士郎と桜にサプライズプレゼントをして早数日…私は未だに凛へプレゼントを選べずにいた。
「…」
ふぅ、とため息をつきカタログを閉じる。どうしましょうか…。うーんと考えていると扉の叩く音が聞こえた。
「ライダー、いるか?」
「士郎ですか、どうぞ」
「遠坂から伝言だ、明日新都へ行かないかだそうだ」
凛と新都へ…?何かあるのでしょうか、しかも私と。士郎や桜、セイバーなら分かりますがなぜ私に…?
「了解しました、折り返しは私からしておきます」
「ん、了解」
士郎が扉を閉めた後も考えることは何故凛が私を誘ったのかーー。
「考えても仕方ありませんね、とりあえず折り返しの電話をしておきましょうか」
結局凛とは10時に現地集合となりました。凛は私に何かさせたいのでしょうか…それとも…。
凛との電話の後、私は悶々としながら1日を終えるのでした…。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌朝、出かける支度をする。その横で桜がじっと見つめている。
「にしても姉さんがライダーと出かけるなんて…不思議な感じですね」
たしかに、これまで凛と2人っきりで出かけるなんて事はなかった。
「そうですね、凛と2人っきりで出かけるのは初めてですが…大丈夫です桜、何かあった時は必ずお守りします」
と言っても凛は優秀な魔術師なので変な事件に巻き込まれるなんて事はないでしょう。
「ふふ、お願いするねライダー」
「それでは行ってまいります」
「はい、いってらっしゃいライダー」
新都行きが出ているバス停へ向かう。表情は平然としているのでしょうが私の心の中はいろんな気持ちが渦巻いてます…。
「ーーあっ」
私としたことが物思いに耽りすぎたようです…道を間違えました…。
そんなこんなでなんとか新都へ到着…おや。
「あらライダー。予定より早いわね、きっちり合わせてくると思ったのだけれど」
凛の方が早かったようです、10分前行動というやつでしょうか。まだ予定の時間より10分くらい早く着いているとは。
「凛、待たせてしまいましたか?」
「いいえ、私も本当についさっき着いたのよ」
ところで、と話を切り替えて凛は私に問う。
「この前のプレゼントの件なんだけど…私から1つ質問があるの」
真顔で問われる。
「はい、なんでしょうか凛」
「あれって…
なんでも、ですか…。
「はい、
この時、私は忘れていました。相手はあの遠坂凛、通称赤い服の小悪魔だと言うことを。
「へぇ〜…
時すでにお寿司…いえ、遅しでしたか。凛のあの笑顔は小悪魔モードの合図なのですから。
「じゃ、私へのプレゼントは私が決めるという事でいいでしょ?」
…あぁ、これはいけない気がします。イケナイ気が。少なくとも私のお財布は薄くなりそうです…。
「私が求めるのはーー」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「一日、私に付き合ってもらうこと!」
と、笑顔でライダーに伝えるのは私、遠坂凛よ。ライダーは…ぽかんとしている。
「おーい、ラーイーダー…」
呼びかけるが帰ってこない。ちょ、ちょっと…ライダー?!
「凛、本当にそれでいいのですか?」
いきなり帰ってきた?!それはそれでびっくりするのだけれど?!
「え…えぇ、それでいいの。これにはちゃんと理由があってね。あんまりライダーと私って話すことないじゃない?だから親睦を深めようと思って…私たち、気が合いそうな気がするのよ」
正直な私の気持ちを伝える。なにかとライダーと2人きりっていうのはなかったし、ライダーとはもっと仲良くなりたかったから丁度良い。
「まぁ…その、今日一日私とデートってことね!」
ライダーとデート、女の子同士でデート。…別に士郎が構ってくれないからとかじゃないんだから!
「…なるほどでは今日一日私は凛の彼女というわけですか」
彼氏だと思うんだけど、というのは言わなかった。ライダーはそういうのは気にしそうだったから。
「そ、だから…彼女は大人しく…エスコートされるのよ!」
ライダーの手を握る。
「ひゃっ、凛?!」
「まずはデパートでお買い物と行きましょうか!」
ライダーは体勢を立て直し、私の横を歩く。
「…よろしくお願いします…」
私はちらっとしか見てないが、小声でそう呟いたライダーは少し俯き加減で顔が赤くなっているのが見えたーー。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
お昼前、私たちはお昼を食べるために公園へと向かった。
「うぅ…凛、本当に似合っていますか…?」
「うん、似合ってるわ!もっと自信を持っていいのよライダー」
なぜ最初にデパートに行ったか、それは…。
「り、凛私に洋服は…これで十分です!」
「えぇい、問答無用!今日は!一日!私の言うことを!聞くって!約束でしょ!」
「契約内容が変更されてます!そう言う約束ではーー」
まずはライダーをおめかしする事からだった。スタイルがいいのにそんな地味な服装ではライダーの良さが引き立たない。何分かの格闘の末、結局無理やり連れ込み、買ったのは…。
「ワンピースって意外と露出する部位が多いのですね…うぅ」
白色のワンピース。王道を行くような服だがライダーの髪の色と相まってよく似合っている、羨ましいくらいに。というか露出度で言ったら聖杯戦争の時の服装のはどうなるのよあれ…あれは恥ずかしくないのにこっちは恥ずかしいんだ…。
公園の中でも人気のない場所にある大きな木の下にシートを敷き陣取る。
「お昼は…凛が用意してくれたのですか」
「えぇ、サンドイッチを作ってきたの」
ジャジャーンと蓋をあける。ライダーは食い入るようにそれを見る。
「…失礼は承知の上なのですが…申し訳ありません、凛は料理ができないものと思っておりました」
あー…否定はできないわね、だってこれ以外に
「あ、あははは…」
苦笑いで誤魔化す。気付かれないうちに話題を変えましょう。
「サンドイッチくらいなら私でも簡単にできるから今度ライダーも作って見たらどう?」
「そうですね、時間があるときにでも挑戦してみます」
ふふっと微笑むライダー。ライダーもこんな表情するんだ…。
「では凛、いただいても良いでしょうか?」
「どうぞどうぞ。感想、聞かせてよね」
ライダーはハムサンドをはむっと食べる。ゴクリ…で、味は?
