衛宮家の日常。   作:ますたー☆あじあ

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期間が結構空いてしまいました…生きてます。
今回は少し長め…?


2人で素敵な1枚を

「〜♪」

あら、キッチンから誰かの鼻歌…ははーん、これは桜ね。そういえば今日は当番だったわね、それなら当然か。

「どうしたの桜、何かいいことでもあった?」

キッチンのある部屋にひょこっと顔を覗かせるのは私、遠坂凛だ。

「あっ、姉さん。いえ、特に嬉しいとかないんですけど…」

「さっきのフレーズ、確かテレビCMのよね?」

「はい、なんだが耳から離れなくて」

私はテレビとかあまり見ないけどあれは独特のテンポというか、何か耳に残る。桜はつい鼻歌で出てしまったんだろう。

「姉さん、それは…」

桜が私の持つ物を指差す。

「あぁ、これね。少し散歩に行こうと思って…この前家の掃除をしてたらカメラがひょっこり出てきたから使ってみようと思って」

今時のカメラといえばデジタルカメラってものらしいけどこれは違う。年季の入っててところどころボロがあったけどそこは衛宮君に無理言って治してもらった。今時フィルムを使うカメラなんて珍しいのか、フィルムを買うのに少し苦労した。…あと操作に慣れなくて1ヶ月かけて使い方をマスターした、なんて死んでも桜や衛宮君には言えないわね。

「なるほど…じゃあこの食器を食器棚に戻したら準備するのでちょっと待っててもらえますか?」

「いいわよ〜…あっそうだ桜」

「なんですか?ねえ…」

パシャっと…ふふん、どんな感じに撮れてるかは後でフィルム見てみないと分からないわね〜。なるほど、そう考えると今のデジカメってやつはすごいのね。

「桜の写真いただきよ!衛宮君にあげちゃおうかしら」

なーんてそんな冗談…。

「…」

ちょっと、そこ黙るとこじゃないと思うんだけど。しかも顔がちょっと赤いんだけど?!

「と、とにかくそういうわけだから!準備が出来たら声をかけてね、桜」

「あ、はい!分かりました、姉さん」

キッチンを後にして自室へ戻る。部屋のドアを閉じ、大きく息を吐く。

「…ふぅ、緊張した…」

姉妹とはいえ、長くは一緒にいなかったし。こういう風に誘うのは今回が初めてだから。

「〜〜〜!!」

布団にボフン、と倒れこむと枕に顔を埋めて声にならない声を出す。とりあえず誘えた、嬉しい、とそんな気持ちを枕にぶつける。姉らしいことはあんまりできていないのよね、桜は部活で忙しくて私は魔術協会に報告のために色々まとめててバタバタしてたし。

「…何着て行こうかしら」

タンスをひっくり返す。衛宮君の家に置いている分の服を全部出す。

「秋も終わりかけで冬だし、そろそろ冬物よね〜。入れ替えの時期かしら」

あれでもないこれでもない、とあたりに服が散らかっていく。衛宮君がみたら呆れられそうね、これ。…っていうかこれ絶対片付け面倒だわ、致命的なミスね私…。

 

〜約1時間後〜

一応だけど衛宮君に出かけてくると言っておく。…ってあれ…?

「…あれはセイバーね。どうしたのかしら」

見た感じセイバーは多分どうしたらいいのだろうと迷ってるように見える。

「姉さん?どうかしたんですか?」

「しっ、今ちょっと面白そうだから…静かに見ていましょう」

はぁ、と桜は返事をすると私と同じように壁から顔を出して見る。ははーん、なるほど士郎が干してる布団の上で寝てしまってて、セイバーは風邪を引くからと布団をかけたけどそれじゃ干す意味がないからどうしようかと困っている、と。これは見ものね。

「先輩お布団で寝ちゃってますね」

「そうみたいね、セイバーはどうするのかしら…?」

そうね、ここは添い寝してくれるとあとで色々面白いことになりそうね、フフフ…。と決まればカメラを構えますか。

「失礼します、士郎」

し、しし、士郎が…お姫様抱っこされてるぅ!?えぇ…セイバーの方が絶対軽いと思うのだけれど…?ってそんなことしてる場合じゃないわね。

「フッフッフッ…予想とは違ったけど…いただきっ!」

シャッターをきる。多分綺麗に撮れてると思うけど、まあ出してみないと分からないわよね。

「行ってしまいましたね、先輩とセイバーさん…」

「そうね…とりあえずセイバーに出かけると伝えてから出かけましょう、桜」

ライダーに伝えるのもありかな、と思ったけどそういえば今日はバイトだったわね。このまま後を追うとバレそうだし…ここで待っていればいっか。縁側に2人して座る。うーん、いい感じに日差しが…これは確かに眠くなるわね…。

「おや、凛に桜ではないですか。お出かけですか?」

おっと、以外とお早い…。もう少しかかるかと思ってたのだけど。

「えぇ、ちょっと桜と一緒にお出かけしようと思ってね。そんなに遅くはならないと思うから」

「分かりました、士郎には伝えておきます。いってらっしゃい」

笑顔で答えるセイバー。あゝ、早くあの写真を見せてみたい…という気持ちをぐっと抑えて平然な顔で士郎の家を出る。さて、まずはどこから行こうかしら。

「姉さん、まずは柳洞寺に行きませんか?」

柳洞寺かー、確かに秋だし紅葉は綺麗だろうけど…あのメガネ(一成)がいるのよね…でも桜の期待してるような目は…裏切れない…。よし、覚悟を決めなさい私!せっかく桜も一緒に行くんだから少しは我慢してあげるのよ!

