夕食の後、食器洗いをしているとセイバーが手伝いに来た。珍しい、というわけじゃない大体手伝いに来たときは俺にお願いがあるときだ。
「士郎…あのですね…」
「なんだ、セイバー?」
セイバーはモジモジしている。…うーん、嫌な予感!
「…明日お昼からお出かけできませんか?…二人で」
…二人で。これはつまり――
「分かった、じゃ昼飯のあと出かけようかセイバー」
これはデートだ。久々だなぁ…でどこに行くんだろうか。
「生きたいところがあるのですが…付き合っていただけますか?」
「セイバーの行きたいところ?あぁ、構わないよ」
食器を洗いながら快諾する。まぁ俺もどこに行こうか考えてなかったし、セイバーに生きたいところがあるなら丁度いい。
「では、明日のお昼の後お出かけですね。楽しみにしておりますので」
ニコッと笑顔で返答するとそそくさと部屋に戻っていってしまった。…まぁ女性にはいろいろ準備があるもんな。
「しかしセイバーとデートか…」
エプロンを脱ぎながら呟く。楽しみで一人笑顔になる。こんな顔人には見られなくないので俺もそそくさと部屋に帰る。部屋に戻ってよし、とこぶしを握りながら久々のデートを楽しみにしている俺であった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
昼食後、新都へ向かうためにバス停まで移動する。そういえばどこに行くかを聞いていない。
「セイバー今日はどこに行くんだ?」
「えっあっ…えーっと…ひ、秘密です!」
何処に行くのか、と聞いて狼狽するセイバー。…ん?俺なんかそうな狼狽するようなこと聞いたか?
「秘密か…まぁセイバーが行くところにはついていくけど」
「そうしてくれると助かります士郎」
セイバーの顔が赤い。えっと…どういうことなのかさっぱりわからん。女心は複雑だ…。とりあえずセイバーについていこう。
~1時間後~
「セイバー、確かに俺はセイバーについていくと言ったけど…」
ある店の前で俺は立ち往生する。いや、この展開は予想していなかった。いやセイバーの態度で察するべきだったか。その店とは…ランジェリーショップだ。
「帰る」
「なっ?!帰宅など許しません士郎!」
180度向きを変え帰ろうとする俺の肩をグイっと掴むセイバー。いやいやいやいや、俺が行くところじゃないし!そこは遠坂とか桜を連れてくるべきだろ!
「セイバー!場所を言ってくれなかったのはそういうことか!」
俺をだましたのか、と怒りより悲しみの目をセイバーに向ける。うっ、とセイバーが声を漏らす。
「その…場所を言わなかったのは謝ります士郎。しかし私は…凛や桜ではなく士郎に…」
しゅんと落ち込むセイバー。アホ毛がしなしなだ…本気で落ち込んでるな。あんなセイバー見たら…仕方ない、腹を括るか。俺もどこに行くのか、と聞いたときにもっと聞かなかった俺の落ち度でもある。
「ほら、行くぞセイバー」
セイバーの手を取る。そんな悲しいセイバーの顔を見て我慢できなくなった。えぇい、行ってやるよ!行ってやるさ!
「…さっさと買って帰るぞ。長居はできないからな」
長居なんて俺の理性が持たない。当のセイバーは始めこそびっくりしていたがすぐ笑顔になる。
「士郎…!」
「その、セイバーさっきは言い過ぎた、ごめん。今度行くときは事前に言ってくれ…そうじゃないと心の準備ができない」
まぁ…過去事前に言われて全力で拒否したからなぁ…。今回、セイバーは苦肉の策で連れてきたんだろう。…こういう場所に行くのは慣れないがそれはセイバーも同じだ。…頑張れ俺…!
と、セイバーが俺の手を放し小走りでランジェリーショップの扉へと向かう。
「ちょ、ちょっと待てよセイバー」
俺も小走りでついていく。セイバーが入るのに続いて俺も入る。こういう店に男が入るということは…
「まぁ…うん、そうだよな」
当然カップル、ということになる。セイバーはきょろきょろしながらあたりを見渡す。
「士郎、まずはどれから見ればいいのばいいのでしょうか?」
「お、俺に聞かれてもなぁ…」
全く分からない。そもそもこんな店に入るなんて想定してなかったし…。勢いで入ったとはいえ場所違いすぎる。どこをみても下着ばかりで目のやり場に困る。
「いらっしゃいませ、どちらをお探しですか?」
俺たちのそばに店員がやってくる。
「
「?!」
…今セイバー彼って言ったか…?ってか余計なことを言わないでくれセイバー!そもそもまだ俺とセイバーはそんな関係になってないだろ!