「美味しいですよ、凛。さすがです」
やった…!わざわざ早起きして作った甲斐があったものね!心の中でガッツポーズしながら
「そう?それは良かった。まだまだ沢山あるからゆっくり食べましょう」
少し遅めのお昼休憩が始まった。さて、この後はどこへ行こうかしら!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
夕暮れ、帰路につく。昼食の後、カフェに行ってゆったりした後に書店に行ったりと充実した時間を過ごした。
「凛」
ライダーが立ち止まる。私も足を止めて振り返る。
「どうしたのよ、ライダー。改まっちゃって」
「今日、凛へ日頃の感謝を込めて恩返ししようと思ったのですが…申し訳ありません。また一つ貸しを作ってしまったみたいですね」
あちゃー、逆に気を使わせちゃったか…。うん、素直に伝えた方がいいわね。
「ライダー、その日頃の感謝の気持ち、忘れちゃダメよ?そういう気持ちが大事なんだから」
ライダーの手をそっと触れる。ライダーは少し驚いたみたいだけれどすぐにいつもの表情に戻る。
「気持ち…ですか…」
「今日一日、貴方と過ごせてすごく楽しかったわ。人によってお礼って変わってくるのよ。必ずしも物が欲しいとは限らないの。今回の私みたいに貴方とともにもっと親睦を深めたい、仲良くなりたいから今日一日私と付き合ってらう、っていうのもあるわ。日頃の感謝している人の要望に応える。これも立派な恩返しの一つだと私は思うわ」
伝わってくれたかしら…。あくまで私の意見ではあるのだけれど。ライダーはなるほど…と頷いている、ちゃんと伝わったみたいね。
「凛」
「なーに、ライダー?」
「また、このように2人で出かけたりすることは…できますか?」
この時のライダーはまるで少女のように眩しく見えた。
「えぇ、もちろん!是非お願いするわライダー!」
こちらもとびっきりの笑顔で返す。始めは不本意をつくような形で強引にだったけど結果オーライよね、多分…。日は沈み、暗がりの中私たちはバスに乗り、衛宮君の家へ帰宅した。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ただいまー!あー楽しかったぁ!」
「ただいま戻りました」
パタパタとやってくるのはーー
「おかえりなさい、姉さん、ライーー」
桜がフリーズする、それもそのはずよね!こんなライダーは見たことないはずだから。
「ライダー…すごく似合ってる!可愛い!」
桜の純粋な反応を見てライダーは恥ずかしがっている。いいわねぇこういうのは…。ちょっと意地悪したくなるケド…良い雰囲気だから邪魔者はそっと退場…。
「ありがとう、桜。これは凛が選んでくれたのです、私のために」
「姉さんが…ふふっ、そう」
玄関からキャッキャッとはしゃぐ声が聞こえる。うん、あの時無理矢理でも連れて行って正解だったわね。その場をそっと離れた私は茶の間に入る。
「おかえり遠坂、随分と遅くなったな」
と声を掛けてくるのはこの家の家主であり、台所のリーダー衛宮くん。見た所、絶賛料理中のようね。
「そうね、ちょっとはしゃぎ過ぎたかしら」
と言った後に衛宮君がふふっと笑う。
「…なによ、その笑いは」
「いや、悪い。あんまりにも満足そうな表情を遠坂がしてたんで…ついな。久々に見るもんだから」
…そういうとこだけは鋭いわね、衛宮君。
「そうね〜、久々に満足いくお出かけだったから…あっ、士郎暇なら玄関に行ってライダーを見ておいた方がいいわよ〜」
「?そうか、じゃあちょっと…」
夕飯の支度がひと段落したところだったみたいで衛宮くんは玄関に向かうと…桜と同じような反応をする。
「ふふっ、今日は本当に楽しかった」
夕飯前の衛宮くんのお家の玄関ではライダーの話で大盛り上がり、茶の間からチラッと見た感じだと、ライダーは恥ずかしそうだったけどまんざらでもなさそうね。
「…ちょっと、そこの集まりに私も入れなさいよ〜!」
と私も参加する。今日の夕食は少し遅くなりそうね。
今日も衛宮くんのお家は平和ですよ…っと!
お読みいただきありがとうございます!自分が思っていたよりたくさんの方が読んでくださり、驚いています。ありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!