「いいわね!じゃあまずは柳洞寺へ行きましょう桜」

笑顔で桜に答えながら心の底では奴には会いませんようにと呪文のようにと願った。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

「ところで姉さん、写真を撮りに行こうって突然どうしたんですか?」

柳洞寺に向かいながら桜が私に問う。

「せっかくだし、何かいい写真撮っておきたいなって。特別理由があるわけじゃないのよ」

カメラもたまたま見つけて治してって感じだし。それに今の時期は暑くもなく寒くもなく適温なのである。冬は寒くて出たくなくなるから、今使わないと春まで使うことはないという本音は心の何処かに投げ捨てた。

「許可されるなら桜が部活してるところ撮るのもありかしら?」

サッとカメラを桜に向ける。

「いいですけど…恥ずかしくてちゃんと出来ないかもしれないです…」

と弱気な桜。この子プレッシャーとかそういうのに弱いものねぇ…なら気付かれないようにこっそりと取りに行くしかないわね、藤村先生に相談してみようかしら。…お、見えてきた見えてきた。

「相変わらず、ここの階段は…試練だわ…」

長い階段を登りきったところに柳洞寺はある。

「私は部活してますし、姉さんは身体を鍛えてますし…多分楽に登れると思います」

まあ確かに鍛えてはいるけど…こんなの毎日は私なら死ぬわね、めんどくさくて。まあ何言っても始まらないし、とりあえず登りますか。

2人して石段を登る。普段来ないから不思議な感覚ね。ふと桜を見ると途中で足を止めて街を見下ろしていた。天気も良いからか、反対側の山まではっきり見える。

「桜」

桜を呼ぶと同時にカメラを構えて…。

「あ、すいまーー」

写真を撮る。うん、我ながら結構いいのが撮れたと思うのだけれど?

「振り向いた桜、すごく綺麗だからつい撮っちゃったわ」

「姉さんずるいです!私も姉さんの写真撮りたいです!」

耳が赤い。オホホ、隙がありすぎよ桜!

「分かったわよ、はい」

桜にカメラを渡す。桜はカメラの扱い方を知っているようで早速ーーえ?

パシャッ

「やりました!姉さん、これはさっきのお返しです」

フフンとしてやったり顔の桜。…やられた、隙がありすぎるのは桜だけじゃなくて、私もか。

「ちょ、ちょっと桜!今のはずるいわよ!どうせならもっとこう…素敵な写真をー!」

顔と耳が熱い。うぅ、これ絶対赤くなってるぅ!姉妹だからってここまで似る必要はないでしょー!!!

「分かってますよ、姉さん。ちゃんと先輩やアーチャーさんにも認めてもらえるような素敵な写真を撮ってあげます!」

やる気な桜。ほんとは桜の素敵な写真を、とは思ったけれど…ま、この際だから別にいいわよね。

「そ、じゃあお願いするわね桜。とびっきり素敵な写真を撮ってよね!」

と、後ろから足音。顔を向けるとそこには眼鏡をかけたーー。

「げ…」

「げ、とはなんだ遠坂。ここは俺の家でもある、俺がいてもおかしくはあるまい?」

会いたくなかったやつに遭遇。ここは皮肉のひとつでも…いや、桜の前でそんな見っともない姿は…。

「まあそうね。で、何しに来たのよ」

とりあえず返す。ここは冷静に、落ち着いて対処よ、ここで挑発には乗らない…。

「む、それはこちらの台詞であろう遠坂。…それはカメラか?」

「えぇ、桜と写真撮って回ってるのよ」

「そうか、なら好きに見て回るといい。言っておくが、何か壊したりしたらちゃんと弁償してもらう、だから壊すなよ」

「壊すって…壊さないわよ。また写真撮るだけなんだから」

横を通り過ぎる。さっさと写真を撮って帰りましょー。…事例があるから警告したのだが、とかなんか聞こえたけど知らない。ええ、何も知らないわ。ナニモシリマセンヨー。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

あれからたくさん回った。柳洞寺の後は公園へ、そして商店街へ、その次は新都へとたくさん回ってたくさん写真を撮り、近くのカフェに入ったのである。

「はあ〜つっかれたぁ…。もう足が棒のようになってるわよ、明日は筋肉痛かしらね〜」

「そうですね、こんなにたくさん歩いたのは私も久しぶりです」

メニューを手に取り、とりあえず飲み物と軽く食べれる物を注文する。考えてみればお昼すら食べずに回っていたのだからそりゃ疲れるってものよ。

「もうそんなに写真も撮れそうにないし、カフェを出たらゆっくり帰りましょ」

「そうですね、あんまり遅くなると先輩やライダーが心配してしまいますし」

注文したコーヒーを飲みながらふぅ、と息を吐く。始めこそトラブルがあったけれど…桜は楽しそうに写真撮れてたし、良い息抜きになったかしら?