「なるほど~、こちらに新作がありますが…サイズを測りますか?」
今のセイバーの一言で店員さんがまるで初々しいカップルを優しく見守るかのような笑顔をする。恥ずかしくて顔が熱くなる。
「お願いします」
そういうとセイバーは店員さんとお店の奥に消えていった。…俺一人で待っているが周りからの視線が痛い。と、フフッと笑う声が聞こえる。
「いいなー、私も彼に選んでもらおうかなー」
完全に俺とセイバーのやり取りを見ての発言だろう。何だろう、心にチクチク刺さるというか…精神的疲労がたまっていってる気がする。というか耳まで真っ赤になっているんではなかろうか…。
「お待たせしました、士郎。このサイズまでなら入るようです」
と測った結果の紙を俺に見せてくる。
「せ、セイバー?そういうのは自分の心だけに入れておくものだぞ…?」
「そうなのですか?…私は士郎に知られても何も問題ないのですが」
「俺が気にしちゃうからセイバー…」
小声でセイバーに伝える。セイバーはまぁいいでしょうというと俺の手を引く。
「では、士郎さっそく見ていきましょう!」
セイバーに手を引かれお店の中を見てまわる。…今日は疲れてよく眠れそうだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「かなりの数を持ってきてしまいましたね…」
「あぁ…本当にこれ全部試着するのか?」
「当たり前です、士郎が良いといったものの中から選りすぐりを買うのですから」
見て回ってる時どれも似合っているからどれでも良いのでは、と言ったらセイバーは怒ってしまった。今思えば何という失言だ、と思ってしまうレベルだがお詫びとしてちゃんと選んでくれとのことだ。ちなみに俺の見立ててくれた下着以外身につかないのでそのつもりでと念押しされて選りすぐりを選んだのだが…
「セイバー、これ10はあるよな…店員さんに申し訳ないな…」
いや本当にごめんなさい店員さん…。いきなりセイバーが腕を掴み引っ張る。
「うおっ…?!」
後ろでシャッとカーテンレースが動くような音がした…嫌な予感がする…。
「セイバ…」
振り向いて何の用かと聞こうとして絶句する。セイバー服!服脱がないで!!
「ま、待てセイバー俺は出るから…」
「ダメです士郎、士郎に着ているところを見てもらってからではないと評価とは言えません」
セイバーこういうのは男女関係で…。
「セイバー、とりあえず待――」
「士郎、後ろ外すのを手伝ってもらえますか?」
は…?下着をとるのを手伝えというのですか…。いやいやいや、いくらなんでもそれはまずいだろ、第一俺はまだ高校生で…。
「士郎、私も恥ずかしいので早くしてもらえますか…?」
セイバーは顔を耳まで赤くしながら俺に伝える。…いかん、一瞬とんだ気がする。
「お、おう…い、行くぞセイバー」
手を伸ばす、その手は震えている。これを外すと…セイバーの…。
「――。」
頭が真っ白になる。これ以上は俺の想像を超える。…というか気が遠くなってきた…。
「あっ…」
ん…?なんか落ちたぞ…これは…。白色の…。
「し、士郎…あまり見ないでください…」
あ、これ…セイバーの…。あ、だめだ…。
「し、士郎?!しっか――」
俺の記憶はここで途絶えている。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
いつの間にか俺は帰路についていた。セイバーは満足そうだ。
「…悪いセイバー、ぼっとしてた。俺変な事してたか?」
「まさかあんなに積極的とは思いませんでしたよ、士郎」
「…は?」
嘘だろ…?なんか変なことしたのか?全く記憶にない。と、セイバーがフフッと笑う。
「冗談です、気を失ってしまったので結局全部購入しました」
通りで袋がパンパンなわけだ。
「というかセイバー、こういうのはこれ以降無いようにしてくれ。…誰の差し金だ?」
疲れたような声でセイバーに問う。セイバーが騙すなんて考えにくい、まぁだいたい見当はついている。
「凛からこうした方が早いといわれまして…士郎はランジェリーショップに行こうなんて言うと拒絶するのは分かっていましたので」
「まぁ…そうだな…」
セイバーは申し訳なさそうにいうが俺にも非がある。でも男をランジェリーショップに連れていくのはこう…カップルといいますか…その…。
「士郎、なぜあなたを誘ったかわかりますか?」
セイバーから質問が飛んでくる。俺を連れてきた理由か、確かセイバーは…。
「俺に選んでほしかったから、だろ?」
「そうです、ということはどういうことかわかりますね?」
??全く分からない。
「…セイバー、ちなみになんだがそれはセイバーの生まれでは良くあったことなのか?それとも誰かに言われたのか?」
流石にわからなかったので少しくらいヒント欲しさでセイバーに聞いてみる。
「ライダーから教えてもらいました…おかしいですね、ライダー曰くこれでイエスノーが返ってくるはずなのですが…」
ますますわけがわからない…ライダーは何を吹き込んだんだ…?
