衛宮家の日常。   作:ますたー☆あじあ

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セイバー、おつかいへ行く

「しまった、昨日買い物行くの忘れてたんだった」

冷蔵庫を覗いて頭を抱えるのは士郎です。そんな私はテレビを見ていたのですが…これは士郎に褒めてもらえるチャンスなのでは…!

「士郎、私が買い出しに行ってきましょうか?」

士郎に近づき、話しかける。士郎と一緒に買い物に行くことはあるが私一人では行ったことがない。

「セイバー一人でか?うーん…」

士郎は悩む。多分私を心配しているのでしょう。ちょっと考えてからあ、と何か思いついたかのように紙とペンを取る。

「えーっと…」

紙にサラサラと文字を書いていく。

「…よしっと、これで一通りかな。じゃあセイバー、これ」

紙とエコバッグが渡される。

「これは…買い物リストでしょか?」

「そそ、このメモに書いてある物を買ってきてくれ。それからお礼じゃないけど余ったお金で帰りに何か買って帰ってきてもいいぞ」

では、余ったお金で甘味でも買うことにしましょう。みんなでおやつを食べるのはいいものです。

「では行ってきます。士郎はゆっくりしていて下さい」

私は玄関で靴を履きながら士郎に言う。士郎は玄関まで見送りに来てくました。

「うん、わかったよセイバー。…本当に俺はいかなくていいのか?」

「えぇ、士郎から買い物リストももらいましたので問題ありません」

「そっか、じゃあ頼んだよセイバー。気を付けてな」

私は笑顔で答え、出発する。士郎にこたえれるようにしっかり成し遂げないと。私は鼻歌交じりで隣町へと向かった。

一方そのころ。衛宮士郎は…

「…心配だ。実に心配だ」

頭を抱えていた。セイバーに家でゆっくりしていろ、とは言っていたけど…。

「セイバーは今回が()()()()()()()()だからなぁ…心配だ…」

今の自分なら我が子を初めておつかいに行かせたときの心境がすごくわかる気がする。うん、心配だ。後ろからこっそりついていきたいくらい…実際にセイバーにこっそりついていくとすぐに見つかりそうだし、怒りそうだ。

「うーん…変なことにならなきゃいいんだがなぁ…」

例えば…ライダーと鉢合わせる、とか?

「あーくそっ!考えれば考えるほど心配になるなぁ…」

果たしてセイバーはちゃんと帰ってくるのだろうか、と落ち着きがない士郎なのであった…。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

商店街へ着きました!ここは士郎といつも来ているので慣れた光景です。まずは八百屋です。

「おや、セイバーちゃんいらっしゃい。士郎くんはどうしたんだい?」

「こんにちは。士郎は今日は家でゆっくりしています、私がおつかいにきたのです」

「士郎くんはいつも忙しそうだからな、おつかいに行ってくれて多分士郎くんも喜んでるだろうよ」

はっはっは、と笑う店主。士郎が喜んでくれているならおつかいに行くと行った甲斐があるというものです!