「良かった、桜が楽しそうで」

「え…?」

「最近、何か思い詰めてるような顔してたというか。暗い顔の桜を見る時があったから、誘ってみたのよ」

案外、そういうのって他の人から見るとすぐバレちゃうわよね。私もセイバーや士郎にたまに言われる時がある。そういう時は大体魔術関連で行き詰まってる時だけど。

「ちょっと部活で悩み事があって…それでどうしようかなと悩んでいたんです」

「なるほどね〜、具体的に話せるなら聞かせてくれる?何か力になれる…かどうかはわからないけれどアドバイスくらいなら出来るかもしれないわ」

「えぇっと…その、ライダーとセイバーさんについてなんですけど…」

「あぁ…」

大体察する。あの2人は犬猿の仲だから、士郎も手を焼いてるっていってたっけ。

「どうしたら仲良くしてくれるのかな、って…。姉さんならどうしますか?」

ずいっと顔を近づけて聞いてくる我が妹。うーん…そうね…。

「難しいわね…。私ならーー」

諦める、と言いかけて止める。これは一番いけない回答だわ。…桜が怒った時はものすごく仲良くなるのよね、多分桜が怖いから。

「私ならまずは士郎付きで4人で出かける、とかかしら?まずはお互いのことをもう少し知るとか、小さなことから始めるのがいいかなって」

苦し紛れっぽいけど仕方ない。もしこれが実現したら頑張ってね、士郎。…私は悪くないわ、えぇ!…多分。

「なるほど!流石姉さん!」

参考になります!とそのままどうしたらいいかをメモに書いてる様子。あー、ごめんなさい士郎。多分これ実現するわね。そんなことを思いながらコーヒーを飲み目を閉じてふぅ、っと息を吐く。まあ楽しかったし、桜の悩みも多分解決したしいっか!

「姉さん」

「なーに、桜?」

目を開けるとカメラのレンズがこちらに向いている。が、となりに桜が居るから多分桜も一緒に映るだろう。

「自撮り、って言うんでしょうか。やりましょう!」

手が震えてる。片手で持つには少し重いカメラだから当たり前よね。手を伸ばし、カメラを半分持つ。これで重みは少し減ったはず。

「桜、手が震えてちゃ綺麗な写真が撮れないわよ?私も少し持つから素敵な写真お願いね?」

「姉さん…!はい、任せてください!」

恥ずかしさは無かった。恥ずかしさの代わりに自然と笑みがこぼれた。そしてそのまま、シャッターが切られたのであった。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

「はいこれ、桜が欲しいって言ってた分」

現像した写真が入った袋を渡す。枚数が多くて現像にすこーしだけ時間がかかってしまった。桜に渡す前に士郎に例の写真を上げたら顔真っ赤にしてたけど…フッフッフッ、隙を見せる士郎が悪いのだ!

「ありがとうございます、姉さん!」

少し話をして家に戻る。私もまだ現像した写真はちゃんとみてないから帰ってちゃんとみよう。

「さてっと…」

帰宅して早々、写真を見る。たまーにブレてるやつがあるけどそれはご愛嬌。

「どれも綺麗だけどやっぱこれが1番のベストショットよね」

手に取った写真は最後にカフェで取った桜とのツーショット写真。空いている写真立てを手に取り、そっと入れて飾った。

「これでよし、っと。アーチャー!ちょっといい?」

庭でのんびりしているアーチャーを呼びつける。どうせ暇なら写真でも見てもらおう。

「これ、桜と撮ったんだけどどう?」

撮った写真を吟味するアーチャーとそれを見守る私。この後何時間もかけて写真を評価しあったのであった。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

一方その頃、衛宮家の桜の部屋。

「〜♪」

服をタンスに入れながら鼻歌を歌う桜。

「桜、ちょっといいですか?」

「ライダー?どうしたの?」

今日は何もなく、お互い衛宮家でゆっくりしていた。

「桜、士郎が呼んでいます。おそらく今日の献立についてではないかと」

「分かったわ、ちょっと行ってくるねライダー」

メニューの相談に向かう桜。と、ライダーはあるものに目をつける。

「これは…」

ライダーが見つけたのは写真だ。写真立てに入ってる。その写真に写っているのは恥ずかしいのをグッとこらえてカメラを持って、笑顔の少女と同じく恥ずかしいを我慢しているのか、少し顔が赤いが笑顔の少女が写っている写真だ。

「桜と凛のツーショットですか…。なるほど、成長しましたね桜」

フフッと笑うライダー。

「ということは凛も同じように飾っていたりして…姉妹は外は似てなくても中が似ている時はありますし」

手に取っていた写真立てを元の位置に戻す。お互いに写真立てに入れて飾っていることに気がつくのはこれからまた少し先のお話である。

 

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