「…セイバーそのイエスノーって…」
「…」
セイバーは頰を赤らめて何も言わない。こ、告白の流れ…なのか?…覚悟を決めろ、衛宮士郎!いうぞ、言ってやるぞ…!
「お、俺は…その…」
口から出かけた寸前で詰まってしまった。
「士郎、それはまた今度でも良いのですよ?」
何となく分かったのか、セイバーは微笑んで俺に話しかける。どこか寂しそうなセイバー。今ここで言わなかったら…ずっと後悔しそうだ。
「セイバー」
「はい、士ろーー」
そっと抱きしめる。セイバーは驚いたのか何も言わない。
「…もし嫌だったら振りほどいて欲しい。俺は…俺はセイバーが好きだ」
言ってやった、今まで言えなかったこの言葉を。
「…私もです、士郎。やっと聞けた、貴方から…」
ギュッとセイバーも俺を抱きしめる。
「ごめんな、セイバー。随分と待たせてしまったみたいだ」
「長いこと待たされました…最後に言われてからかなり経ってましたから…」
何分経ったか分からないくらいお互い抱きしめ合う。そういえばセイバーから答えを聞いていない。
「セイバー、どうなんだよ?」
「何がですか?」
「その…告白の答えなんだけど…」
目を逸らしながら頬をかく。今思い返せばものすごく恥ずかしい告白だな…。
「はい、喜んで。これからもよろしくお願いしますね、士郎」
満面の笑みで言われる。…ずっとこうしていたいけどもう帰らないと流石に桜とライダーに心配をかけてしまいそうだ。
「セイバー、そろそろ帰ろうか。流石に桜とライダーに心配をかけてしまいそうだ」
セイバーと俺はそっと手をほどく。
「そうですね、心配をかけないように早く帰りましょう」
お互い家に向かって歩みを進める。
「セイバー、手を」
「?どうぞ」
「左じゃない、右手」
セイバーは右手を差し出す。セイバーの右手に俺の左手を絡ませる、恋人繋ぎと言うやつだ。
「恋人同士ならこれくらいいいよな…?」
セイバーは何も言わず体を寄せてくる。何も言わないけど、体を寄せてきたセイバーの体は熱かった。
「また、デートしような」
そう一言呟いて家へと向かった。もっとこうしていたいけど今日はこれでおしまい。セイバーとはこれからも一緒にいるのだから。
「士郎、今度は…お祭りに行きたいです」
「お祭りか…夏も近いし、近いうちにお祭りはあったはずだ」
こんな会話をしながら家へと帰った。桜や遠坂には言った方がいいのか、それとも秘密の方がいいのかとか色々悩まされるのはちょっと先の話。今日は2人にとっては大切な日となった日なのであった。
お久しぶりです。F○Oのイベントやらリアルが大変でなかなか書けませんでした…お待たせいたしました。
士郎×セイバーがやっとかけました…これとは別に凛の場合だったり、桜だったりを書いてみようかな?と考えております。
それとUA10000突破してました!いつも見てくださっている方ありがとうございます、これからも皆さまが楽しめるような作品が書いていくつもりです。どうぞよろしくお願いします。