「店主、じゃがいもと人参、あと玉ねぎをいただけますか?」

あいよ、と返事すると店主はささっと用意する。

「いつもありがとね、士郎くんによろしく行っておいてくれ」

「分かりました、では」

次のお店は…魚屋さんですね。

「確か士郎に頼まれたのは…」

メモを取り出し確認していると聞き覚えのある声が…

「今日はアジが安いよ!…って、セイバーじゃねぇか」

「ランサー…魚屋さんでお仕事ですか」

「おう、転々としたけどここが一番しっくりきたからな」

まさかがランサーいるとは思いませんでした。まぁいいです、私は買い物に来ただけですので。

「ランサー、鯖はありますか?」

「鯖か?おう、もちろんあるぜ」

「6匹ください」

「おうよ」

魚を売るケルトの大英雄…買い物をするブリテンの王、もしこの二人を知っている人が見たら何をしているのか、と問われても仕方のない状況ですね。

「あいよ、セイバー。今日は坊主はいねぇのか?」

「士郎なら家でゆっくりしています、今日は私が買い出しに」

「ほ〜、家事の手伝いとは…坊主と籍を入れる日も近いかもなぁ」

「なっ、何を言うのですかあなたは!」

笑うランサー。ぐぬぬ、ここが何もなければ迷いもなくエクスカリバーなのですが…。

「お?顔が赤くなってるぞセイーー」

「何かおっしゃいましたか?」

笑顔で見えない剣を首元に当てる。ランサーは硬直して動かない。

「次言ったら問答無用で刎ねますので」

「…じゃあ俺は仕事に戻るわ」

では、と魚屋さんをさる。ランサーはのちに語る、もう少しで血の海ができた、と。

「買い物が終わったので…甘味を買って帰りましょうか」

そうですね…今日はたい焼きにしましょう。で、お店の前に着いたのですが…

「…なぜあなたがいるのです、アーチャー」

「なぜと言われてもな、私も買いに来たのだが?」

アーチャーと会うとは…ランサーといいアーチャーといい、今日はそういう日なのでしょうか。

「たい焼きを6つください」

手で6を表しながらお店の人に伝える。

「食べる量は相変わらずだな」

「違います、士郎や桜の分も含めての6つです。6つ全部私が食べるわけではありません」

まぁ一人で6つは食べれなくはないのですが…お財布の都合と言いますか…アーチャーといると調子が狂いますね。

「わっ、私のことはいいでしょう!早く自分が必要な分買ったらどうです?」

「ふむ、そうだな。たい焼きを6つ頼みたい」

アーチャーのところは凛を含めても4つくらいで足りるのでは…?

「あなたも6つ頼んでるではないですか…凛が食べるのですか?それともあなたが?」

気になって聞いてみる。アーチャーはフッと笑う。

「まさか。凛はともかく私は食事を必要ないからな、どこぞの騎士王様は違うようだが」

私のことを言っているのはすぐに分かりました。

「アーチャー!」

と、文句を言おうと思ったところにずいっと紙袋を渡される。これは…さっきアーチャーが頼んでいたたい焼き…?

「…どういう風の吹き回しですか、アーチャー。まさか先ほどの一瞬で何か変な薬を」

「君な」

やれやれという表情のアーチャーは続けて言う。

「まぁどう思うかは勝手だが…いらんというのなら捨てるぞ」

「!」

捨てるとは勿体ない…第一あの一瞬で薬を盛るのは不可能でしょう。

「捨てるのであればいただきましょう。しかし、アーチャーこれはどういうことですか…?」

「いや何、たくさん食べる君がさっき買った分だけでは足りないと思ってな。皆に分けるのであればなおさらだ」

「なっ、理由はそれだけですか?」

「それだけだよ、私としては不本意だがーー」

ハハッと困ったような笑顔になるアーチャー、その表情はどこかで見たことあるような…。

「どうも、セイバーの腹ペコそうな顔には弱いようだ」

この顔は士郎がたまにする表情だ、そうだった、アーチャーは士郎の理想の果て。似てて当たり前でしたね。

「….い、いらぬ世話です!でも、その…ありがとうございます…■■■…」

最後の方が小声になる。アーチャーに士郎、なんて言えるわけない。

「最後の方が聞き取れなかったが…まぁいいさ、ではなセイバー」

「アーチャー、必ずお返ししますので」

ひらひらと手を振り帰っていくアーチャー。いつか何かしらでお返しなければなりませんね。

「…士郎が待ちくたびれているかもしれないですね、少し急ぎ足で帰宅しましょう」

こうしてセイバーの初めてのおつかいは幕を閉じたのであった。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

「ただいま戻りました、士郎」

「お帰りセイバー。荷物持つよ」

いや、良かった何事もなく帰ってきてくれて、と安心するのは俺衛宮士郎である。にしても荷物が多いな…ん?これは…

「セイバー、それは…」

「これですか?たい焼きを買ってきました、みんなで食べようと思いまして」

にしても多くないか…?って12個?!

「せ、セイバー…12個も買ってきたのか?」

「いえ、6個しか買わなかったんですけど…アーチャーが」

…あいつが?うーん、なんというか、珍しいというか…。

「私が貰わないのであれば捨てるとのことでしたので」

ある意味脅しじゃないかそれ…。

「なら今度アーチャーにお礼をしないとな」

「そうですね」

冷蔵庫に買ってきたものを入れながらアーチャーにはどんなお礼をすればいいか考える。あいつは料理は俺より上手いしな…うーん。

「士郎、一緒にたい焼きを食べましょう!」

時計を見る。まだ夕食には早い時間だ。

「そうしよう、夕食までまだ時間をあるしな」

セイバーの隣に座る。まぁいつものセイバーで安心した。

「はい、士郎」

「サンキュー、セイバー」

セイバーからたい焼きを受け取る。相変わらずよく食べるな…。

「セイバー、おつかいありがとな。助かったよ」

「いえ、あれくらいなら容易いことです」

また次もお任せを、と胸を張るセイバー。今度からよく行くところにセイバーを連れて行かないとな、場所がわからないとおつかいに行けないからな。

「じゃ、また今度お願いしようかな」

「はい、士郎」

たい焼きを頬張りながら返事をするセイバー。今日も我が家は平穏である。

 

 

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