうきたか…まぁたまには悪くないだろう。全ては王様の言う通りに、っと。
「仰せの通りに…で、セイバー今日は何が食べたいんだ?」
「士郎です。」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
思考が止まる。まるで時間が止まってるように思考が止まる。
「は…せ、セイバー?何を言ってるんだ…?」
この言葉が出るまで何秒かかったことが。セイバーは真顔で表情は変わっていない。
「ですから士郎、私はあなたが食べたいです。」
表情は変わらない。え、なにこれカニバリズムってやつなのか…?いや王様が…そんなことは…。
「…ちなみになんだが俺を食べると美味しいって誰かが言っていたのか…?」
まるで日本語を忘れてしまったかのように片言な日本語。それだけ動揺しているのである。セイバーははて?というような顔をして答える。
「…?士郎のことが美味しいという話は聞いていませんが、こう言うと良いと。凛が言っておりましたので。」
よし、シめる。手始めに遠坂のおかずにどっぷり砂糖入れたりしてやる。
「と言うわけで士郎!あなたを食べさせてください!」
しまった、空腹も相まってか獲物を狙う獅子のようなオーラが出ている。しかしセイバーは盛大に言葉の意味を勘違いしているよな…絶対に。
「ま、まてセイバー!そもそも俺をどうやって食べるつもりなんだよ!と、とにかく俺は絶対にいやだぞ、食べられるなんて」
「士郎、あなたに拒否権はありません」
「なんでさ?!」
「今日は私のリクエストに答えるとおっしゃったではないですか」
ぐうの音も出ない。そしてジリジリと間合いを詰められる。まずい…このままでは食べられる…!
「くそっ、こうなったら…」
逃げるが勝ち、と全力で走り出す。セイバーから逃げられるとは思わないが誰かに助けを求めることはできるはずだ…人がいれば。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あっ士郎!」
私、セイバーことアルトリア・ペンドラゴンは士郎が走り出したのとほぼ同時にスタートする。道場を出てすぐ左のところに間桐桜がいた。
「…」
顔を少し赤らめてフリーズしている、何かあったのでしょうか。
「む?…何か?」
「あっ、その…えっと…ご検討を…お祈りします…」
「恐縮千万、恐悦至極!では!」
風にのるように加速して士郎を追いかけるのであった。士郎を美味しくいただくために…。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
この後俺はライダーを捕まえてライダーに説得してもらった。セイバーはライダーから言葉の意味を知り顔真っ赤にしてしばらく口を黙り込んでしまった…遠坂、絶対にユルサナイ。
なんだかんだで今日も衛宮家は平和です…。
初投稿です。よろしくお願いします!こんな感じで日常的な感じのをかけていけたらいいな〜と思っております。